2021.10.08

給付金について

テーマ:

傷病手当金ってどんな制度?

私たちの多くは、働きながら生活をしています。そして働いている限りは少なからず収入を得ることができますよね。しかし、人生は思った以上に長く、時には精神疾患を始めとする病気や事故などのケガによって、仕事ができなくなる可能性もないとは言えません。もし、このような状態に陥ってしまうと、経済面で大きな不安が生じることでしょう。このような場合に役立つのが、傷病手当金の存在です。ここでは、傷病手当金ついて詳しく解説します。

傷病手当金の概要を知っておこう

傷病手当金とは、業務以外の病気やケガで仕事をすることが不可能で、会社を一定期間休んだ場合に、収入の2/3程度が手当金として受給できる制度です。なお、傷病手当金は、休職中に会社側が給料を支給しない場合に適用されます。傷病手当金は健康保険組合が定めている制度で、勤めている会社の健康保険に加入している人が対象になります。そのため、国民健康保険加入者は対象外ですので、注意しましょう。しかし、加入している組合によっては社会保険だったとしても、傷病手当金の制度自体がない場合もあるので、事前に確認しておくことが大切です。

また、傷病手当金を受給するためには、会社をどの程度休んだのかが重要で、連続して3日間以上休んだ場合に、4日目以降から支給される決まりとなっています。3日以上の期間には、平日だけをカウントするのではなく、土日や祝日も含まれますので、覚えておいてくださいね。さらに、傷病手当金は病気やケガで就労不能となったために働くことができない人が対象となりますが、病気やケガの種類は問われません。そのため、うつ病や統合失調症などのある程度の治療期間が必要で、回復までに時間を要する病気でも該当します。メンタルに不調をきたすことは誰にでも起こり得ることですし、そのような状態で仕事ができなくなった場合でも、安心して手当を受け取ることが可能です。

傷病手当金はどのぐらいの期間もらえるの?

傷病手当金の受給が許可されれば、最長1年半(18ヶ月)まで手当金が支給されることになります。1年を超える期間をカバーしてもらえるので、治療や回復に時間がかかる傷病であっても、焦ることなく療養できると言えるでしょう。しかし、傷病手当の受給を続けるには注意点があります。最長1年半もらえるのは事実ですが、それはあくまでも会社を休職している場合です。そのため、1年半を迎えるまでに途中で退職した際には、その時点で支給が打ち切りとなります。ただし、それまでに退職したとしても、会社の健康保険に1年以上加入していた場合は、退職後も変わらず1年半までは申請することが可能です。

 このような仕組みもありますので、休職から退職を考えている方は、健康保険に1年以上加入しているかどうかを目安にしてください。そうすることで、退職後も経済的に困らずにすむでしょう。

病気などで入院していなくても手当は受給できる

傷病手当金は、病気やケガで一定期間働くことができない場合に受給できますが、自宅療養のケースでも支給はされるのでしょうか?結論から言えば、自宅療養の場合でも手当金はきちんともらうことが可能です。

中には、入院していないとダメなのではないか?症状が重篤ではないと傷病手当の支給対象にならないのではないか?と思っている方も多いことでしょう。しかし、傷病手当金は入院しているか否かは関係なく、労務不能な状態であるかどうかに焦点を当てています。そのため、自宅療養でも入院でも手当は受給できますので、安心してくださいね。しかし、病気やケガの回復のためには、きちんと医師の治療を受けている必要があります。

傷病手当金の申請のしかたについて

傷病手当金を受給するためには、自ら健康保険組合に申請しなければなりません。病気やケガで会社を一定期間休んでも、自動的に傷病手当金をもらえるわけではないので、その点は注意しましょう。傷病手当金の申請をするには、以下のものが必要になります。

傷病手当金支給申請書

勤務している会社の所定の申請書。または健康保険組合が発行している申請書。(健康保険組合の申請書は、ホームページからのダウンロードで可)

医師による休職診断書

病気やケガで受診している病院の主治医が作成したもの。現在の症状により休職が必要な旨が記載されている必要があります。それとは他に、傷病手当金支給申請書内に医師に療養担当者として、傷病名や治療日などを記入してもらう箇所があり、定期的に記載してもらいます。

 上記の傷病手当金支給申請書に必要事項を記入し、医師の診断書を添えたうえで会社に提出しましょう。

一方、傷病手当金を受給するには、会社側にも申請書に記載してもらうべき箇所があります。その部分は主に、実際に申請者が会社を休んだ日と日数などです。それに加えてタイムカードなどの必要書類を添付し、健康保険組合に送付してもらうという流れを取ります。その後、傷病手当金が実際に申請者に支給されるまでは、2週間程度の期間が必要です。加入している健康保険組合によっては、2ヶ月~3ヶ月がかかることもありますので、早めに手続きをしておきましょう。

会社側に必要事項を記載してもらうには、書類を持って休職している会社に出向かなければならないと思っている方もいるかもしれません。しかし、実際に出向かずとも郵送によるやり取りで問題ありません。休職中に会社にお願いしに行くのは精神的に苦痛でしょうし、もし出向いてしまったら、会社によっては「出勤」と記載されてしまうことがあり、健康保険組合側に「病気やケガが回復して労務が可能となった」と捉えられることがあります。そうすると、今後の傷病手当金を受給できなくなってしまう可能性も少なくないのです。

そのため、傷病手当金受給中は会社に残した私物を取りに行く、部署にあいさつに行くなどのことも避けた方が良いと言えます。

まとめ

会社の健康保険に加入していれば、万が一病気やケガで働くことができなくなり、休職を余儀なくされても、傷病手当金を申請することで、労働者の経済面をサポートしてくれることが可能となります。休職中は治療費もかさむことがめずらしくないので、傷病手当金を受給できれば心身ともに安心して療養することができるでしょう。

テーマ