2025.09.09

失業保険について

仕事を辞めるタイミングとは?適切な伝え方や注意点を解説

社員証を投げて退職する女性

仕事を辞めるタイミングに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。会社を辞める際には、転職活動の状況や金銭面、職場との関係など、さまざまな要素を考慮する必要があります。辞めるタイミングを誤ると、次のキャリアに悪影響を及ぼすだけでなく、収入の減少や職場とのトラブルにつながるおそれがあります。

本記事では、状況別に適切な仕事を辞めるタイミングや伝え方、自己都合退職における注意点について詳しく解説します。

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仕事を辞めるベストなタイミング

退職届を見つめている男性

仕事を辞めるタイミングは、転職活動の進行状況や金銭的な余裕、会社側との関係性など、複数の要素を踏まえて判断しなければなりません。ここでは、状況別に適切な退職タイミングとその理由を解説します。

転職先が決まっている場合

転職先が決まっている場合は、求人が活発になる時期に照準を合わせると、より希望に沿った企業と出会いやすくなります。求人が増えるのは10月と3月であり、在職中から転職活動を始めると選択肢を広げられるでしょう。

退職日は12月末、3月末、または4月末に設定すると、新たな年度や期の切り替えに合わせてスムーズなスタートが切れます。3月末や4月末は多くの企業で体制変更が行われるため、新しい職場に溶け込みやすい時期です。

さらに、入社日の前日を退職日に設定すれば、健康保険や厚生年金の空白期間が発生しません。空白があると国民健康保険への切り替えが必要となり、保険料の自己負担が増えるため、社会保険の連続性を保つ工夫も大切です。

仕事を辞めた後に転職先を探す場合

転職先が決まっていない状態で退職するなら、月末の退職が理想です。社会保険料が月単位で発生するため、月の途中で辞めると働いた日数に比べて保険料の負担が大きくなるためです。

例えば、5月10日に退職しても、5月分の保険料は1ヶ月分全額かかります。一方で、月末まで働けば支払う保険料に見合った収入を得られるため、損をせずに済みます。

また、自己都合で退職した場合は、失業給付金の支給開始までに待期期間と1ヶ月の給付制限があるため、その間の生活費をカバーできるかどうかが重要です。さらに、有給休暇を退職日までに消化したり、賞与の支給時期を見計らって退職したりすると退職前の収入を多く確保できます。

ボーナスをもらった後に辞める

退職を考えている場合は、ボーナスを受け取ってから辞めるのが得策です。多くの企業では、ボーナス支給日に在籍していることが支給の条件となっているため、時期を誤ると支給対象外になる可能性があります。

一般的に、夏のボーナスは8月〜9月、冬のボーナスは12月〜1月に支給されます。有給休暇を取得中であっても在籍扱いであれば支給対象となるため、退職日は支給日以降、かつその月の月末に設定するのが理想的です。

ただし、支給直後の退職は、ボーナスだけもらって辞めたと受け取られるリスクがあります。職場との関係性を円満に保ちたい場合は、退職のタイミングを1〜2ヶ月ほど後ろにずらす配慮も必要です。

年収が下がる前に辞める

インセンティブや歩合制で収入が増減する業種においては、年収が高いうちに辞めると金銭的なメリットを得られます。例えば、営業職や販売職では四半期ごと・半期ごとに査定があり、実績に応じて給料が増える仕組みが一般的です。

上半期の成果が給与に反映されているタイミングで退職すれば、自身の実績による上乗せ部分を逃すことなく受け取れます。逆に査定後に給与水準が下がってから辞めると、退職金や最終給与が期待よりも少なくなるリスクがあります。

実績に裏打ちされた高収入の時期を見極めて退職すれば、金銭的余裕も確保しやすいでしょう。

資格取得やスキルアップ後に辞める

転職を有利に進めるために資格取得を目指している場合は、試験に合格し、資格が正式に手元にある状態で退職するのが理想です。途中で辞めて無職の状態で資格取得に専念すると、思うように進まず、無職期間が長期化するリスクがあります。

国家資格や難関資格は一度で合格できるとは限らず、再受験を要するケースもあります。その間、収入が途絶えるだけでなく、焦りやプレッシャーによって学習効率が下がることも考えられるでしょう。

退職後すぐに転職活動を始めたいのであれば、在職中に勉強時間を確保し、試験合格後に辞めるのが現実的です。また、業界のトレンドや人材ニーズを見極め、市場価値が高まった時期に転職活動を始めることも重要です。

<h2>仕事を辞めることを伝える適切なタイミング
退職の意思を伝える時期を誤ると、業務の混乱や関係悪化を招き、円満退職が難しくなります。ここでは、仕事を辞めることを伝える適切なタイミングについて、判断のポイントを3つのパターンに分けて見ていきましょう。

退職の1〜3ヶ月前に上司へ相談する

退職の意思は、原則として1〜3ヶ月前に直属の上司へ口頭で伝えてください。引き継ぎや人員調整を社内で進めるためには、ある程度の時間が必要だからです。突然の申し出となれば、周囲への負担が増え、関係性の悪化にもつながります。

伝え方は、「ご相談があります」といった切り出し方で伝えると、相手の受け止め方も柔らかくなります。

繁忙期や大きなプロジェクトの最中は避ける

退職の意思は、職場の繁忙期やプロジェクトの最中ではなく、業務が落ち着いたタイミングで伝えましょう。余裕のない時期に申し出ると、話し合いの場を設けにくくなるほか、上司の判断が後回しになる可能性もあるためです。

例えば、3月決算期や年末年始は多くの企業で繁忙期に該当し、業務負担がピークを迎えます。四半期末やプロジェクト完了後など、業務の区切りがついた時期であれば円滑に話を進めやすいでしょう。

職場によって繁忙期は異なるため、年間スケジュールを事前に確認し、相手の都合も考慮してタイミングを決めてください。

就業規則と法律の両方を確認する

退職時には、就業規則と法律の両方を確認してください。就業規則に定められた申し出期限や書類の提出方法を守らないと、社内手続きに支障が出るからです。

例えば、退職の申し出は1ヶ月前までといった規定がある場合、規定に従って計画的に進める必要があります。一方で、民法では2週間前の意思表示で退職は成立すると定められていますが、現実的には業務引き継ぎや後任の手配を考慮し、1ヶ月以上の余裕をもつほうが望ましいでしょう。

参考:(e-gov法令検索 民法 明治二十九年法律第八十九号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_627

仕事を辞めるタイミングを見極める際の注意点

退職の意思を伝える前に、金銭面や業務面でのリスクを最小限に抑えるための準備が必要です。ここでは、退職時に見落としがちな注意点を4つ紹介します。

社会保険・税金の負担と手続きを見越して計画する

退職にあたっては、健康保険・年金・住民税などの手続きと負担を事前に把握しておきましょう。退職後は支払い方法が変わり、想定以上の出費が発生するケースがあるためです。

例えば、住民税は退職後に一括納付を求められる場合があり、支払い月に大きな負担となる可能性があります。また、社会保険は国民健康保険への切り替えや任意継続の申請が必要で、保険料が現役時より高くなる場合もあります。

さらに、月の途中で退職しても保険料は1ヶ月分満額発生するため、月末退職のほうが負担を抑えやすいでしょう。

有給消化と引き継ぎを計画的に進める

スムーズな退職には、有給休暇の残日数と引き継ぎの所要期間をもとに、退職意思を伝える時期を逆算しておくことが重要です。準備不足のまま退職を申し出ると、有給を消化できなかったり、十分な引き継ぎができなかったりする可能性があります。

例えば、有給が15日残っていれば、約3週間の休暇が必要です。さらに、1〜2週間程度の引き継ぎ期間を確保すると、少なくとも退職の2〜3ヶ月前には申し出る必要があります。業務マニュアルの整備や担当交代の段取りも含めて、全体の作業量を見積もっておくことが大切です。

転職先を決めてから退職意思を伝える

次の職場が決まった状態で退職を申し出るほうが、上司の理解を得やすく、退職の承認もスムーズに進みます。さらに、収入の空白期間がなくなるため、生活の不安も軽減されるでしょう。

転職活動がうまく進まないまま退職してしまうと、再就職までに時間がかかり、手元の貯金が減少し続け、精神的な負担も大きくなります。生活とキャリアの安定を両立させるには、転職先を確保したうえで退職の意思を伝えるのが確実です。

自己都合退職をする場合はタイミングが重要

自己都合退職の場合、失業保険の給付開始まで1〜3ヶ月の給付制限があるため、退職時期は慎重に選んでください。転職が決まっていない状態で退職すると、休職期間中の生活費が負担になります。

ただし、一定の条件を満たせば「特定理由離職者」として認定され、給付制限が免除される場合もあります。例えば、体調不良による退職や、通勤困難などの正当な理由がある場合です。

自己都合退職にともなうリスクを避けるためにも、退職時期と失業保険の制度を事前に理解しておきましょう。給付条件の詳細は次の見出しで解説します。

自己都合退職をする場合に知っておくべきこと

悩んでいる男性の図

自己都合で退職する場合、失業保険の受給条件や給付制限の有無など、会社都合退職とは異なるルールが適用されます。ここでは、自己都合退職をする場合に知っておくべきことを4つ紹介します。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、労働者自身の意思によって勤務先を離れることを指します。代表的な理由は以下のとおりです。

  • 結婚
  • 出産
  • 育児
  • 介護
  • 転居
  • 転職 など

 

また、懲戒処分によって解雇された場合であっても、実務上は自己都合退職として扱われるケースがあります。形式上は自主的な退職と見なされるものの、本人の意思とは異なる形での退職である点に注意が必要です。

自己都合退職か会社都合退職かの判断がつかない場合や記載内容に疑問がある場合は、必ず会社に確認してください。雇用保険被保険者離職票(離職票-2)に記載される退職理由を事前に把握しておきましょう。

自己都合退職に該当すると、失業保険の給付条件は会社都合退職とは異なり、7日間の待期期間に加えて、原則として1ヶ月の給付制限期間を経なければ支給が開始されません。

自己都合退職でも失業保険はもらえる?

自己都合退職でも、一定の条件を満たせば失業保険を受給できます。主な受給条件は以下のとおりです。

  • 雇用保険に加入し、保険料を支払っている
  • 離職前2年間に12カ月以上の被保険者期間がある(※特定理由離職者など一部例外あり)
  • 就労の意志と能力があり、求職活動を行っている

 

反対に、以下のような場合は受給対象外となります。

  • 出産や育児で当面働く予定がない
  • 病気やケガにより就労が難しい
  • 学業や家事、役員就任などで働く意思がない
  • 雇用保険未加入の自営業者

 

失業保険を受け取るには、あくまで「すぐに働ける状態」であることが条件です。

自己都合退職の場合は給付期間の制限がある

自己都合退職では、会社都合退職と比較して失業保険の受給条件が厳しくなります。退職後すぐには給付されず、7日間の待期期間を経たうえで、さらに1ヶ月間の給付制限期間が設けられます。
また、給付日数も90日〜150日程度と、会社都合より短く設定されるのが一般的です。退職時期の選定や転職活動の準備には、これらの制限を考慮する必要があります。

退職理由によっては給付期間の制限がないこともある

やむを得ない事情で退職した場合は、自己都合退職でも特定理由離職者として扱われ、給付制限が免除される可能性があります。対象となる具体例は以下のとおりです。

  • 健康問題:医師の診断で業務継続が困難と判断された
  • 家族の介護:家族の介護が必要となり勤務継続が難しくなった
  • 通勤困難:転居や交通事情の変化により通勤が不可能になった(例:片道2時間以上など)
  • 労働条件の変更:賃金の大幅な減額、極端な勤務時間の変化などがあった
  • 契約社員の満了:雇用継続の意思があったにもかかわらず契約更新されなかった

 

上記に該当すれば、会社都合に近い条件で保険を受給できる可能性があります。証明書類なども必要になるため、事前にハローワークへ相談しましょう。

仕事を辞めるタイミングに関するよくある質問

転職を検討する際は、多くの疑問や不安がつきものです。ここでは、仕事を辞めるタイミングに関するよくある質問を3つ紹介します。

辞める前に転職先を決める場合はいつから転職活動を始める?

転職活動は、退職の3〜6ヶ月前から始めるのが理想です。企業の選考には応募から面接、内定まで1〜2ヶ月かかるのが一般的であり、スムーズに内定を得るためには余裕のあるスケジュールが求められます。

3月や9月は企業の人員計画が動きやすく、求人数が増加する傾向があります。求人数が増加する時期を狙えば応募先の選択肢が広がり、希望条件に合った転職先を見つけやすいでしょう。

また、内定後は入社日の調整が発生するため、退職日との逆算も欠かせません。在職中に内定を獲得しておけば収入の空白期間を回避でき、生活設計にも安心感が生まれます。

退職を引き止められないコツは?

退職を引き止められないためには、転職先が決まっていることを明確に伝えるのが有効です。「すでに内定をもらっている」と伝えると、会社側が説得を試みる余地を狭められます。

また、退職理由は感情ではなく、論理的な根拠をもって伝えましょう。「キャリアアップのため」「家庭の都合で通勤が困難になった」など、具体的で納得しやすい理由を準備しておくと、無用な交渉を回避しやすくなります。

さらに、直属の上司に冷静かつ誠実な姿勢で話すことも大切です。事前にアポイントを取り、退職の意思を丁寧に説明すれば、円満な関係を保ったまま退職できるでしょう。

退職前に準備しておくべきことは?

退職前の準備として、有給休暇の残日数と退職日の確認は欠かせません。残っている有給を計画的に消化すると、給与の補填になり、余裕をもって新生活へ移行できます。

また、税金・保険・年金の手続きも退職後すぐに必要になるため、事前に知識を備えておくことが重要です。例えば、住民税は一括納付になるケースがあり、国民健康保険や国民年金の加入手続きも忘れずに行う必要があります。

さらに、業務の引き継ぎ資料やマニュアルの整備も重要です。後任がスムーズに業務を進められるよう引き継ぎ計画を立てると、周囲に迷惑をかけずに退職できます。

最後に、退職時に会社から受け取るべき書類(離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証など)については、事前に担当部署へ依頼し、退職日までに受け取れるよう確認しておきましょう。

まとめ

仕事を辞めるタイミングは、転職活動の状況や金銭的な余裕、社内の人間関係など、複数の視点から判断することが重要です。また、退職の伝え方や事前準備を丁寧に行うと、円満な退職と次のステップへの好スタートが両立できます。

自己都合退職の場合は、失業給付金や健康保険の傷病手当金などの受給には制度の理解が求められます。手当や給付金を確実に、そして最大限に活用するためには、専門的な知識や手続きが必要です。

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この記事の監修者

杉山雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、テ日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

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