2025.12.01
社会保険について
休職でも傷病手当金はもらえる?休職手当との違いや支給額を解説

病気やケガによる休職は、心身の回復に専念すべき大切な時期ですが、「収入が途絶えてしまう」という経済的な不安が付きまといます。休職中の生活を支える公的な制度が、健康保険(社会保険)から支給される傷病手当金です。
制度を正しく活用するには、支給条件、支給額の計算方法、そして「休職手当」との違いなど、基本的な仕組みを理解しておくことが欠かせません。
本記事では、休職中に利用できる傷病手当金の仕組みと、パターン別の支給額を解説します。さらに、休職期間にもらえる他の給付金も紹介するので、休職による収入減に不安を感じている方はぜひ参考にしてみてください。
社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼
休職中に受け取れる傷病手当金とは

傷病手当金とは、健康保険に加入している人が病気やケガで休職する際に、給与の支払いがなかった日に対して支給される給付金です。健康保険組合や協会けんぽが運用する制度のため、国民健康保険に加入している自営業者やフリーターが休職した場合は対象外となります。
まずは、傷病手当金と「休職手当」との違い、支給条件などの基本的な制度の知識を解説します。
休職手当との違い
休職手当とは、主に「傷病手当金」を指す言葉で、俗称として使われています。注意したいのは、正式名称が「休職手当」という給付金はないことです。
会社独自の休職制度を指して休職手当と呼ぶこともありますが、一般的には「休職手当=傷病手当金」と認識されています。
傷病手当金の支給条件
病気やケガで休職した場合でも、一定の条件を満たさないと傷病手当金は受け取れません。受給には、以下の条件を満たす必要があります。
- 業務外の原因で起こった病気やケガの療養のための休職であること
- 医師に働ける状態でないと判断されたこと
- 休職が連続3日続き、4日目以降も仕事に就けないこと
- 休職期間中に給与が支払われていないこと
連続した3日間を休むことを待期期間とし、休職した日の4日目を支給開始日と呼びます。休職期間中に給与や通勤手当・住宅手当などの手当が支払われていたとしても、その日額が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されます。
傷病手当金の支給期間・申請期限
傷病手当金の支給期間は、通算1年6か月です。1日ずつ支給されるため、途中で支給が中断しても場合も、合計1年6か月になるまで同じ傷病で給付を受けられます。支給期間は3日間の待期期間後、支給開始日である4日目に休む日から計算します。
また、傷病手当金の申請は、働けなかった日の翌日から2年以内です。例えば、2025年12月1日に休職した場合、この日の分の申請期限は2027年12月1日までとなります。2025年12月1日から12月15日まで休職したとすると、最後に働けなかった日である12月15日の申請期限は2027年12月15日です。
休職した日ごとに申請期限があるため、休職期間の最終日が時効ではないことに注意しましょう。
休職中の傷病手当金はいくらもらえる?
休職中に受け取れる傷病手当金は、過去の標準報酬月額によって変わります。
標準報酬月額とは、基本給に残業手当、通勤手当などの手当を加えた税引き前の給与を決められた金額で区分したものです。税引き前の給与そのままの額ではないため、計算の際は間違えないように注意しましょう。
傷病手当金では、支給開始日以前の健康保険の加入期間に応じて、支給額を算出する計算式が異なります。ここでは、休職中に傷病手当金をもらう際にいくらもらえるか、計算方法を解説します。
健康保険の加入期間が12か月以上ある場合
傷病手当金の支給開始日より前に、健康保険の加入期間が継続して12か月以上ある場合は、以下の計算式で支給額を出します。
傷病手当金の日額=過去12か月間の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2
加入期間が継続していれば問題ないため、過去1年以内に転職していても、未加入の時期がなければ受給できる可能性があります。
例として、以下の条件で支給額をシミュレーションしてみましょう。
- 支給開始日:2025年12月1日
- 健康保険の加入状況:A社にて2024年9月1日に健康保険の資格取得後2025年3月31日に退職、同年4月1日にB社に入社し以降健康保険の資格を継続
- 標準報酬月額:A社22万円、B社24万円
傷病手当金の日額=(22万円×3か月+24万円×9か月)÷12か月÷30日×3分の2=5,220円
健康保険の加入期間が12か月未満の場合
支給日以前の加入期間が連続12か月に満たない場合は、以下の標準報酬月額のうちいずれか低い方で計算します。
- 支給開始日が属する月以前で連続した標準報酬月額の平均
- 標準報酬月額の平均値
標準報酬月額の平均値とは、特定の年月日における健康保険に加入しているすべての人の標準報酬月額を平均した金額です。健康保険組合によって異なるため、公式サイトから確認しましょう。
以下の条件で受給すると仮定し、支給額をシミュレーションします。
- 支給開始日:2025年12月1日
- 健康保険の加入状況:3か月前に資格取得し、現在も継続中
- 標準報酬月額:3か月の平均は30万円
- 標準報酬月額の平均値:32万円
傷病手当金の日額=30万円÷30日×3分の2=6,667円
社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼
休職期間にもらえる給付金の種類

休職期間に受け取れる給付金は、傷病手当金だけではありません。実は、ここの状況によって利用できる給付金制度の種類は異なります。
ここでは、休職理由によって利用できる主な給付金制度を紹介します。
病気やケガによる休職
病気やケガで休職する際は、傷病手当以外にも原因や会社の規定による給付などを受けられる可能性があります。
|
保険の種類 |
給付金制度の種類 |
概要 |
|
健康保険 |
傷病手当金 |
業務外で発生した病気やケガで働けないときに支給される給付金 |
|
労災保険 |
休業補償給付 |
業務中または通勤中に発生した病気やケガで働けないときに支給される給付金 |
|
雇用保険 |
傷病手当 |
失業給付(基本手当)の受給資格者が病気やケガで一定期間働けないときに支給される給付金 |
|
年金保険 |
障害厚生金 |
厚生年金保険の被保険者が障害を負ったときに支給される年金 |
|
障害手当金 |
厚生年金保険の被保険者が障害厚生年金より軽い障害が残ったときに支給される年金 |
|
|
障害基礎年金 |
国民年金の被保険者が障害を負ったときに支給される年金 |
上記の公的保険制度以外にも、会社独自の規定で支給している休職手当や休職保障などの制度もあります。
出産・育児のための休職
出産や育児のために仕事を離れなくてはいけない場合は、主に以下のような給付金制度を利用できることがあります。
|
保険の種類 |
給付金制度の種類 |
概要 |
|
健康保険(被用者保険) |
出産手当金 |
出産日前後の給与支払いがなかった期間に対し、本人に支給される給付金 |
|
健康保険(被用者保険・国民健康保険など) |
出産育児一時金 |
出産に関する費用を軽減する目的で被保険者または被扶養者に支給される給付金 |
|
雇用保険 |
育児休業給付金 |
子どもの年齢に応じて支給される給付金 |
家族の介護のための休職
家族の介護のために休職する場合は、雇用保険の介護休業給付金を受け取れる可能性があります。受給は仕事への復帰を前提として、これまでの就業状況や休業期間など、一定の条件を満たさなくてはいけません。
また、要介護の家族を介護するための休暇制度である介護休暇の活用も可能です。ただし、休業日が有給か無給かは会社の規定によって異なります。
まとめ
傷病手当金は、収入が途絶えたり減ったりする休職中の生活を経済的に支える制度です。ただし、受給には制度の仕組みを理解したうえで、支給条件を満たす必要があります。
休職中に傷病手当金をもらいたいと考えている方は、「社会保険給付金サポート」の利用がおすすめです。専任スタッフが複雑な手続きや書類の準備を丁寧にサポートし、給付金の受給につなげます。どのような制度を利用できるのか、いくらもらえるのかを知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼
この記事の監修者
杉山 雅浩
スピネル法律事務所 弁護士
おすすめの関連記事
ピックアップ
- 人気記事
-
退職代行サービスの利用方法、実際の流れと体験談を紹介
-
今の会社に3年後もいる自信はありますか?
-
退職代行を利用した時の有給消化の仕組みとその対応方法
-
退職代行サービスを使うメリット・デメリットは?
-
ブラック企業を判定する方法と実際のチェックポイント
-
障害年金を知ろう
-
会社を“円満に退職する”方法は?
-
退職時の引き継ぎは義務?スムーズな業務引き継ぎの必須ポイント
-
パワハラ、モラハラ、セクハラとは?
-
辞めさせてくれない!そんな時こそ「退職代行サービス」
テーマ
- 転職サイト
- 不支給
- 引っ越し
- 雇用契約
- 退職代行
- 職務経歴書
- 等級
- 社宅
- 内定
- 退職代行サービス
- 人間関係
- 離職票
- 障害者手帳
- 就労移行支援
- ブラック企業
- スタートアップ
- 労務不能
- 精神保険福祉手帳
- 業務委託
- ハラスメント
- 転職
- 傷病手当金
- 労災
- 社会保険
- 引き継ぎ
- 違法派遣
- 障害者控除
- 産休
- 福利厚生
- 給与
- 派遣契約
- 退職届
- 解雇
- 就職困難者
- 残業代
- 障害厚生年金
- 面接
- 中小企業
- 再就職手当
- 退職金
- 失業保険
- 障害手当金
- ベンチャー企業
- 社会保険給付金
- 会社都合退職
- 資格取得
- 新型コロナウイルス
- 退職勧奨
- 職業訓練受講給付金
- 自己都合退職
- うつ病
- 有給消化
- 自己PR
- 退職給付金
- クレジットカード
- 統合失調症
- 休職
- 確定申告
- ハローワーク
- アルバイト
- 契約社員
- 免除申請
- 保険料
- 傷病手当
- 雇用保険
- 弁護士
- 適応障害
- 社会保障
- 退職コンシェルジュ
- 健康保険
- 公的貸付制度
- 住宅確保給付
- 就職
- ストレス
- 年金
- 生活福祉資金貸付制度
- 職業訓練
- 労働基準法
新着記事
-
2025.12.01
休職でも傷病手当金はもらえる?休職手当との違いや支給額を解説
-
2025.12.01
うつ病は傷病手当がもらえない?活用できる制度も併せて紹介
-
2025.12.01
適応障害で傷病手当金はもらえる?受給するメリット・デメリットと申請方法
-
2025.12.01
退職後も傷病手当金はもらえる?受給できる条件と注意点を解説
-
2025.12.01
傷病手当金の支給日はいつになる?振込が遅れる原因と早く受給するコツ
-
2025.12.01
傷病手当金の計算方法は?早見表と調整されるケースも紹介
-
2025.12.01
傷病手当金をもらえない9つのケースとは?申請前に確認すべき条件と対処法を解説
-
2025.11.28
傷病手当金はいつもらえる?支給要件・期間・金額・申請方法を解説
-
2025.11.28
失業保険の申請方法は?離職票の発行手続きや延長申請の手順も解説
-
2025.11.27
退職日は月末にしないほうがいい?社会保険への影響と得する退職のタイミング





サービス詳細





