2025.11.25
退職について
潰れる前に辞めた方がいい?会社が倒産しそうな場合の転職対策と対応策

一昔前までは、一度入社すれば定年までの雇用が保証されていましたが、現在の日本では大企業であっても、会社が倒産してしまう可能性があります。そのような場合、会社のその後の状況によっては転職をする必要が出てくることでしょう。ここでは、会社が倒産しそうなときの転職方法などについて、ご紹介します。
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会社が倒産しそうなときにまず確認すべきサイン
「なんか最近、会社の雰囲気おかしくない?」と感じたら、まずは以下のサインを簡単にチェックしてみてください。
給与が遅延・残業代の未払いが出始めている
普段は当たり前に払われていた定時の給与や残業代に遅れが出ていると、会社の資金繰りにすでに余裕がない可能性があります。
設備投資や維持・更新が停滞している、役員や幹部の離職が増加
会社として“次を見据えた動き”を止めている場合、成長どころか維持にさえ重心が移っている兆候です。
主要取引先が離れ始めている、リストラや早期退職の募集が活発化している
取引先の離脱=売上減少、リストラ=人件費削減という構図に直結する可能性があります。
財務状態の悪化:債務超過・資金繰りが逼迫しているという報道や制度変更がある
具体的な数字は社員として把握しづらいですが、新聞・業界紙・社内掲示などで“資金繰りに苦しんでいる”ような情報が出ていれば警戒しましょう。
会社が倒産しそうなときは会社都合退職が有利?
次に、実際に会社が倒産しそうなときの退職について、解説していきましょう。会社を退職して転職する際に、退職理由に「自己都合」か「会社都合」かを記載しますよね。ほとんどの退職理由は「自己都合」になるかと思いますが、会社が倒産しそうなときの退職に関しては、どうなのでしょうか?結論から言うと、会社が倒産しそうな時の退職に関しては、「会社都合」での退職の方が有利でしょう。なぜなら、会社が倒産しそうでなければ、そのままその会社で働く意思があった場合、「自己都合」で退職してしまうと、次の転職先での印象が大きく変わってしまうからです。
また、倒産しそうな会社を退職して、次の転職先がなかなか見つからなかった場合に、失業保険を受給することになりますよね。その際に、「自己都合」で退職していると、1か月間の失業保険の給付制限があります。そのため、総合的に考えると、「自己都合」よりは「会社都合」での退職の方が有利になると言えるでしょう。
会社都合退職になる条件と気をつけたいポイント
「会社都合になるかどうかって、何が決め手?」と思う人は多いです。
結論、倒産や解雇、事業所の閉鎖などのケースは会社都合退職として扱ってもらうことができます。
ハローワークや厚生労働省の資料でも、会社都合になるケース(特定受給資格者・特定理由離職者)が開設されているため、自分は当てはまるのかどうかをチェックしておくとよいでしょう。
ただ、離職理由は会社が離職票などへ会社側が設定、記載するもののため、中には明らかに解雇や退職勧奨など会社都合退職に当てはまる要件で退職したはずなのに会社から自己都合退職などと記載されてしまう、など事実と異なる離職理由にされるケースもあります。
そんな時はハローワークにて異議申し立てが可能ですが、そんな時に備え、
- 「辞めてください」と言われた証拠
- 給与遅延の記録
- 就業条件の大幅な変更のお知らせ
念のためこういった“事実を示すもの”を証拠として残しておくとスムーズです。
倒産前後に使える給付金・保障制度
倒産リスクがある会社にいるとき、いざ倒産した時のその後の生活費など、金銭面が一番不安になるポイントだと思います。
そんな時に知っておきたいのが以下の制度です。
未払賃金立替払制度
会社が倒産して給与が払われないとき、国(労働者健康安全機構)が一定額を立て替えてくれる制度です。
立て替えてもらえる額については未払い賃金総額の8割が基本ですが、上限額も存在するため注意しましょう。
| 退職日における年齢 | 未払賃金総額の限度額 | 立替払の上限額 |
| 45歳以上 | 370万円 | 370万円×0.8 296万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 220万円 | 220万円×0.8 176万円 |
| 30歳未満 | 110万円 | 110万円×0.8 88万円 |
例)退職日に35歳で未払賃金が 200万円の場合は、立替払額 160万円
退職日に35歳で未払賃金が 300万円の場合は、立替払額 176万円
参考:厚生労働省|未払賃金立替払制度の概要と要件について教えてください。
ちなみに、令和5年度の立替実績は86億円ほどとなっており、法的倒産だけでなく「事実上の倒産」も対象になる場合もあります。
失業保険(基本手当)
失業中に転職や再就職を行う間の生活を支援するための公的保険制度ですが、退職理由によって受給までの期間が異なります。
自己都合退職の場合は受給までに「給付制限」が発生し受給まで最短2ヵ月ほどがかかりますが、先述の通り解雇や倒産などで会社都合退職の扱いになると「給付制限」が必要なくなり、自己都合退職よりもすぐに失業保険を受け取ることができます。
その他の制度
その他、
- 健康保険料の免除・猶予
- 傷病手当金(メンタル不調で働けない場合)
- 公共職業訓練の各種支援
などの利用も役立てられます。
利用できる制度を上手く活用できれば金銭的負担がかなり異なるため、“早めに情報だけでも押さえておく”のがコツです。
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会社が倒産しそうなときの転職のタイミングとは
次に、会社が倒産しそうなときに転職するタイミングについて、お伝えしていきます。会社が倒産しそうなときは、なるべく早く転職活動をすることがおすすめです。そのため、倒産前に退職した方が良いでしょう。倒産前なら、収入を確保した状態で転職先を見つけることが出来ますし、有休を使って転職活動を行うことも可能です。
また、会社は倒産直前になると、人件費削減のために早期退職者を募ることがよくあります。このときに退職すると、退職金が上乗せされることがあるのです。給与や退職金を受け取ることができ、ボーナスカットのリスクも少なくなります。
さらに、倒産時は会社も混乱するため、なかなか転職活動が思うように進まなくなる可能性があります。倒産直前の会社は、売り上げを確保しようとするので、ノルマが厳しくなるのです。また同時期に、退職者が続出するので、残った社員で仕事を回すという状況になります。そのため、今までよりも仕事が忙しくなるケースがあり、思うように転職活動が出来なくなるのです。
このような理由から、スムーズに退職して収入が途切れずに転職したい場合は、同僚と情報を共有しながら協力して、倒産前に転職活動をすることをおすすめします。
倒産しそうな会社に残るリスク・辞めるリスク
「残るべき?辞めるべき?」は非常に悩ましいところです。
それぞれのメリット・デメリットを整理しておきましょう。
残るリスク
- 給与未払いが出る
- 会社が急に倒産して退職金どころじゃなくなる
- 雰囲気が悪くなり精神的にしんどくなる
- 転職タイミングを完全に逃す可能性
その環境で精神的負荷を受けながら倒産まで働き続けることができるか、という点がポイントになってきます。
辞めるリスク
- 退職理由が自己都合退職となり転職に不利
- 次が決まっていないと収入が途切れる
- 転職先が決まっていない場合、辞めた時点で条件が合う求人がタイミング的に少ないこともある
やはり転職活動のやりづらさが大きなデメリットとして挙げられます。
転職活動をする際の注意点
会社が倒産しそうなときの転職活動の際に、一番注意しなければならないことは、会社が倒産しそうだという話を周囲に漏らしてしまう点です。倒産の事実は、どんな理由があっても会社からOKが出ない限り、外部へ漏らしてはいけないとされています。これは、会社が取引している関係会社が、倒産しそうだと分かれば途端に取引を停止してしまい、業績の回復に努めることが出来なくなるからです。
また、もし業績を回復させて倒産を免れた場合でも、一度倒産しそうになったということが分かれば、その後の取引は難しくなります。そのため、会社が倒産前に転職活動をする際は、いかなる場合でも外部に倒産しそうだということは漏らさないようにしましょう。
さらに、2つ目の注意点としては、やはり転職のタイミングでしょう。まずは、会社へ倒産の情報が本当なのかの事実確認を行い、その後の会社の方針を聞いたうえで、転職するかを判断する必要があります。先ほども解説しましたが、退職のタイミングによっては、退職理由が「自己都合」になり、転職の際に不利になる可能性があります。また、倒産と転職活動を上手に並行しながら行わないと、失業保険がもらえるとは言え、今までの給料の6割程度になってしまいます。
一番恐れるべきことは、倒産した会社からの給料が未払いになる可能性もゼロではなく、収入がかなり減ってしまうということも頭に入れておく必要があります。このような理由から、会社が倒産しそうなときの転職活動では、タイミングと外部に倒産しそうだということを漏らさないような注意が必要なのです。
倒産前後の転職のメリットとデメリット
それでは最後に、倒産の前と後での転職のメリットとデメリットを、解説します。まず、倒産前の転職のメリットとしては、収入を途切れさせることなく転職先を見つける事が可能で、有休も使うことが出来るという点です。また、退職金や給与の支払いも滞ることがないので安心です。しかし、デメリットとしては、退職理由が「自己都合」になる点です。そのため、倒産しそうな会社の管理職や経営側に在籍していた場合は、転職先での印象がやや悪くなるというデメリットがあるでしょう。
一方、倒産後に転職した場合のメリット・デメリットについても挙げて行きます。倒産後の転職での最大のメリットは、やはり退職理由が「会社都合」になるという点です。会社都合で退職しているため、責任感を評価されることもあります。さらに、失業保険の受給日が早くなったり、給付期間の延長や金額も大きくなったりするのです。ただ、デメリットとしては、職歴にブランクができることや、給与などが未払いになる可能性があることです。また、倒産時の混乱に巻き込まれることが多いのも、デメリットだと言えるかもしれません。
早く動いた人・ギリギリまで動かなかった人の違い

早めに動いた場合・動かなかった場合でこういった差が生まれることが考えられます。。
早めに動いたAさん
- 会社の雰囲気に違和感を覚えた段階で、転職サイトと専門家に相談
- 倒産する頃には別の会社から内定
- 未払い分も「未払賃金立替払制度」で申請して無事カバー
ギリギリまで会社に残ったBさん
- 「きっとなんとかなる」と思い込んで動かなかった
- 倒産後に慌てて転職活動開始
- 求人市場が落ち込んでいて条件のいい企業に出会えない
- 未払賃金の申請期限にも気づかず受け取れなかった
とにかく、気になった時にすぐ動き出した方が“損”をしにくいです。
まずやるべきことをチェックリストに洗い出そう
倒産リスクを感じたら、今日からできることをまとめておきましょう。
- 給与明細と実際の支払日を確認して、遅れがないか見ておく
- 離職票・通帳コピー・契約書などの書類を避難させる(PDF化など)
- 転職サイト・エージェントに登録して“選択肢”を確保
- 失業手当の受給条件をざっくり確認https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
- 未払賃金立替払制度の条件も一度チェックhttps://www.mhlw.go.jp/content/001281250.pdf
- 家計の支出を見直して、しばらくの生活費を把握
- ストレスや体調の変化があれば、早めに相談や受診を検討
- 会社都合になりそうな要素(給与遅延、事業所閉鎖の話など)を把握
- 履歴書や職務経歴書を最新化
- 労基署・ハローワークなどの相談先をメモしておく
ひとつひとつは小さな準備でも、積み重ねると安心につながります。
まとめ
今回は、勤めている会社が倒産しそうなときの転職方法やタイミングなどを、どのようにしたら良いのかについて、詳しく解説してきました。入社したときは、多くの方が長くその会社で勤めあげたいと思っているものです。しかし、現在の日本では、大企業であっても倒産の可能性を抱えており、社員は転職も視野に入れながら働くことが重要です。普段から、倒産の前と後での転職におけるメリット・デメリットをシュミレーションしながら、働くことが大切だと言えるでしょう。
倒産する前に退職を検討する場合は、「社会保険給付金サポート」の利用をぜひ選択肢に入れてみてください。平均400万円以上の給付金を受け取り損ねてしまう可能性があります。
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この記事の監修者
萩原 伸一郎
ファイナンシャルプランナー(FP)資格を持ち、東証一部上場企業に入社。資産形成、資産運用、個人のライフプランニングなどを経験。これまでに10,000名以上の退職後のお金や退職代行に関する相談などを対応した経験から、社会保険や失業保険についてわかりやすく解説。
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