病気休暇とは?法律で決まっているの?
病気休暇は、病気やケガの療養のために取れる休暇のことです。ただ、有給休暇のように、法律で全ての会社に義務づけられた休暇ではありません。ここが、いちばん最初に押さえておきたいポイントです。
病気休暇は会社が独自に決める休暇
年次有給休暇は、労働基準法39条で定められた労働者の権利です。雇入れの日から6か月間続けて働き、全労働日の8割以上出勤していれば、会社は10日の有給休暇を与えなければなりません。
一方、病気休暇は、会社が就業規則などで決める特別な休暇のひとつです。厚生労働省のリーフレットでも、取得の要件や期間は、労使の話し合いや、休暇を与える会社側が決めるのが一般的だと説明されています。
同じリーフレットでは、病気休暇制度を、労働者の申し出により、年に数日(最大10日)まで、1日単位(半日や時間単位も含む)で、本人の病気やケガの治療などを理由に取れる休暇と説明しています。毎年、決まった日数が付与されるのが特徴です。
呼び方は会社によってさまざま
病気休暇は、会社によって名前が違います。傷病休暇、私傷病休暇、療養休暇、シックリーブなど、いろいろな呼び方があります。私傷病というのは、仕事が原因ではない病気やケガのことです。
厚生労働省のリーフレットには、有給休暇を使い切ったあとも取れる「バックアップ休暇」や、通院や健康診断に使える「シックリーブ」を設けている会社の例が載っています。名前がちがっても、病気やケガのための休みを指していることが多いので、自分の会社の就業規則を見るときは、療養や傷病といった言葉も探してみてください。
導入している会社はどれくらいある?
病気休暇の導入状況については令和6年度の調査結果が残っています。企業3,234社への調査(複数回答)では、病気休暇を導入している会社は23.4%でした。
| 制度の状況 | 割合(複数回答) |
|---|---|
| 病気休暇を導入している | 23.4% |
| 病気休職や休業の制度を導入している | 47.3% |
| 本人の病気などの理由で取れる、ほかの制度や方法で代用している | 23.1% |
| ない(全て欠勤扱いとしている) | 28.4% |
複数回答なので、合計は100%になりません。その上で病気休暇がある会社は、4社に1社弱という計算です。全て欠勤扱いとしている会社も、28.4%あります。自分の会社に制度がなくても、めずらしいことではないんですね。
病気で休むときの3つの方法
病気で会社を休むときに使える主な方法は、年次有給休暇、病気休暇、休職の3つです。まずは、ざっくり違いを表で見てみましょう。
| 項目 | 年次有給休暇 | 病気休暇 | 休職 |
|---|---|---|---|
| 法律の決まり | 労働基準法で定められた労働者の権利 | 会社が決める特別な休暇。義務ではない | 会社が決める制度。法律上、はっきりした定義はない |
| 給料 | 平常どおりの賃金が支払われる | 有給か無給かは会社が決める | 会社のルールによる |
| 期間の目安 | 付与された日数の範囲 | 年に数日程度(最大10日を想定) | 長期。おおむね1か月以上が一般的 |
| 使うとき | 原則として、本人が希望した日に取れる | 病気やケガの療養 | 病気などで欠勤が一定期間続いたとき |
年次有給休暇
有給休暇は、法律で決まっている権利なので、病気休暇がない会社でも使えます。付与される日数は、最初は10日で、勤続年数が増えると最大20日まで増えます。パートやアルバイトの方も、働く日数に応じた日数が付与されます。
有給休暇は、原則として、本人が希望した日に取れます。ただ、その日に休まれると事業の正常な運営が妨げられる場合には、会社が日をずらすようお願いできる、時季変更権というしくみもあります。
病気休暇
病気休暇は、病気やケガの療養のために、比較的短い期間で取る休暇です。厚生労働省のリーフレットでは、本人の申し出で取れる休暇で、会社が人事上の命令として出すものではない、と整理されています。
休職
休職は、病気などで欠勤が一定期間続いたときなどに、長期にわたって働く義務を免除するために、会社が出す制度です。厚生労働省のリーフレットでは、おおむね1か月以上の長期のものが一般的だと説明されています。なお、休職の期間も、会社に在籍していれば、有給休暇の継続勤務の年数には通算されます。
病気休暇と有給休暇、休職の違い
3つとも、病気のときに使える制度ですが、成り立ちや使い方には違いがあります。3つの点から整理してみます。
給料の扱いの違い
有給休暇は、休んでいる間も、平常どおりの賃金が支払われます。一方、病気休暇は、有給にするか無給にするかを会社が決めます。厚生労働省のリーフレットにある就業規則の記載例でも、病気休暇の期間は「通常の賃金を支払うこと」と「無給とする」のどちらかを選ぶ形になっています。休職中の給料も、会社のルールしだいです。
日数と期間の違い
有給休暇は、法律で決まった日数の範囲で使います。病気休暇は、年に数日程度が中心で、最大10日を想定した制度として紹介されています。休職は、それよりずっと長い期間で、おおむね1か月以上の長期を想定した制度です。
手続きや診断書の違い
病気休暇は、本人の申し出で取れる休暇です。休職は、会社が休職の命令を出す形が一般的で、手続きが少し重くなります。診断書がいるかどうかは、会社のルールで決まります。数日続けて休むときや、休職に入るときには、診断書を求められる会社もあるので、事前に確認しておくと安心です。
あとで出てくる傷病手当金は、申請書に主治医が記入する欄があります(協会けんぽの案内より)。長く休む可能性があるときは、早めに医師に相談しておくとスムーズです。
病気休暇の日数と給料の扱い
病気休暇を取るときに、気になるのは日数と給料ですよね。会社ごとに違う部分なので、確認するときのポイントを整理します。
日数は会社ごとに違う
病気休暇の日数には、法律上の決まりはありません。ただ厚生労働省の推奨としては5日から10日程度を目安に、ほかの特別休暇の日数や従業員のニーズなども考えて決めるとよいとしています。
実際の日数は、会社の就業規則に書かれています。自分の会社が何日なのか、1年ごとに付与されるのか、まとめて付与されるのかも、あわせて見ておきましょう。
給料は有給か無給かを確認
先ほど触れたとおり、病気休暇中の給料は、会社が有給にするか無給にするかを決めます。有給の会社なら、通常の賃金が支払われます。無給の会社なら、その日は給料が出ません。
無給の場合でも、休んだ日が長くなると、次の章で説明する傷病手当金の対象になることがあります。
ボーナスへの影響は会社の規程しだい
休んだ期間が、ボーナスの計算にどう影響するかは、会社の賞与の規程によって違います。査定の期間中の出勤日数や勤務実績を基準にする会社もあります。気になるときは、賞与の規程を確認するか、人事担当者に聞いてみましょう。
半日や時間単位で取れることもある
病気休暇制度は、1日単位のほか、半日や時間単位で取れるようにしている会社もあります。通院で少しだけ休みたいときに便利です。
有給休暇の場合は、半日単位は、会社が認めれば取れます。時間単位は、会社と労働者の間で労使協定を結んでいれば、年5日の範囲で取れます。
会社に病気休暇がないときはどうすればいい?
病気休暇がない会社でも、休む方法はあります。順番に見ていきましょう。
まずは就業規則と人事担当者に確認
最初にやっておきたいのは、就業規則の確認です。病気休暇のほかにも、休職の制度や、失効した有給休暇を積み立てて使える制度など、会社独自の制度があるかもしれません。
就業規則が見つからないときは、人事や総務の担当者に、病気の療養のために休みたいのですが、どんな制度がありますか、と聞いてみるのが早いです。
有給休暇を使って休む
短い期間なら、有給休暇を使うのがいちばん手軽です。休んでいる間も、平常どおりの賃金が支払われます。ただ、日数には限りがあるので、長引きそうなときは、休職や傷病手当金も視野に入れておくと安心です。
休職制度を使う
長く休む必要があるときは、休職制度があるかどうかを確認します。休職は、会社に籍を置いたまま、長期にわたって働く義務を免除してもらう制度です。休職中の給料は会社のルールしだいなので、無給になる場合は、次の章の傷病手当金が助けになります。
欠勤になるときの注意点
病気休暇も休職もなく、有給休暇も使い切っている場合は、欠勤扱いになります。欠勤の日は、給料が出ないことが多いです。ただ、給料が出ない日は、傷病手当金の要件のひとつを満たす日にもなります。長く休みそうなときは、傷病手当金の要件を確認しておきましょう。
病気休暇や休職で給料が出ないときの傷病手当金
病気や休職で給料が出ないとき、生活の支えになるのが、健康保険の傷病手当金です。ここでは、病気休暇との関係に絞って、基本をまとめます。
傷病手当金の基本
傷病手当金は、健康保険に加入している本人が、病気やケガで会社を休み、給料が十分に支払われないときに支給されます。協会けんぽの案内では、次の4つの要件を全て満たすことが必要とされています。
- 仕事以外の理由による病気やケガの療養のための休業であること。仕事中や通勤中の病気やケガは、労災保険の対象です。
- 仕事に就くことができないこと。
- 連続する3日間の待期のあと、4日目以降も仕事に就けなかったこと。
- 休んだ期間について、給料の支払いがないこと。
参考:協会けんぽ|傷病手当金
1日あたりの支給額は、直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2をかけて計算します。支給期間は、同じ病気やケガについて、支給を始めた日から通算して1年6か月です。
参考:厚生労働省|令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます
病気休暇や有給休暇と重なる期間の考え方
傷病手当金は、休んだ期間に給料が支払われているときは支給されません。病気休暇が有給の会社や、有給休暇を使った日は、給料が支払われているので、その日は傷病手当金の対象にならないのが基本です。給料が一部だけ支払われているときは、傷病手当金の額より少なければ、その差額が支給されます。
待期の3日間には、有給休暇や、土日や祝日などの公休日も含まれます。給料が出たかどうかは関係なく、休みが連続していれば数えられます。
公務員の病気休暇は民間とちがう
公務員の場合は、民間の会社とは、病気休暇のしくみが少し違います。
国家公務員については、人事院が病気休暇の取扱いを定めています。人事院の通知によると、特定病気休暇の期間は、原則として、連続して90日を超えることができないとされています。この通知は、令和6年12月に最終改正されています。
この内容は国家公務員向けのものです。地方公務員や、独立行政法人などの職員の方は、それぞれの勤め先の規則を確認してください。
療養が長引きそうなときに知っておきたいこと
病気の療養が長引くと、休職から退職を考える方もいます。そのときに知っておきたい、お金の制度を整理します。
休職から退職するとき、傷病手当金はどうなる?
傷病手当金は、条件を満たせば、退職したあとも続けて受け取れます。協会けんぽによる案内では、次の2つが条件です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 被保険者期間 | 退職日までに、継続して1年以上の被保険者期間があること。任意継続被保険者や共済組合の組合員、国民健康保険に加入していた期間は含まれません。 |
| 退職時の状態 | 資格を失う日の前日(退職日)に、傷病手当金を受けているか、受けられる状態であること。 |
ここで注意したいのが、退職日の過ごし方です。退職日に出勤してしまうと、継続給付の条件を満たさなくなり、退職日の翌日以降の傷病手当金は受け取れなくなります。
なお、有給休暇は、退職日をもって権利がなくなります。使える日数が残っているときは、退職の時期と合わせて、早めに会社と相談しておくとよいでしょう。
回復したあとの失業保険と受給期間の延長
体調が回復して、働ける状態になったら、失業保険(雇用保険の基本手当)を受けられる可能性があります。ハローワークインターネットサービスでは、病気やケガのため、すぐには就職できないときは、基本手当を受けられないと案内されています。
療養が長引くときに使えるのが、受給期間の延長です。基本手当の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間ですが、病気やケガなどで引き続き30日以上働けないときは、働けない日数の分だけ延長できます。延長できるのは最長3年で、もともとの1年と合わせて、最大4年です。申請は、住所を管轄するハローワークで行います。
病気で休むときの流れ
実際に病気で休むときは、次の順番で進めるとスムーズです。
病気休暇に関するよくある質問
パートやアルバイトでも病気休暇は使えますか?
病気休暇は会社が決める制度なので、対象になる人も会社しだいです。就業規則で、対象の範囲を確認してみてください。有給休暇のほうは、パートやアルバイトでも、要件を満たせば、働く日数に応じた日数が付与されます。
病気休暇と傷病休暇は同じですか?
名前が違うだけで、同じ意味で使われていることが多いです。ただ、日数や給料の扱いは、会社によって違います。名前より、就業規則の中身を確認するのが確実です。
病気休暇を使うと、有給休暇は減りますか?
厚生労働省のリーフレットでは、病気休暇は、年次有給休暇とは別に使える休暇として紹介されています。そのため、有給休暇とは別に病気休暇を設けている会社なら、病気休暇を使っても、有給休暇の日数は減りません。一方、病気休暇の代わりに有給休暇を使う運用の会社もあるので、確認しておきましょう。
病気休暇がない会社で休んだら、給料はどうなりますか?
有給休暇を使えば、賃金が支払われます。有給休暇がなく、欠勤になる場合は、給料が出ないことが多いです。長く休む場合は、休職制度や、健康保険の傷病手当金を確認しましょう。
まとめ
病気休暇について、ここまでの内容を整理します。
- 病気休暇は、法律で義務づけられた制度ではなく、会社が独自に決める特別な休暇です。
- 厚生労働省の令和6年度の調査では、病気休暇がある会社は23.4%、全て欠勤扱いの会社は28.4%でした。
- 病気で休む方法は、有給休暇、病気休暇、休職の3つです。給料の扱いは、有給休暇は平常どおり、病気休暇と休職は会社のルールしだいです。
- 給料が出ない期間が続くときは、健康保険の傷病手当金があります。支給期間は、通算で1年6か月です。
- 休職から退職するときは、被保険者期間や、退職日に出勤しないことなどの条件を満たせば、退職後も傷病手当金を受け取れます。
病気休暇や休職のあと、そのまま退職を考える場合は、傷病手当金の継続給付や失業保険の受給期間の延長など、医師、健康保険、ハローワークとのやり取りが重なります。自分だけで進めようとして、途中でわからなくなってしまう方も少なくありません。退職コンシェルジュでは、退職後に受け取れる可能性のある給付金について、申請のサポートを行っています。仕事を続けることが難しいけど、金銭的な不安で中々仕事を辞められずやむを得ず休職を選んでいる方にもおすすめです。手続きに不安があるときは、まず退職コンシェルジュのサービスページで、サポートの内容を確認してみてください。
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