2025.10.31
社会保険について
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傷病手当金はいつ振り込まれる?初回支給が遅い理由と早めるコツをやさしく解説

「傷病手当金って、いつ振り込まれるの?」
体調を崩して仕事を休んでいるとき、どうしても気になるのがこのタイミングですよね。
初めて申請する人の多くが「思っていたより遅い」と感じることが多い制度です。
この記事では、2025年10月時点の最新制度をもとに、初回支給までの流れや待期期間の数え方、振込が遅れる原因などをできるだけ分かりやすく解説します。
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傷病手当金とは?まずは制度の基本を押さえよう
支給日がいつになるかを気にする前に、まずは傷病手当金自体がどのような制度なのかを改めて正しく理解することが大切です。
下記で基本情報についておさらいしていきましょう。

病気やケガで働けないときに生活を支える制度
傷病手当金は、健康保険に加入している人が、業務外の病気やケガで仕事を休んだときに支給されるお金です。
簡単にいえば「会社員が病気で休むとき、給料の代わりにもらえる生活保障のようなもの」です。
ただし、仕事中のケガや通勤中の事故は「労災保険」の対象となるため、傷病手当金とは別の制度です。
ここを混同してしまう人も多いので注意しましょう。
制度の目的は、療養中の経済的不安を減らし、安心して治療に専念できるようにすることです。
公式な制度内容は全国健康保険協会(協会けんぽ)のページで確認できます。
支給を受けるための4つの条件
傷病手当金を受け取るには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 業務外の病気やケガであること
- 療養のために仕事を休んでいること
- 連続して3日間の「待期期間」があること
- 休業中に給与(報酬)が支払われていないこと
つまり、「私傷病で仕事を休んでいる」「会社から給料が出ていない」「3日以上続けて休んでいる」ことが前提です。
この“待期期間”という部分が、初回支給日を考えるうえで大きなポイントになります。
初回支給日を決めるカギ:「待期期間」とは?
3日間の“待機”を経て、4日目から支給対象
傷病手当金では、休んだ初日からすぐに支給が始まるわけではありません。
まず「連続3日間の待期期間」が必要になります。
この3日間は支給対象外です。
例えば、10月1日から体調不良で休んだ場合、
10月1日・2日・3日が待期期間となり、10月4日から支給の対象になります。
この「3日間」には、土日祝日や有給休暇も含まれます。
出勤していない日が続いていればOKで、勤務表上の休日かどうかは関係ありません。
待期が成立したあと、4日目以降の「労務不能日」が対象
待期期間を過ぎても、実際に働ける状態であれば支給はされません。
医師の診断で「労務不能(仕事ができない状態)」と認められている日が支給対象になります。
つまり、診断書で「就労不可」とされている期間が実際の支給期間の基準になるということです。
支給額の目安
支給額は「標準報酬月額 ÷ 30 × 3分の2」で計算されます。
「標準報酬月額」とは、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料を計算する際に基準となる金額のことであり、
従業員に支払われる給料や手当などの月々の報酬を、一定の幅で区切った「等級」に当てはめて算出します。
自分がもらっている給料の平均の金額のようなもの、と思えばイメージしやすいかもしれません。
たとえば標準報酬月額が30万円なら、1日あたり約6,667円(30万円 ÷ 30日 × 2/3)です。
この金額に支給対象の日数を掛けたものが、実際に振り込まれる金額となります。
詳しい計算式は協会けんぽの公式資料にも掲載されていますのでご確認ください。
参照:全国健康保険協会|傷病手当金の支給額計算方法(PDF)
初回支給日が決まるまでの3つのステップ
ここまで理解できたら、次は「実際にお金が振り込まれるまでの流れ」を見ていきましょう。
初回支給日を決めるまでの主なステップは、次の3段階です。
- 休業が始まり、3日間の待期期間を経る
- 医師の証明と会社の記入を済ませて、申請書を健康保険組合へ提出
- 保険者(協会けんぽや健康保険組合)が審査し、支給が決定したあと振込
この仕組みを踏まえると、初回支給日は「待期終了日」ではなく、
「申請書を提出してから審査が終わり、支給が決定して実際に振り込まれるまでの期間」に左右されることが分かります。
つまり、「待期が終わった翌日すぐお金が入る」というわけではなく、
申請 → 審査 → 支給決定 → 振込 というプロセスを経るため、一般的には3〜6週間ほどかかるケースが多いのです。
初回支給までの期間はどれくらい?平均的な目安を解説
「待期期間は3日ってわかったけど、実際にお金が振り込まれるのはいつ?」
この質問が、傷病手当金を申請した方の最も多い疑問です。
結論から言うと、初回の支給までは早くても3〜4週間前後、遅い場合は1か月半ほどかかるケースが多いです。
初回は審査に時間がかかる
初回支給が遅くなる理由のひとつは、申請書類の確認作業が非常に細かいためです。
健康保険組合では、次のような点を確認してから支給を決定します。
- 医師の証明欄が正しく記入されているか
- 会社の担当者欄に誤りがないか
- 待期期間の成立条件を満たしているか
- 給与支給の有無と日数の整合性が取れているか
この確認作業に1〜2週間、支給決定から実際の振込処理までにさらに数日かかることが多いのです。
特に初回は「初めての審査」であるため、二回目以降よりも慎重に扱われる傾向があります。
初回支給が遅れるよくある原因
初回の審査がスムーズにいけば1か月前後で振り込まれますが、ちょっとした不備でさらに数週間遅れることもあります。
ここでは、実際によく見られる遅延の原因を整理しておきましょう。
1. 医師の証明欄が不備または記入漏れ
申請書の医師欄には「労務不能期間」が正確に記載されていなければなりません。
診断書の日付や休業期間が申請書と一致していない場合、差し戻しになることがあります。
特に「いつから働けるか(復職予定)」の記載が抜けていると、審査が止まってしまうケースが多いです。
2. 会社記入欄で給与の支給状況が不明確
会社側の記入ミスもよくあるトラブルです。
給与や有給の扱いが曖昧だと、「報酬が支払われている」とみなされ、支給対象外と判断されることがあります。
有給休暇を取得している期間は「報酬あり」として扱われるため、申請対象から除外しなければなりません。
3. 書類の提出タイミングが遅い
医師の診断書を受け取ってから会社に渡し、会社が押印・送付するまでに時間が空くと、その分だけ審査が後ろ倒しになります。
健康保険組合に申請書が届く日が「受付日」となるため、早めに提出することが大切です。
4. 退職後の申請で事務処理が複雑になる
退職してから申請する場合、健康保険資格の喪失日や在職中の待期成立の有無など、確認項目が増えます。
これも初回支給が遅れやすい原因の一つです。
(参考:厚生労働省「健康保険法Q&A」)
ケース別:初回支給日のスケジュール早見表
実際にどのくらいで振り込まれるのか、代表的なケースを表にまとめました。
あくまで平均的な目安ですが、おおよそのイメージをつかむには役立てられるでしょう。
初回支給日のスケジュール早見表
実際にどのくらいで振り込まれるのか、代表的なケースを表にまとめました。
あくまで平均的な目安ですが、おおよそのイメージをつかむには役立ちます。
| 状況 | 手続き完了日 | 振込までの目安 | 初回支給日(目安) | 
|---|---|---|---|
| 在職中で書類がスムーズに提出された場合 | 休業開始から約2週間後に申請 | 約3〜4週間後 | 休業開始から約1か月後 | 
| 医師の証明・会社書類のやり取りに時間がかかった場合 | 3〜4週間後に申請 | 約5〜6週間後 | 休業開始から約1.5か月後 | 
| 退職後に申請(資格喪失後の手続き含む) | 4〜5週間後に申請 | 約6〜8週間後 | 休業開始から約2か月後 | 
「初回支給日」は制度上の“支給開始日”とは別物
ここで混同しやすいのが、「支給開始日」と「支給日(振込日)」の違いです。
- 支給開始日…待期期間が明けた翌日(支給の対象が始まる日)
- 支給日(振込日)…審査完了後、実際にお金が口座に振り込まれる日
この2つは別ものです。
たとえば10月1日から休み始め、10月4日から支給対象となっても、振込は11月上旬になることが多いというわけです。
初回と2回目以降の支給の違い
初回支給が終わると、多くの方は「次からはもう少し早く振り込まれるのかな?」と気になると思います。
実際、2回目以降の支給は、初回よりも早く処理されることが多いです。
継続支給とは?
初回の申請後も、休業が続く場合は「継続支給申請書」を提出することで、同じように傷病手当金を受け取ることができます。
このとき、初回のような待期期間は不要です。
医師の証明と会社の記入を添えて、1〜2か月単位で提出するのが一般的です。
審査期間の短縮
初回は保険者側で多くの確認作業がありますが、2回目以降は「同じ傷病」「同じ保険者」であるため、比較的スムーズに進みます。
提出書類に問題がなければ、初回より1〜2週間早く振り込まれるケースもあります。
とはいえ、毎回必ず医師の証明欄の記入が必要です。
「診療間隔が空いた」「通院日がずれた」などの理由で証明期間に空白があると、支給が止まることもあるので注意しましょう。
退職後に初回申請する場合の注意点
退職後でも、一定の条件を満たせば傷病手当金を受け取ることができます。
ただし、申請の流れが在職中と異なり、初回支給がさらに遅れやすい傾向があります。
退職後でももらえるケース
次の3つの条件をすべて満たす場合、退職後も受給できます。
- 在職中にすでに待期期間(3日連続休業)が成立している
- 退職時点でも病気やケガで働けない状態が続いている
- 退職日に健康保険の被保険者資格があり、かつ出勤をしていない
この3つの条件をクリアしていれば、資格喪失後でも継続して支給を受けられるケースが多いです。
ただし、その他にも退職後の傷病手当金の申請には通常の申請と比べ複雑な書類記入やルールなど自分一人の申請は困難を極めます。
確実に受け取りたい場合は「社会保険給付金サポート」を利用するのが良いでしょう。
注意すべき点
退職後の申請では、会社が健康保険の資格喪失証明書を発行するまでに時間がかかることがあります。
また、在職中の給与支給状況や休業証明など、追加で提出が求められるケースもあります。
そのため、初回支給までは在職中よりも長く(平均6〜8週間ほど)かかると考えておくのが安全です。
退職前後別の初回支給までの流れ
上記を踏まえ、初回支給までのスケジュールを退職前・後の状況別で詳しく図解します。
日付はあくまで目安となるためご自身の状況に置き換えた上で参考にしてください。
傷病手当金:初回支給までの流れ(在職中)
例:休業開始 10月1日(診断で就労不可)
傷病手当金:初回支給までの流れ(退職後)
前提:在職中に待期成立・退職日も労務不能が継続
支給日を早めるためのチェックリスト

初回支給を少しでも早めたいなら、以下のポイントを意識することが重要です。
医師の証明は早めにもらう
診断書が発行されるまでに数日かかることがあります。
次回の通院時に「傷病手当金の申請をしたい」と医師に伝えておくと、スムーズに書類を出してもらえることが多いです。
会社の担当者と事前に共有しておく
会社が申請書を受け取ってから押印・郵送するまでの流れを事前に確認しておきましょう。
特に総務・人事担当者が不在がちな時期(年末年始・大型連休)は提出が遅れがちです。
「この日までに送付してもらえると助かります」と一言添えるだけで、処理が早くなるケースもあります。
提出先(協会けんぽや健保組合)の宛先を間違えない
健康保険組合によっては提出先が本部ではなく支部の指定になっている場合があります。
送付先を間違えると、差し戻しによって1〜2週間の遅れが発生することもあります。
申請書を送る前に、組合の公式サイトで最新の提出先住所を確認しておきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 初回支給はいつ振り込まれますか?
申請書を提出してから約3〜6週間が目安です。
審査期間は保険者によって異なり、混雑時期(3月・4月など)は長引くこともあります。
Q. 書類を提出しても音沙汰がありません。確認できますか?
協会けんぽの場合、各都道府県支部に電話で照会が可能です。
「申請書の受付日」と「支給決定の予定時期」を教えてもらえます。
健康保険組合に加入している場合も、担当窓口に問い合わせると教えてもらえることが多いです。
Q. 支給期間の上限はありますか?
同一の病気・ケガで支給されるのは「支給開始日から最長1年6か月」です。
途中で回復して職場復帰し、再度悪化した場合でも、この期間内であれば通算して支給されます。
(参考:全国健康保険協会|傷病手当金の支給期間
)
まとめ
傷病手当金の初回支給日は、「待期期間が終わった翌日」ではなく、「申請後に審査・支給決定を経て振り込まれる日」です。
多くの場合、休業開始から1か月前後での振込が一般的ですが、書類不備や手続きの遅れで1.5〜2か月かかるケースもあります。
- 初回支給をスムーズに受け取るためには、
- 医師の証明を早めに取得する
- 会社とのやり取りをスピーディーに行う
- 書類を正確に記入・送付する
この4つを意識するだけで、支給までの期間を大きく短縮できます。
焦る気持ちは当然ですが、制度上どうしても時間がかかる仕組みです。
あらかじめスケジュールを把握し、必要な書類を早めに整えることで、安心して療養期間を過ごしましょう。
この記事の監修者
 
                                                萩原 伸一郎
CREED BANK株式会社
ファイナンシャルプランナー(FP)資格を持ち、東証一部上場企業に入社。資産形成、資産運用、個人のライフプランニングなどを経験。これまでに10,000名以上の退職後のお金や退職代行に関する相談などを対応した経験から、社会保険や失業保険についてわかりやすく解説。
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