2025.09.04

転職・再就職について

再就職手当で100万円もらうことは可能?受給額の確認方法やメリットを解説

再就職手当で100万円受け取る女性

再就職手当は、本来もらえるはずだった失業保険の一部を一括で受け取れる制度です。では、再就職手当で100万円もらうことは可能なのでしょうか。

本記事では、「100万円もらえるケースはあるのか」「もらえる金額はどのように決まるのか」を解説します。再就職手当以外に受け取れる給付金についても触れるので、ぜひ参考にしてみてください。

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再就職手当で100万円もらえるケースはある?

再就職手当の100万円を手にする女性
条件次第で、再就職手当として100万円もらうことは可能です。

特に、以下の条件に当てはまる人はもらえる金額が多くなる傾向にあり、場合によっては100万円以上受け取れることがあります。

  • 会社都合で退職した
  • 雇用保険の加入期間が長い
  • 退職前の賃金が高い
  • 失業保険の支給残日数が多い

 

具体例として、以下のケースでは再就職手当を100万円以上もらえます。

  • 離職時の年齢:45歳
  • 離職理由:会社都合
  • 雇用保険の加入期間:15年
  • 基本手当日額:6,000円
  • 所定給付日数:270日
  • 支給残日数:250日

 

上記の場合、基本手当日額6,000円×支給残日数250日×支給率70%=105万円が支給額です。

ただし、自己都合による退職や給付日数の残りが少ない場合、基本手当日額が低い場合は100万円もらえないケースもあります。100万円もらえるか確かめるためには、自分の条件を把握したうえで計算が必要です。

再就職手当とは

再就職手当とは、退職後早期に安定した職業に就くことを支援する給付金です。失業保険の受給資格者が、再就職や開業したときに受け取れます。

失業保険は再就職により支給停止され、残りはもらえなくなります。条件を満たしている場合、一時金として失業保険の支給残日数に応じた給付金が振り込まれる仕組みです。

申請期限

失業保険を受け取っている途中で再就職した場合、自動的に再就職手当をもらえるわけではありません。

原則として就職した日の翌日から1か月以内に、ハローワークに必要書類を提出する必要があります。本人が窓口に行けない場合は、代理人による手続きや書類の郵送による手続きも可能です。

申請期限を過ぎてしまった場合でも、就職した日の翌日から2年以内であれば申請できます。ただし、2年を経過する日以降は受給できなくなるため、就職決定後はできるだけ速やかな手続きが推奨されます。

失業保険との違い

失業保険とは、雇用保険に加入していた人が失業した際、求職活動中の生活を安定させることを目的に支給されるお金です。雇用保険の基本手当のことを指し、一般的には失業手当とも呼ばれます。経済的に安定した状態で、求職活動に集中できる環境を整え、早期の再就職を目指すことが目的です。

倒産や解雇など会社都合による退職だけでなく、転職のためなど自己都合での離職者も支給対象です。ただし、離職理由や離職時の年齢、雇用保険の加入期間などの条件次第で支給額は変わります。

一方、再就職手当は失業保険をもらっている人が早期に就職したときにもらえる給付金です。就業促進給付の一つで、「就職祝い金」と呼ばれることもあります。

再就職の促進を目的とした給付金のため、早く就職するほどもらえる金額が大きくなるのが特徴です。支給額は、失業保険の「基本手当日額」「所定給付日数」を用いて計算します。

再就職手当の計算方法

再就職手当は、「基本手当日額×支給残日数×支給率」で計算されます。基本手当日額や支給残日数は、失業保険の受給決定後にもらえる「雇用保険被保険者証」で確認できます。

雇用保険被保険者証が手元にない場合でも、離職前の賃金や雇用保険の加入期間などの条件から支給額の計算は可能です。

STEP1:基本手当日額を計算する

まずは、「雇用保険受給資格者証」に記載されている基本手当日額を確認しましょう。次の式で計算することも可能です。

基本手当日額=賃金日額×給付率(50〜80%)

賃金日額は離職前6か月間に支払われた賃金総額を180日で割って、1日分に換算したものです。例えば、過去6か月の支給総額(1か月分)が30万円だった場合は、「30万円×6か月÷180日=10,000円」となり、賃金日額は10,000円と計算できます。

給付率は離職時の年齢と賃金日額などの条件で変わり、賃金日額が低いほど給付率は高くなる仕組みです。ただし、基本手当日額には上限額が設定されており、上限を超える場合は一律で上限額を用いて計算します。

令和7年8月時点の再就職手当における基本手当日額の上限額を以下の表にまとめました。

離職時の年齢

上限額

60歳以下

6,570円

60歳以上65歳未満

5,310円

参考:ハローワークインターネットサービス|再就職手当のご案内

STEP2:支給残日数を計算する

支給残日数とは、失業保険の所定給付日数のうち、すでに受給済みの日数を除いた残りの日数のことです。例えば、所定給付日数90日のうち30日分を受け取った後に就職すると、支給残日数は60日です。

雇用保険受給資格者証の裏面には支給残日数が、表面には所定給付日数が記載されています。受給資格者証をまだもらっていない場合は、退職した理由から以下の表を参考に調べてみましょう。

・特定受給資格者と一部の特定理由離職者

離職時の年齢

加入期間

1年未満

1年以上5年未満

5年以上10年未満

10年以上20年未満

20年以上

30歳未満

90日

90日

120日

180日

30歳以上35歳未満

120日

180日

210日

240日

35歳以上45歳未満

150日

240日

270日

45歳以上60歳未満

180日

240日

270日

330日

60歳以上65歳未満

150日

180日

210日

240日

参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

 

・上記以外の特定理由離職者と一般離職者

加入期間

所定給付日数

10年未満

90日

10年以上20年未満

120日

20年以上

150日

参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

STEP3:支給率を確認する

以下のように、再就職手当の支給率は支給残日数により異なります。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:70%
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上:60%

 

例えば、所定給付日数が120日で、支給残日数が85日の状態で就職したケースでは、支給率を70%として計算します。

STEP4:再就職手当の支給額を計算する

自分の「基本手当日額」「支給残日数」「支給率」が確認できれば、「基本手当日額×支給残日数×支給率」で支給額がわかります。

具体例として、以下のケースで実際に計算してみます。

  • 離職時の年齢:35歳
  • 離職理由:会社都合
  • 雇用保険の加入期間:12年
  • 基本手当日額:5,000 7,500円
  • 支給残日数:200日

 

支給額=基本手当日額×支給残日数×支給率=5,000 7,500円×200日×70%=70105万円

再就職手当の支給条件

再就職手当は再就職でもらえる給付金ですが、条件によってはもらえないケースもあります。申請前に、支給条件を押さえておくことが重要です。

条件1:失業保険の支給残日数が3分の1以上残っている

失業保険の受給開始から、就職日の前日までの支給残日数が3分の1以上必要です。

受給開始後は、雇用保険受給資格者証で所定給付日数と支給残日数を確認できます。再就職手当の対象者は、所定給付日数のうち以下の支給残日数に該当する人です。

所定給付日数

支給残日数

90日

30日以上

120日

40日以上

150日

50日以上

180日

60日以上

210日

70日以上

240日

80日以上

270日

90日以上

300日

100日以上

330日

110日以上

360日

120日以上

条件2:再就職先で1年を超えて勤務することが確実である

再就職手当は、失業後早期に安定した職業に就くことを促進する給付金のため、雇用期間が1年超である必要があります。

雇用期間が1年以下と定められた労働契約での就職や、一定の目標達成で雇用契約が更新される契約の就職は対象外です。再就職先が登録型派遣の場合、就職後の派遣予定が決まっていないと対象外になることがあります。

アルバイトやパートでも、雇用期間の定めがなく、1年を超えて就業する予定の場合は再就職手当をもらえます。ただし、アルバイトやパートでも雇用期間の更新が必要な場合において、更新が確実でない場合は対象外です。

条件3:7日間の待期期間後の就職である

失業保険の受給には、求職申込み後に7日間の待期期間が設けられています。再就職手当を受け取るには、待期期間を満了後の就職が条件です。求職申込みの前や待期期間中に就職してしまうと、再就職手当はもらえません。

待期期間中に内定をもらって、受給開始後に就職する場合は再就職手当の対象です。自己都合による退職では、待期期間後に1か月の給付制限期間が設けられており、この期間中の再就職は一定の条件を満たせば受け取れます。

条件4:給付制限中の再就職はハローワーク等の紹介による就職である

自己都合で退職した人は、7日間の待期期間を終えると1か月の給付制限があり、期間が明けると失業保険の支給が開始されます。給付制限中の就職で再就職手当をもらえるのは、ハローワークや許可・届出のある職業紹介事業者などの紹介で就職した人に限られます。

ハローワークや対象事業者の求人サイトを利用した場合でも、紹介状をもらわずに就職した場合は対象外です。再就職手当をもらいたい場合は、紹介状をもらったうえでの就職が条件です。

1か月の給付制限後に就職するときは、紹介の有無に関係なく再就職手当の対象となります。

条件5:離職前の会社やその関連会社への再就職ではない

再就職手当をもらうためには、再就職先にも以下のような制限があります。

  • 離職前の会社への再就職でない
  • 離職前の会社の関連会社や取引先でない

 

例えば、離職前と同じ派遣会社に再就職して別の派遣先で業務する場合でも、派遣元は同じ会社なので再就職手当の対象外です。

また、前職の会社と再就職先で人的交流があったり、年間売上の50%以上の取引があったりすると支給対象になりません。

条件6:3年以内に再就職手当をもらっていない

就職する日以前の3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当をもらっていないことも条件の一つです。

過去3年以内に上記の給付金をもらっている場合は、今回の就職で給付金を受け取ることはできません。例えば、2023年7月1日の就職で再就職手当をもらった後、再度離職して就職する場合、2026年7月1日までの就職は支給対象外です。

条件7:求職申込み前に内定をもらっていない

失業保険の受給申請前に内定をもらっていた場合は受給できません。

実は、内定をもらっている状態でも失業保険の申請は可能で、就職するまでは受給可能です。例えば、内定をもらった会社の条件に満足できないため、よりよい条件の会社を探して求職活動を続ける場合は、申請手続きを進めても問題ありません。

ただし、失業保険の申請前に内定をもらって手続きを進めながら求職活動を続け、最終的に申請前に内定をもらった会社に就職する場合は、再就職手当は支給されない点に注意しましょう。この場合でも、申請前に内定をもらった会社ではなく、新たに内定をもらって就職する場合は再就職手当をもらえます。

条件8:再就職先で雇用保険に加入する

原則として、就職した会社で雇用保険に加入する必要があります。雇用保険に加入できる主な条件は、以下のとおりです

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用が見込まれること

 

再就職手当は安定した職業に就くときに支給される給付金のため、雇用保険の加入条件に満たない場合は安定しているとは言えず対象外になります。

再就職手当の申請方法

再就職手当の申請をする男性
再就職手当を受給するためには、必要書類を揃えて手続きする必要があります。ここでは、必要書類と受給までの流れを解説します。

再就職手当の申請書類

再就職手当の手続きには、以下のような就職を証明する書類を準備します。

申請書類

内容

再就職手当支給申請書

再就職手当の申請書

雇用保険受給資格者証

失業保険の受給資格を証明する書類

失業認定申告書

失業保険の受給に必要な求職活動を申告する書類

採用証明書

再就職手当の受給のため、再就職を証明する書類

勤務実績を証明する書類

タイムカードの写しや給与明細書など勤務実態を証明できる書類

再就職手当を受給するまでの流れ

再就職手当の申請から受給までは、主に以下の流れで進めます。

  1. 「採用証明書」「雇用保険受給資格者証」「失業認定書」をハローワークへ提出する
  2. 窓口で「再就職手当支給申請書」を受け取る
  3. 就職した会社に「再就職手当支給申請書」を記入してもらう
  4. 記入済みの「再就職手当支給申請書」と「雇用保険受給資格者証」、その他求められた書類をハローワークへ提出する
  5. 支給決定通知書が届いて再就職手当が振り込まれる

 

再就職手当をもらうメリット

再就職手当をもらうメリットは、主に以下が挙げられます。

  • 一時金としてまとまった金額がもらえる。
  • 再就職後にすぐ離職した場合でも返金は不要

 

条件次第で100万円以上の金額を一度にもらえることもあり、再就職後の生活を安定させやすいことがメリットです。

「1年以上の勤務が確実であること」が支給条件の一つですが、1年以上働くつもりで再就職していれば、すぐ離職してしまっても返金の義務はありません。

再就職手当をもらうデメリット

再就職手当を受給する際は、以下のデメリットも押さえておきましょう。

  • 失業保険の給付が停止される
  • 焦って就職先を決めてしまうことがある

 

再就職手当は、失業保険の基本手当日額の60〜70%が支給されるため、再就職せず失業保険を満額受け取ったほうが手元に入るお金は大きくなります。

また、支給額は再就職する日が早いほど多くなるため、焦って就職先を決めてしまいやすくなることも注意点です。希望の条件を満たさない就職先や企業研究が十分でない場合、入社後のギャップを感じやすくなり、離職につながることがあります。

再就職手当以外で100万円もらえる可能性のある給付金

再就職手当以外にも、給付金制度を利用して100万円もらえる可能性があります。複数の制度を併用できることもあり、よりまとまった金額を受け取れるチャンスです。

失業中や求職活動中に受け取れる給付金の種類を以下の表にまとめました。

給付金の種類

概要

就業促進定着手当

再就職後の賃金が離職前より低下したときに受けられる給付金

常用就職支度手当

就職が困難な人が就職したときに受けられる給付金

職業訓練受講給付金

失業保険を受給できない人が職業訓練を受けた場合にもらえる給付金

教育訓練給付金

就職のために教育訓練を修了した人が受け取れる給付金

傷病手当金

労働中以外の傷病により療養が必要な人が受け取れる給付金

 

まとめ

再就職手当で100万円以上もらうことは、条件次第では可能です。支給額は、会社都合で退職した人や雇用保険の加入期間が長い人、離職前の賃金が高かった人ほど高額になりやすい傾向があります。

条件によっては受け取れる金額が少なかったり、そもそも支給対象外で受け取れなかったりすることもあるかもしれません。実は、再就職手当以外にも、失業中に受け取れる給付金にはさまざまな種類があります。

「再就職手当はいくら受け取れるのか」「他に利用できる給付金はあるか」が気になる方は、「社会保険給付金サポート」に相談してみましょう。実績豊富な担当者が、条件に応じてもらえる給付金や手続きを丁寧にサポートします。

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この記事の監修者

杉山雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、テ日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

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