退職後にもらえる給付金、一括と分割の違いをまず整理
退職後に申請すればもらえる公的な給付金があることをご存じでしょうか。退職金のように、まとまったお金が一度に振り込まれるとイメージしている方は意外と多いものです。ですが実際は、給付金の種類によって受け取り方がまったく異なります。
なお「退職給付金」は法律上の制度名ではなく、失業保険や傷病手当金など退職後に受け取れるお金をまとめた呼び方です。退職給付金とはそもそもなんのか、どんな給付金が含まれるのかについては下記の記事で一覧にしています。
参考:退職給付金など仕事を辞めてもらえるお金15種類!申請方法や注意点も解説
この記事では、その中でも利用する人が多い傷病手当金の継続給付、失業保険(雇用保険の基本手当)、そして数少ない一括支給の給付金である再就職手当について、「どう振り込まれるのか」「いつお金が入るのか」に絞って整理していきます。
公的給付金の中で一括支給されるのは、基本的に再就職手当だけです。傷病手当金と失業保険(基本手当)は、生活費を継続的に補う目的の制度のため分割払いになります。
傷病手当金(継続給付)は「申請した期間ぶんずつ」振り込まれる
傷病手当金が一括でもらえない理由
傷病手当金は、健康保険の加入者が業務外の病気やケガで働けず、給与を十分に受けられないときに支給されるお金です。支給されるのは、支給開始日から通算して1年6か月の範囲内で、実際に働けなかった日の分だけです。
働けなかった事実は、医師が申請書の中で期間ごとに証明します。つまり「これから働けない予定の期間」の分を先にもらうことはできず、すでに過ぎた期間について申請し、審査を経て振り込まれる流れになります。1年6か月分がまとめて最初に支払われることがないのはこのためです。
何か月分かをまとめて申請することはできる
申請する期間の区切り方は自分で決められます。1か月ごとに申請するのが一般的ですが、2〜3か月分をまとめて申請すれば、その期間の分がまとめて振り込まれます。
ただし、まとめるほど最初の入金は遅くなります。退職直後は収入が途切れるため、生活費の見通しが立たないうちは1か月ごとに申請するほうが安心です。また、傷病手当金は働けなかった日ごとに、その翌日から2年を過ぎると時効で請求できなくなるため、まとめすぎにも注意しましょう。
退職後も受け取るための条件
退職後も傷病手当金を受け取り続けるには、在職中の受給要件に加えて、次の条件をすべて満たしている必要があります。
退職日に出勤すると、その時点で継続給付の条件を満たさなくなります。また、いったん働ける状態に戻ると継続給付は打ち切られ、原則として再び働けなくなっても再開されません。
もらえないケースや会社とのやりとりで注意したい点は、下記の記事でくわしく解説しています。
参考:傷病手当金は退職後もらえない?受給できる条件と不支給の理由
支給期間と金額の目安
計算方法のくわしい説明は、協会けんぽのよくある質問ページで確認できます。
健康保険組合に加入している方は、組合によって申請窓口や独自の上乗せ給付がある場合もあるため、そちらにも確認しておくとよいでしょう。
退職コンシェルジュでは、退職前の制度に関するご相談から給付金の受給完了まで一貫してサポートしておりますので、制度の内容がよく分からない方や自分が対象になるのか知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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失業保険(基本手当)は「4週間ごと」に振り込まれる
振り込みの仕組み
失業保険の基本手当は、原則4週間に1回の失業認定日にハローワークへ行き、その間も失業状態だったと認定されてから、認定された日数の分が振り込まれる仕組みです。振り込みは認定日から通常5営業日ほどで行われます。
たとえば所定給付日数が90日の場合でも、90日分が一度に振り込まれることはありません。4週間(28日)分ずつ、認定を受けるたびに入金されていきます。認定日に行かなかった期間の分は原則支給されないため、毎回の認定日がそのまま「次の入金日」を決めていると考えるとわかりやすいでしょう。
最初の振り込みはいつ?自己都合と会社都合で変わる
一括でもらえない以上、気になるのは「最初のお金がいつ入るのか」です。これは退職理由によって大きく変わります。
どちらの場合も、支給対象になった日の分は次の認定日を待ってから振り込まれます。会社都合でも受給手続きから1か月前後、自己都合ならさらに給付制限の分だけ遅れると見ておくと、退職後の資金計画が立てやすくなります。病気や介護などやむを得ない理由で退職した場合は、自己都合でも給付制限がかからないことがあります。
所定給付日数は、被保険者だった期間・年齢・退職理由で決まります。自分の日数はハローワークの一覧表で確認できます。
参考:ハローワークインターネットサービスの所定給付日数のページ
唯一「一括」で受け取れる公的給付金、再就職手当
退職後の公的給付金の中で、例外的に一括で支給されるのが再就職手当です。失業保険の基本手当を受給している人が、所定給付日数を一定以上残して早めに再就職した場合に、残りの日数の一部がまとめて支払われます。
言いかえると、「失業保険を分割でもらい続ける代わりに、早く就職して残りの一部を一括で受け取る」制度です。失業保険を一括でもらう方法を探している方にとって、実質的にいちばん近い選択肢といえます。
再就職手当の受給条件
再就職手当を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると対象外になるため、就職先を決める前に確認しておくと安心です。
上記の要件は厚生労働省の再就職手当リーフレットにもとづいています。制度改正で内容が変わる可能性があるため、申請前にはハローワークで最新の情報を確認してください。
再就職手当の支給額はどう計算する?
再就職手当の支給額は、基本手当日額に支給残日数と給付率をかけて計算します。給付率は、就職した時点で残っている日数の割合によって変わります。早く就職するほど一括で受け取れる金額が大きくなる仕組みです。
厚生労働省の再就職手当リーフレットに載っている例で見てみましょう。基本手当日額が4,000円、所定給付日数270日のうち228日を残して再就職した場合です。残日数は所定給付日数の3分の2以上にあたるため、給付率は70%になります。
計算に使う基本手当日額には、年齢に応じた上限があります。正確な金額はハローワークが発行する書類で確認してください。自分の場合のおおよその金額は、再就職手当シミュレーションで試算できます。
再就職手当はいつ振り込まれる?
再就職手当は、就職日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ支給申請書を提出します。申請書には就職先に記入してもらう欄があるため、入社したら早めに依頼しておきましょう。
提出後はハローワークの審査を経てから振り込まれるため、就職してすぐにお金が入るわけではありません。入社後の最初の給料日までの生活費も含めて、資金の見通しを立てておくと安心です。
傷病手当金と失業保険は同時にもらえる?
傷病手当金と失業保険の基本手当は、同時に受け取ることができません。理由は、制度の前提が正反対だからです。
このように前提が逆なので、傷病手当金を受けている間は「失業状態」とはみなされず、基本手当は受給できません。ただし、受給期間の延長手続きをしておけば、傷病手当金の受給が終わったあとに失業保険の手続きへ進めます。
退職後の受け取り方の順番
退職後に療養が必要な期間がある場合は、次の順番で進めるのが一般的です。分割でもらう2つの給付金を「つなげて」受け取るイメージです。
受給期間の延長は、離職日の翌日以降に30日以上働けない状態が続いた場合に申請でき、本来の受給期間(原則1年)に最大3年間を上乗せできます。手続きが遅れると延長できる期間が短くなることもあるため、早めに住所地を管轄するハローワークへ相談しておきましょう。
一人での申請が不安な方は、お力になれる可能性がございますので、ぜひ退職コンシェルジュへお気軽にご相談ください。
▼社会保険給付金サポートへのお問い合わせはこちら
よくある質問(Q&A)
退職後の給付金の受け取り方について、よくいただく質問をまとめました。
まとめ
退職後に受け取れる公的な給付金は、傷病手当金の継続給付や失業保険の基本手当のように分割で支給されるものと、再就職手当のように一括で支給されるものに分かれます。
退職金のようにまとまった金額が一度に振り込まれると考えていた方は、最初の入金がいつになるのか、毎月どれくらい入るのかを先に把握しておくことが大切です。
特に傷病手当金と失業保険は同時に受け取れないため、自分の体調や再就職の見通しに合わせて、どの制度をどの順番で利用するかを事前に整理しておくと、退職後の生活資金が途切れにくくなります。
退職後にどの給付金が使えるのか、自分のケースではいつ・いくら受け取れるのか、判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
退職コンシェルジュでは、退職前のご相談から給付金の受給完了まで、手続きを一貫してサポートしています。
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