2025.06.07

精神疾患について

適応障害で退職すると300日間の失業保険をもらえる?

適応障害での失業保険について考えている女性

一般的に適応障害での退職は自己都合退職として扱われ、失業保険の給付日数は最大でも90日間にとどまるケースは少なくありません。しかし、条件によっては「就職困難者」に該当し、最長で300日間の失業保険を受け取れるケースもあります。

本記事では、条件や必要な手続き、注意点などをわかりやすく解説します。

 

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適応障害で退職すると300日間の失業保険をもらえる?

適応障害での退職をした男性
適応障害を理由に退職した場合、「失業保険はもらえるの?」「給付日数はどうなるの?」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。一般的に自己都合退職では90日間の給付が上限ですが、一定の条件を満たせば、最長で300日間の支給を受けられる可能性もあります。

具体的な条件や制度の仕組みについて、わかりやすく解説します。

適応障害で300日間の失業保険をもらえるケース

適応障害で退職した場合でも、一定の条件を満たせば失業保険を最長300日間受け取れる可能性があります。ただし、単に適応障害と診断されたというだけでは「就職困難者」として認定されることはありません。

就職困難者とは、障害などにより一般的な就労が難しいと判断された人を指します。適応障害でこの認定を受けるためには、継続的な治療を受けたうえで「精神障害者保健福祉手帳」を取得する必要があります。手帳の交付には、初診日から6カ月以上経過していることが求められます。

一方、一般的な自己都合による退職の場合、失業保険の給付期間は、雇用保険の被保険者期間が1年以上でも最大90日間です。一方、就職困難者に認定された場合は、被保険者期間が1年以上であれば、45歳未満の方で300日、45歳以上65歳未満の方では360日まで延長されます。つまり、認定を受けることで、受給できる日数が大幅に増える可能性があります。

適応障害で300日間の失業保険をもらえないケース

適応障害で退職した場合でも、条件を満たさなければ失業保険を300日間受け取ることはできません。たとえば、医師による診断書がなく、ハローワークで「一般離職者」と判断された場合は、通常の自己都合退職とみなされ、給付日数は最大でも150日間にとどまります。

また、適応障害によって体調が悪化し、すぐに求職活動ができない状態にある場合も注意が必要です。失業保険の受給は「就職する意思と能力があること」が前提条件のため、働けない状態での申請は原則として認められません。

しかし、「受給期間の延長手続き」によって、失業保険の申請を先送りすることが可能です。最大4年間まで受給の猶予期間を確保できます。

さらに、退職後すぐに失業保険を受け取れない場合でも、健康保険に加入していた方であれば「傷病手当金」を受給できる可能性があります。これは、業務外の病気やけがで働けなくなった場合に支給されるもので、一定の条件を満たせば退職後でも申請できます。特に適応障害のように療養が必要なケースでは、失業保険よりも傷病手当金を優先して活用する方が良い場合もあります。

失業保険とは

失業保険とは、正式には「雇用保険の基本手当」と呼ばれる制度です。労働者が離職した場合に、再就職までの一定期間、生活の安定と就職活動を支援する目的で給付金が支払われます。

この制度は、雇用保険に加入しているすべての労働者が対象です。会社員やアルバイト・パートタイマーなど雇用形態を問わず、一定の条件を満たせば利用できます。ただし、給付の対象は、「働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っている人」に限られます。

失業保険にはいくつかの種類がありますが、一般的に「失業保険」と呼ばれているのは、この「基本手当」です。そのほか、再就職手当や就業促進定着手当など、就職支援に関する給付制度も存在しますが、これらは基本手当の受給とあわせて利用できる補助的な制度です。

失業保険は退職理由によって受給日数や条件が異なる

失業保険の受給日数や申請時の条件は、退職の理由によって大きく異なります。自己都合による退職と会社都合による退職では、待機期間や給付開始までのスケジュール、受給期間などに違いが生じるため、自身の退職理由がどの区分にあたるかを正しく理解しておくことが大切です。

ここでは「一般離職者」「特定受給資格者」「特定理由離職者」「就職困難者」の4つの分類ごとに、失業保険の特徴をわかりやすく説明します。

一般離職者の場合

自己都合で退職した人は、原則として「一般離職者」として扱われます。
受給条件は、次の通りです。

  • 離職前の2年間に12カ月以上、雇用保険に加入していた
  • 就職の意思と能力があり、求職活動を行っている

 

ただし、一般離職者の場合、7日間の待期期間に加えて、1カ月間の給付制限期間が設けられています。すぐに失業保険が支給されない点に注意が必要です。

給付日数は、雇用保険に加入していた期間と年齢によって決まります。自己都合退職かつ加入期間が1年以上10年未満の場合、給付日数は最大90日間です。

特定受給資格者の場合

「特定受給資格者」とは、倒産や解雇、ハラスメントなど、本人の意思とは関係なく離職を余儀なくされた人を指します。この場合、離職日の前1年間に6カ月以上の雇用保険加入期間があれば、失業保険の受給対象となります。

特定受給資格者として認定されると、給付制限がなくなるため、7日間の待期期間終了後すぐに失業保険の支給が始まります。また、給付日数も一般離職者より長く設定されており、早期の生活安定と再就職を後押しする内容です。

特定理由離職者の場合

特定理由離職者は、「正当な理由」の要件に当てはまる理由で自己都合退職した場合に該当します。
厚生労働省による特定理由離職者の該当は下記の通りです。

(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者

特定理由離職者は、雇用保険の加入期間が1年未満であっても受給できる可能性があります。なお、給付日数は一般離職者と同じ水準に設定されます。

就職困難者の場合

就職困難者とは、障害や特別な事情によって、一般的な求職活動が難しいと判断された人を指します。

就職困難者は、主に下記に該当する方を指します。

  1. 身体障害者
  2. 知的障害者
  3. 精神障害者
  4. 刑法等の規定により保護観察に付された方、
  5. 社会的事情により就職が著しく阻害されている方

 

就職困難者に認定されると、自己都合退職でも有利な条件で失業保険を受給できます。給付日数は年齢と保険加入期間によって異なり、加入期間が1年以上の場合は、45歳未満で300日、45歳以上60歳未満で最大360日間です。加入期間が1年未満でも、60歳未満であれば150日間の給付を受けられます。

適応障害で失業保険を300日間受け取る流れ

適応障害によって退職し、300日間の失業保険を受け取るには、一般的な自己都合退職とは異なる手続きが必要です。医療機関での診断や、手帳の取得、ハローワークでの手続きなどの流れについて解説します。

病院を受診し適応障害の診断を受ける

まず、医療機関で診察を受け、適応障害であるという診断を受けましょう。診断書は、就職困難者としての認定や各種制度の申請において必要な場面が多く、疑いがあれば早めに医師に相談しておくことが大切です。

失業保険を300日間受け取るには、「精神障害者保健福祉手帳」の取得が必要となります。この手帳は、6カ月以上の通院など、一定期間の継続した治療歴が条件とされており、自治体を通じて申請できます。手帳の取得によって、ハローワークで「就職困難者」として認定される可能性が高まります。

会社を退職する

退職する際は「一身上の都合」で問題ありません。ただし、退職理由に応じて提出書類の内容が変わる場合があります。特定受給資格者や就職困難者としての扱いを受けたい場合は、ハローワークでの手続きの際に事情を正しく伝えるためにも、事前に記録や書類を整えておくと安心です。

退職届を出すタイミングは、通常は退職日の2週間〜1カ月前が目安です。ただし、会社の就業規則に沿う必要があるため、不明な場合は人事部や上司に確認しましょう。

必要書類を準備して受給の準備を進める

退職後は、失業保険の申請に必要な書類を揃えます。
主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 雇用保険被保険者離職票
  • 個人番号確認書類および身元(実在)確認書類(※マイナンバーカードなど)
  • 最近の写真(縦3.0cm×横2.4cm)2枚
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
  • 医師から発行された診断書

※マイナンバーカード以外の通知カードまたは住民票記載事項証明書を持参する場合は、運転免許証やパスポートなど別途本人確認書類が必要です。

離職票は、通常退職後2週間~1か月を目安に会社から郵送されます。万が一、期日を過ぎても届かない場合は、ハローワークに相談し、仮申請が可能か確認してみましょう。

管轄のハローワークを訪れ給付を申し込む

書類の準備が整ったら、住まいの地域を管轄するハローワークで失業保険の申請を行います。ここで診断書や手帳をもとに、担当者による退職理由や就職困難者認定の判断が行われます。適応障害による離職であることを丁寧に伝えることが重要です。

なお、体調がすぐれず就職活動が難しい状態であれば、無理に申請を進めるのではなく、受給期間の延長や他の支援制度の利用も視野に入れて検討しましょう。失業保険は「働く意志と能力」がある人を対象とした制度です。無理に働こうとすると、体調が悪化する可能性があります。

雇用保険受給者初回説明会に参加する

申請が受理されると、「雇用保険受給者初回説明会」の案内が届きます。説明会では、失業保険の制度概要や受給のルールについて説明を受け、必要書類として「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付されます。

このタイミングで、初回の失業認定日が決定され、今後のスケジュールも明確になります。

治療を続けながら求職活動を開始する

失業認定日が決まったら、求職活動を始める必要があります。原則として、失業認定日前までに2回以上の求職活動(ハローワークでの職業相談や面接応募など)が求められます。

失業認定日には、求職状況を記入した「失業認定申告書」と「受給資格者証」を提出します。問題がなければ、認定日から5営業日ほどで、指定口座に失業保険が振り込まれます。その後は、4週間ごとに同様の流れで認定と給付が繰り返されていきます。

適応障害で退職する際に気をつけたいポイント

適応障害での退職は、心身の状態に配慮しながら慎重に進めることが大切です。生活を安定させるためにも、事前の準備や医師との連携は欠かせません。

スムーズに退職し、必要な支援を受けるために意識しておきたいポイントをまとめました。

退職を伝えるタイミングを把握する

正社員など期間の定めがない雇用契約の場合、法律上は退職の意思を伝えてから2週間経てば辞めることが可能です。ただし、円滑に引き継ぎを行うためには、1カ月前を目安に伝えるのが一般的とされています。

一方、契約社員やパートなどの非正規雇用で「契約期間」がある場合、注意が必要です。特に、1年未満の契約では原則として中途退職が認められていません。しかし、健康上の理由や家庭の事情など「やむを得ない理由」がある場合は、雇用形態にかかわらず即日退職が可能とされています。

会社の就業規則によっても対応が異なるため、あらかじめ確認しておくと安心です。

かかりつけ医や産業医の意見を聞く

適応障害かもしれないと感じたときも、自分の判断だけで退職を決めず、まずは医師に相談することが重要です。かかりつけの精神科や心療内科の医師は、休職・通院・診断書の発行など、専門的な視点でアドバイスをしてくれます。
また、会社に産業医がいる場合は、相談してみるのも選択肢のひとつです。産業医は職場における健康管理の専門家であり、中立的な立場で休職や配置転換の提案などを支援してくれます。いきなり退職ではなく、「しばらく休職」が選択肢に入ることもあります。

事前に有給をできるだけとっておく

退職前に残っている有給休暇は、可能な限り消化したうえで退職することが望ましいとされます。企業には有給取得を拒否する権利がありません。退職直前でも正当に請求できます。

たとえ急な退職でも、有給を使えば収入の確保と心身の回復を両立できます。また、退職日を少し延ばして有給を計画的に取得したり、事情に応じて有給の買い取りを相談することも一つの方法です。手続きや調整に不安がある場合は、早めに上司や人事に相談してみましょう。

適応障害で退職する場合の失業保険の受給金額

失業保険でもらえる金額は、人によって異なります。支給額は退職前の給与や年齢、給付日数などによって決まるため、自分の条件を把握しておくと安心です。

基本的な計算方法は、以下のとおりです。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50~80%)

「賃金日額」は、退職前6カ月間の給与の総額を180日で割った金額です。給付率は、賃金が低いほど高く設定されており、収入が少なかった人ほど手当の割合が大きくなります。たとえば、月収が20万円程度の方は給付率が80%に近くなる傾向があります。ただし、60歳〜64歳の場合、給付率は45〜80%の間で決定されます。

また、支給される日数は年齢や保険の加入期間によって異なります。適応障害で就職困難者として認定された場合、1年以上の保険加入があれば、45歳未満で300日間、45歳以上65歳未満で最大360日間の給付が受けられます。

ただし、支給額には上限があり、年齢ごとに「基本手当日額の上限金額」が定められています。最新の上限額はハローワークの公式サイトなどで確認しましょう。

適応障害で退職後に利用できる失業保険以外の制度

失業保険は、退職後の支援制度のひとつにすぎません。体調や生活状況によっては、ほかにも活用できる制度がいくつかあります。なかには、失業保険よりも早く、または長くサポートが受けられるものもあります。

ここでは、適応障害で退職した方が知っておきたい「失業保険以外の制度」について紹介します。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険に加入している人が、病気やケガによって働けなくなったときに受け取れる給付です。適応障害などの精神的な病気も対象となる場合があります。

受給には、以下の条件をすべて満たす必要があります。

1. 業務外の病気やケガで療養中であること。
業務上や通勤途中の病気やケガは労働災害保険の対象となり、傷病手当金は給付されません。また美容整形手術など健康保険の対象外の治療は除きます。

2. 療養のため労務不能であること。
労務不能とは、今まで従事していた業務ができない状態を指します。医師の意見や業務内容を考慮したうえで判断されます。

3. 4日以上仕事を休んでいること。
療養開始から連続した3日間(待機期間)を除き、4日目から支給対象となります。

4.退職日当日をお休みしている
退職日当日に出勤すると、「退職日時点で完治している」と判断され、退職後は傷病手当金を申請することができなくなります。

退職する前にも申請してもらえる給付金「傷病手当金」とは?条件や金額を解説

自立支援医療

自立支援医療制度は、心身の障害による医療費負担を軽減するための制度です。適応障害などの精神疾患で通院治療が必要と判断された場合、対象となることがあります。

たとえば「精神通院医療」の対象になると、通院の際にかかる自己負担額が原則1割に軽減されます。2023年7月以降、月額の自己負担上限は15,220円(高額所得世帯)に引き下げられました。

申請には、主治医の診断書と自治体の窓口での手続きが必要です。継続的な通院が必要な方にとっては、経済的な負担を減らす大きな助けになります。

自立支援医療制度の対象者は、以下の通りです。

  • 精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
  • 更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
  • 育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

障害者手帳

障害者手帳とは、何らかの障害によって自立が困難な方や日常生活に支援を必要とする方に対し、自治体から交付される手帳を指します。障害者手帳には、以下の3つの種類があります。

身体障害者手帳:身体障害者福祉法の規定に基づき、一定の期間以上永続する身体上の障害を持った方に交付されます。
療育手帳:療育手帳制度に基づき、児童相談所などにおいて知的障害であると判定された、原則18歳未満の方に交付されます。自治体によって名前が異なる場合もあります。
精神障害者保健福祉手帳:精神保健福祉法に基づき、一定期間以上精神疾患の状態にあって、日常生活に制限が必要な方に対して交付されます。

手帳があると、医療費の軽減、公共料金の割引、交通機関の運賃割引、税制優遇など、さまざまな支援を受けることができます。取得には、6カ月以上の通院が必要とされ、医師の診断書をもとに自治体に申請します。

障害年金

体調不良が長引き、日常生活や就労に支障が出ている場合、障害年金を申請できる可能性があります。障害年金とは、国民年金または厚生年金に加入していた人が、一定の障害状態に該当したときに支給される公的年金制度です。

受給には、「初診日の時点で保険料の納付要件を満たしていること」や「障害認定日に所定の等級に該当していること」が条件となります。認定基準や申請手続きはやや複雑なため、専門機関に相談しながら進めるのがおすすめです。

生活保護

収入や資産が乏しく、生活を維持するのが難しい場合は、生活保護の利用も検討できます。生活保護は、資産や能力を全て活用しても世帯の収入だけでは国が定める保護基準(最低生活費)に満たない場合に、受けられる制度です。

障害者手帳を持っている場合は「障害者加算」が適用されるなど、追加の支援が受けられることもあります。申請には収入・資産の確認や家庭状況の調査が必要ですが、他に頼る手段がないときのセーフティーネットとして活用できます。

生活保護の受給条件は下記の通りです。

  • 預貯金や土地などの自己資産を使っても最低限の収入に満たない
  • 能力を活用して働いても最低限の収入に満たない
  • 手当や年金など他の制度で受給しても、最低限の収入に満たない
  • 親族などの援助を受けられない

適応障害の人が保険や就労について相談できる場所

適応障害での保険や就労についての相談窓口の様子
適応障害で退職した後は、ひとりで悩みを抱え込まず、相談できる場所を活用することが大切です。医療的な支援に限らず、就職や生活に関するサポートを行っている機関も数多くあります。
ここでは、保険や就労の相談先として役立つ公的な窓口をご紹介します。

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、職業相談や職業訓練、求人紹介などのサービスを提供し、求職者を支援する国の機関です。知識・技能の習得支援、メンタルサポート、職場体験実習・インターン紹介、履歴書・面接対策、転職後の職場定着支援など、幅広い支援が受けられます。

適応障害などの理由で働くことに不安がある場合も、診断書があれば障害者向けの支援を受けられる可能性があります。生活や住まいに関する相談窓口も併設されているため、経済的な不安を抱える方にも心強い存在です。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、病気や障害のある人が一般企業への就職を目指すために設けられた福祉サービス機関です。各地に民間運営の事業所があり、体調管理からビジネスマナー、スキル習得、就活支援まで、段階に応じたサポートを受けられます。

利用には、自治体への申請や医師の意見書などが必要ですが、通所しながら少しずつ働く準備を進めたい方に適しています。就職後も職場に定着できるよう、継続的なフォローアップが行われる点も大きな特長です。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、各都道府県に設置されている専門相談窓口です。精神疾患のある本人だけでなく、家族や周囲の支援も行っています。診断が確定していなくても、困りごとや不安について相談が可能です。

相談内容は、治療や福祉サービスの利用、社会復帰の支援、さらには家族の悩みなど多岐にわたります。匿名での相談も可能で、利用は無料です。「まずは誰かに話を聞いてほしい」というときにも、頼れる窓口です。

適応障害で失業保険を受け取る場合によくある質問

適応障害による退職後に失業保険を受け取るうえで、よくある疑問や不安の声をまとめました。特に健康保険や年金、給付期間後の動きなどは見落とされがちなので、事前に確認しておくと安心です。

失業中の健康保険や年金はどうなる?

退職後の健康保険にはいくつかの選択肢があり、それぞれ加入条件が異なります。退職の際に、切り替え手続きを行いましょう。

  • 国民健康保険に加入する
  • 任意継続被保険者として元の健康保険を続ける
  • 家族(配偶者や親など)の扶養に入る

 

いずれを選ぶかは収入や生活状況によって異なるため、事前に市区町村の窓口や保険組合で相談しておくとよいでしょう。

失業中も国民年金への加入義務はありますが、収入が少ない場合は「保険料免除制度」や「納付猶予制度」を利用できる可能性があります。お住まいの地域の年金事務所に相談し、手続きを行うことで対応できます。

適応障害で300日の失業保険をもらった後の手続き

300日間の失業保険を受け取り終えた後は、特別な手続きは不要です。ただし、引き続き就職を希望している場合は、ハローワークでの求職登録を継続することで、求人紹介や職業訓練などの支援を受けることができます。条件に該当する場合は、失業保険を延長できる手続きも検討しましょう。

もしも体調や生活状況に応じて働けない状態が続く場合は、障害年金など、別の制度の活用も検討するとよいでしょう。

失業保険と傷病手当金は同時に受け取れる?

失業保険と傷病手当金は、同じ期間に両方を受け取ることはできません。ただし、受給時期をずらすことで、結果的に両方の制度を利用することは可能です。

たとえば、退職後にまず傷病手当金を受け取り、働ける状態になってから失業保険を申請するという流れも選択肢のひとつです。こうした組み合わせによって、最長で28カ月間の給付を受け取れる場合もあります。

どちらを優先すべきか迷った場合は、給付金サポートなどに相談するのがおすすめです。

まとめ

適応障害で退職した場合でも、一定の条件を満たせば最長300日間の失業保険を受け取ることができます。就職困難者としての認定や傷病手当金など他の支援制度を含めて、自身にとって最適なサポートを選ぶことが大切です。状況に応じて正しく申請することで、経済的な不安を軽減しながら療養と再出発の準備を進められるでしょう。

もし「制度が複雑でよくわからない」「何から始めていいかわからない」と感じた場合は、社会保険給付金サポートの活用もおすすめです。専門家が手続きや制度選びをサポートしてくれるため、自分ひとりで抱え込まずに安心して前に進むことができます。

 

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この記事の監修者

杉山雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、テ日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

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