2025.06.05

給付金について

失業保険以外にもらえるお金14種類選!対象条件や注意点を解説

失業保険以外にもらえる給付金の受給金額を確認し喜ぶ男性

失業後の生活に不安を感じたとき、まず気になるのが「どんな支援が受けられるか」ではないでしょうか。実は、失業保険以外にも状況に応じてさまざまな給付金や支援制度が用意されています。なかには退職後すぐに申請できるものや、再就職の準備を支援するものもあります。

本記事では、条件に応じて失業保険以外にもらえる可能性のあるお金とそれぞれの内容や申請時の注意点をわかりやすく解説します。

 

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失業保険以外にもらえるお金【一覧】

給付金のお金を手にし、喜ぶ女性
失業した際にもらえるお金として、まず思い浮かぶのが「失業保険」ですが、実は他にももらえるお金が複数存在します。「雇用保険に加入していたかどうか」によって対象が分かれるものや、雇用保険の有無に関係なく受け取れるものなど、種類はさまざまです。
受給条件の違いを踏まえ、14種類の支援制度について次の表にまとめました。

特例一時金

雇用保険加入者

離職前に6カ月以上就労

日雇労働求職者給付金

日雇労働者

日雇手帳保持など

教育訓練給付金

雇用保険加入者

雇用保険の加入期間など

広域求人活動費・移転費

雇用保険加入者

ハローワークでの手続きが必要

就職促進給付

雇用保険加入者

早期再就職など

職業訓練受講給付金

雇用保険受給資格者以外

世帯収入など諸条件あり

求職者支援資金融資

雇用保険受給資格者以外

月10万円の受給など

住居確保給付金

社会保険未加入者

離職後2年以内など

退職手当

雇用形態により異なる

勤続年数や退職理由による

傷病手当金(再掲)

社会保険加入者

条件により退職後も可

未払賃金立替払制度

雇用保険加入の有無を問わない

会社の倒産など

失業保険以外にもらえるお金8選【社会保険に加入していた人】

社会保険に加入していた方は、病気やスキルアップ、再就職に向けた訓練など、さまざまな場面で公的支援を受けることが可能です。

1.傷病手当金

社会保険に加入している方が、業務外のケガや病気で仕事を休んだ場合に支給される給付金です。診断書の取得は必須ではなく、医師による診断で申請が可能です。

支給要件は次のとおりです。

  • 業務外の傷病による就労不能
  • 連続した3日間の待期期間を含む4日以上の休業
  • 休業中に給与の支払いがない

 

支給金額は、1日あたり「支給開始日前12か月の標準報酬月額平均 × 2/3 ÷ 30日」です。

2.技能習得手当・寄宿手当

「技能習得手当」と「寄宿手当」は、ハローワークの職業訓練に参加する方が受けられる、再就職の支援を目的とした給付制度です。雇用保険の受給資格がある方が公共職業訓練を受ける際に通学にかかる費用の負担軽減を目的に支給されます。

支給される手当は、以下の3種類です。いずれもハローワークへの申請と認定が必要です。

  • 受講手当:訓練に出席した日数に応じて1日500円(上限20,000円)を支給
  • 通所手当:交通費として月42,500円まで支給
  • 寄宿手当:自宅が遠方にあり、訓練施設に通えない場合、月10,700円

3.高年齢求職者給付金

「高年齢求職者給付金」は、65歳以上で雇用保険に加入していた方が、退職後に仕事を失った際に受け取ることができる給付金です。支給金額は、被保険者の期間に応じた金額となります。

高年齢求職者給付金を受け取るための条件や金額の目安は、以下の通りです。

支給条件

支給金額

・65歳以上の被保険者である

・短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者ではない

・離職により給付金の資格対象者になる

・労働の意思と能力はあるが職につけない方

・原則離職前1年間の被保険者期間が、通算6か月以上

・1年以上の方…50日分

・1年未満の方…30日分

参考:厚生労働省|離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>

 

4.特例一時金

「特例一時金」は、離職と就職を短い期間で繰り返している方に向けて設けられた給付制度です。通常、雇用保険の基本手当(失業保険)を受けるには、「直近2年間に12カ月以上の被保険者期間」が必要ですが、条件を満たせない方もいます。特例一時金は、そんな方を対象に、一時的な生活支援としてまとめて支給される制度です。

特例一時金を受け取るための条件や金額の目安は、以下の通りです。

支給条件

支給金額

・労働の意思と能力はあるが職につけない方

・離職前1年間に11日以上働いた日が、通算6か月以上

・基本手当の日額の40日相当額

参考:厚生労働省|離職されたみなさまへ <特例一時金のご案内>

5.日雇労働求職者給付金

「日雇労働求職者給付金」は、日雇いで働く方が失業したときに利用できる給付制度です。日雇い労働とは、日ごとに雇用契約を結ぶような働き方を指します。短期的・不定期な就労スタイルのため、通常の雇用保険(失業保険)には加入できません。

この制度は、日雇い労働者として働いていた方が一時的に仕事を失った場合に、一定の条件を満たすことで給付金を受け取れるというものです。ただし、給付を受けるには、事前にハローワークで「日雇労働被保険者手帳(日雇手帳)」の交付を受ける必要があります。

日雇労働被保険者の対象者として認定される条件は、以下の通りです。

・適用区域または厚生労働大臣が定める地域に居住し、適用事業に雇用されている

・適用区域外の地域に居住し、適用区域内の適用事業に雇用されている

・厚生労働大臣が指定したものに雇用されている

・直前2か月の各月、同一事業主に18日以上雇用されていない

・直前2か月の各月、同一事業主に継続して31日以上雇用されていない

参考:厚生労働省|雇用保険の適用を受ける日雇労働者とは

日雇労働求職者給付金を受け取るには、失業した月の前月と前々月の2カ月間で、日雇手帳に通算26枚以上の雇用保険印紙が貼られていることが必要です。支給される日額は、その2カ月間に手帳へ貼付された印紙の枚数などをもとに算出されます。

6.教育訓練給付金

「教育訓練給付金」は、働く人や求職中の方がスキルアップやキャリア形成を図ることを目的として、一定の条件を満たす教育訓練を受講した場合に、費用の一部を国が補助してくれる制度です。ハローワークを通じて申請を行うことで、訓練修了後に受講費用の一部が給付金として支給されます。

この制度は、雇用保険の加入期間や過去の給付歴などに応じて、以下の4種類に分かれており、目的や支援内容が異なります。

 

支給対象者

支給金額

一般教育訓練給付金

・受講を開始するとき、雇用保険の支給要件期間が3年以上の方(初めて受ける方は1年以上)

・被保険者資格を失くした後から、受講を開始するまで1年以内(最大20年)である方

・前回の教育訓練給付金受給から3年以上経過している

・要件を満たす方が対象の教育訓練を修了すること

・教育訓練経費の20%にあたる金額が支給される

・上限は10万円、4千円以下は支給されない

・キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを受けた方は、2万円まで教育訓練経費にできる

専門実践教育訓練給付金

・受講を開始するとき、雇用保険の支給要件期間が3年以上の方(初めて受ける方は2年以上)

・被保険者資格を失くした後から、受講を開始するまで1年以内(最大20年)である方

・前回の教育訓練給付金受給から3年以上経過している

・要件を満たす方が対象の教育訓練を修了すること

・教育訓練経費の50%にあたる金額が支給される

・1年間の上限は40万円(最大3年120万円)、4千円以下は支給されない

・受講修了後、定められた資格等を取得し受講修了から1年以内に被保険者として雇用された場合は教育訓練経費の70%(年間上限56万円)で専門実践教育訓練給付金を再計算し、既支給分の差額を支給

教育訓練支援給付金

・専門実践教育訓練(通信制、夜間制は除く)を初めて受講する方

・受講開始時45歳未満

・訓練期間中、失業状態の方

・雇用保険の基本手当日額の60%相当(注意:上限あり)

特定一般教育訓練給付金

・受講を開始するとき、雇用保険の支給要件期間が3年以上の方(初めて受ける方は1年以上)

・被保険者資格を失くした後から、受講を開始するまで1年以内(最大20年)である方

・前回の教育訓練給付金受給から3年以上経過している

・要件を満たす方が対象の教育訓練を修了すること

・教育訓練経費の40%にあたる金額が支給される

・上限は20万円、4千円以下は支給されない

・資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、教育訓練経費の50%(既に支給を受けた上記の給付額と教育訓練経費の50%に相当する額(上限25万円)の差額)が支給

参考:厚生労働省|教育訓練給付制度|厚生労働省

7.広域求人活動費と移転費

「広域求人活動費」は、遠隔地での求人活動(面接・選考など)にかかる交通費や宿泊費などを補助する制度です。自分が住んでいる都道府県を越えて、複数地域での就職活動を行う方を対象にしています。

下記は、代表的な受給条件です。

  • ハローワークに求職の申込みをしていること
  • 雇用保険の基本手当の受給資格者であること(または一定の受給資格者)
  • 就職活動の一環として、都道府県をまたいで移動する必要があること
  • 面接日程などが決まっており、事前に申請手続きを行うこと

 

企業側からの招待状や面接日時がわかる書類、交通費・宿泊費の領収書が必要になる場合があります。また支給金額は、実際にかかった交通費・宿泊費の一部または全額です。上限はあるものの、交通費の場合、公共交通機関(電車・飛行機など)の実費相当額(原則片道200km以上)が支給されます。

「移転費」は、新たに就職先が決まり、そのために現住所から引っ越しが必要な方に向けて、引っ越し費用の一部を支援する制度です。

下記は主な支給条件です。

  • ハローワークで再就職の支援を受けている求職者であること
  • ハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者による紹介の就職(または公共職業訓練等の受講)であること
  • ハローワークが住所・居所の変更が必要だと認めていること

支給金額は、移転にかかった費用(引越業者の料金・交通費など)の一部が支給されます。
支給上限は地域や世帯構成などによって異なるため、最寄りのハローワークでの確認をおすすめします。

広域求人活動費・移転費ともに、必ず事前にハローワークへの申請が必要です。後から申請しても認められない場合があるため、注意しましょう。

8.就職促進給付(再就職手当)

「就職促進給付」とは、失業中の方が早期に安定した職業に就くことを後押しするために設けられた給付制度です。再就職した場合に受け取れる「再就職手当」だけでなく、再就職後のフォローを目的とした「就業促進定着手当」、「常用就職支度手当」など、状況に応じて複数の給付があります。

各支給対象者の条件は、下記の通りです。

 

再就職手当

・基本手当の受給資格のある方で、安定した職業についた方

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある方

就業促進定着手当

・再就職手当の支給を受けた方

・再就職先に6か月以上雇用された方

・再就職先での1日分の賃金が、前職に比べて低い方

常用就職支度手当

・基本手当の受給資格のある方

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満である

・就職困難な方が安定した職業に就職した場合

各手当の支給内容と金額は、下記の通りです。

再就職手当

・所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額で算出される

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上、3分の1以上かにより式が変わる

・再就職手当に係る基本手当日額の上限額:6,395円、60歳以上65歳未満は5,170円

就業促進定着手当

・(離職前の賃金日額-再就職の日から6か月間に支払われた賃金額の1日分の額)×再就職の日から6か月間内における賃金の支払いの基礎となった日数で算出される

・上限は基本手当支給残日数の20%相当額

・基本手当日額上限は、6,395円、60歳以上65歳未満は5,170円

常用就職支度手当

・90(基本手当の支給残日数が90日以下の場合は、その日数)×40%×基本手当日額で算出される

・基本手当日額上限は6,395円、60歳以上65歳未満は5,170円

参考:厚生労働省|就職促進給付について

 

失業保険以外にもらえるお金3選【社会保険に加入していなかった人】

社会保険に加入していなかった方や勤務時間が短く加入できなかった方も、条件を満たせばもらえるお金があります。再就職や自立支援のために設けられている制度のため、積極的に活用しましょう。

1.職業訓練給付金

「職業訓練受講給付金」は、雇用保険に入っていない求職者が、再就職やスキルアップのために職業訓練を受ける際に支給される給付金です。求職者支援制度の一環として実施されており、一定の収入要件を満たすことが必要です。

職業訓練給付金を受け取るための条件、金額の目安は、以下の通りです。

訓練受講の要件

・求職のためにハローワークへ申し込みをしている

・雇用保険被保険者ではない

・雇用保険受給資格者ではない

・働く意思と能力を持ち合わせている

・ハローワークが「職業訓練などの支援が必要」と認めた方

離職者・在職者の要件

・離職者…自営業やフリーランスを廃業した・雇用保険の受給が終わっている・雇用保険の適用がない離職者など

・在職者…一定額以下の収入のパート、アルバイトとして働きながら正社員への転職を目指す方など

支給要件

・世帯全体の収入が月30万円以下である

・本人の収入が月8万円以下である

・世帯全体の金融資産が300万円以下である

・所有している建物・土地は、現在住んでいるところのみである

・すべての訓練実施日に出席可能

・世帯に同時に給付金受給者がいない

・過去3年以内に不正行為による特定の給付金の支給がない

・過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給がない

支給金額

・職業訓練受講手当…訓練の受講期間のうち、要件を満たせば支給される。1か月ごとに10万円

・通所手当…訓練施設へ通う際の定期券など。上限は42,500円

・寄宿手当…訓練施設へ通うため、家族と別居しアパートなどへの入居が必要とハローワークが認めた場合。1か月ごとに10,700円

参考:厚生労働省|求職者支援制度のご案内

 

2.求職者支援資金融資

求職者支援資金融資は、職業訓練受講給付金を受給している方が、生活費の補填として無利子で利用できる融資制度です。貯蓄が少なく、訓練中の生活に不安がある方に向けて設けられています。

制度を利用できる条件は、下記の通りです。

  • 求職者支援制度の職業訓練を受講していること
  • 月10万円の職業訓練受講給付金を受けていること
  • ハローワークから「求職者支援資金融資要件確認書」の交付を受けること

担保・保証人不要、貸付利率は年3.0%です。ただし、訓練修了後に就職できない場合も返済義務が発生する点に注意が必要です。

3.住居確保給付金

「住居確保給付金」は、離職や廃業などにより収入が減り、住居を失うおそれがある方を対象とした給付金です。市区町村から家賃相当額が支給される制度で、生活困窮者自立支援制度のひとつとして運用されています。

住居確保給付金を受け取るための条件や金額の目安は、以下の通りです。

支給条件

支給金額

・主な生計維持者が廃業・離職後2年以内である

・主な生計維持者の給与などが離職・廃業レベルにまで減少している

・現在の世帯の預貯金合計額が一定額を超えていない(最大100万円)

・ハローワーク等に求職申し込みを行い、積極的に活動すること

・市区町村の定める金額を上限に、家賃額を3か月間、および延長により最大9か月間支給される

参考:厚生労働省|住居確保給付金:制度概要

 

失業保険以外にもらえるお金3選【その他】

雇用保険への加入の有無にかかわらず、勤めていた会社の制度や状況によってもらえるお金があります。会社の就業規則や退職理由に影響するケースが多いため、事前に確認しておきましょう。

退職手当

退職手当とは、企業が従業員の退職時に支給するお金のことを指します。支給条件や金額は、勤続年数や退職理由(自己都合か会社都合か)によって異なることが一般的です。たとえば、同じ退職でも会社都合のほうが手当が手厚くなるケースもあります。

また、退職手当の有無や具体的な金額は、企業が独自に定めた就業規則や雇用契約に基づいて支給されるため、法律による一律の定めはありません。在籍していた会社の就業規則や契約内容の確認が大切です。

傷病手当金

傷病手当金とは、健康保険(社会保険)に加入している方が、業務外の病気やケガで働けなくなったときに、収入の減少を補うために支給される給付金です。会社員など被用者保険に加入している方が対象で、一定の要件を満たせば退職後でも受給できる場合があります。

この制度を利用するには、次の4つの条件をすべて満たしている必要があります。

  1. 業務外の病気やケガによる療養であること
  2. 働けない状態であること(=労務不能)
  3. 連続した3日間の待期期間を含む4日以上の休業があること
  4. 休業期間中に給与の支払いがないこと(または一部支払いで減収となっていること)

 

申請時には医師の診断が必要ですが、診断書の取得は必須ではありません。傷病手当金の申請には、健康保険組合ごとに定められた様式の「支給申請書」を用いて、医師の診断内容をもとに書類を整えます。

傷病手当金の支給額は、原則として支給開始日前1年間の標準報酬月額の平均をもとに計算されます。この金額をもとに「1日あたりの支給額(=標準報酬月額の2/3 ÷ 30日)」が算出され、休業した日数分が支給される仕組みです。

ただし、被保険者期間が12か月未満である場合などは、次のいずれか低い方の金額を使って計算されます。

  • 支給開始月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
  • 加入している健康保険組合の定める標準報酬月額の平均額

未払賃金立替払制度

「未払賃金立替払制度」は、勤務先の倒産などにより、本来支払われるはずの給与が支払われなかった場合に労働者健康安全機構が、未払い分の賃金の一部を立て替えて支給してくれる制度です。

実際に未払いとなっている賃金額の80%が上限として支給されます。対象となるのは、退職日の6カ月前から、立替払請求日の前日までに支払期日を迎えた未払賃金です。

ただし、制度を利用するにはいくつかの条件があります。勤務先が「法的倒産」(破産、再生など)または「事実上の倒産」と認定されている必要があり、加えて倒産日からさかのぼって6カ月以内〜2年以内に退職した人であることが求められます。

申請は、労働基準監督署または労働者健康安全機構で行うことが可能です。

失業保険以外にもらえるお金を受け取る際の注意点

給付金の注意点を確認する女性
給付金や支援制度を正しく利用するためには、申請のタイミングや条件をきちんと理解しておくことが大切です。思わぬ損失やトラブルを防ぐためにも、特に注意したいポイントを紹介します。

不正受給にならないようにする

失業中に受け取れるお金の多くは「自己申告制」です。そのため、申請時に事実と異なる内容を記載してしまうと、不正受給とみなされることがあります。

たとえば、アルバイトやパートなどで収入を得ていたにもかかわらず、ハローワークに提出する「失業認定申告書」に事実を記載しないケースは、典型的な不正受給に該当します。また、「働いていない」と虚偽の申請を行い、実際は就労していたことが後から発覚した場合には、給付金の返還に加え、追徴金が課される可能性があります。

意図的でなくても、確認不足や書類の記入ミスから不正受給が発生することがあります。少しでも不安があれば、事前にハローワークに相談し、正しい手続きを心がけましょう。

退職する前に該当する給付金を確認する

給付金には「在職中に満たしておくべき条件」が定められているものが多く、退職後に条件を満たせないケースもあります。一定期間以上の被保険者期間や、退職前の医師の診断、会社側が発行する証明書や、在職中にしか取得できない書類が必要となるケースもそのひとつです。

自己都合退職であっても条件を満たせば受給できる制度は多いため、「自分は対象外」と思い込まずに、退職前に一度すべての選択肢を見渡しておくと安心です。

受給期間を確認する

給付金には、受給期間や申請期間が設けられてることが多く、申請のタイミングが遅れた場合、条件を満たしていても給付を受けられないことがあります。

たとえば傷病手当金は、医師の診断を受けた日から一定期間内に申請が必要です。住居確保給付金などは支給開始までのスピード感も求められます。また、受給のためには、継続して条件を満たしていることが前提となるため、申請後に勤務状況や収入状況が変わる場合は、速やかに報告することも重要です。

「あとから申請すれば大丈夫」と思わず、事前に余裕を持って情報収集・申請準備を進めておくことが、最大限制度を活用するためのカギとなります。

失業保険以外にもらえるお金に関するよくある質問

失業保険以外の給付制度については、制度の種類や条件が多いため、迷いやすいポイントも多くあります。ここでは、特に寄せられることが多い質問にお答えします。

自己都合の退職でも給付金はもらえる?

自己都合で退職した場合でも、条件を満たしていれば給付金は受け取れます。傷病手当金や教育訓練給付金は、退職理由にかかわらず、保険の加入期間や受講状況などによって支給される制度です。

一方で、再就職手当や職業訓練関連の支援制度には「ハローワークへの早期登録」や「積極的な就職活動」などが条件になることもあります。「自己都合だから何ももらえない」とあきらめずに、自分が加入していた保険や働き方、退職のタイミングをもとに、可能性のある制度を一つひとつ確認してみましょう。

給付金を受け取るデメリットはある?

基本的に、給付金を受け取ること自体にデメリットはありませんが、制度の仕組みによっては選択肢をよく考える必要があります。

たとえば「再就職手当」を受け取ると、それ以降は失業保険の基本手当を受け取れません。「失業保険を満額受け取る場合と、早期に就職して再就職手当をもらう場合、どちらが得か」の比較が必要です。

また、給付金の多くは本人による申請が原則で、必要書類の準備や条件の確認、提出書類の記入などには手間がかかります。体調不良や精神的に不安定な状況では、負担に感じる方もいるかもしれません。

パートやアルバイトでも対象になる?

パートやアルバイトの方も、一定の条件を満たせば多くの給付制度の対象になります。特に、雇用保険に加入していたかどうかは、重要なポイントです。

雇用保険の加入条件は、以下の2点を満たしていることです:

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用が見込まれていること

これらの条件を満たしていれば、アルバイトでも再就職手当や教育訓練給付金などの対象になる可能性があります。「短時間勤務だから対象外」と思わず、勤務状況を確認してみましょう。

申請が受理されない場合もある?

条件を満たしていなかったり、書類に不備があった場合は、申請が受理されなかったり、給付が却下されることもあります。申請手続きは、非常に複雑なため、ミスに気づかないまま進んでしまうケースも少なくありません。

ハローワークや自治体の窓口では、基本的な案内はしてくれますが、一人ひとりの状況に合わせて丁寧に教えてくれるわけではないため、注意が必要です。申請に不安がある場合や、複数の制度を併用したい場合などは、専門家に相談するのも一つの手です。

まとめ

失業すると「失業保険だけが頼り」と思ってしまいがちですが、実際には失業保険以外にもらえるお金にはさまざまな種類があります。本記事で紹介した制度は、働き方や保険の加入状況、退職理由によって対象となるものが異なりますが、いずれも生活の安定や再就職への一歩を支える大切な仕組みです。

ただし、それぞれの制度には細かな条件や申請のタイミング、必要書類があり、自分が本当に対象になるのかを見極めるのは簡単ではありません。

「調べる時間がない」
「何が使えるのかわからない」
「手続きが不安」

などのお悩みを抱えている方には、社会保険給付金サポートの活用がおすすめです。専門家のアドバイスを受けることで、申請の不備を防ぎスムーズに給付金が受け取れます。

社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼

この記事の監修者

杉山雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、テ日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

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