2025.12.09

就労について

傷病手当金をもらいながら働く方法はある?アルバイトならOK?収入を得る方法や注意点を解説

傷病手当金をもらいながら働く方法はある?口座を見て嘆く女性

病気やケガにより、仕事ができなくなってしまったときに受給できるのが傷病手当金です。傷病の程度によっては、短時間のアルバイトや内職などで働ける場合もあるかもしれません。

しかし、「傷病手当金をもらっている間は働けないのでは?」「支給額が減額されてしまうのでは?」といった疑問や不安を感じる方も少なくないでしょう。この記事では、傷病手当金をもらいながら働く方法はあるのか、受給中に収入を得る方法について解説します。

傷病手当金についてより詳しく知りたい方は下記の記事もご参考ください。

参考:傷病手当金は2回目ももらえる?うつ病や違う病気・再発した同じ病気の場合に分けて紹介

社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼

傷病手当金をもらいながら働く方法はある?

傷病手当金をもらいながら働く方法はある?

そもそも傷病手当金をもらいながら働いてもよいのか、受給しながら収入を得る方法はあるのかを解説します。

パート・アルバイトで稼ぐのは難しい

傷病手当金を受給している期間のパートやアルバイトは、保険組合の規則により制限されます。雇用形態にもよりますが、基本的にパートやアルバイトで働く場合は支給停止となります。

パートやアルバイトに限らず、保険組合が「就労できる状態である」と判断した場合は、支給停止となることがあるため注意が必要です。

なかには、「申請の際に、働いていることを隠せばバレないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、もしバレてしまうと不正受給と判断され、詐欺罪として起訴される可能性もあります。

内職は認められやすい働き方?

「病気やケガで今までのようには働けないが、内職などの軽作業であれば従事できる」というケースの場合、保険組合が「就労できない状態が継続している」と判断する場合もあります。内職はパートやアルバイトなどの賃金と比較して報酬が低いため、就労と判断しにくい面があるからかもしれません。

ただし、保険組合の判断によってはアルバイトやパートと同様に、内職することで傷病手当金の支給が終了となることもある点に注意が必要です。

投資・不動産収入などを得ることは可能

投資や不動産収入といった不労所得は、原則として傷病手当金の審査に影響はありません。不動産を持っていて家賃収入がある場合や、所有している株式の配当金が定期的に入ってくる場合などでも、傷病手当金の受給が可能です。

不労所得となる投資や不動産収入は療養中でも取り組みやすく、安定した収入源となれば非常に心強いでしょう。しかし、初期投資が必要なことや暴落による資産減少のリスクも理解する必要があります。

傷病手当金と働くことの関係|どこまで働くと支給に影響が出るのか

傷病手当金は、仕事ができない状態のときに生活を支えるための制度です。
日常生活は送れていても、通常の仕事に戻るのが難しいと判断される期間が対象になります。

そのため、実際に働いた日がある場合は
「働ける状態ではないのか?」
とみなされ、最悪の場合不正受給として支給が停止となるケースも存在します。

短時間の勤務でも対象外になる可能性がある

勤務時間の長さにかかわらず、「労働をした」という事実があれば支給対象外になることがあります。
パートやアルバイトのように、労働力そのものを提供する働き方は特に影響が出やすいです。

働いた日の扱いはシンプル

申請前後で働いた日は原則不支給として傷病手当金の対象外となり、給与が発生した場合はその金額の影響を受けます。
反対に、働かずに得られる収入(不動産収入・投資・広告収入など)は制度上の扱いが異なり、支給に影響しないことがあります。

 「少しなら大丈夫」ではない

ネットでは「短時間なら問題ない」という情報を見かけることもありますが、実際は働いた事実そのものが重視されます。
働く可能性が出てきたら、事前に会社や健康保険組合へ相談してから判断するほうが安心です。

しっかり理解しておこう!そもそも傷病手当金とは?

しっかり理解しておこう!そもそも傷病手当金とは?

そもそも傷病手当金とは、どのような給付金制度なのでしょうか。

傷病手当金をもらいながら働きたいと考えている場合、まずは制度について正しく理解しておきましょう。

支給条件

傷病手当金が支給されるのは、以下の条件を満たす場合です。

  • 業務外の病気やケガで療養中
  • 療養のため、就労できない状態である
  • 4日以上仕事を休んでいる
  • 休んでいる期間に給与の支払いがない

会社が傷病手当金を嫌がる理由と対処法について詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
参考:会社が傷病手当金を嫌がる3つの理由!申請方法や対処法も紹介

対象期間

同一の傷病について、支給開始日から通算して1年6か月間が支給対象の期間です。

計算方法

傷病手当金は休んだ日数分の給付金を請求するため、1日当たりの支給額を算出します。

1日当たりの金額は、支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)です。支給開始日以前に、雇用保険の加入期間が12か月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。

  • 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
  • 加入している保険組合の標準報酬月額の平均額

傷病手当金の金額ついて詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
参考:傷病手当金の金額を早見表でチェック!支給額が変わるケースや退職後の扱いも解説

社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼

受給中の副業が気づかれやすい理由と、収入を持つときの考え方

傷病手当金の受給中は、「働いたかどうか」「収入があったかどうか」を書く場面がいくつかあります。
そのため、意図せず副業が分かるケースが出てきます。

申請書に記載する項目

申請書の中に、働いた日や勤務時間、報酬の有無を記入する欄があります。
わずかな作業であっても、働いた事実があればここに記載します。

記入内容と実際の収入に差があると、追加の説明を求められることがあるため、
書くべき内容は隠さずそのまま書いておくほうが安心です。

住民税の変化

副業の収入があると、翌年の住民税に影響します。
住民税は会社を通じて手続きされることが多いため、
税額の変化が会社の気づくきっかけになることがあります。

収入は意外と隠しにくい

税務の仕組み上、所得の把握は広く行われています。
隠そうとするとかえってリスクが高くなるため、正直に申告するほうが安全です。

トラブルになると負担が大きい

不明瞭な収入があると、後から説明が必要になったり、
支給額の調整が必要になることがあります。
副業を検討する段階で、あらかじめ影響を把握しておくことが重要です。

傷病手当金をもらいながら収入を得る際の注意点

傷病手当金をもらいながら収入を得る際の注意点

傷病手当金をもらいながら働く場合、いくつかの点に注意が必要です。

あらかじめ会社や健康保険組合に確認する

保険組合の判断によっては、軽度な就労であれば傷病手当金を受給しながら働くことが認められるケースもあります。ただし、確認した時点で保険組合が「就労可能」と判断し、傷病手当金が停止される可能性もあることに注意が必要です。

軽度な就労ができるまでに回復した際、「このまま傷病手当金の受給を続けると不正になるのではないか?」といった不安がある場合は、保険組合に確認しましょう。

収入が20万円を超える場合は確定申告を行う

1月1日から12月31日までの収入が20万円を超える場合は、確定申告により所得税を申告して納める必要があります。傷病手当金をもらいながら、投資や不動産収入などの不労所得を得る場合も同様です。

注意したいのは、傷病手当金は非課税所得のため、課税対象外ということです。収入が傷病手当金のみの場合は、確定申告は必要ありません。傷病手当金を除いた収入が20万円を超える場合は、翌年の確定申告を忘れないようにしましょう。

申請書の「就労欄」は後々のトラブル防止のため正確に書く

申請書には、働いた日や作業の有無を書く欄があります。
この欄は、受給の可否に関係する部分なので、できるだけ正確に記入することが大切です。

働いた日は必ず記入する

少しだけ作業をした日でも、勤務として扱われる場合があります。
日付・時間・内容を記入しておくことで、後から説明が必要になる状況を避けられます。

記入と実際の収入にズレを作らない

申請書の記載と収入の金額に差があると、追加の確認が行われることがあります。
とくに副業の場合は、作業日と報酬がずれて支払われることも多いため、
「働いた日」と「お金を受け取った日」を分けて考えることが重要です。

曖昧にすると後から負担が増える

記入漏れや曖昧な書き方があると、説明の手間が増えたり、
支給内容の見直しにつながる可能性があります。
特別な書き方は必要ありませんが、事実をそのまま書くのが一番確実です。

副業が認められている会社でも注意は必要

最近は副業を認める会社も増えていますが、
傷病手当金の仕組みはそれとは別の基準で判断されます。

制度では「働けない状態」であることが前提

会社が副業OKでも、実際に働ける状態であれば制度の対象から外れることがあります。
仕事ができる状態と判断されてしまうと、支給に影響が出る可能性があります。

無断の副業は別の問題を招く

副業禁止の会社の場合はもちろん、許可されている会社でも、
傷病休業中に働くことで信頼を損なうケースがあります。
申請中は慎重な判断が求められます。

傷病手当金の受給中に収入を得るなら不労所得がおすすめ

傷病手当金の受給中に不労所得を得る

繰り返しになりますが、傷病手当金を受給している間の就労は基本的に認められません。

しかし、自分が働かなくても収入が得られる不労所得であれば審査に影響を与えないため、受給中に収入を得たいなら不労所得が得られる方法を選びましょう。

不動産所得

不動産所得とは、土地や建物などの貸し付けによって得られる所得です。具体的には、アパートを貸し出して得られる家賃収入が不動産所得にあたります。

まずは物件を購入し、賃貸経営を代理で行ってくれる不動産管理会社を決め、実際に入居者を募集します。自分で働く必要はなく、入居者がいれば毎月安定した収入を得られることがメリットです。

しかし、入居者が決まらず空室が増えると収入が不安定になる可能性もあります。また、物件のローン返済や管理会社に支払う業務委託料、火災や地震に備えるための保険料などの必要経費も多いことがデメリットです。

無人販売

無人販売とは店舗にスタッフを置かず、商品やサービスを提供する経営スタイルのことです。例えば、コインパーキングや自動販売機、コワーキングスペースなどがあります。自分で運営する方法もありますが、専門の運営会社と契約することで工事や管理をすべて委託することが可能です。

商品・サービスの内容によっては省スペースで始められ、管理を委託すれば少ない手間で安定した収入を得られます。ただし、土地や設備の購入といったまとまった初期費用が必要になる点がデメリットです。

投資

株や投資信託、FX、仮想通貨(暗号資産)といった投資も不労所得が得られる方法の一つです。

株は株式とも呼ばれ、企業が経営資金を得るために発行するものです。企業が成長すると株価が上昇し、買った金額と売る金額の差額が利益となります。また、企業によっては利益の一部を株主に還元する配当金を受け取ることができます。

投資信託は、株の運用を運用会社が代理で行う金融商品です。一つの商品で複数の株に投資できるため、リスク分散になります。

FXは外国為替証拠金取引のことで、通貨を売買して、差額を利益とする投資です。例えば、1ドルを100円で買って、1ドル=110円のときに売ると、10円相当の利益になります。

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、株やFXと同様に、買ったときと売ったときの価格差で利益を得るデジタル通貨の一種です。仮想通貨は価格変動が激しいため、短期間で大きな利益を得られる可能性もあります。一方で、大きなリスクもあるため注意が必要です。

近年では、スマートフォンアプリを使って手軽に取引できるようになっているため、療養中でも取り組みやすい投資方法です。しかし、投資は大きな利益を得られる可能性がある一方で、元本割れや損失のリスクも伴うことを理解しておく必要があります。

広告収入

アフィリエイトやアドセンスといった広告収入を得る方法は、初期投資が少なく、リスクを抑えられるという点で魅力的です。自分で作成した動画やWebサイト、ブログ記事などのコンテンツに企業広告を掲載することで、広告収入を得られます。

アフィリエイトは、成果報酬型広告とも呼ばれ、ブログやWebサイトで紹介した商品やサービスが売れると、売上の一部が報酬として支払われる仕組みです。良質なコンテンツを作成すれば、継続的に収入を得られる可能性もあります。

ただし、商品やサービスの魅力を効果的に伝え、多くの人の目に触れるようなコンテンツを作成する必要があるため、マーケティングやライティング、SEOなどの知識やスキルを身につける必要があります。

シェアリングビジネス

シェアリングビジネスとは、自分が所有している遊休資産(車、部屋、ブランド品など)を他人に貸し出し、利用料を得るビジネスモデルです。カーシェアリング、ライドシェア、民泊などは、シェアリングビジネスの代表例です。

近年では、スキルや知識をシェアするプラットフォームも登場しており、語学レッスン、プログラミング指導、デザイン作成、ライティング、翻訳など、自分の得意分野を活かして収入を得ることも可能です。

使っていないものを貸し出したり、スキルを売りにしたりと初期費用がかからないことが多く、すぐにでも始められることがシェアリングビジネスのメリットです。しかし、利用者とのトラブルや、貸し出した物が破損・紛失するリスクなども考慮する必要があります。

不正受給にならないために気をつけたいポイント

傷病手当金は、働けない期間の収入を支えるための制度です。
制度の趣旨から外れた行動があると、支給の見直しにつながることがあります。

働ける状態とみなされる行動に注意

短時間の勤務でも、働けると判断される可能性があります。

収入の申告は正しく行う

所得は税務手続きなどを通じて把握されるため、隠してしまうと余計なリスクが高まります。

返還の可能性もある

不正と判断されると、受け取った金額の返還を求められることがあります。

まとめ

傷病手当金は、病気や怪我によって就労ができない状態にある人を経済的に支援するための給付金制度です。そのため、傷病手当金を受給しながらパートやアルバイトなどで働くことは、原則として認められていません。傷病手当金を受給しながら収入を得たい場合は、投資や不動産収入などの不労所得を検討しましょう。

ただし、不労所得を得るためには、ある程度の初期投資が必要となる場合があり、ハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。また、傷病手当金の受給資格を失ったあとでも、利用できる給付金制度はあります。

社会保険給付金サポート」では、退職後不安に感じやすいお金の問題について全力でサポートします。活用できる給付金をご提案し、手続きをサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼

この記事の監修者

杉山 雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

テーマ

新着記事