2025.10.31

転職・再就職について

自分で仕事を見つけた時の再就職手当はどうなる?もらえるケースと受取方法を解説

再就職手当のイメージ

失業手当の受給中に就職すると受け取れる「再就職手当」は、自分で仕事を見つけて就職した場合でも、条件を満たせば受給できます。ただし、給付制限の有無や就職のタイミングによって対象外になるため、受け取れる給付金を逃さずもらうには、制度を正しく理解しておくことが重要です。

本記事では、自分で仕事を見つけた時に再就職手当をもらえる条件を解説します。給付金をもらい損ねないために押さえたい注意点や確認項目も紹介するので、求職活動中の方や再就職を控えている方はぜひ参考にしてみてください。

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自分で仕事を見つけた場合でも再就職手当を受け取れる?

再就職手当を受け取れる考える男性
自分で仕事を見つけた場合、再就職手当をもらえるかどうかは、給付制限の有無と就職のタイミングによって異なります。給付制限とは、給付金が支給されない失業手当の受給開始までの期間です。

ただし、給付制限中でも条件を満たして就職すれば再就職手当の受給対象になります。
ここでは、自分で仕事を見つけた場合に、再就職手当の受給が可能なケースを解説します。

自分で見つけた仕事でも受け取れるケース

自分で仕事を見つけて就職し、再就職手当をもらえるパターンは以下のとおりです。

特定受給資格者または特定理由離職者に該当し、待期期間を経過後に自分で見つけた仕事に就くケース
一般の離職者に該当し、待期期間満了後の給付制限期間のうち1か月が経過してから自分で見つけた仕事に就くケース

上記のケースに該当し、かつ支給要件を満たす場合は再就職手当を受給できます。

自分で見つけた仕事ではもらえないケース

自分で見つけた仕事に就くと再就職手当をもらえないのは、以下の条件を2つとも満たす人です。

特定受給資格者や特定理由離職者に該当しない「一般の離職者」
待期期間満了後から給付制限期間1か月以内に就職した人

給付制限が1か月以上ある人は、1か月を超えてから自分で仕事を見つけていれば、給付制限期間中でも再就職手当をもらえます。

2025年4月以降、教育訓練等を受ける場合は受講開始日から給付制限が解除されるようになりました。しかし、給付制限が解除される前と同様に、待期期間後1か月以内の就職は自分で見つけた仕事に就くと再就職手当をもらえないので注意しましょう。(※)

※参考:厚生労働省|令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます

給付制限の1か月以内に就職して再就職手当をもらう条件

給付制限がかかっている場合、給付制限中の1か月の間は、以下の機関からの紹介による就職でないと再就職手当はもらえません。

  • ハローワーク(公共職業安定所)
  • 国(厚生労働大臣)から許可された職業紹介事業者

 

国から許可された職業紹介事業者とは、以下の職業安定法第4条第1項で定義されている職業紹介を行う事業者のことです。

”第四条 この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。”(引用:e-GOV|職業安定法第4条第1項

具体的には、地方公共団体や商工会議所、一般企業などが国の許可を受けて仕事の紹介を行っています。無料の職業紹介もありますが、有料サービスもあることが特徴です。

自分で仕事を見つけて再就職手当を受給する際に影響する離職理由とは

自分で仕事を見つけた場合、給付制限の有無によって再就職手当がもらえるかどうかが決まります。失業手当で給付制限がかかる人と期間は、以下のとおりです。

給付制限がかかる人

給付制限期間

一般の離職者

1か月

離職日以前の5年以内に2回以上正当な理由なく退職して失業手当の受給資格が決定された人

3か月

懲戒解雇された人

3か月

参考:厚生労働省|離職されたみなさまへ

ただし、一般の離職者のうち、2025年3月31日以前に退職した人の給付制限は原則2か月です。給付制限の有無や期間を確かめるためにも、まずは自分の離職理由を把握しておきましょう。

特定受給資格者

特定受給資格者とは、会社都合で離職した人のことです。具体的には、会社の倒産や解雇が挙げられます。

「倒産による離職」には、以下の5つのパターンが該当します。

  • 会社の破産や民事再生、会社更生など倒産手続きにより離職した人
  • 事業所が大量雇用変動の場合の届出を出して離職した人
  • 大量雇用変動の場合の届出により3分の1超の労働者が離職したことで離職せざるを得なかった人
  • 事業所の廃止により離職した人
  • 事業所の移転で通勤困難になり離職した人

 

一方、「解雇による離職」に該当するのは、主に以下の人です。

  • 労働者本人による重大な過失以外で解雇されて離職した人
  • 労働契約と実際の労働条件が著しく相違したことで離職した人
  • 賃金3分の1超の未払いが2か月以上続いていて離職した人
  • 予告なく賃金が85%未満に低下して離職した人
  • 離職直前の3か月間連続において時間外労働が1か月45時間超になり離職した人
  • ハラスメントなどの嫌がらせや冷遇で離職した人

 

特定受給資格者は、就職するための準備期間がないまま離職を余儀なくされたと判断されるため、失業手当の給付制限はかかりません。そのため、7日間の待期期間後であれば、自分で見つけた仕事でも、条件を満たせば再就職手当がもらえます。

参考:ハローワークインターネットサービス|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

特定理由離職者

特定理由離職者とは、主に有期雇用において、労働契約の満了後に更新を希望したのに更新されずに離職した人が該当する離職者の区分です。

また、以下のような正当な理由があって離職した人も、特定理由離職者に該当する可能性があります。

  • 労働者本人の心身の障害や体力・視力・聴力・触覚の低下
  • 妊娠・出産・育児により失業手当の受給期間延長措置を受けた
  • 父母や親族の介護や扶養
  • 配偶者や扶養家族との同居
  • 通勤不可能または困難
  • 希望退職者の募集に応じた

 

特定理由離職者に該当すると判断された場合は、特定受給資格者と同様に給付制限はかかりません。そのため、待期期間後に自分で見つけた仕事に就き、その他の条件を満たしていれば再就職手当をもらえます。

一般の離職者

一般の離職者とは、特定受給資格者と特定理由離職者以外で、自己都合により退職した人です。一般の離職者は、原則として待期期間後に1か月の給付制限がかかるため、この間は失業手当を受給できません。

ただし、ハローワークや国から許可を受けた職業紹介事業者からの紹介であれば、給付制限中の就職でも再就職手当を受け取れます。給付制限期間1か月以内は、自分で見つけた仕事ではもらえないので注意しましょう。

就職困難者

就職困難者は、主に以下の人が該当します。

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 保護観察中の人
  • 社会的事情により就職が著しく阻害されている人

 

就職困難者でも自己都合によって退職すると、1か月の給付制限がかかることがあります。心身の不調や正当な理由による退職など、特定受給資格者や特定理由離職者に該当するような理由があれば、給付制限がかかりません。

再就職手当をもらう際に注意したいポイント

失業手当や再就職手当は、スムーズな再就職を後押ししてくれる心強い制度ですが、就職のタイミングや支給残日数によってもらえる金額が変わります。また、受給の可否にも影響するため、制度を正しく理解しておくことが大切です。

ここでは、再就職手当を受け取る際、特に注意すべきポイントを3つ解説します。

就職のタイミングによっては失業手当をもらえない

特定受給資格者と特定理由離職者は、待期期間終了後の就職なら再就職手当の受給対象です。給付制限がかかる人でも、期間中の1か月以内はハローワークや、国に許可された職業紹介所業者からの紹介による就職であれば受給できます。

しかし、再就職手当はもらえても、就職のタイミングによっては失業手当をまったくもらえないケースもあります。例えば、1か月の給付制限がある人の場合、待期期間後1か月以内にハローワークの紹介で就職すると、再就職手当はもらえても失業手当は1円ももらえません。

また、給付制限のない人でも、待期期間後すぐに就職すると失業手当をほとんど受け取れないことに注意が必要です。例えば、待期期間終了から5日経過後に就職した場合、失業手当は5日分、再就職手当は支給残日数に応じた金額を受け取ることになります。

職業訓練を受けて給付制限が解除されても就職の条件は制限される

2025年4月より、以下のような職業訓練等を受けた場合は、受講開始日以降の失業手当の給付制限が解除されます。

  • 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
  • 短期訓練受講日の対象となる教育訓練
  • 公共職業訓練等

 

例えば、本来給付制限が1か月ある人が、待期期間の終了から2週間後に該当の職業訓練を受け始めた場合は、残りの給付制限を約2週間短縮できます。

しかし、職業訓練により解除された給付制限は、再就職手当の受給とは関係ないことに注意が必要です。職業訓練で給付制限が解除されていたとしても、本来の給付制限期間1か月以内に自分で見つけた仕事に就職すると再就職手当はもらえません。

支給残日数によってもらえる金額が変わる

再就職手当でもらえる金額は、失業手当の支給残日数によって変わります。

支給額は、「基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×給付率」で計算された金額です。給付率は支給残日数によって変わり、3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%で計算されます。

仮に所定給付日数が90日、基本手当日額が5,000円の人の場合、支給残日数が60日あれば21万円支給されます。一方、支給残日数が59日の場合は、支給額が17万7,000円となり、再就職が1日遅いだけで3万円以上少なくなるケースがあることも押さえておきましょう。

自分で仕事を見つけたときに再就職手当をもらうための確認項目

自分で仕事を見つけて就職する場合、どのような条件・状況であれば再就職手当をもらえるのでしょうか。ここでは、給付金をもらえる就職のタイミングや支給残日数、就職先の雇用期間などを具体的に解説します。

就職のタイミング

失業手当の申請後、自分で見つけた仕事に就いて再就職手当をもらうには、離職理由に応じたタイミングであることが重要です。受給対象になる時期を離職理由ごとに、以下の表にまとめました。

離職理由

受給対象になる時期

特定受給資格者・特定理由離職者

待期期間後

一般の離職者など給付制限がある人

給付制限開始から1か月後

原則として待期期間は7日間ですが、期間中に就労した日は換算されないため、働いた分の日数が延長されます。

つまり、特定受給資格者や特定理由離職者であっても、失業手当の申請から7日間が経過した後の就職なら、必ず再就職手当の対象になるわけではありません。「待期期間終了後」の就職であるかが焦点になります。

失業手当の支給残日数

再就職手当をもらうには、失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上必要です。残りが3分の1未満の場合は受給できません。

失業手当の所定給付日数に対して、再就職手当の対象になる支給残日数は以下のとおりです。

所定給付日数

再就職手当の対象となる支給残日数

90日

30日以上

120日

40日以上

150日

50日以上

180日

60日以上

210日

70日以上

240日

80日以上

270日

90日以上

300日

100日以上

330日

110日以上

360日

120日以上

参考:ハローワークインターネットサービス|再就職手当のご案内

退職前に勤めていた会社との関連性

退職前に勤めていた会社に再び雇用される場合は、再就職手当の対象にはなりません。

また、勤めていた会社のグループ会社や取引先など、資本や資金、人事、取引などで密接な関わりがある企業への就職も対象外です。場合によっては、再就職手当の申請時に、関連企業への就職ではないことを証明する書類の提出を求められることがあります。

就職先の雇用期間

就職先の雇用期間が1年以下の場合は、再就職手当はもらえません。再就職手当は安定した職業に就くことを促進するための制度で、雇用期間が1年以下の雇用契約は「安定した職業」とは言えないためです。

また、雇用期間が1年以下で、契約更新のためにノルマがある場合も再就職手当の対象外です。派遣なども同様で、1年を超えて雇用契約が継続されると見込めない場合は受給できません。

一方、雇用期間の定めがないアルバイトやパート、1年超の雇用が見込まれる契約社員などは支給対象となります。

雇用保険の加入条件

再就職手当の受給には、原則として就職先で雇用保険に加入することが条件です。2025年9月時点の雇用保険の加入条件は、以下のとおりです。

  • 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用が見込まれること

 

つまり、上記を満たして雇用保険に加入できるのであれば、パートやアルバイトでも再就職手当の支給対象になります。

ただし、雇用保険への加入はあくまで原則であり、個人事業主として開業する場合は加入できませんが、その他の条件を満たせば再就職手当をもらえます。

過去の再就職手当の受給状況

過去3年以内の就職において、再就職手当や常用就職支度手当をもらった人は、今回の就職で再就職手当は受給できません。

過去3年以内の起算日は、前回就職手当をもらったときの就職日です。つまり、2024年4月1日の就職で再就職手当をもらった人は、2027年4月1日までの就職ではもらえません。2027年4月2日以降の就職から、再就職手当の支給対象になります。

内定をもらった時期

就職する日が待期期間後、あるいは給付制限期間の1か月が過ぎた後でも、再就職先から内定をもらったのが失業手当の申請前だった場合は、再就職手当の対象外です。

給付制限がない人の場合、待期期間中に内定をもらい、期間経過後に就職日を迎える場合は再就職手当をもらえます。

自分で仕事を見つけたときにもらえる再就職手当以外の給付金

再就職手当以外の給付金を確認する様子

条件によっては、自分で仕事を見つけて就職すると再就職手当をもらえないことや支給額が少ないことがあります。実は、再就職手当以外にも再就職でもらえる給付金があるため、自分のケースではどのような制度を利用できるか確認することが大切です。

ここでは、再就職でもらえる可能性のある給付金について解説します。

就業促進定着手当

就業促進定着手当とは、再就職手当をもらった人が以下の条件を満たすと受け取れる給付金です。

  • 再就職先に6か月以上雇用された
  • 再就職先で6か月間に支払われた賃金1日分が離職前より低下している

 

上記を満たしたうえで申請すると、上限額はありますが、「離職前と再就職後の賃金の差額×再就職した日から6か月間の賃金支払い日数」で計算される金額を受け取れます。

常用就職支度手当

常用就職支度手当とは、基本手当の受給資格を持つ就職困難者(身体障害者・知的障害者・精神障害者など)や、再就職手当の対象とならない45歳以上の中高年齢者が再就職したときにもらえる給付金です。

支給要件は、待期期間および給付制限期間が経過した後に、安定した職に就いていることが求められます。再就職手当と同様に、給付制限期間中に就職が決まった場合は支給対象外です。

まとめ

自分で仕事を見つけた場合でも、待期期間や給付制限の有無、離職理由などの条件を満たせば再就職手当を受け取れます。

ただし、タイミングや雇用条件によっては対象外となります。支給残日数や関連企業への再雇用なども影響するため、事前の確認が欠かせません。

受給条件に当てはまらない場合でも、他の給付制度を活用できる可能性があります。複雑な制度を一人で調べるのが不安な方は、「社会保険給付金サポート」を活用しましょう。

社会保険給付金サポートでは、個々の条件に合わせて再就職でもらえる給付金をご提案し、実績豊富な担当者が手続きをサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

杉山 雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

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