2025.05.12

退職について

結婚しても失業保険はもらえる?扶養に入るのとどちらがお得?

結婚をきっかけに退職する方の中には、「失業保険は受け取れるの?」「扶養に入った方がいいの?」と悩む方も多いでしょう。結婚による退職でも、条件を満たせば失業保険を受け取ることができます。ただし、場合によっては、失業保険よりも扶養を優先したほうが負担が軽くなるケースもあります。

この記事では、失業保険の基本から、結婚後の受給条件、扶養と失業保険のどちらがお得かといったポイントまで、わかりやすく解説します。

 

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もくじ

結婚して退職した人で失業保険がもらえるケース

結婚をきっかけに退職する方でも、条件を満たせば失業保険(失業手当)を受け取ることができます。受給の可否は、退職理由や退職後の状況によって変わります。ここでは、代表的な3つのケースを紹介します。

結婚を理由に退職した後も求職活動を行うケース

結婚を理由に退職した場合でも、再就職を希望し、積極的に求職活動を行う場合は、失業保険を受け取ることが可能です。
受給には、退職前2年間に雇用保険に12ヶ月以上加入していた実績が必要となります。

また、ハローワークで求職申し込みを行い、定期的に失業の認定を受けることで、所定の給付日数分の失業手当が支給されます。なお、失業手当を受け取っている間は、夫(または配偶者)の健康保険の扶養に入れない場合があるため、健康保険や年金の手続きに注意が必要です。​

結婚に伴って通勤が困難となったケース

結婚により引っ越しをして通勤が難しくなったために退職した場合は、「特定理由離職者」として扱われることがあります。特定理由離職者は、通常の自己都合退職よりも受給条件が緩和されます。退職前1年間に雇用保険に6ヶ月以上加入していれば失業保険の受給が可能です。

さらに、自己都合退職で設けられる原則として1ヶ月の給付制限が免除され、7日間の待機期間が経過すれば、すぐに失業手当の支給が始まります。ただし、退職後おおむね1ヶ月以内に住所変更(引越し)を行うことが条件となるため、スケジュール管理には注意が必要です。

<h3>結婚以外の理由で退職することになったケース
結婚以外の自己都合による退職であっても、失業保険を受け取ることは可能です。この場合、退職前2年間に雇用保険に12ヶ月以上加入している必要があります。

ただし、自己都合退職の場合は、原則として1ヶ月の給付制限期間が設けられており、この期間経過後から失業手当の支給が開始されます。

結婚して退職した人で失業保険がもらえないケース

結婚を理由に退職した場合でも、すべての人が失業保険を受け取れるわけではありません。受給には「働く意思」と「求職活動」が前提となるため、状況によっては受給対象外となるケースがあります。ここでは、失業保険がもらえない代表的な3つのパターンを紹介します。

専業主婦(夫)として家庭に専念するケース

結婚を機に退職したあと、再就職の意思がなく専業主婦(夫)として家庭に専念する場合、失業保険は受給できません。失業保険は、働く意思があり積極的に求職活動を行っていることが支給の条件です。そのため、再就職を希望しない場合は対象外となります。

また、妊娠や出産、育児、介護などでしばらく働くことが難しい場合も同様ですが、将来的に再就職を希望する場合は「受給期間の延長」の制度を利用することで、後日失業手当を受け取ることが可能です。

妊娠や出産などでしばらく就業が難しいケース

妊娠・出産・育児などで、すぐに働くことが難しい場合は、受給期間の延長手続きが可能です。通常、失業保険の受給期間は退職日の翌日から1年間ですが、働けない期間が30日以上ある場合、最大3年間の延長が認められます。

この延長手続きは、退職日の翌日から30日が経過した後、できるだけ早めにハローワークで行いましょう。

アルバイトやパートで週20時間以上働くケース

結婚後にアルバイトやパートで週20時間以上働く場合、新たに雇用保険に加入することになります。この場合、将来的には失業保険を受け取る条件を満たすことができますが、現在の失業保険の受給資格には該当しません。

また、失業手当を受け取っている期間中に、週20時間以上の仕事を始めた場合は、ハローワークに「就職」とみなされ、失業手当の支給が停止されます。一方、週20時間未満の短時間労働であれば、失業手当を受けながら働くことも可能です。ただし、その場合もハローワークへの報告が必要となります。

結婚して失業保険をもらうなら入籍後?入籍前?

結婚や入籍のタイミングは、失業保険の受給に影響を及ぼします。退職の時期や入籍の順番によって、注意すべき内容が変わるため、ここでは、主な3つのパターンごとにポイントを解説します。

退職後に入籍する場合

退職後に入籍する場合でも、再就職の意思があり、積極的に求職活動を続けていれば、失業保険の受給資格には影響しません。

ただし、退職後に配偶者の扶養に入ろうとする場合には注意が必要です。失業保険の基本手当日額が3,611円以上の場合、年間収入が130万円を超えるとみなされ、健康保険の扶養に入れないことがあります。扶養に入れるかどうかは、配偶者の勤務先や社会保険担当者によって判断されるため、事前に確認しておくと安心です。

また、失業保険の受給の有無にかかわらず、傷病手当金や不動産収入など、何らかの収入があり、年間収入が130万円以上ある場合も扶養には入れません。

入籍後、退職するケース

入籍を機に引越しをして、通勤が困難になったことで退職した場合「特定理由離職者」として認定される可能性があります。特定理由離職者に該当すると、自己都合退職でも給付制限が免除され、7日間の待機期間が終わればすぐに失業手当を受け取れる場合があります。

ただし、退職後に配偶者の扶養に入る際は、失業保険の受給額によっては扶養に入れないこともあるため、あらかじめ配偶者の勤務先や社会保険の担当窓口で確認しておきましょう。

退職後、失業保険の手続き後に入籍するケース

退職後に失業保険の手続きを済ませた後に入籍した場合、失業保険の受給に大きな影響はありません。

ただし、入籍に伴って姓や住所が変わった場合は、すみやかにハローワークに変更を届け出ましょう。住所変更に伴い、管轄のハローワークが変更になる場合があります。また姓変更の場合、登録口座を変更するために「払渡希望金融機関変更届」の提出が必要です。

変更手続きが遅れると、給付金の振込遅延などのトラブルにつながる可能性があります。必要書類を準備して早めに対応しておくと安心です。

そもそも失業保険とは

失業保険とは、働いていた人が失業した場合や、何らかの事情で雇用を続けることが難しくなった場合に、生活や再就職活動を支えるための制度です。正式には雇用保険に含まれる給付のひとつで、失業したときに一定の条件を満たすことで受け取ることができます。

失業保険の受給条件

失業手当を受け取るためには、次のような条件をすべて満たしている必要があります。

  • 雇用保険に加入しており、保険料を納めている
  • 退職前の2年間に、12ヶ月以上雇用保険に加入していた(特定受給資格者や特定理由離職者の場合は、直近1年で6ヶ月以上の加入があればOK)
  • 就職する意思と能力があり、求職活動を行っている

 

反対に、以下に該当する場合は原則として失業保険を受給できません。

  • 妊娠、出産、育児によりすぐに働けない
  • 病気やケガ、障害によって就業が難しい
  • そもそも働く意思がない
  • 家事や学業に専念している
  • 会社役員に就任している
  • 自営業など、雇用保険に加入していない働き方をしていた

 

失業給付金の受給金額

失業手当の受給額は、基本的に「基本手当日額 × 給付日数」で決まります。一般的には、退職前の給与のおおよそ5〜8割程度が目安となります。

  1. 賃金日額の計算:退職前6ヶ月間の賃金総額(ボーナスを除く) ÷ 180日
  2. 基本手当日額の算出:賃金日額に50%〜80%の給付率を掛けて計算
  3. 総額:基本手当日額 × 給付日数

 

なお、給付率は年齢や退職前の賃金額によって変動します。賃金が低いほど給付率は高くなり、反対に賃金が高い場合は低めに設定されています。また、基本手当日額には年齢ごとに上限額が定められています。

2024年8月1日現在の基本手当日額は、29歳以下は7,065円、30歳以上45歳未満は7,845円、45歳以上59歳以下は8,635円、60歳以上64歳以下は7,420円が上限です。そのため、どれだけ賃金が高くても、上限額を超える失業手当は支給されません

結婚して退職した人はいくら失業保険をもらえる?

失業手当の受給額は、「給付日数 × 基本手当日額」によって決まります。
一般的に、離職前の賃金のおよそ5〜8割程度が失業手当として支給される目安です。実際の金額を算出するための流れを解説します。

賃金日額を計算する

賃金日額とは、離職前の直近6ヶ月間に受け取った賃金の合計額を180日で割った金額です。この賃金には、基本給のほか、残業手当、通勤手当、住宅手当などの各種手当が含まれます。ただし、賞与(ボーナス)や退職金、結婚祝い金などの臨時的な手当は含まれません。

基本手当日額を計算する

賃金日額が算出できたら、その金額に50%〜80%の範囲で決まる「給付率」をかけて基本手当日額を求めます。給付率は、賃金が低いほど高く、賃金が高くなるにつれて割合が低く設定されています。具体的な給付率は、厚生労働省が定める基準に基づいて決まります。

基本手当総額を計算する

基本手当日額に「所定給付日数」を掛け合わせることで、総受給額が決まります。所定給付日数は、離職理由や雇用保険の加入期間(被保険者期間)、年齢などによって異なります。

例えば、自己都合退職で被保険者期間が1年以上5年未満の場合は、所定給付日数は90日です。

【具体例】
・離職前6ヶ月間の賃金総額が180万円
・賃金日額=180万円 ÷ 180日 = 1万円
・給付率が60%の場合
→ 基本手当日額は1万円 × 60% = 6,000円
・所定給付日数90日の場合
→ 総受給額は6,000円 × 90日 = 54万円

なお、基本手当日額には上限・下限が設けられており、退職時の年齢や賃金額によって金額に制限がかかります。

結婚して退職した後、扶養に入る場合の失業保険について

結婚後に退職し、再就職をせずに配偶者の扶養に入る場合、失業保険や扶養に関する知識を高めておきましょう。収入や働き方によっては、扶養の条件から外れてしまい、予想外の出費を強いられることになります。

再就職をしない方は失業保険を受け取れない

結婚後、専業主婦(夫)として家庭に専念し、再就職を希望しない場合は失業保険を受け取れません。失業保険は「働く意思」がある人を対象とした制度のため、求職活動を行わない場合は受給できない仕組みになっています。

退職後、収入がない場合は、配偶者の健康保険や年金に「被扶養者」として加入する流れが一般的です。被扶養者になるには、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)かつ、扶養者の収入の2分の1未満であることが条件です。これらの条件を満たせば、保険料の自己負担なく、配偶者の社会保険に加入できます。

週20時間以上働くと失業保険を申請できない

結婚後の再就職を意識し、失業手当を受け取りながらアルバイトやパートで働くケースも少なくありません。しかし、失業保険を申請する場合、週20時間以上の労働をすると、再就職したとみなされ、失業手当が支給されなくなります。

また、扶養に入った後にアルバイトなどを始める場合にも注意が必要です。年間収入が130万円を超えると、扶養から外れ、自身で健康保険や年金の保険料を負担する必要が生じます。必ず収入や労働時間を事前に確認し、扶養の条件を満たすかどうかを判断しておきましょう。

年収106万円の壁に注意が必要

配偶者や親族の扶養に入りつつ、パートやアルバイトで働く場合、「106万円の壁」にも注意が必要です。一定規模以上の企業で働く場合、年収が106万円を超えると、社会保険への加入が義務付けられ、扶養から外れてしまいます。

【106万円の壁の適用条件】

  • 週20時間以上勤務している
  • 従業員が51人以上の企業に勤務

 

2024年10月より、従業員数の条件が101人以上から51人以上に拡大しています。働く時間や勤務先の規模によって扶養条件が変わるため、就労前にしっかり確認しておくことが大切です。

扶養と失業保険、どちらがお得?

結婚後に退職した場合、「失業保険を受け取る」か「扶養に入る」かで悩む人は少なくありません。それぞれにメリット・デメリットがあり、状況に応じて適切な選択が必要です。ここでは、両者のメリットと判断のポイントを解説します。

失業保険をもらわず扶養に入るメリット

配偶者の扶養に入ることで、主に以下のようなメリットがあります。

  • 配偶者の健康保険に加入できるため、医療費に関わる保険料の支払いが不要になる
  • 配偶者が厚生年金に加入している場合、第3号被保険者として国民年金の保険料を免除される
  • 配偶者控除や配偶者特別控除の対象となり、配偶者の所得税や住民税が軽減され、世帯全体の税負担を抑えられる

再就職を急がずに家庭に専念したい方や、家計の負担を抑えたい方にとっては、扶養に入ることが大きなメリットになります。特に、健康保険料や年金保険料は、収入がない場合でも自己負担が発生する可能性があるため、扶養に入ることで毎月の固定費の大幅削減が可能です。

また、配偶者控除や配偶者特別控除を活用することで、配偶者の所得税や住民税が軽減され、世帯全体の可処分所得が増える点も扶養の魅力です。扶養に入ることで、手取り収入を確保しやすくなります。

失業保険をもらって扶養に入らないメリット

失業保険を受け取る場合には、以下のようなメリットがあります。

  • 退職前の賃金を基に算出された基本手当日額に応じた失業手当を受給し、生活費の一部に充てることができる
  • 早期(所定給付日数の3分の1以上が残っている)の再就職は、再就職手当を受け取れる可能性がある
  • 自身で国民健康保険や国民年金に加入することで、将来的に受け取る年金額が積み増しできる

失業保険の最大のメリットは、受給期間中に一定の収入を得られる点です。扶養に入らない場合でも、生活資金として活用できるため、次の就職先が見つかるまでの生活の支えになります。また、早期に再就職すれば「再就職手当」が支給される可能性もあります。

さらに、扶養に入らずに国民年金に加入すると、将来的に受け取れる年金額の減少を防ぐことが可能です。失業保険の活用は、単なる生活費の確保だけでなく長期的な資金計画にもつながります。

判断基準

扶養に入るか、失業保険を受け取るかの判断は、収入や再就職の見込み、今後の生活設計によって変わります。

失業保険の基本手当日額が3,612円以上(60歳以上または障害者は5,000円以上)の場合、年間収入が130万円(または180万円)を超えると扶養には入れません。そのため、まずは失業保険の受給額を確認することが重要です。

扶養を選ぶ場合は、配偶者の健康保険や年金に加入でき、保険料の自己負担がなくなるため、毎月の支出を抑えられます。特に、再就職の予定がすぐに立たない場合や、求職活動を続けつつ扶養内で働きたい方にとっては、扶養に入ったほうが生活面で安心できるケースも少なくありません。

一方で、すでに再就職先が決まっている場合や、積極的に仕事を探す予定がある場合は、失業保険を受給しつつ、再就職手当の支給を狙うことで、生活資金や次の就職準備に充てることができます。金額だけでなく、今後の働き方や家族のライフプランともあわせて、総合的に判断することが大切です。

【年齢別】結婚して退職した人がもらえる失業保険の金額

失業保険の受給額は、年齢や前職の賃金によって異なります。また、基本手当日額には年齢ごとの上限額と下限額が設定されているため、同じ賃金でも年齢によって支給額に差が出る場合があります。

29歳以下、30〜44歳、45〜59歳、60〜64歳の4つの年齢区分に分けて、目安となる賃金日額と基本手当日額の例を紹介します。所定給付日数と合わせておおよその受給金額を計算する際にお役立てください。

離職時の年齢が29歳以下

前職の賃金日額

基本手当日額

2,869円~5,200円

2,295円~4,159円

5,200円~12,790円

4,160円~6,395円

12,790円超~14,130円

6,395円~7,065円

14,130円超

7,065円

離職時の年齢が30~44歳

前職の賃金日額

基本手当日額

2,869円〜5,200円

2,295円~4,159円

5,200円〜12,790円

4,160円~6,395円

12,790円超〜15,690円

6,395円~7,845円

15,690円超

7,845円

離職時の年齢が45~59歳

前職の賃金日額

基本手当日額

2,869円〜5,200円

2,295円~4,159円

5,200円〜12,790円

4,160円~6,395円

12,790円超〜17,270円

6,395円~8,635円

17,270円超

8,635円

離職時の年齢が60~64歳以下

前職の賃金日額

基本手当日額

2,869円〜5,200円

2,295円~4,159円

5,200円〜11,490円

4,160円~5,170円

11,490円超〜16,490円

5,170円~7,420円

16,490円超

7,420円

 

失業保険の申請方法と受給までのステップ

失業保険を受け取るには、必要書類の準備から申請、認定まで、いくつかのステップを順番に進めていく必要があります。必要書類の不備などがないように、特に初めて申請する方は、手続きの流れを確認しておきましょう。

必要書類を揃える

ハローワークでの求職申し込みに必要な書類を準備します。主な必要書類は、以下の通りです。

  • 雇用保険被保険者離職票-1・2
  • 雇用保険被保険者証
  • 証明写真(縦3cm×横2.4cm、正面・上半身)2枚
  • 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号記載の住民票のいずれか1つ)

 

ハローワークで求職を申し込む

退職後は、ハローワークで求職申し込みを行いましょう。手続きの流れは次の通りです。

  1. 求職申込書の記入
  2. 必要書類の提出と職業相談
  3. 雇用保険説明会の日程の決定

 

失業手当を希望する場合は、離職票の提出と求職申し込みが必須です。申し込み後、受給資格が認定されると「失業等給付受給資格者のしおり」が交付され、説明会の日時が案内されます。説明会の開催は、申請から7日目以降です。日程を確認し、必ずメモをしておきましょう。

待機期間を過ごす

受給資格が認定されると、最初に7日間の待機期間が設けられます。失業状態にあることの確認期間となり、原則として働くことはできません。短時間の就労やアルバイトも「就労」とみなされるため、注意が必要です。この7日間は、一切の就労をせずに過ごすことをおすすめします。

また、待機期間中に就職が決まり入社日を迎えた場合、再就職手当を受け取ることができません。再就職手当を希望する方は、特に慎重に行動しましょう。

雇用保険説明会に参加する

指定された日時にハローワークに行き、雇用保険受給説明会に参加します。説明会では、失業保険の制度や受給手続き、求職活動の進め方について詳しい説明を受けます。

【持ち物】

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 印鑑
  • 筆記用具

 

説明会終了後には、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付され、次回の失業認定日が通知されます。

失業認定日にハローワークを訪れる

失業認定日とは、失業状態や求職活動状況をハローワークが確認する日です。失業認定申告書を提出し、求職活動の内容や実績を申告します。認定日は、通常4週間に1回設定され、初回は離職票提出から約3週間後になることが一般的です。

「失業状態」と認定された場合、失業保険振り込みの案内を受け、次回の認定日が伝えられます。また、認定日にハローワークに来所できない場合、認定日当日までの期間の失業の認定が受けられません。何らかの予定や用事で来所できない際は、必ず事前にハローワークに連絡し指示を受けましょう。

失業保険受給中のアルバイト・パートについて

失業手当受給中も、一定条件のもとでアルバイトやパートをすることが可能です。ただし、労働時間や申告ルールに注意しないと、支給停止や不正受給になることがあります。注意点を解説します。

申請してから7日間は働かない

失業保険の申請後、最初の7日間は「待機期間」にあたります。ハローワークが失業状態であることを確認する期間のため、原則としてアルバイトや副業は禁止されています。待機期間中に就労すると、待機期間がリセットされ、手当の支給が遅れる恐れがあるため注意しましょう。

1日の労働時間を4時間未満にする

待機期間終了後は、一定条件のもとでアルバイトやパートをすることは可能です。ただし、1日の労働時間が4時間以上となると、その日は「就労」とみなされ、失業手当の支給対象外となります。

一方、4時間未満であれば「内職・手伝い」として扱われます。減額や支給の見送りとなるケースはありますが、支給自体が完全に停止するわけではありません。

4週間に一度、ハローワークの失業認定日に申告する

失業保険を受給している間は、4週間ごとに設けられる失業認定日に、アルバイトやパートの勤務状況を「失業認定申告書」に記入し、ハローワークに提出する必要があります。この際、必要に応じて、タイムカードや給与明細など勤務実績を証明する書類の提出を求められる場合もあります。日頃から準備しておくと安心です。

なお、申告内容に記載漏れや虚偽があると、不正受給とみなされ、失業手当の支給停止や返還命令といった厳しい処分を受ける恐れがあります。アルバイト・パート自体は問題のない行動ですが、正確に、そして誠実に申告することが大切です。

結婚して退職することを会社に報告するタイミング

結婚による退職を会社に報告する際には、適切なタイミングと順序を意識しましょう。プライベートな理由での退職だからこそ、丁寧に準備することが、スムーズな引き継ぎと良好な人間関係を維持することにつながります。

まず直属の上司に報告する

退職の意思が固まったら、最初に直属の上司に報告しましょう。先に同僚や他部署の人に伝えてしまうと、間接的に上司に伝わってしまい、信頼関係に悪影響を及ぼす恐れがあります。

上司への報告は、基本的に対面・口頭で行う方法が一般的です。結婚という個人的な理由であることを明確に伝え、これまでの感謝の気持ちも合わせて伝えることで、円滑なコミュニケーションが図れます。

最低でも3ヶ月前、可能であれば半年前までに報告する

退職の報告は、後任の採用や引き継ぎの準備など会社側の都合を考えると、少なくとも3ヶ月前、可能であれば半年前には伝えておくのが理想的です。

就業規則では、退職の申し出は1ヶ月前までと定めている会社も多いですが、余裕を持った報告が円満退職のポイントです。特に、専門的な業務や責任あるポジションの場合は、引き継ぎに時間がかかることもあるため、早めの行動が大切です。

結婚して退職する際に必要な失業保険以外の手続き

退職後は、失業保険の受給手続き以外にも健康保険や年金、税金などの手続きが必要になります。それぞれの制度の特徴や手続き方法を把握しておきましょう。

健康保険

退職後の健康保険には、以下のような選択肢があります。

【任意継続被保険者制度】
退職後も最長2年間、同じ健康保険に加入できます。ただし、保険料は全額自己負担となります。

【配偶者の扶養】
配偶者が健康保険に加入している場合は、年収130万円未満(条件によっては106万円未満)であれば扶養に入ることができ、保険料を負担せずに加入可能です。

【国民健康保険】
任意継続や扶養に該当しない場合は、退職から14日以内に市区町村で手続きを行い、国民健康保険に加入する必要があります。

年金

退職後、配偶者の扶養に入る場合は「第3号被保険者」となり、国民年金の保険料が免除されます。扶養に入らない場合、退職から14日以内に市区町村役所で手続きを行い「第1号被保険者」として国民年金への加入が必要です。

また、収入状況によっては保険料の免除や減額が可能です。産前産後期間の免除制度もあります。また、将来の年金額を増やしたい場合は「付加年金」や「国民年金基金」などの制度が活用できます。

税金

退職時には、会社から「源泉徴収票」を受け取り、必要に応じて所得税の確定申告を行う必要があります。再就職しない場合や失業保険の受給中に収入が少ない場合、所得税の還付を受けられるケースがあるため、確定申告を行いましょう。

また、住民税は前年の所得を基に計算されるため、退職後も納税義務は継続します。支払いは、退職時に一括で納めるか、自治体から送付される納付書を利用して分割で支払うことが一般的です。

さらに、配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の所得税・住民税の負担を軽減できる「扶養控除」の対象となる可能性があります。扶養控除を受けるためには、配偶者の勤務先で所定の手続きを行う必要があるため、忘れずに確認しておきましょう。

結婚後に失業保険について不安があるときの相談先

結婚や退職をきっかけに、退職手続きやその後の失業保険、扶養手続きなど、さまざまな不安や疑問が生まれる方も多いのではないでしょうか。その場合、公的な機関や専門サービスを活用することで、スムーズに準備や手続きを進めることができます。具体的な相談先を紹介します。

ハローワーク

ハローワークは、失業保険の受給手続きや再就職支援を行っている公的機関です。受給資格や必要書類、申請の流れなどについて丁寧に案内してもらえるほか、就職活動に役立つ求人情報の提供や職業相談も受けられます。

ハローワークには管轄が定められているため、住んでいる地域の管轄ハローワークを調べる必要があります。就職相談は、全国どこのハローワークでも可能ですが、雇用保険の受給手続きは管轄ハローワークでしか行えないため注意しましょう。

退職代行サービス

退職代行サービスは、在職中に退職の意思を伝えづらい場合やスムーズに退職したい場合に利用できるサービスです。本人に代わって専門スタッフが会社に退職の意思を伝え、必要な手続きをサポートしてくれます。

心理的負担が軽減できること、会社の担当者と直接連絡をとる必要がないことなどのメリットがあります。なお、退職代行を利用しても、失業保険の受給資格に影響はありません。

失業保険サポート

失業保険サポートは、失業保険の申請手続きや受給方法について専門的なサポートが得られるサービスです。結婚に伴う退職、転居など特定な事情を抱える場合も、申請方法や受給条件について専門家から具体的なアドバイスが受けられます。

「受給条件を満たしているかわからない」「一人で申請するのは難しそう」と考えている方にとっても、気軽に相談できるサービスです。

まとめ

結婚をきっかけに退職した場合でも、状況によっては失業保険を受け取ることができます。一方で、扶養への加入やその後の働き方など、さまざまな選択肢があるため、手続きの流れや制度内容を正しく理解しておくことが大切です。

「失業保険の申請方法が難しい」「扶養と失業保険、どちらが自分にとって得かわからない」などお悩みの場合は、「社会保険給付金サポート」の利用がおすすめです。経験豊富な専門スタッフが、申請から受給まで丁寧にサポートし、安心して給付を受け取れるようお手伝いします。ご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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