2023.12.22

給付金について

退職後にもらえる給付金「失業手当(失業保険)」と他5種の給付金を解説!

日本人の平均寿命は年々延び、今や「人生100年時代」と呼ばれるようになりました。このように長い人生を送るからこそ、いつも充実して健康でいたいものです。しかし病気や失業、転職などさまざまな問題が少なからず生じることもあるでしょう。そんなときに役立つのが、傷病手当金や失業給付、障害年金などの公的な手当の存在です。ここでは、もしものときのために申請できる手当の種類や特徴、同時受給ができるものとできないものについて、解説します。

病気などで仕事ができなくなったときには傷病手当金を

病気やケガは出来る限り経験したくないものですが、残念ながら絶対に避けることはできません。また、病気やケガの状態によっては入院や長期療養が必要となり、仕事を休職する必要が出てくる可能性もあります。しかし、休職すると給料を全く出さない会社は数多く存在するため、生計を立てることが難しくなってしまいます。そんなときに頼りになるのが、傷病手当金です。

傷病手当金は、勤めている会社を連続して3日以上休んだときに、4日目以降から支給され、最大1年半の受給が可能な手当金です。受給額はおよそ給料の6割ほどと考えておきましょう。支払元は健康保険組合ですので、勤め先の会社が負担を負うことはありません。休職中でも収入が得られるため安心ですが、受給するためには一定の条件を満たしている必要があります。また、勤め先の社会保険である健康保険に加入していることが絶対条件です。国民健康保険に加入の場合は傷病手当金の受給対象にはなりませんので、注意してくださいね。

障害を負った場合は障害年金の申請を検討

病気やケガで一定期間の治療を続けたけれど完治せず、障害が残ってしまったというケースも、人生の中ではあり得ることです。仕事を続けることができるにしろできないにしろ、障害と付き合いながら生活するには必要経費が何かとかかることも多く、経済的な支援が必要になることでしょう。このような場合は、障害年金の申請をおすすめします。

障害年金は、病気やケガで初めて病院を受診した日(初診日)から1年半以上経過しており、20歳以上~65歳未満であれば、申請することが可能です。また、初診日の前々月までに国民年金保険料を一定額以上支払っていることも条件となります。年金額は、障害の等級(障害の程度)などによって違いが生じますので、障害年金の受給を検討している方は、社会保険事務所などに相談してみると良いでしょう。なお、身体障害や知的障害の場合は、障害年金の受給期間が永久的となることが多いですが、精神障害の場合は回復が見込まれる可能性があるため、数年ごとに更新する必要が出てきます。

さらに、障害が残ったけれど程度が軽く、申請時に規定されている障害に該当せずに、現在は完治しているケースでも、一時金として障害手当金が受給できることもあります。そのため、不安や疑問を感じたら問い合わせてみることが大切です。ただ、障害手当金は、初診日に厚生年金に加入していた方と、初診日から5年の間に病気などが治った場合にのみ申請ができます。

雇用保険に加入していれば、退職後に失業給付が受けられる

勤めている会社で雇用保険に加入していれば、退職後に失業給付を受けることができます。退職すれば、次の就職先が決まるまで日々の生活が苦しくなるため、それを補うための手当がもらえるのは心強いですね。

失業給付が支払われる期間や金額は、雇用保険への加入期間や勤続年数、年齢、退職理由などによって異なります。特に注意をしなければならないのは、退職理由によって失業給付の支払い期間や金額が増減することです。例えば、自己都合退職の場合は、離職後に7日間の待期期間のうえ、3ヶ月が経過しないと失業給付を受けることができません。しかし、リストラなどの会社都合の場合は、離職後7日間の待期期間を経るとすぐに失業給付を受けることができるのです。金額については、失業保険に加入していた期間などによって変化しますが、会社都合の退職の場合は一般的に大きくなります。そのため、退職理由には気を配っておきましょう。

また、一般的な「失業保険」のイメージは「基本手当」のことを指していることが多く見られます。失業給付は求職活動中にもらえる基本手当の他、再就職が決まったときの「再就職手当」や、パートやアルバイトなどでの就労が決まった際の「就業手当」など、色々な種類があります。似たような名前だったので勘違いをしてしまった…ということも少なくありません。ハローワークで教えてもらえるので安心してくださいね。

通勤中や仕事中のケガは労災保険を

仕事中にケガや病気をしてしまったにもかかわらず自腹で治療を受けるなんて、ちょっと腑に落ちない…という方も多いのではないでしょうか。そんなときは、労働者災害補償保険(以下労災)が適用されます。仕事中のケガだけではなく、通勤途中のケガや病気も対象になります。労災の対象になった場合は、健康保険の傷病手当金と違って治療費も全額保障されていて、給付金も手厚いため、もしも仕事中または通勤途中のケガや病気に該当する場合は、傷病手当金ではなく労災の申請がおすすめです。なお、傷病手当金は「プライベート(私傷病)での病気やケガ」が対象となるため、労災とは対象範囲が異なります。

なお、労災では通勤中のケガなどを対象にした「通勤災害」と、仕事中のケガや病気などを対象にした「業務災害」があります。通勤災害では、寄り道をした場合のケガなどは対象になりません。業務災害では、仕事中のケガであっても、業務に関係ない作業や行為によるケガは認められない場合があるので、注意が必要です。また、ケガだけではなく、パワハラなどによるうつ病などの精神疾患も労災の対象となります。

家賃の支払いを助けてくれる住居確保給付金

住居確保給付金は、社会保険制度ではなく、自治体ごとに行っている国の制度です。やむを得ない事情で退職せざるを得なかった場合などは、家賃の支払いが難しくなってしまうこともあります。賃貸住宅に住んでいる人にとって、家賃の支払いが滞るのは死活問題…。そんなときに頼りになるのが住居確保給付金です。住居確保給付金は、自治体ごとに定めた上限金額までの家賃を、原則3ヶ月間の間、住んでいる人の代わりに払ってくれるという心強い手当です。自治体によっては「住宅確保給付金」と呼ばれることもあります。この手当は自治体が主導となって行う制度のため、自治体や世帯の人数によって金額が異なります。やむを得ず仕事を失った人に対する救済措置にあたる制度なので、ハローワークで求職申込をしていること、さらに求職活動を行っていることが絶対条件です。なお、世帯収入の金額によっては、対象外とされる場合もあります。詳しくは自治体の役所に確認してみると良いでしょう。

「傷病手当」と「傷病手当金」は別物

ここで覚えておきたい、間違えやすい2つの制度があります。「雇用保険」の制度である「傷病手当」と、「健康保険」である「傷病手当金」という制度です。同じような名前ですが、そもそも雇用保険に属する傷病手当と、健康保険に属する傷病手当金の制度の内容は全くの別物です。勘違いしがちな制度なので覚えておいてくださいね。

雇用保険:傷病手当

雇用保険にも傷病手当という制度があります。失業給付の受給資格者が、求職期間中に病気やケガによって求職活動を行えなくなってしまった場合に、雇用保険から支給される手当です。15日間以上続けて病気やケガによって仕事ができないと認定された際に手当が発生します。14日以内に完治した場合は、通常の基本手当の対象となります。健康保険の「傷病手当金」と異なるのは、支給される金額やその期間ももちろんですが、あくまで「失業給付の受給資格者」が対象になるという点が一番大きな違いですね。

手当の種類によっては同時受給が可能

上記で紹介した手当の数々は、生活をしていくうえで非常に重要な要素となります。しかし、1つの手当のみでは生活に不自由することもあるかもしれません。そんなとき、種類によっては2つの手当を同時受給することができるので、諦めるのはまだ早い!という可能性もあります。ただし、手当の内容によっては同時に受け取ることができるもの、できないものがあります。ここでは同時に受け取れる手当、受け取れない制度について紹介します。

失業給付と障害年金

失業給付と障害年金を同時受給することができないという誤解は多く見受けられますが、この2つの手当は同時に受給することが可能です。しかし、障害年金の申請をしてから実際に年金が支給されるまでには、3ヶ月~6ヶ月かかることがあります。そのため、支給されるまでの間は収入が得られません。ただ、この場合は失業給付も受けることができますので、すみやかに手続きを終えておきましょう。特に、会社都合退職の場合は、失業給付を早めにもらえるので助かります。なお、退職金が出る会社であれば、より安心感が得られますね。また、障害年金を受給するようになっても、再び働くことを制限されているわけではありません。働く意思があるのであれば、失業給付も遠慮なく受給することができます。

傷病手当金と失業給付

同時受給ができる手当がある一方で、同時受給ができない手当もあります。例えば、傷病手当金と失業給付は同時受給が認められません。傷病手当金の本来の目的は、傷病のために働けなくなった人のために支給されるものです。一方、失業給付は退職後も働く意思があり、積極的に仕事を探したい人に支給されます。そのため、傷病手当金を受給している人は傷病の影響ですぐには働けないと解釈されるので、失業給付の受給対象外になるのです。ただし、傷病手当金を受給していても、本人に働く意思があり、医師が労務可能な状態だと認めていれば、失業給付の受給が可能になる場合もあると言われています。

傷病手当金 病気やケガで働けない人
失業給付 働ける状態にあり、働き口がない人

原則としては上記のように覚えておいてください。こうして見ると、両方に当てはまるという状況がないはずなので、同時に受け取れないということが分かるでしょう。

傷病手当金と住居確保給付金

住居確保給付金は、ハローワークでの求職申込と求職活動が必須条件です。そのため、失業給付との同時受給ができない傷病手当金は、住居確保給付金と一緒に受け取ることができません。上記にて紹介している通り、傷病手当金は「病気やケガで働けない人」を対象としているため、療養に専念している状態です。そのため、傷病手当金の受給中は、住居確保給付金の条件にある「ハローワークでの求職活動」という条件を満たすことができないのです。

失業給付と住居確保給付金

傷病手当金と住居確保給付金は同時に受け取ることができません。しかし逆に言えば、失業給付となら住居確保給付金は同時に受け取ることができるのです。2つとも、ハローワークでの求職申込が必須で、求職活動を行うという条件を満たせば可能です。ただし住居確保給付金は、ハローワークでの窓口ではなく、あくまで自治体に申請を行う必要があります。ハローワークで手続きすれば、自動的に失業給付と同時にもらえるというわけではないので注意しましょう。

失業給付と労災保険

それでは業務中や通勤中のケガによって労災保険を受給して退職した場合、失業給付は同時に受け取れるのでしょうか。結論から言うと、失業給付と労災保険は同時に受け取ることができません。退職後に労災保険から休業補償として支給されている給付金は、「仕事ができない状態」だからこその手当なのです。一方で失業給付は、「仕事ができる状態で求職中」の人に対して支給される給付金です。そのため、どちらかの要件を満たせばどちらかの要件を満たさなくなってしまいます。

傷病手当金と障害年金

同じ病気やケガで障害年金を受け取っている場合、傷病手当金を受給することはできません。具体的には「申請はできるが受給金額を調整される」ということになります。2つの手当の申請期間が重なっている場合は、金額が調整されます。障害年金が傷病手当金よりも受給金額が低い場合は、その差額を受け取ることができます。ただし、障害年金よりも傷病手当金の方が受給金額が高い場合、傷病手当金を受け取ることはできなくなってしまいます。そのため、各手当の申請期間と受給金額はあらかじめ確認しておくと良いでしょう。医師に相談してみるのもおすすめです。

傷病手当金と労災保険

業務中の病気やケガで労災保険の補償を受けている間に傷病手当金を同時に受給することはできません。労災保険は「業務中または通勤中の病気やケガ」、傷病手当金は「業務外の病気やケガ」として、そもそも対象が異なるのです。そのため、受給できるのはどちらか一方のみとなります。しかし、例えば労災申請を行っていた傷病が労災と認められず、労災保険を受け取ることができなかった時は、傷病手当金の申請を行うことも可能です。どちらか一方の申請が通らなかったら両方とも受け取れないというわけではないので安心してくださいね。

労災保険と障害年金

労災保険と障害年金を同時に申請した場合も、上記の「傷病手当金と障害年金」と同じような状態になります。つまり申請はできますが、受給金額を調整される「併給」という状態になるのです。障害年金は満額を受け取ることができますが、労災保険はその差額分のみ受給が可能になります。また、国民年金に加入していない20歳前に初診日がある障害について障害基礎年金を申請する場合は、労災の障害補償年金を受給できても、障害年金が支給停止になってしまう可能性があります。

ポイントは「手当の対象」を確認すること

様々な種類の手当がある中で、何と何が同時に受け取れるかを確認するのは大変ですよね。全て暗記するのも種類が多いため、なかなか骨が折れるものです。そこで、自分が受け取りたい手当が「どんな人を対象とした手当なのか」を一度確認してみると良いでしょう。例えば傷病手当金なら「病気やケガで働けない人」、失業給付なら「求職中で仕事を探している人」といった具合になります。その対象をまず明確にすることで、他の手当の対象と照らし合わせると分かりやすくなりますよ。

申請方法を要チェック!

自分が申請できる手当があった場合、まず確認しなければいけないのは「申請先」それから「申請手順」です。社会保険の制度だったとしても、それが「健康保険」の制度なのか、「雇用保険」の制度なのか、または「労災保険」なのかによって申請先も申請手順も大きく異なります。会社に在籍している期間の社会保険の利用の場合は、主に会社の総務部など、社会保険の担当者に確認すると良いでしょう。在籍中に社会保険を申請する場合は、会社経由で申請することが多いからです。もし会社の担当者も分からない制度の内容について確認したい場合や、退職済みの場合等は、下記を参考にしてください。

健康保険

健康保険の制度の内容について問い合わせたい場合は、加入している健康保険組合に問い合わせることとなります。会社から貸与されている健康保険証の「保険者名称」という部分に健康保険組合名が記載されています。あわせて電話番号が載っている場合もありますので、保険証の記載内容を確認してください。もし電話番号の記載がない場合は、健康保険組合の電話番号を調べて問い合わせると良いでしょう。問い合わせた際に、本人確認として「記号」と「番号」を聞かれる場合もあります。どちらも保険証に記載されているので、問い合わせの際には保険証を手元に置いておくのがおすすめです。

雇用保険

雇用保険の内容について不明点があったときは、ハローワークへ問い合わせてみましょう。ハローワークは公共職業安定所(職安)とも呼ばれます。全国各地にありますが、実際に手続きを行うのは自分の住民票の所在地ごとに管轄が分けられているため、自分の住所の管轄となるハローワークです。例えば東京の「ハローワーク池袋」では、豊島区・板橋区・練馬区に住んでいる人が対象となります。各管轄はハローワークのホームページなどで確認できますよ。引っ越し予定の場合はハローワークによって判断が異なる場合があります。そのため、まずは現住所の管轄のハローワークに相談してみてくださいね。

労災保険

労災保険の申請について知りたい場合は、労働基準監督署への問い合わせが必要です。労働基準監督署は勤務地の所在地ごとに管轄が分かれているので事前に確認しておきましょう。労働基準監督署のホームページから管轄先や地図を確認することができます。一点注意しておきたいのは、労働基準監督署はあくまで労働関連の法令違反について刑事的な面で取り締まる場所であるということです。例えば給与の未払いなどについて相談したい場合、労働基準監督署は会社の違反について是正を促すことはできますが、支払い命令を下すことはできません。給与の請求を求める裁判は、別途自分で行う必要があります。パワハラや社内でのいじめなども民事的な範囲となるため、労働基準監督署よりは労働局に相談した方が良いでしょう。

まとめ

元気で働くことができているうちは、働けなくなったときや退職したときの生活までなかなかイメージできないかもしれません。しかし、もしものときのことを考えて、さまざまな手当の詳細を知っておくと、万が一の事態が起こった際に役に立ちます。また、受け取れる手当の種類を把握しておくと最大限に制度を活用することができます。そして、自分の状況に合った手当を利用することで、状況が整ったときに再び社会復帰もしやすくなることでしょう。

 

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