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失業保険をもらいながら就労移行支援は使える?条件・手続き・注意点をわかりやすく解説

失業保険をもらいながら就労移行支援は使える?

「失業保険をもらいながら就労移行支援に通えるの?」という疑問、退職後に就労移行支援の利用を考えている方からよく聞かれます。

結論から言うと、一定の条件を満たせば、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給しながら就労移行支援を利用することは可能です。しかも、障害や難病のある方がハローワークで「就職困難者」と認定されると、一般の離職者よりも大幅に長い期間、給付を受けられる優遇措置もあります。

この記事では、両制度の基本的な仕組みから受給条件・手続きの流れ・注意点まで、必要な情報をまとめて解説します。

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失業保険と就労移行支援、まず制度を整理しよう

混乱しやすい2つの制度ですが、それぞれの目的と対象者をきちんと押さえておくとスムーズです。

失業保険(雇用保険の基本手当)とは

失業保険とは、雇用保険に加入して働いていた方が離職した場合に、再就職活動中の生活を支えるために支給される手当です。正式名称は「雇用保険の基本手当」といい、「雇用保険から支給される」という点が重要なポイントです。

受給にあたっては「失業状態にあること」が前提で、ここでいう失業状態とは「すぐに働く意思と能力があるにもかかわらず仕事に就けていない状態」を指します。この点が後述する就労移行支援との組み合わせを考えるうえで重要な意味を持ちます。

詳しい受給要件や手続きは、ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」から確認できます。

就労移行支援とは

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病のある方で、一般就労を希望し、それが見込まれる18歳以上65歳未満の方を対象に、就職に必要な知識やスキルを身につけるための訓練・就職活動のサポートを提供します。

利用期間は原則2年間(最大3年間)。通所中は基本的に給料や工賃は発生せず、アルバイトも原則禁止のため、生活費の工面に頭を悩ませる方が多いのが実情です。なお、利用料は所得に応じて決まり、住民税非課税世帯や生活保護受給世帯の方は自己負担ゼロで利用できます(全体の約9割以上の方が無料です)。

制度の根拠法や対象疾病の詳細は、厚生労働省の「障害者の就労支援対策の状況」で確認できます。

失業保険をもらいながら就労移行支援を使える理由

一見すると「働けない状態で就労移行支援を使いながら、働く意思のある人に支給される失業保険をもらうのは矛盾では?」と思えるかもしれません。

ただ、就労移行支援はあくまでも「再就職のための訓練」です。就労の意思を持ちながら、次の職場で安定して働けるよう準備している段階と解釈されます。したがって「働く意思と能力があるにもかかわらず職に就けていない状態」という失業の定義と矛盾しないと判断されるため、条件を満たせば両方の制度を並行して活用することが可能です。

ただし「すぐに働けない状態」にある場合は話が変わります。たとえば体調が不安定で主治医から就労許可が下りていないようなケースでは、失業保険の受給要件(就労能力があること)を満たせないため、受給できません。その場合は受給期間の延長申請(後述)を先に行うことが重要です。

失業保険の受給条件と就職困難者の優遇措置

就労移行支援の利用者が失業保険を受給するには、まず一般的な受給要件を満たす必要があります。その上で、障害や難病のある方には「就職困難者」としての優遇措置が用意されています。

基本的な受給の3条件

失業保険を受給するためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」参照)。

条件 内容
失業状態であること 就労の意思と能力があるにもかかわらず、職に就けていない状態
雇用保険の被保険者期間 離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(就職困難者は離職日以前1年間に6か月以上)
求職申込みをしていること ハローワークに求職の申込みを行い、積極的に就職活動をしていること

就職困難者として認定されるには

就労移行支援の対象となる障害・難病のある方の多くは、ハローワークで「就職困難者」に認定される可能性があります。就職困難者とは、障害等の事情により一般の求職者より就職が著しく難しいと認められた方を指します。

認定の対象は主に次のような方です。

  • 身体障害者手帳の交付を受けている方
  • 療育手帳の交付を受けている方
  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方
  • 手帳は持っていないが、統合失調症・うつ病・双極性障害・てんかんなどの診断がある方(医師の意見書(診断書)による認定)
  • 刑法等の規定により保護観察されている方 など

障害者手帳を持っていない場合でも、主治医の診断書を提出することで認定されるケースがあります。ハローワーク受付時に担当者に状況を伝えるのがスムーズです。

就職困難者の所定給付日数(ハローワーク公式データより)

就職困難者として認定されると、一般の離職者よりも大幅に長い日数の給付が受けられます。以下はハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」をもとにした比較表です。

区分 被保険者期間1年未満 被保険者期間1年以上
一般の離職者(自己都合) 90日 90〜150日(被保険者期間・年齢による)
就職困難者(45歳未満) 150日 300日
就職困難者(45歳以上65歳未満) 150日 360日

被保険者期間が1年以上あれば、最大で300〜360日(約10〜12か月分)の給付が受けられます。一般の自己都合退職者の90〜150日と比べると、その差は歴然です。就労移行支援の訓練期間が数か月〜2年に及ぶことを踏まえると、これは大きなメリットです。

また、就職困難者として認定された場合は以下のような追加の優遇もあります。

  • 給付制限なし(通常の自己都合退職者には1〜3か月の給付制限がある)
  • 求職活動実績が4週間に1回でOK(一般は2回)
  • 所定給付日数が残り3分の1未満でも「常用就職支度手当」の対象になる可能性がある

2025年4月施行の雇用保険法改正ポイント

2025年4月1日以降に離職した方には、改正雇用保険法の新ルールが適用されています(厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除されます」参照)。

改正項目 改正前(〜2025年3月) 改正後(2025年4月〜)
自己都合退職の給付制限期間 原則2か月 原則1か月に短縮
教育訓練受講時の給付制限 ハローワーク指示の場合のみ解除 自主的な教育訓練受講でも解除
就業手当 あり(パート・アルバイト再就職時) 廃止

なお、就職困難者にはもともと給付制限がないため、この改正の直接的な影響は限定的ですが、障害のない家族が同様の状況にある場合などに参考になる情報です。

失業保険の受給手続きの流れ

退職から受給開始までのおおまかな流れは以下の通りです。

ステップ 内容 ポイント
1 離職票・雇用保険被保険者証を受け取る 退職後、会社から郵送または手渡しで届く(退職日から14日以内が目安)
2 ハローワークに求職申込み・受給資格の申請 障害者手帳または診断書を持参し、就職困難者の認定を申し出ること
3 7日間の待期期間 求職申込みから7日間はどんな方でも給付なし(就職困難者も同様)
4 雇用保険受給者初回説明会への参加 「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」が交付される
5 失業認定日ごとにハローワークへ申告 4週間に1回。就職困難者は求職活動実績1回でOK
6 基本手当の振込 失業認定日から約5営業日で指定口座へ振込

手続きの詳細はハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」でも確認できます。

受給中に押さえておきたい注意点

就労移行支援への通所は求職活動実績にならないことがある

就労移行支援に通所していること自体は、ハローワークの窓口によっては求職活動実績として認められないケースがあります。ただし、就労移行支援の中で就職相談を受けたり、セミナー・講習に参加したりした場合は実績として認められることが多いです。企業への応募や面接も当然実績になります。

担当のハローワークに利用開始前に確認しておくことをおすすめします。

失業認定申告書への正確な記載が必要

失業認定日には「失業認定申告書」を提出しますが、収入や就労した日があれば必ず申告が必要です。申告漏れや虚偽の申告は不正受給とみなされ、受け取った金額の全額返還のほか最大2倍の追徴金が課されることがあります。迷った場合は自己判断せずハローワークに相談することが大切です。

就労継続支援A型を利用する場合は受給不可

就労移行支援と違い、就労継続支援A型は雇用契約を結ぶサービスです。A型利用中は「就労している状態」とみなされるため、失業保険は受給できません。ただし、A型への移行が決まった段階で「再就職手当」の対象となる可能性があります。

体調が不安定なときは受給期間の延長申請を先に行う

退職後すぐに就労移行支援に通えるほど体調が整っていない場合、焦って失業保険の手続きをするよりも、受給期間の延長申請を先に行う方が得策です。連続して30日以上働けない状態が続く場合、最長4年(本来の受給期間1年+3年)まで受給期間を延長できます。体調が回復してから改めて受給手続きを行うことで、給付日数を無駄なく使えます。

失業保険と他の給付金の関係

就労移行支援の利用中には失業保険以外にも使える可能性のある制度があります。それぞれの関係を整理しておきましょう。

給付金の種類 失業保険との併給 補足
傷病手当金(健康保険) 同時受給は不可。ただし続けて受給は可能 傷病手当金受給中は失業保険の受給期間延長申請をしておくとよい
障害年金 併給可能 障害基礎年金・障害厚生年金のどちらも失業保険と同時受給できる
生活保護 失業保険が優先(収入認定される) ケースにより異なるため福祉事務所へ相談

傷病手当金と失業保険を組み合わせることで、最大28か月程度にわたって継続的に生活費を確保できるケースもあります。給付金の活用方法や受給スケジュールの立て方が不安な場合は、専門家への相談がおすすめです。

よくある質問

障害者手帳がなくても就職困難者として認定されますか?

認定されるケースがあります。うつ病・双極性障害・統合失調症・てんかんなどの精神疾患をお持ちの方は、手帳がなくても主治医の診断書を提出することで就職困難者と認定されることがあります。まずはハローワークの窓口(できれば障害者専門窓口)に相談してみてください。

失業保険の受給期間を延長する申請はいつまでにすればいいですか?

原則として、離職日の翌日から2か月以内に申請することが推奨されています(2021年7月以降は申請期限が緩和されており、受給期間満了日の前日までに申請すれば延長が認められます)。ただし、手続きが遅くなると受給できる期間が実質的に短くなることがあるため、体調が安定していない場合は早めに申請しておくほうが安心です。

就労移行支援を利用しながら転職活動もしていいですか?

問題ありません。むしろ積極的に求職活動を行うことで失業認定の要件を満たしやすくなります。就労移行支援事業所でのセミナー参加や就職相談も求職活動実績として認められる場合がある点は先述の通りです。

失業保険の受給が終わったあとに就労移行支援を続けてもいいですか?

はい、問題ありません。就労移行支援のサービス自体は失業保険の受給とは独立した制度なので、給付が終了しても引き続き利用できます。生活費の確保手段として他の制度(住居確保給付金など)の活用も検討してみてください。

就職困難者の求職活動実績は何回必要ですか?

就職困難者の場合、失業認定対象期間(原則4週間)に1回以上の求職活動実績があれば認定を受けられます。一般の求職者(原則2回)より要件が緩和されているため、通所しながらでも無理なく条件を満たしやすい仕組みになっています。


失業保険をはじめ、傷病手当金・障害年金などの給付金は、それぞれの受給要件や申請タイミングが複雑です。「自分がどの給付金を、いつ、どの順番でもらえるのか」を一人で整理するのはなかなか大変です。

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この記事の監修者

萩原 伸一郎

CREED BANK株式会社

ファイナンシャルプランナー(FP)資格を持ち、東証一部上場企業に入社。資産形成、資産運用、個人のライフプランニングなどを経験。これまでに10,000名以上の退職後のお金や退職代行に関する相談などを対応した経験から、社会保険や失業保険についてわかりやすく解説。

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