2022.02.11
退職について
産休・育休後の退職はマナー違反?退職時のポイントと注意点
産休や育休を取得した後、もう1人妊娠していることがわかったり、家庭の事情で職場に復帰ができず退職したりするということは、めずらしくありません。しかし、「これはマナー違反ではないか?」「本来、休みをもらった後に退職してはいけないのでは?」と気になる人もいることでしょう。また、産休・育休取得後の自己都合退職は、失業給付や失業保険も含めた問題点も多く出てきます。ここでは、そのような不安に対して詳しく解説します。
産休・育休後の退職って実際はアリ?
子どもが生まれることはとても喜ばしく、個人の問題でもあるので、会社も「産休・育休を取られては困る」とは言えません。ただ、保育園がなかなか見つからない、復帰をしたとしてもやっぱり子どもとの時間が欲しくて退職したいなど、さまざまな感情が沸き起こるものです。産休・育休後の退職は、アリなのでしょうか?
本来ならあまり好ましくはない
法律上、何かしらの制限があるわけではなく、基本的にいつ退職しても問題はありません。しかし、育休は「復帰することが前提」で取得を許可している企業が多いのです。なぜなら手当てがつくものとなるため、お金だけ支給してその後すぐに退職ともなれば、企業側としては「道義的にどうなの?」という感覚になるからです。そうなれば、次に社内で産休・育休をとる人への風当たりが強くなるなど、悪影響になる可能性が高いです。
どうしても退職をしなくてはいけない時もある
休暇をとった後、自己都合退職をするというのは非常に気まずい思いをしてしまいますし、自分としても「退職するにしても、少しの期間は働かないと」と思うものです。育児と仕事の両立ができない、保育園がみつからないなど、子育てをしていく上でどうしようもないことが生じる場合もあるでしょう。そのため、やむを得ず退職をする場合も多いのです。通常、育休は子どもが1歳の誕生日を迎える前日までにと決まっており、ちょうどその頃が親にとっても大変な時期と重なるため、退職せざるを得ないのではないか?と考える人もたくさんいます。
辞めずに頑張るにはどうするべきか
会社を辞めずに無事に復帰するには、できることがたくさんあります。まず、もっとも先に決めておかなくてはいけないことは、子どもの預け先です。保育園に通わせられるのであれば、小さなうちから預けられるところがベストです。ただ、会社から遠い・時間が短いなどの弊害が起きることもあるので、その場合は会社と相談しましょう。時短勤務ができる場合もあるため、調べておく必要があります。その他にも、育休の延長など会社の制度として対応してもらえることがないかも、よく確認しておいてください。
退職する前に!使える制度は確認しておこう
現実的な問題として、特に産休・育休の後に退職してもマナー違反というわけではありません。会社からの罰則があるわけでもないので、もしも自分の生活や子どものことを考えたときに退職することが最善だと思えば、辞めても良いのです。ただ、すぐに辞めてしまう前に使える制度はないかについても、把握しておきましょう。
出産手当金
産休中は会社を休むことになります。しかし、その間の収入保障がないため、出産手当金を支給して補填するという制度があります。会社から支給されるわけではなく、健康保険組合から支給されるものなので、手続きも会社を仲介して保険組合に申請する必要があります。標準報酬月額平均の3分の2を受け取ることができるので大きな助けとなってくれる制度です。出産日以前の42日から産後56日までが対象期間となり、1日単位での支給となります。産休中は必ず申請しましょう。
出産一時金
出産一時金は、公的な医療保険に加入している人であれば、支給してもらえる一時金です。出産手当金とは違い、会社と保険組合ではなく保険組合と医療機関の間で書類のやり取りが必要になり、1児あたり42万円が支給される形になります。事前申請を行えば、医療機関から直接振り込んでもらえるので、自身で支払いをする必要がなくなります。事後申請でも出産翌日から2年以内に申請することが可能なので、忘れないようにしましょう。
育児休業給付金
雇用保険から支給される給付金で、産後の休業翌日から子どもが満1歳になる前の日までもらえます。条件によっては、期限の延長も可能になるので就労規則などを確認しておいてください。もしも、給付期間中に転職したとしても、転職前に勤めていた会社の雇用保険加入期間を通算できるのなら、受給できる可能性もあるので、相談してみましょう。ただ、失業給付の認定が済んだ後だと対象外なので注意が必要です。
失業手当
失業給付は、雇用保険の基本手当と呼ばれるもので離職している人に対して、求職している間に一定額を国から支給される手当です。失業給付よりも失業手当という呼び方の方が馴染み深いかもしれません。育休を取得した後に退職をしたとしても、就職する意思や能力があるもしくは求職活動を行っている場合であれば、問題なく支給してもらうことができます。しかし、自己都合退職の場合は、すぐに手当が支給されるわけではないので、早めにハローワークに相談へ行きましょう。もしもすぐに求職活動ができなければ、受給期間の延長も可能です。ただ、仕事をする意思がある人のみに支給されるので、全く活動をする気がない人は、受給資格自体がないので注意が必要です。
産休・育休中の転職について
産休中は難しいと思いますが、育休中において「時間が足りないんじゃないだろうか?」「子育てとの両立は難しいかもしれない」などの理由で、仕事を続けたいけれども在籍している会社では復帰を諦める場合もあります。勤務時間や通勤時間など、子育てをする前は気にならなかったことがいろいろと不便に感じられて、このままなら転職した方がよっぽど良いと思う人も多いのです。しかし、育休中の転職活動や、育休後転職した際に何らかのリスクはないのかという点が心配になる場合もあるでしょう。
基本的に、育休中でも転職活動をすることは間違いではありません。ただ、小さな子どもを抱えながらの転職活動は、企業によっては「採用しても退職されないか?すぐに休んだりするのでは?」といったマイナスな印象を持たれてしまうこともあります。
転職活動をする際は、必ず子どもの預け先を決め、労働できる時間などを調整するようにしましょう。しっかりと「仕事をする意思があります」ということを明確にできていれば、企業側も積極的に検討してくれるはずです。また、育休から復帰した女性が活躍している企業であれば、むしろ好意的に受け止められる場合もあります。
育児休業給付金は退職日によって金額が変わる
育児休業給付金は、常に満額をもらえるというわけではありません。会社に在籍している間は支給額すべてがもらえますが、給付をしてもらっている間に退職をした場合、日割りで計算されます。
通常、育児休業給付金は1ヶ月単位での支給となるので、例えば、本来4月1日~4月30日までの計算で支給されるとして、4月20日に退職をしたのであれば、1ヶ月の計算ではなく4月1日~4月20日までの金額を受給できるというわけです。そのため、1ヶ月分もらいたいと思うのであれば、退職日には注意が必要になります。
まとめ
産休・育休の後に退職をするというのは、ちょっと気まずい思いをするかもしれません。実際に復帰しようと思っていたものの、いざ出産して育児がスタートすると思わぬ体調の変化が生じたなどで、とても両立はできないと感じることもあるのです。そういう中で、退職を決めるのは間違いではありませんし、悪いことでもありませんので、きちんと利用できる制度は使った上で退職しましょう。
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