2025.10.08
退職について
いつが得?損しない退職日の決め方とパターン別おすすめの退職日
退職日をいつにするかは単なる日付の問題ではなく、退職後の生活や次のステップに大きく影響します。少しのタイミングの違いで、受け取れるお金の金額や手続きの負担が変わることもあるため、知らずに損をしてしまう可能性もあります。
後悔しない退職にするためには、自分にとって最適なタイミングを選ぶことが大切です。本記事では、退職日を決める際のポイントを具体例とともに解説します。退職日で損したくない人は、ぜひ参考にしてみてください。
いつが得?退職日を決めるときのポイント

退職日をいつに設定するかによって、社会保険料や賞与・退職金、有給休暇の消化、さらには社会保険給付金の受給条件など、損得が変わることがあります。数日の違いでもらえる金額や負担する金額に差がつくケースもあるため、慎重に検討することが大切です。
ここでは、退職日を決める際に押さえておきたいポイントを解説します。
社会保険料の負担が少ないタイミングを選ぶ
社会保険料の負担が軽くなるタイミングで退職すると、支払い額を抑えられるので得することがあります。
退職前は会社の健康保険料や厚生年金保険料を会社と折半で支払いますが、退職後に無職の日が1日でもある場合は、国民健康保険と国民年金へ切り替え手続きが必要です。退職と転職のタイミングによっては、それぞれの保険料を支払います。
退職日の翌日が転職先の入社日の場合は、そのまま転職先の健康保険と厚生年金に加入するため、自ら社会保険料の手続きをする必要はありません。
そもそも社会保険料は、退職日の翌日が属する月の前月まで前の会社で支払う仕組みです。例えば、3月31日に退職した場合は翌日4月1日の前月、つまり3月分までが天引きの対象です。4月分以降は転職するまで、自分で国民健康保険と国民年金の保険料を支払っていきます。
注意したいのは、4月15日が入社日と決まっているのに3月15日で退職してしまうなど、入社日より早く退職する場合です。この場合、2月分までは退職前の会社の給与から天引きされ、4月分は転職先で天引きされます。3月分は国民健康保険と国民年金を自分で支払わなくてはならず、所得によっては切れ目なく会社で社会保険に入るより、保険料負担が大きくなることがあります。
賞与・退職金の時期に合わせる
賞与や退職金の確定時期に合わせて退職日を決めると、得することがあります。例えば、賞与が6月に出る場合は6月末で退職すると賞与をもらってから退職できるため、5月末で退職するよりもらえる額が多くなります。
また、退職金をもらえる会社であれば、勤続年数も考慮しましょう。退職金の有無や金額は、勤続年数で決まっていることがあり、1日でも足りないと退職金をもらえなかったりもらえる金額が少なくなったりするためです。
例えば、勤続年数3年から退職金が10万円もらえる会社で、入社日から2年11か月で退職すると、勤続年数2年で退職したことになり退職金がもらえません。賞与や退職金の支給対象となる期間や日にちを確認してから、退職日を決めることが重要です。
有給休暇の残り日数を考慮する
退職日を決めるときは、有給休暇の残日数も考慮しましょう。有給を残したまま退職しても問題ありませんが、無駄にせず使い切ることで最終出社日から実際の退職日まで、給与をもらいながら休みを確保できます。
例えば、4月1日が転職先の入社日で有給が10日残っている場合、実際の退職日を3月31日として、10日分の有給休暇を使うことを想定して最後の出勤日を決めるとよいでしょう。
退職後に利用できる給付金制度の条件に注意する
転職先が決まっていない状態で退職する場合は、退職後に失業保険(雇用保険)などの給付金制度を利用できる可能性があります。
雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当を受け取る場合の条件の一つに、「雇用保険の加入期間が離職日以前の2年間に通算12か月以上」があります。あと1か月、今の会社で働けば条件を満たすのであれば、1か月後以降に退職日を設定するほうが給付金を受け取れるため得になります。
転職先が決まっている人が損しない退職日
退職後の転職先が決まっている人は、入社日の前日を退職日にすると損しにくいでしょう。
前述のとおり、社会保険は退職日の翌日が資格喪失日となり、その前月分までの保険料を以前の会社を通して支払うことになります。入社日まで1日でも空いてしまうと、国民健康保険と国民年金への切り替え手続きが必要になるだけでなく、タイミングによっては支払う社会保険料の金額が増える可能性があるため、空白期間はないほうがスムーズです。
転職先の決まっていない人が得しやすい退職日
転職先がまだ決まっていない状態で退職するときは、退職日をどう設定するかで金銭的な損得が大きく変わります。実は、自己都合か特別な事情による退職か、あるいは家族の扶養に入るかなど状況によって「得しやすい日」は異なります。
退職後の生活費や社会保険料の負担を少しでも軽くするために、ケースごとの有利なタイミングを知っておきましょう。
自己都合で退職する人
自己都合で退職する人は、3月末や賞与が支給される月の末日に退職すると得することがあります。
年度末の3月末や年末の12月末は区切りがよく、円満退社しやすい時期です。退職者が増える時期でもあるため求人の数も比較的多い傾向にあり、退職後の転職にも有利になります。
特に12月に賞与の支給がある場合、賞与を受け取れるのでお得感があるのではないでしょうか。12月支給の給与を受け取った後で辞めると会社で年末調整してもらえるため、退職後に確定申告する手間が省けるのもメリットです。
また、6月〜8月の夏のボーナス時期も、賞与を受け取ってから退職すると賞与前に辞めるより金銭面で得できるタイミングと言えます。
特別な事情で退職する人
本人の病気や家族の介護など、やむを得ない事情があり退職する人は、3月31日や4月に退職すると得するかもしれません。
退職後、すぐに転職しない場合は国民健康保険に加入する必要がありますが、一定の条件を満たす人は保険料が減額されます。減額される期間は、退職日の翌日が属する月からその月の翌年度末までです。
つまり、2025年3月31日に退職して国民健康保険料を減額してもらう場合、2027年3月31日までの期間が対象になります。一方、2025年3月25日に退職すると、2026年3月31日までとなるため、約1年分の軽減額を損してしまいます。
ただし、期間の途中で就職して会社の健康保険に加入する場合は、入社日の前日に国民健康保険は脱退となる点に注意しましょう。
退職後に家族の扶養に入る人
退職後に家族の扶養に入る人は、月の途中で退職するほうが社会保険料の負担が軽くなります。
社会保険料は退職日の翌日に属する月の前月分まで納める必要があり、月の末日に退職すると支払い対象は前月分までとなって、翌月分からは扶養家族となり支払いはなくなるためです。
一方、月の途中で退職すると退職の前月分までが支払い対象となり、退職した月から扶養に入ることになります。例えば、3月31日に退職すると3月分の社会保険料まで支払う必要がありますが、3月15日に退職した場合の支払いは2月分までとなり3月分の支払いは不要なので、社会保険料1か月分が得になります。
退職前後の流れ
退職の決定から、退職後の手続きの一般的な流れは以下のとおりです。
- 退職の1か月〜数か月前:退職の意思を会社に伝えて退職願を提出する
- 最終出社日まで:業務の引き継ぎを行う・社外の関係者に挨拶する
- 最終出社日:社内の関係者に挨拶する
- 退職日後:国民健康保険・国民年金への切り替え手続き、失業保険の受給手続き
上記の流れを押さえておけば、退職からその後の手続きまでスムーズに進められます。特に退職後の社会保険や失業保険の手続きは期限があるため、忘れずに対応しましょう。
まとめ
退職日によっては、社会保険料の支払いや有給の消化、賞与・退職金・給付金などの受け取りに影響を与えます。転職の有無や扶養の状況によっても「得する日」は変わるため、いつが得かは人によって異なります。そのため、ご自身の条件を確認したうえで決めることが大切です。
しかし、退職後の社会保険に関する手続きは複雑で、調べるだけでも手間がかかります。そこで活用したいのが、「社会保険給付金サポート」です。退職日はいつが得になるのか、ここの条件による違いを考慮したアドバイスをもらえるだけでなく、退職後にもらえる給付金の手続きまでサポートしてもらえます。退職日をいつにするか迷っている方は、ぜひ無料相談からお問い合わせください。
この記事の監修者

杉山雅浩
スピネル法律事務所 弁護士
東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。
YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、テ日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!
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