公務員は失業保険(雇用保険)をもらえないってホント?
雇用保険が原則適用除外になっている理由
結論から言うと、国家公務員・地方公務員は原則として雇用保険の適用から除外されています。民間企業のように雇用保険料を給与から天引きされることもありません。
この根拠となっているのが雇用保険法第6条です。同条では、国・都道府県・市町村等に雇用される者のうち、一定の要件を満たす者について、雇用保険の適用除外とすることが定められています。国や特定独立行政法人の職員はこの規定により自動的に適用除外となり、都道府県や市区町村の職員についても、各自治体が厚生労働大臣または都道府県労働局長の承認を受けることで、同様に適用除外となる仕組みです。
なぜこのような仕組みになっているかというと、大きく次の2つの理由があります。
公務員は法律に基づいて任用され、民間企業のような倒産や整理解雇のリスクが低く、雇用の安定性が高いと位置づけられていること
その代わりとして、国家公務員退職手当法や各自治体の退職手当条例により、雇用保険の失業給付に相当する保障(退職手当・失業者の退職手当)があらかじめ制度として組み込まれていること
雇用保険と退職手当を二重に用意すると、事業主である国や自治体側の負担が重複してしまう面もあり、その調整という意味合いもあります。つまり「保障が何もない」のではなく、「雇用保険という形ではなく、退職手当制度という形で失業時の保障を組み込んでいる」というのが実態です。
ただし、これは公務員が失業時に何の保障もないという意味ではありません。雇用保険が適用除外とされているのは、その代わりに退職手当(いわゆる退職金)が雇用保険の失業給付相当額以上支給されることが前提となっているためです。
代わりに用意されている「失業者の退職手当」
とはいえ、勤続年数が短いまま退職した場合など、一般の退職手当等の額が、雇用保険の失業等給付に相当する額を下回るケースがあります。
そのような場合に、一定の要件を満たした退職者に対して、雇用保険の失業等給付に相当する額との差額を補完するために設けられているのが「失業者の退職手当」という制度です。
この制度は国家公務員退職手当法第10条に基づくもので、内閣人事局が制度の概要を公開しています。
失業者の退職手当のしくみと支給要件
国家公務員の失業者の退職手当が支給される4つの条件
失業者の退職手当は、次の条件をすべて満たした場合に支給されます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 勤続期間 | 原則として12か月以上勤務して退職していること |
| 退職手当の額 | 受け取った退職手当が、雇用保険の失業給付相当額に満たないこと |
| 失業の状態 | 退職日の翌日から起算して1年以内に、働く意思・能力があるのに就業できない「失業」状態にあること |
| 待期期間 | 所定の待期日数を超えて失業していること |
なお、地方公務員の場合は自治体ごとの条例に基づいて同様の制度が設けられており、細かい要件が異なる場合があります。正確な要件は所属していた自治体の担当課(教育委員会や人事課など)に確認するのが確実です。
参考:内閣人事局「失業者の退職手当の支給要件及び支給額算定基準」
支給額の考え方
支給額は、退職時に受け取った退職手当の額(A)と、雇用保険の失業給付に相当する額(B)を比較し、その差額(B−A)を上限として支給される仕組みです。イメージとしては下記のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| A:退職時に支給された退職手当の額 | 勤続年数に応じて算定される、実際に受け取った退職金 |
| B:雇用保険の失業給付に相当する額 | 雇用保険法の基本手当の計算方法に準じて算定される額 |
| 支給額 | BがAを上回る場合、その差額(B−A)が上限として支給される |
具体的な支給額の算定基準は勤続年数や退職理由によって細かく定められているため、実際の金額を知りたい場合は所属していた省庁・自治体の人事担当窓口、またはハローワークに確認することをおすすめします。
申請の流れ
失業者の退職手当を受け取るための大まかな流れは、次のとおりです。
傷病手当金の継続給付とは?病気・ケガで退職する場合
在職中の傷病手当金の基本
公務員が病気やケガで働けなくなった場合、加入している共済組合から傷病手当金が支給されます。支給額の目安は次のとおりです。なお、加入している共済組合によって異なる可能性があるため、加入されている共済組合へご確認ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付日額 | 標準報酬月額(直近12か月の平均)÷ 22 × 2/3 |
| 支給期間 | 通算して1年6か月が上限 (結核性の病気の場合は3年) |
支給期間は、通算して1年6か月(結核性の病気の場合は3年)が上限です。
退職後も継続してもらえる条件
「病気が治らないまま退職することになったら、給付は打ち切られてしまうのでは」と不安になる方もいると思いますが、一定の条件を満たせば退職後も継続して傷病手当金を受け取ることができます。主な条件は次のとおりです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 加入期間 | 退職日までに共済組合の組合員期間が継続して1年以上あること |
| 退職時の受給状況 | 退職日の前日時点で傷病手当金を受給している、または受給要件を満たしていること |
| 就労不能の継続 | 退職後も引き続き同一の傷病により働くことができない状態であること |
退職日に出勤してしまっている場合は継続給付の対象外となるため、退職前に必ず所属先の共済組合の担当窓口へ相談しておくことをおすすめします。
支給期間・支給額の目安
継続給付の場合も、支給期間は在職中からの通算で1年6か月(結核性は3年)です。金額の考え方も在職中と同じで、標準報酬月額をもとに算定されます。退職後に他の健康保険や共済組合の資格を新たに取得したり、就労能力が回復したと判断されたりすると支給が止まる点には注意が必要です。
なお、共済組合によっては法定給付に上乗せする「傷病手当金附加金」を独自に設けている場合がありますが、財政状況によって廃止・縮小している組合も少なくありません。上乗せ制度の有無や内容は組合ごとに異なるため、自分が加入している共済組合の最新の規程を確認しておくと安心です。
失業者の退職手当と傷病手当金、両方受け取れる?
「病気で退職して、その後も体調が戻らなかったら失業者の退職手当ももらえるのでは」と考える方もいるかもしれませんが、基本的にこの2つは同時に受け取ることはできません。
理由はシンプルで、失業者の退職手当の対象となる「失業」とは、働く意思と能力があるにもかかわらず職に就けない状態を指します。一方、傷病手当金の継続給付は、病気やケガのために働くことができない状態が前提です。つまり「働ける状態か、働けない状態か」で対象となる制度が分かれる仕組みになっています。
手続きで注意したいポイント
失業者の退職手当と傷病手当金の継続給付は、根拠となる法律も窓口も異なる別々の制度です。同じ「退職給付金」というくくりで語られがちですが、実際に手続きを進めるときは制度ごとに準備するものが変わってくるので注意しましょう。それぞれの制度で気をつけたいポイントを整理しておきます。
よくある質問
退職してから制度を知った場合、さかのぼって申請できますか?
再任用や再就職をした場合はどうなりますか?
会計年度任用職員でも対象になりますか?
会計年度任用職員でも、一定の要件を満たせば「失業者の退職手当」の対象となる場合があります。しかし、任用期間や勤務条件、雇用保険の適用状況、退職時の状況などによって取り扱いが異なります。自分が対象になるかどうかは、所属先の担当窓口などに確認するのが確実です。
まとめ:公務員の退職後の給付は「対象になる制度」を知ることが大切
公務員は、原則として民間企業の会社員のように雇用保険の失業給付を受けることはできません。その代わり、退職後の状況に応じて「失業者の退職手当」や「傷病手当金の継続給付」といった制度を利用できる場合があります。
どちらの制度も申請には期限や細かい要件があり、退職理由や退職時の状況などによって異なります。退職を予定している方は、自分がどの制度の対象になる可能性があるのかを事前に確認し、必要な手続きを早めに進めることが大切です。
「退職後はしっかりと療養したいけど生活費が心配」「傷病手当金の申請ってなんだか難しそう」と思われる方も少なくないと思います。傷病手当金の申請について不安がある方は、退職コンシェルジュの無料相談を承っておりますので、お気軽にお申込みください。
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