2025.11.04

失業保険について

失業保険もらいながらバイトできる?働ける条件や注意点を解説

失業保険を受給しながらアルバイトをする女性

失業保険をもらいながらアルバイトすることは可能ですが、働くタイミングや労働時間、収入額によっては減額や支給停止になるケースがあります。

本記事では、失業保険の受給中にアルバイトする際のルールや注意点、メリットを解説します。アルバイトした場合としない場合で、どれくらい受給額に差が出るかもシミュレーションするので、ぜひ参考にしてみてください。

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失業保険をもらいながらバイトはできる?

失業保険をもらいながらバイトができるか考える女性
失業保険をもらいながらアルバイトすることは可能ですが、タイミングによってはできない場合やすると減額される場合など、受給に影響が出るケースもあります。

アルバイトするタイミングごとにどのような影響を与えるか、注意点を解説します。

受給手続き前のアルバイト

失業保険の受給手続き前の行動をハローワークが確認することはないため、手続き前にアルバイトで収入を得たとしても、その後の受給には影響を与えません。

例えば、退職後しばらくアルバイトで生活し、その後失業保険をもらうために申請することも可能です。

注意したいのは、失業保険の申請には期限があり、この受給期間を過ぎると受け取れなくなることです。受給期間内に申請して受給が開始された場合でも、期間を過ぎると給付日数が残っていても支給停止されます。

待期期間中のアルバイト

失業保険の受給手続き後に設けられている待期期間中のアルバイトは、認められていません。

待期期間は、ハローワークが「失業状態であること」を審査するための期間です。この期間に働いてしまうと、失業状態ではないと判断されます。働いたら失業保険がもらえなくなるわけではなく、待期期間が働いた日数分だけ延長される仕組みです。

そのため、待期期間中に働くと受給開始が遅くなります。給付金を早くもらいたい場合は、期間中のアルバイトは避けたほうがよいでしょう。

給付制限期間中のアルバイト

自己都合で退職した人や重責解雇された人、過去5年間に2回以上失業保険を受給している人は1か月〜3か月の給付制限が設けられています。給付制限中はまだ受給開始されないため、生活費を賄う目的で働く必要がある人もおり、アルバイトは制限されていません。

ただし、アルバイトでも就職とみなされる雇用契約で働くと、失業保険がもらえなくなります。あくまで、短期間・短時間労働で、就職する目的がない場合に限られることに留意しましょう。

失業保険の受給中のアルバイト

失業保険の受給が始まり、給付金の支給を受けているときも、条件を満たせば働くことは可能です。

ただし、アルバイトが原因で減額されたり、支給が先送りされたりするケースもあるため、条件を理解しておく必要があります。

アルバイト以外で失業保険をもらいながら得られる収入は?

アルバイトする以外に、業務委託や派遣、フードデリバリー、資産運用による収入なども失業保険の受給と両立できます。

ただし、開業届を出して仕事をする場合や契約期間が一定以上の場合など、条件によっては支給が停止されることがあります。受給とアルバイトを両立できる条件を知っておくことが重要です。

失業保険をもらいながらバイトするための条件

失業保険をもらいながらアルバイトすることは可能ですが、受給を継続するためには条件を満たす必要があります。条件を満たさないと減額や不支給になるケースや、場合によっては支給停止になるケースもあるため、受給中にアルバイトできる条件を把握しておくことが重要です。

ここでは、失業保険をもらいながらバイトできる条件を解説します。

1週間の労働時間

原則として、失業保険をもらいながら働く場合は、1週間に20時間未満の雇用契約でなくてはいけません。1週間に20時間以上の労働は就職したと判断され、失業保険が停止される可能性があります。

労働時間が1週間に20時間未満のとき、週20時間以上の職業に就くために求職活動している状況であれば、失業保険の受給を継続できます。

1日の労働時間

働く時間が週20時間未満でも、1日に働く時間によって失業保険の支給に影響を与えることがあります。

1日4時間以上働いた場合は「就労・就職」と判断され、働いた日の失業保険は不支給になります。不支給になった日は先送りされ消滅することはないため、支給総額が減ることはありません。

アルバイトが1日4時間未満の場合は、「内職・手伝い」に分類され、1日のアルバイト代に応じて減額されることがあります。減額される金額は、以下の計算式で求めます。

減額幅=(働いた日の賃金÷労働日数-内職控除額+基本手当日額)-賃金日額×80%

働いた日の基本手当日額から、減額幅を差し引いた金額が支給されます。なお、令和7年8月1日から1年間の内職控除額は1,391円です。(※)

※参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当日額の変更

雇用期間

1週間の労働時間が20時間未満だとしても、30日を超えて雇用が継続される見込みがある場合は、就職とみなされて受給が停止されます。

失業保険の受給中にアルバイトするときは、30日までの短期雇用か単発バイトがおすすめです。

1日のアルバイト代

前述のとおり、1日4時間未満で働いた場合は、賃金に応じて支給額が減額されます。減額されるのは、内職控除額を引いたアルバイトの賃金と失業保険の基本手当日額の合計が、失業保険の賃金日額の80%を上回るケースです。

減額された分は戻ってこないため、働かずに求職活動に専念するほうが、最終的に受け取れる総額が大きくなることがあります。

失業保険をもらいながらバイトする方法

失業保険をもらいながらアルバイトしたい場合、いくつか注意したいポイントがあります。前述の条件を満たしたうえで、ここで紹介するポイントに留意してアルバイトすることが重要です。

待期期間中はアルバイトしない

待期期間中にアルバイトすると、働いた日数だけ延長されます。収入が途絶えて不安な気持ちがあるかもしれませんが、待期期間中のアルバイトは避けたほうが、結果的に早く給付金を受け取れます。

給付制限がある場合、給付制限期間中のアルバイトは制限されていないため、待期期間が終わるまで待つのが無難です。

失業認定で必ず申告する

受給手続き後にアルバイトした日がある場合は、失業認定申告書に詳細を記入し、失業認定を受ける必要があります。申告書には働いた日付に丸を付け、収入のあった日と収入額、何日分の収入かを記入します。

申告しなかったり、虚偽の内容を申告したりすると不正受給とみなされる恐れがあるため、賃金の有無にかかわらず必ず報告しましょう。

働く時間や収入を一定の範囲に収める

前述のとおり、1日4時間未満のアルバイトは、賃金によって減額されるケースがあります。減額される目安は、控除額を引いた後のアルバイト代と基本手当日額の合計額が、賃金日額の80%以上の場合です。

賃金日額とは、離職直前の6か月間の毎月決まって支払われる賃金の1日分です。すでに失業保険の受給手続きを行なっている場合は、雇用保険受給資格者証で確認できます。まだ受け取っていない場合は、離職前6か月間に毎月決まって支払われた賃金総額を180日で割って、1日分に換算するとおおよその金額がわかります。

アルバイトしたいが減額されたくない場合は、基本手当日額と賃金日額を確認し、賃金が一定額を超えないように調整しましょう。

失業保険をもらいながらバイトする3つのメリット

失業保険をもらいながらのアルバイトには、以下のようなメリットがあります。

  • 収入面での不安が少なくなる
  • スキルアップを図れる
  • 別の業界を知るきっかけになる

 

それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。

収入面での不安が少なくなる

受給中にアルバイトするメリットは、収入面での不安が少なくなることです。

退職後は安定した収入がなくなるため、不安を抱えている人も少なくありません。実際に失業保険が支給されるまでは早い人でも、受給申請から1か月程度かかるため、その間の生活費に困ったり不安を感じたりする人もいます。

待期期間中にアルバイトはできませんが、給付制限中や受給中は就労して収入を得ることが可能です。給付制限中は受給開始まで収入が途絶えるまとまった期間があり、この間にアルバイトすることで少しでも不安を減らし、求職活動に集中しやすい状況を作れます。

スキルアップを図れる

失業保険をもらいながらアルバイトすることで、再就職のために新たなスキルを身につける機会を得られます。

例えば、事務系のアルバイトであればパソコンスキル、接客業であればコミュニケーションスキルなど、就職に役立つ知識や技術を身につけることも可能です。

別の業界を知るきっかけになる

失業保険の受給中にさまざまなアルバイトに挑戦することで、今まで縁がなかった業界に興味を持つきっかけになります。

実際に働いてみないとわからない面白さや大変さを知れるため、業界研究として挑戦してみるのもよいでしょう。

失業保険をもらいながらバイトしたときの支給額シミュレーション

失業保険をもらいながらアルバイトする場合、働く時間や賃金によって支給額に差が出ることがあります。生活費を賄うためのアルバイトのはずが、かえってもらえる金額が減ってしまう原因にもなるため、どれくらい働くといくら減額されるのかを把握しておくことが重要です。

ここでは、失業保険の受給中にアルバイトしたときの支給額を働く時間ごとにシミュレーションします。

1日4時間以上アルバイトした場合

1日4時間以上働くと、働いた日の失業保険は不支給となります。

まずは、基本手当日額を7,000円として28日分の支給額を計算してみると、支給額は7,000円×28日=19万6,000円です。

一方、同じ条件の人が5日間1日4時間以上のアルバイトをした場合、同じ期間で支給される金額は、7,000円×(28日-5日)=16万1,000円です。28日分満額もらったときと比べて、3万5,000円少なくなります。

1日7,000円のアルバイトを5日間したと仮定すると、働かずに28日分満額受け取った場合と手元に入るお金はほとんど変わりません。

不支給の場合は給付日数が減ることはないため、最終的に満額受け取ることは可能ですが、再就職のタイミングによっては損してしまうケースがあります。

1日4時間未満でアルバイトした場合

1日4時間未満で働いた日は、賃金によって減額の対象となります。

基本手当日額7,000円の人が、支給対象の28日のうち5日間アルバイトして、総額40,000円を受け取ったと仮定して計算してみましょう。

減額幅=(40,000円/5日-1,391円+7,000円)-14,000円×80%=2,409円

つまり、5日間の基本手当日額から2,409円減額されることになるため、支給されるのは7,000円×(28日-5日)+(7,000円-2,409円)×5日=18万3,955円です。アルバイトせずに28日分受け取る場合と比べて、約1万2,000円少なくなります。

減額された金額は消滅するため、もらえるはずだった1万2,000円は受け取れません。

失業保険をもらいながらバイトする際の注意点

失業保険をもらいながらバイトする際の注意点を考える女性

条件を満たしていれば、失業保険をもらいながらのアルバイトは可能ですが、注意したいポイントもあります。注意点を知らずにアルバイトしてしまうと、ペナルティーを受けるリスクが高まるため、ここでは注意したいポイントを4つ解説します。

虚偽の申告はしない

失業保険をもらいながらアルバイトすることに問題はありませんが、働いたことは必ずハローワークに申告が必要です。

故意に申告しなかった場合や虚偽の申告をした場合はもちろん、申告し忘れてしまった場合も不正受給とみなされる可能性があります。不正受給と判断されると、不正があった日以降の失業保険の支給が停止され、不正に受給した金額相当額の返還が命ぜられます。

さらに、不正受給した額の最大2倍額の納付を求められ、受け取った金額以上のお金が必要になることがある点に注意が必要です。返還や納付に応じなかった場合、財産差し押さえなどが行われることがあります。

また、より悪質と判断されると、詐欺罪として刑事事件に発展するケースもあるため、アルバイトに当たるのか不安な場合は、ハローワークに問い合わせて確認すると安心です。

並行して求職活動にも力を入れる

失業保険は、失業した人が就職するまでの生活費を支援するための制度です。受給中にアルバイトで足りない生活費を賄うことは可能ですが、アルバイトに力を入れすぎて求職活動できないのでは本末転倒になってしまいます。

また、ブランクが長くなるほど再就職に不利に働くケースもあるため、アルバイトと並行して求職活動にも力を入れることが大切です。

アルバイトに集中しすぎて求職活動が疎かになっていると、失業保険が支給停止になることもあります。アルバイトする場合でも決められた回数以上の求職活動を行い、失業認定日に失業認定を受けましょう。

先送りで満額受給できなくなる可能性がある

失業保険を受け取りながら1日4時間以上働くと、その日は不支給になります。不支給になった日にもらえるはずだった給付金は先送りされるため、結果として失業保険の受給終了までの期間が延びることに注意が必要です。

失業保険には原則1年間と受給期間が定められており、受給期間を過ぎると給付金は受け取れなくなります。そのため、期間ギリギリにアルバイトして支給日を先送りにすると、その分が受け取れなくなる可能性があります。

また、受給手続き前にアルバイトで生活している場合も、失業保険の申請ができなくなったり、途中で受給期間が過ぎて満額もらえなくなったりするため、受給期間を意識することが大切です。

再就職手当の申請も視野に入れる

1日20時間以上働きたい場合や、30日を超える雇用契約で働きたい場合は、失業保険を停止して再就職手当を受け取る方法もあります。

再就職手当とは、失業保険を受給中の人が早期に就職した場合に一定の条件を満たすともらえる給付金です。アルバイトで不支給を繰り返しながら受給し続けるより、ブランク期間が少なくなるため、早期に就職して再就職手当をもらうほうがよいケースがあります。

雇用保険に加入でき、1年以上の雇用契約が見込まれるのであればアルバイトでも再就職手当をもらえることがあるため、受給条件を確認してみましょう。

まとめ

失業保険をもらいながらアルバイトすることは可能ですが、条件を満たす必要があります。

ただし、労働時間や賃金によっては、受け取れるはずだった給付金がもらえなくなるケースもあるため、生活費を確保できる手段として選択する前に注意点を理解しておく必要があります。

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この記事の監修者

杉山 雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

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