休職代行とは
休職代行とは、休職したい人に代わって、会社への連絡や手続きの一部をサポートするサービスです。よく似た言葉に退職代行があります。退職代行は退職の意思を会社に伝えるサービスで、休職代行は、休職したいという意思を会社に伝える点が違います。
サービスの内容は、運営元によって違います。主に、次のようなものがあります。
| サービスの内容 | 具体例 |
|---|---|
| 会社への連絡代行 | 休職したい旨を、本人に代わって会社に伝える |
| 手続きの案内 | 必要な書類や、手続きの流れを説明する |
| 傷病手当金の申請サポート | 申請書の書き方や、手続きの流れを案内する |
休職の制度は、法律で会社に義務づけられたものではなく、条件や期間は会社の就業規則で決まります。そのため、休職代行を使うときも、まず会社の休職制度を確認することが前提になります。休職という制度の基本については、下記の記事で解説しています。
参考:休職とは?意味・期間・給料・手当・手続きの流れをわかりやすく解説
休職代行でできること・できないこと
休職代行には、できることと、できないことがあります。
| できること | できないこと・注意が必要なこと |
|---|---|
| 休職したい旨を会社に伝える | 診断書の発行や、診断書が出ることの保証(医師だけができる) |
| 必要な書類や手続きの流れを案内する | 休職を会社に認めさせること(認めるかどうかは会社が判断する) |
| 傷病手当金の手続きの流れを案内する | 休職の条件や期間をめぐる、会社との交渉 |
特に注意したいのが、会社との交渉です。弁護士ではない人が、報酬を得て他人の法律事務を扱うことは、弁護士法72条で禁止されています。休職の条件をめぐって会社と争いになりそうなときは、弁護士に相談する方法があります。民間の業者が代行できるのは、あくまで連絡の範囲だと考えておきましょう。
また、診断書は、医師が診察をもとに判断して出すものです。診断書が必ず出ることをうたうサービスには、注意が必要です。
休職代行のメリットとデメリット
メリット
体調がつらいときは、会社に連絡すること自体が大きな負担になります。そのような場合に、連絡を代わりにしてもらえるのは、休職代行のメリットです。また、必要な書類や手続きの流れを案内してもらえるので、何から始めればいいかわからない状態を抜け出しやすくなります。
デメリット
一方で、次のようなデメリットもあります。
- 費用がかかる
- 会社が休職を認めるとは限らない
- 手続きの途中で、結局、会社とのやりとりが必要になる
3つ目について補足すると、傷病手当金の申請書には、本人と医師の記入に加えて、会社(事業主)の記入欄があります。協会けんぽの案内でも、そのように示されています。そのため、休職が始まったあとも、会社に書類を書いてもらうための連絡は必要です。
休職代行を使わず自分で進める方法
休職の手続きは、連絡の負担を軽くする工夫をすれば、自分で進めることもできます。
| ステップ | やること | 連絡の負担を軽くするコツ |
|---|---|---|
| 1 | 就業規則で休職制度を確認する | 会社のイントラネットや、人事に問い合わせる |
| 2 | 病院を受診して診断書をもらう | 療養期間の見込みも書いてもらう |
| 3 | 上司や人事に診断書を出して伝える | メールで伝える、人事に直接連絡するなど |
| 4 | 休職が始まる | 連絡窓口を人事に決めてもらう |
| 5 | 傷病手当金を申請する | 会社の記入欄は、人事の担当者に依頼する |
連絡がつらいときは、口頭ではなくメールで伝えてもかまいません。診断書があることと、休職したい旨を簡潔に書いて送り、詳しい話は体調が落ち着いてからにする、という進め方もあります。また、上司に伝えにくいなら、人事の担当者や産業医に先に相談する方法もあります。
参考:厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
厚生労働省の職場復帰支援の手引きでは、休業の診断書は労働者から上司に出され、上司が人事労務の担当者や産業保健スタッフに連絡する流れが示されています。自分で手続きを進める際の詳しい伝え方の例文や手順などは、下記の記事にまとめています。
参考:休職したいと思ったら?会社への伝え方と休職までの進め方を解説
休職代行を選ぶときの注意点
休職代行を使うと決めたときは、次の点を確認してから選びましょう。
- 運営元はどこか:弁護士、労働組合、民間企業など。会社との交渉が必要になりそうなときは、弁護士かどうかが重要になる
- サービスの範囲と費用:何をしてもらえて、何が別料金か、事前に書面などで確認する
- 診断書の扱い:診断書が出ることを保証するといった説明には慎重になる
- 個人情報の扱い:診断書や病名など、健康に関する情報をどう取り扱うか確認する
休職中の収入は傷病手当金で支える
休職中は、会社から給料が出ないのが一般的です。その間の収入を支えるのが、健康保険の傷病手当金です。協会けんぽの案内をもとにまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 業務外の病気やケガで、仕事に就けないとき |
| 条件 | 連続する3日間の待期を含む4日以上休んでいる / 医師などの意見で、仕事に就けない状態と認められる / 給料が支払われていない |
| 金額の目安 | 標準報酬日額のおおむね3分の2 |
| 支給期間 | 支給開始日から通算して1年6か月 |
休職代行を使っても、この条件を満たす必要があることは変わりません。
休職代行についてよくある質問
診断書がなくても、休職代行で休める?
休職代行を使っても、休職の可否は会社が決めます。多くの会社では、休職の申し出に診断書を求めているので、診断書がないと難しい場合があります。傷病手当金も、医師などによる、仕事に就けない状態の証明が必要です。
休職代行を使えば、会社は必ず休職を認めてくれる?
必ず認められるわけではありません。休職制度の条件を満たしているかどうか、診断書の内容はどうか、といった点を見て、会社が就業規則に沿って判断します。
休職代行を使うと、会社から本人に連絡は来る?
来ることがあります。休職中も会社に籍があるので、手続きの確認などで連絡が来る場合があります。連絡の窓口や頻度は、休職に入る前に会社と決めておくと安心です。
休職代行と退職代行は、どちらを選べばいい?
休職したいのか、退職したいのかで選ぶサービスが変わります。休職は籍を残して休む方法で、退職は雇用関係を終える方法です。退職後も、条件を満たせば傷病手当金を受け取れる場合があります。休職か退職かで迷うときは、[仕事がつらいときの原因と対処法|休む・相談する・辞めるを選ぶ前に知っておきたいこと]を参考にしてください。
会社に連絡するのがつらくて、誰かに相談したい
厚生労働省の「こころの耳」では、働く人やその家族からの相談を、匿名・無料で受け付けています。電話、SNS、メールで相談できます。また、会社との労働問題については、全国の労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーが窓口になります。
まとめ
休職代行のポイントを整理します。
- 休職代行は、休職の連絡や手続きをサポートするサービスで、休職を認めさせるものではない
- できるのは連絡や案内で、診断書の発行や、会社との交渉はできない
- 傷病手当金の申請には会社の記入欄があるので、休職代行を使っても会社とのやりとりは残る
- 自分で進めるときは、メールで伝える、人事や産業医に先に相談するなど、連絡の負担を軽くする方法がある
- 休職中の収入は、傷病手当金で支えられる
制度上、休職代行での手続きによる休職後はそのまま退職というルートもスムーズなため、退職後も傷病手当金を継続して受給したいという方も多いのではないでしょうか。
休職中の傷病手当金の手続きと退職後の手続きでは全く異なり複雑化するため、「退職コンシェルジュ」のような給付金サポートを検討してみてはいかがでしょうか。
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