2022.09.30
給付金について
会社倒産で失業保険はもらえる?必要な手続きや受給金額、支給期間などを紹介
会社が突然倒産してしまった場合、未払いの給与、今後の生活や仕事など、不安なことで頭がいっぱいになってしまうでしょう。
突然倒産することなんて実際には考えられないと思う人も多いかもしれませんが、従業員には知らせずに倒産してしまうというケースも多いものです。
そこで、もし会社が倒産してしまった場合、どのように対処すべきか紹介していきます。
まだ会社が倒産していないものの倒産するかもしれないという不安のある方も、是非参考にしてください。
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会社が倒産したら失業保険はもらえる?
退職には「自己都合退職」と「会社都合退職」という2つの種類があり、それぞれ失業保険の給付条件が異なります。
自己都合退職は、転職やキャリアアップを理由とした自主的な退職が該当します。一方で、会社都合退職は、倒産やリストラなど、労働者の責任によらない理由によるものです。
勤め先が倒産した場合、会社都合退職となり、労働者は責任を問われることなく迅速に失業保険を受け取れます。ここでは、自己都合退職と会社都合退職の違いや、倒産した際の失業保険の受給条件について詳しく解説します。
自己都合退職とは
自己都合退職とは、労働者自身の意思や個人的な事情により退職を決定するケースを指します。自己都合退職は、労働者が自ら決断した結果であるため、失業保険の給付条件が会社都合体力より厳しく設定されています。
必要となる被保険者期間 |
|
自己都合退職 |
離職前2年間に12か月以上 |
会社都合退職 |
離職前1年間に6か月以上 |
自己都合退職の場合、まず7日間の待期期間を経た後、さらに2ヶ月間(2025年4月からは1ヶ月)の給付制限期間が課されます。
ただし、自己都合退職でも、次に当てはまる場合は「特定理由離職者」となり、会社都合退職と同じように必要となる被保険者期間が「離職前1年間に6か月以上」に短縮されます。
- 契約期間満了で更新を希望していたにもかかわらず、会社から一方的に契約を打ち切られた人(雇い止め)
- 結婚や出産、育児、介護などのために、仕事を続けるのが難しくなった人
参考:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
会社都合退職とは
会社都合退職とは、企業側の事情や都合により労働者がやむを得ず退職する場合を指します。会社都合退職として判断される条件は大きく分けて2つです。
- 事業所の倒産
- 解雇
このように、会社が倒産した場合は会社都合退職とみなされる可能性が高いです。
会社都合退職の場合、失業保険の給付条件が自己都合退職よりも優遇されます。まず、7日間の待期期間後、すぐに失業保険が受給可能です。また、受給期間も長く設定されており、労働者が次の仕事を見つけるまでの経済的支援が手厚く行われます。
失業保険とは
失業保険(失業手当)は、働く意欲があり、いつでも就労できる状態にある求職者に対して給付を行う雇用保険の制度です。雇用を失った場合でも生活の安定を図り、再就職の活動を支援するために設けられています。
特に急な解雇や倒産などの理由で職を失った場合、失業保険が受給者にとって重要な経済的なセーフティーネットとなります。ここでは、失業保険の概要、受給条件、受給金額、受給期間について詳しく解説します。
失業保険の概要
失業保険の主な目的は、労働者が失業した場合や雇用継続が困難となる事由が発生した場合に必要な給付を行い、生活の安定と雇用の維持を図ることです。
基本手当とは、求職者の失業中の生活の安定を図りつつ、求職活動を容易にすることを目的とし、被保険者であった方が離職した場合において、働く意思と能力を有し、求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない場合に支給されるものです。 |
失業保険は雇用保険制度の一部であり、事業主と労働者が雇用保険料を納付することで成り立っています。納付された保険料をもとに、失業時に一定期間、所定の給付金が支給されます。
失業保険は、単に金銭的な支援を提供するだけでなく、受給者が再就職に向けた活動を行うための条件や支援を含む点が特徴です。たとえば、職業訓練や再就職支援サービスなど、求職活動を支える仕組みが整っています。
失業保険の受給条件
失業保険を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険に加入し、保険料を支払っていること
- 離職前2年間に12カ月以上の雇用保険の被保険者期間があること(倒産で離職した場合は、1年間に6カ月以上の被保険者期間)
- 就労の意思と能力があり、求職活動を行っていること
給付額や給付開始までの期間は、退職理由や離職時の状況によって異なります。
たとえば、自己都合退職の場合、給付開始までに一定の給付制限期間が設けられます。一方、会社都合での離職であれば、給付制限期間はありません。
失業保険の受給金額
失業手当の受給額は、「給付日数 × 基本手当日額」によって決まります。基本手当日額は、離職前の賃金の5割から8割程度で計算されます。以下は、具体的な計算手順です。
1.賃金日額の計算方法:退職前6カ月間の賃金合計を180で割ったもの
2.基本手当日額の計算方法:賃金日額に給付率(50%~80%)を掛けた金額
3.基本手当総額の計算方法:基本手当日額に給付日数を掛けた金額
基本手当日額の給付率は、年齢や退職前の賃金額に応じて異なり、賃金が低いほど給付率が高く設定されています。
たとえば、月収が20万円の労働者の場合、基本手当日額は約6,666円(20万円 ÷ 30日 × 0.8)です。このように、失業保険は離職前の収入に基づいて支給額が決定される仕組みです。
失業保険の受給期間
失業保険の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。ただし、所定給付日数が長い場合(330日や360日)には、受給期間が最大で1年と60日まで延長されます。
また、病気やけが、妊娠・出産、育児などの事情で30日以上働けない場合、その期間分だけ受給期間を延長することが可能です。延長期間は最長で3年間とされています。たとえば、育児休業中で求職活動ができない場合でも、延長手続きによって失業保険を受け取る権利を維持できます。
失業保険の受給期間中は、定期的にハローワークに訪問し、求職活動の進捗状況を報告する必要があります。
会社が倒産したことでもらえる失業保険の金額
失業保険の給付額は、離職時の年齢や前職の賃金日額によって異なります。
ここでは、年齢別に失業保険の給付額について詳しく解説します。
離職時の年齢が29歳以下の場合
29歳以下で離職した場合の失業保険の給付額は、以下の通りです。
前職の賃金日額 |
基本手当日額 |
2,869円~5,200円 |
2,295円~4,159円 |
5,200円~12,790円 |
4,160円~6,395円 |
12,790円超~14,130円 |
6,395円~7,065円 |
14,130円超 |
7,065円 |
参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
離職時の年齢が30~44歳の場合
30~44歳で離職した場合の失業保険の給付額は、以下の通りです。
前職の賃金日額 |
基本手当日額 |
2,869円〜5,200円 |
2,29円5~4,159円 |
5,200円〜12,790円 |
4,160円~6,395円 |
12,790円超〜15,690円 |
6,395円~7,845円 |
15,690円超 |
7,845円 |
参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
離職時の年齢が45~59歳の場合
45~59歳で離職した場合の失業保険の給付額は、以下の通りです。
前職の賃金日額 |
基本手当日額 |
2,869円〜5,200円 |
2,295円~4,159円 |
5,200円〜12,790円 |
4,160円~6,395円 |
12,790円超〜17,270円 |
6,395円~8,635円 |
17,270円超 |
8,635円 |
参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
離職時の年齢が60~64歳以下の場合
60~64歳で離職した場合の失業保険の給付額は、以下の通りです。
前職の賃金日額 |
基本手当日額 |
2,869円〜5,200円 |
2,295円~4,159円 |
5,200円〜11,490円 |
4,160円~5,170円 |
11,490円超〜16,490円 |
5,170円~7,420円 |
16,490円超 |
7,420円 |
参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
会社が倒産したことでもらえる失業保険の支給期間
失業保険の支給期間は、被保険者期間と離職時の年齢によって異なります。具体的には次のとおりです。
|
被保険者であった期間 |
|||||
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
||
区分 |
30歳未満 |
90日 |
90日 |
120日 |
180日 |
― |
30歳以上35歳未満 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
||
35歳以上45歳未満 |
150日 |
240日 |
270日 |
|||
45歳以上60歳未満 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
||
60歳以上65歳未満 |
150日 |
180日 |
210日 |
240日 |
参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
会社が倒産して退職した人が失業保険を受ける手続き
会社が倒産した際に失業保険を受け取るためには、ハローワークでの手続きが必要です。
ここでは手続きの流れを詳しく解説します。
必要書類を揃える
失業保険を申請するには、まず必要書類を揃えましょう。以下が必要な書類一覧です。
- 雇用保険被保険者離職票-1・2
- 雇用保険被保険者証
- 証明写真(縦3cm×横2.4cm、正面上半身)2枚
- 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード
- 住所・氏名・年齢が確認できる本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載された住民票のいずれか1つ)
これらの書類を用意し、ハローワークでの求職申し込みに備えます。
ハローワークで求職を申し込む
退職後、ハローワークで求職の申し込みを行います。具体的な手順は次の通りです。
1.求職申込書に必要事項を記入する。
2.必要書類を提出し、職業相談を受ける。
3.雇用保険説明会の日時を決定する。
求職の意思があり失業保険を受けたい場合、離職票の提出と求職の申し込みが必要です。申し込み後、受給資格が決定すると「失業等給付受給資格者のしおり」が渡されます。雇用保険説明会の日時案内は、申請日から7日後以降に設定されるため、忘れずにメモしておきましょう。
待機期間を過ごす
受給資格を得た後は、7日間の待機期間を過ごします。待機期間中に失業状況が確認され、求職活動を行うことが求められます。
ただし、短時間の勤務やアルバイトも就労とみなされるため、注意が必要です。待機期間中に入社すると再就職手当の受給資格がなくなるため、慎重に行動しましょう。
雇用保険説明会に参加する
雇用保険受給説明会は、失業保険の仕組みや受給の流れを理解するために重要です。説明会には以下を持参します。
- 雇用保険受給資格者のしおり
- 印鑑
- 筆記用具
説明会終了後には、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が配布され、初回の失業認定日が案内されます。
失業認定日にハローワークを訪れる
失業認定日は、ハローワークが失業の事実を認定する日です。この日に失業認定申告書を提出し、求職活動の実績を報告します。
通常、4週間ごとに1日が認定日に設定されます。初回の認定日は、離職票提出から約3週間後に設定されることが一般的です。
失業保険を受給する際に知っておきたいこと
失業保険を利用する際には、適切な手続きと条件を満たす必要があります。
以下では、失業保険を受給する際に特に注意すべき点について詳しく説明します。
不正受給をすると罰金が科せられる
失業保険は、求職中の生活を支え、再就職を支援する大切な制度です。しかし、大前提として「正しく」行われる必要があります。例えば、次のようなケースは不正受給となります。
- 求職活動の実績がないにもかかわらず、失業認定申告書に虚偽の実績を申告をした
- 雇用されたことを失業認定申告書で申告しなかったり、収入を隠したり、偽った申告をした。
- 労災保険の休業(補償)給付や健康保険の傷病手当金等の支給を受けていることを申告しなかった
- 偽りの記載をした離職票(離職理由を含む。)を提出した。
不正受給が発覚した場合、厳しい処分が科されます。まず、不正に受給した金額の全額を返還しなければなりません。それだけでなく、返還額の2倍に相当する金額が追徴金として課せられます。つまり、合計で受給額の3倍もの金額を支払うことになります。
さらに、不正受給は単なる返金問題に留まらず、場合によっては刑事罰の対象となる可能性もあります。
1.不正の行為のあった日以降のすべての給付が受けられません。(支給停止)
2.不正に受給した金額を、全額ただちに返還しなければなりません。(返還命令)
3.不正の行為により受けた額の最大2倍の納付が命じられます。(納付命令)
4.もし、返還や納付をしないときは、財産差押えなどの強制処分がなされます。
5.特に悪質な場合は、刑事事件として告発(刑法の詐欺罪)されます。
出典:厚生労働省|不正受給について(事例等)|大阪労働局
失業保険は、真摯に再就職を目指す人々を支えるための公的な制度です。制度の趣旨を理解し、正確な情報に基づいて誠実に利用しましょう。
被保険者期間が短いと受給できない
失業保険を受給するには、一定の被保険者期間が必要です。会社が倒産した場合、被保険者期間は「離職日以前の1年間に通算して6か月以上」必要です。
被保険者期間の算定方法は、離職日から1か月ごとに区切り、期間内に賃金支払の基礎となる日数が11日以上、または労働時間が80時間以上ある月を1か月として計算します。アルバイトやパートの方も、条件を満たせば受給資格を得られる場合があります。
職業訓練を受講すれば給付期間が延長される
失業中に公共職業訓練や求職者支援訓練を受講することで、訓練期間中に失業手当の給付期間が延長される「訓練延長給付」を受けられます。「訓練延長給付」を利用すれば、経済的な支援を受けながら新たなスキルを習得し、再就職に向けた準備を進めることが可能です。
訓練延長給付を受けるためには、ハローワークでの手続きが必要です。まず、訓練を受講する意志を伝え、適切な訓練プログラムを選定してもらいます。その後、訓練に参加し続けることで、失業手当の給付が継続されます。ただし、訓練を途中で辞めたり、無断欠席が多かったりすると、給付が停止される場合があるため注意しなければなりません。
訓練期間中は、交通費やテキスト代など、訓練受講にかかる費用の一部が支援される場合もあります。
再就職が決まるともらえる「再就職手当」とは
失業保険制度には、早期に再就職した人に対して支給される「再就職手当」があります。再就職手当は再就職を促進する目的で設けられており、条件を満たすことで受給することができます。
以下では、再就職手当の概要、受給条件、受給金額、申請方法について詳しく解説します。
再就職手当とは
再就職手当は、雇用保険の「就業促進手当」の1つで、失業認定を受けた人が再就職した際に支給される手当です。早期の再就職を促すため、再就職までの期間が短いほど手当金の額が大きくなるように設計されています。
再就職先が派遣社員であっても支給対象となりますが、一定の条件を満たす必要があり、誰にでも支給されるわけではありません。
再就職手当の受給条件
再就職手当を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
1.受給手続き後、7日間の待機期間が満了した後に就職または事業を開始したこと
2.就職日の前日までに失業認定を受け、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
3.離職前の事業主に再び就職していないことまた、離職前の事業主と資本、資金、人事、取引面で密接な関係がない事業主に就職したこと
4.受給資格に関わる離職理由によって給付制限がある場合、求職申込みをしてから待機期間満了後1か月以内に再就職する場合には、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したこと
5.1年以上継続して勤務することが確実であること
6.原則として雇用保険の被保険者となっていること
7.過去3年以内の就職で再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと
8.受給資格決定(求職申込み)の前から内定を受けていた事業主に雇用されていないこと
参考:厚生労働省|再就職手当のご案内
これらの条件を満たすことで、再就職手当を受給する資格が得られます。
再就職手当の受給金額
再就職手当の金額は、基本手当の支給残日数に基づいて計算されます。
所定給付日数 |
支給残日数 |
再就職手当の額 |
|
支給率60%の場合 |
支給率70%の場合 |
基本手当日額 × 所定給付日数の支給残日数 × 60%または70% (1円未満の端数は切り捨て) |
|
90日 |
30日以上 |
60日以上 |
|
120日 |
40日以上 |
80日以上 |
|
150日 |
50日以上 |
100日以上 |
|
180日 |
60日以上 |
120日以上 |
|
210日 |
70日以上 |
140日以上 |
|
240日 |
80日以上 |
160日以上 |
|
270日 |
90日以上 |
180日以上 |
|
300日 |
100日以上 |
200日以上 |
|
330日 |
110日以上 |
220日以上 |
|
360日 |
120日以上 |
240日以上 |
具体的な給付率は以下の通りです。
- 支給日数を所定給付日数の3分の2以上残して早期に再就職した場合:基本手当の支給残日数の70%の額
- 支給日数を所定給付日数の3分の1以上残して早期に再就職した場合:基本手当の支給残日数の60%の額
再就職が早ければ早いほど、受給できる金額が多くなる仕組みです。
例えば、次のようなケースがあるとします。
- 所定給付日数:90日
- 基本手当日額:5,000円
- 30日間の基本手当を受給後に再就職
上記の場合、再就職手当の計算は次のとおりです。
- 支給残日数:90日 – 30日 = 60日
- 支給率:70%(所定給付日数の3分の2以上の支給残日数があるため)
- 再就職手当の額:5,000円 × 60日 × 70% = 210,000円
再就職手当の申請方法
再就職手当を申請するには、以下の手続きが必要です。
1.採用証明書を受け取り、ハローワークに提出する
2.ハローワーク窓口で再就職手当支給申請書を受け取る
3.申請書を新しい就職先に提出し、記入してもらう
4.再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証をハローワークに提出する
まず、再就職が決まったら、「採用証明書」を新しい就職先に提出し、必要事項を記入してもらいます。採用証明書は、ハローワークの公式サイトからもダウンロード可能です。また、電子申請による届出も可能です。
採用証明書を提出した際、ハローワークの窓口で「再就職手当支給申請書」を受け取ります。再就職手当支給申請書もハローワークの公式サイトからもダウンロード可能です。
受け取った「再就職手当支給申請書」を新しい就職先に提出し、事業主に必要事項を記入してもらいます。最後に、必要事項が記入された「再就職手当支給申請書」と「雇用保険受給資格証」をハローワークに提出します。審査が完了し、支給が決定すると、指定した口座に再就職手当が振り込まれます。
会社が倒産したときにもらえる失業保険業以外のお金
会社が倒産した場合、労働者には失業保険以外にも受け取れる金銭的な補償があります。
以下では、解雇予告手当、退職金、未払いの給料について詳しく説明します。
解雇予告手当
労働基準法では、使用者が労働者を解雇する際、少なくとも30日前に予告することが義務付けられています。もし30日前までに予告しない場合、使用者は労働者に対し、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。 |
会社が倒産した場合、資金不足により解雇予告手当が支払われないことがあります。未払いの解雇予告手当は、破産手続において「優先的破産債権」として扱われ、ほかの一般の破産債権よりも優先的に配当を受ける権利があります。
退職金
退職金は、従業員が退職する際に支払われるもので、会社の退職金規程や就業規則に基づいて支給されます。会社が倒産した場合、未払いの退職金は「財団債権」と「優先的破産債権」に分類されます。
具体的には、退職金のうち、退職前3か月間の給料総額に相当する部分は財団債権として最優先で支払われ、それを超える部分は優先的破産債権として、他の一般の破産債権よりも優先して配当を受けることができます。
未払いの給料
未払いの給料も「財団債権」または「優先的破産債権」として扱われます。破産手続き開始前3か月間の給料は財団債権として最優先で支払われ、それ以前の未払い給料は優先的破産債権として、他の一般の破産債権よりも優先して配当を受けることができます。
会社に資産が残っていない場合
会社が破産手続きをするということは、資産がほとんど残っていない状態である可能性が高いです。
資産がないということは、従業員の未払い給料や退職金を支払うことは出来ません。
そのため、会社からは1円も支払いを受け取ることができず、経営陣とも連絡が取れなくなるというようなケースもあります。
未払賃金立替払制度を利用しよう!
破産手続きにおいて従業員の給料は優先的に保護されますが、資産がなければ支払ってもらうことができません。
そういった場合には、「未払賃金立替払制度」によって国から未払いの賃金を補償してもらうことができます。
財団債権などで一部支払いがあった場合でも、残りの未払い分を未払賃金立替払制度によって取り返すことが可能になります。
未払賃金立替払制度の利用条件
未払賃金立替払制度は、倒産した会社の代わりに国が賃金や退職金を支払ってくれる制度です。
ただし、誰もが利用できるというわけではありません。未払賃金立替払制度を利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 倒産した会社が1年以上の事業活動を行っていた
- 倒産の半年前から倒産後1年半の間に退職をした人
- 倒産後2年以内に未払賃金立替の請求を行うこと
- 未払賃金の合計が2万円以上あること
これらの条件を満たしていれば、未払いの賃金や退職金を立替払いしてもらうことができます。
未払賃金立替で補償される金額
未払賃金立替払制度によってどれくらいの賃金が支払われるのかが最も気になる部分でしょう。
立替払いの対象になる賃金は、退職日の6カ月前までの給料と未払の退職金の一部です。
未払賃金立替払制度では全額補償されるわけではありませんが、原則的に8割の賃金は補償されます。
退職時点の年齢 |
未払い賃金の限度額 |
立替払いの上限額 |
30歳未満 |
110万円 |
88万円 |
30歳~44歳 |
220万円 |
176万円 |
45歳以上 |
370万円 |
296万円 |
このように、退職時の年齢によって上限額が設けられていますが、最大8割が支払われることが分かります。
未払賃金立替払制度の利用方法
未払賃金立替払制度を利用するには、申請手続きを行わなければなりません。
破産手続きなどを会社が行い法律上破産した場合と、法的な手続きを行わずに事実上の破産状態になっている場合とでは、申請方法が異なります。
法的に倒産している場合であれば、裁判所から証明書を交付してもらい、必要事項を記入して労働者健康安全機構に提出します。
一方で、法的な手続きを行わずに倒産状態になっている場合には、まず労働基準監督署に会社の現状確認をしてもらうための認定申請書を提出します。
労働基準監督署への申請が認められれば、認定通知書が届きます。
そして、労働基準監督署に必要事項を記入した確認申請書を提出し、確認通知書の交付を待ちます。
確認通知書が交付されたら、さらに必要事項を記入して労働者健康安全機構に提出することで未払賃金立替払制度を利用できるようになります。
倒産ならば失業給付金もすぐに支給される
会社を退職した場合、加入していた雇用保険によって失業給付金を受給することができます。
退職理由には「会社都合」と「自己都合」の2種類がありますが、会社が倒産した場合には当然「会社都合」として取り扱われることになります。
そのため、会社が倒産した場合には失業給付金も利用すべきです。
倒産した場合の失業給付金について
キャリアップや家庭の事情など、従業員側の都合による退職である自己都合退職の場合は失業手当の受給までには時間がかかるものです。
一般的には、7日間の待機期間と2カ月の給付制限を終えてからの支給になります。
しかし、会社都合退職者であれば、7日間の待機期間後すぐに受給することができます。
しかも、失業給付金を受給できる期間は最大330日となり、自己都合退職の場合よりも長くなっています。
失業給付金の申請方法
失業給付金を受給するには、まず条件を満たしている必要があります。
離職日より前1年間に雇用保険の被保険者期間が6カ月以上あれば、受給することができます。
そして、申請は管轄のハローワークにて行います。
失業給付の申請は、通常であれば会社より受け取る雇用保険の資格喪失確認通知書と離職票を受け取った後に申請手続きをするものです。
ハローワークにて離職票と求職票の提出を行えば、受給資格証を発行してもらえます。
しかし、突然の倒産で経営陣と連絡が取れなくなってしまったような場合には、雇用保険被保険者証や離職票を会社に発行してもらうことができません。
そういった場合には、ハローワークに相談することで手続きを進めてもらうことができます。
まとめ
会社が突然倒産してしまえば、給料未払いや今後の生活を考えて混乱してしまうものです。
しかし、従業員の給料や生活を守るための制度があるので、落ち着いて手続きを行いましょう。
退職コンシェルジュでも、退職後の生活で困った場合に利用できる社会保険給付金のサポート、転職サポートを行っています。
無料相談もあるので、まずはご相談ください。
一人一人の状況に合ったサービスのご提案や、必要なアドバイスによって退職や退職後の生活をサポートしていきます。
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