法律上の制限はない
日本国憲法では「職業選択の自由」が保障されています。
そのため、会社を休んでいる期間であっても、別の会社に応募したり面接を受けたりすることを法律で禁止することはできません。
また、労働基準法においても、休職中の転職活動を直接的に罰する規定は存在しません。
会社の就業規則には注意が必要
法律で禁止されていなくても、現在在籍している会社の就業規則には目を通しておく必要があります。
多くの企業では、休職期間を「療養に専念するための期間」と定めています。そのため、転職活動が「療養の妨げになっている」と判断されると、忠実義務違反や専念義務違反として、最悪の場合、懲戒処分の対象になる可能性がゼロではありません。
とはいえ、実際には転職活動をしていること自体で即解雇になるケースは稀です。
大切なのは、自分の体調を第一に考え、無理のない範囲で進めることです。
隠すべきか、伝えるべきか
転職活動先の企業に対して、現在休職中であることを伝えるべきかどうかは、多くの人が頭を抱えるポイントです。
履歴書への記載は義務ではありませんが、事実を伏せて入社した後に発覚すると、信頼関係にヒビが入る恐れがあります。
面接で聞かれた場合には正直に答え、現在は「業務に支障がないレベルまで回復していること」を伝えるのがベストな戦略です。
嘘をついて入社することは、自分自身の首を絞めることにもなりかねません。誠実な対応が、長期的なキャリアの安定につながります。
休職中に転職活動を行う3つの大きなメリット
休職中の転職活動は、ネガティブな側面ばかりではありません。むしろ、この期間だからこそ得られる大きなメリットが3つあります。
1. 圧倒的な時間を確保できる
在職中の転職活動で一番のネックになるのが「時間の確保」です。平日の日中に面接が入っても、現職の仕事を調整するのは至難の業ですよね。
休職中であれば、以下のような準備にたっぷりと時間を割くことができます。
- 自己分析
- 企業のリサーチ
- 職務経歴書の作成
- 面接対策
時間をかけて準備した分だけ、マッチングの精度は高まります。
2. 精神的な余裕を持って判断できる
過重労働や人間関係のストレスで追い詰められた状態では、正常な判断が難しくなります。休職して一度仕事から離れることで、脳と心がリセットされ、「本当に自分がやりたいこと」や「自分に合った環境」を冷静に見極められるようになります。
「今の会社から逃げたい」という一心で転職先を決めてしまうことを防ぎ、前向きな選択ができるのは大きな強みです。
3. キャリアを再構築するチャンスになる
休職は決してデメリットばかりではありません。むしろ、これまでの働き方を見直し、自分らしいキャリアを見直すための「踊り場」のようなものです。
この期間に資格取得の勉強をしたり、キャリアカウンセリングを受けたりすることも立派な活動の一環といえます。
知っておくべきリスクと注意点
メリットがある一方で、休職中の転職活動にはリスクも存在します。
ここを理解していないと、後から大きなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
健康状態の回復が前提条件
重要なのは、あなたの体調です。
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」でも、職場復帰や就労には適切な行動が必要であると示されています。
主治医から「就労可能」の判断が出ていない状態で無理に活動を始めると、転職先で早期に再発してしまう可能性が高まります。選考が進むにつれてストレスもかかるため、まずは医師と相談しながら進めるのが鉄則です。
健康診断や源泉徴収票での発覚
多くの企業では、入社前に健康診断の受診を求めます。また、前職(現職)の源泉徴収票を提出した際、給与額の少なさから休職期間があることが推測される場合もあります。
「バレたらどうしよう」とビクビクしながら過ごすのは精神衛生上よくありません。あらかじめ「伝え方」の対策を練っておくことが重要です。
傷病手当金や失業保険はどうなる?休職中の手当と行政制度
休職中の転職活動において、生活の支えとなるのが「傷病手当金」などの公的な給付金です。しかし、「転職活動を始めたら手当が止まってしまうのでは?」「退職後ももらえるの?」といった疑問を抱く方は非常に多いです。
ここでは、厚生労働省や全国健康保険協会(協会けんぽ)の最新資料を基に、制度の仕組みを整理していきましょう。
傷病手当金の仕組み
傷病手当金は、病気や怪我で働くことができない期間、本人や家族の生活を保障するために支給される制度です。
| 受給要件 | 業務外の事由による病気や療養のため、仕事に就くことができない(労務不能)状態であること |
|---|---|
| 支給期間 | 支給開始日から通算して最長1年6ヶ月 |
退職後も傷病手当金は継続して受け取れる?
休職したまま転職先が決まり、退職することになった場合でも、以下の条件を満たしていれば継続して受給することが可能です。
- 被保険者期間が継続して1年以上あること
- 退職時に傷病手当金を受けている、または受ける条件を満たしていること
- 退職日当日も、労務不能により仕事に就いていないこと
注意したいのは、退職日に「挨拶回り」などで無理に出社してしまうと出勤扱いとみなされ、申請ができなくなる可能性がある点です。
傷病手当金と失業保険の関係性
転職活動といえば失業保険が思い浮かびますが、傷病手当金と失業保険は同時に受け取ることはできません。
| 傷病手当金 | 病気で働けないからもらえる |
|---|---|
| 失業保険 | 働けるのにもかかわらず仕事がないからもらえる |
参考:ハローワークインターネットサービス – 基本手当について(厚生労働省)
休職からそのまま退職した際にすぐに働ける状態でない場合は、失業保険の受給期間を延長する手続きを行う必要があります。体調が戻り、「いよいよ働けるぞ」という段階になってから失業保険に切り替える流れが一般的です。
自分が給付金の対象になるかどうか、まずはお気軽に相談ください。

転職先への休職の伝え方と選考を通過するコツ
次に面接時の伝え方について解説します。
多くの方が「休職=マイナス」と考えがちですが、伝え方次第で評価を落とさずに済みます。
履歴書・職務経歴書にどう書くべきか
履歴書には休職期間を記載する法的義務はありません。しかし、数ヶ月から1年以上の空白期間がある場合、採用担当者は必ず「この期間は何をしていたのか?」と疑問を持ちます。
あらかじめ備考欄などに「療養のため」と一言添えておくか、面接で聞かれた際に誠実に応答する準備をしておきましょう。
面接での「休職理由」の回答例文
面接官が最も懸念するのは、「入社後にまた再発して休まないか?」という点です。回答する際は、以下を意識してください。
| 過去 | 休職した事実を簡潔に述べる |
|---|---|
| 現在 | すでに完治・寛解しており、業務に支障がないことを医師の判断を含めて伝える |
| 未来 | 休職期間中に得た気づきや、再発防止のために工夫していることを伝え、前向きな意欲を示す |
【回答例文】
「前職では過重労働により体調を崩し、3ヶ月ほど療養しておりました。現在は医師からも就業の許可を得ており、体調は万全です。この休職期間を経て、自身のタスク管理の重要性を再認識し、無理のないペースで行動する方法を学びました。御社ではこの経験を活かし、自己管理を徹底しながら貢献したいと考えております。」
【実例】休職はどう書く?履歴書・職務経歴書の具体的な書き方見本
休職経験がある方が最も頭を悩ませるのが「書類にどう記載するか」という問題です。
「正直に書いたら落とされるのではないか」「でも嘘はつきたくない」という葛藤もあるのではないでしょうか。
履歴書への記載ルール
履歴書は、これまでの「学歴」や「職歴」を公証する書類です。そのため、在籍期間中に数ヶ月間休職していたとしても、職歴欄に「休職」と記載する義務はありません。
ただし、現在進行形で休職中の場合は、入社日の調整や健康状態の確認が必要になるため、あらかじめ伝えることをまとめておく必要があります。
職務経歴書での「空白期間」の伝え方
書類選考を通過させるポイントは、休職そのものを隠すことではなく、「現在は業務に支障がないこと」をうまく伝えるかにあります。
以下の表に、状況別の記載スタンスをまとめました。
| 状況 | 記載のポイント | 具体的な表現例 |
|---|---|---|
| 完治しており、ブランクが短い | 職歴欄には記載せず、自己PRや備考欄で「現在の健康状態」に触れる。 | 「現在は健康状態も良好であり、業務に支障ございません。」 |
| ブランクが半年以上ある | 休職理由を簡潔に述べつつ、その期間に得たスキルや気づきを補足する。 | 「療養のため〇ヶ月ほど休職いたしましたが、現在は完治し、期間中に〇〇の資格を取得しました。」 |
| 現在も休職中である | 退職予定日と、医師からの就業許可が出ている事実を明記する。 | 「〇月末に退職予定。主治医より〇月からのフルタイム勤務の許可を得ております。」 |
採用担当者が「これなら安心」と思う3つのキーワード
書類選考を行う採用担当者の不安を払拭するために、以下の3つのキーワードを意識して盛り込みましょう。
| 「完治・寛解(かんかい)」 | 中途半端な状態ではなく、医学的に見て就業に問題がないことを示します。 |
|---|---|
| 「就業許可」 | 自分の主観ではなく医師の判断であることを伝えます。 |
| 「再発防止策」 | 「次は大丈夫なの?」という問いに対し、「なぜ休職に至ったかの原因分析ができている」「対処法を知っている」と答えることで、逆に自己管理能力が高いという評価に変えることができます。 |
【Q&A】よくある不安を一挙解決!
選考が進み、内定が近づくにつれて「最終的にバレるのではないか」「手続きで矛盾が出たらどうしよう」という不安は強くなるものです。ここでは、多くの転職希望者が直面する疑問に対し、人事・労務の観点から明確に回答します。
Q1. 入社時に提出する「源泉徴収票」で休職はバレる?
源泉徴収票には、その年の1月1日から退職日までに支払われた給与の総額が記載されます。
数ヶ月間休職し、その間給与が出ていなかった場合、前職の年収と比較して明らかに金額が低くなるため、給与計算を担当する労務担当者は「あ、この期間は欠勤や休職があったのかな?」と気づく場合があります。
そのため、給与額が少ないことから、休職していた可能性を推測されることはあります。
もし聞かれた際に「家庭の事情や療養で少しお休みをいただいていました」と正直に伝えても、入社後であれば大きな問題になることは稀です。
Q2. 傷病手当金をもらっていることは転職先に伝わる?
傷病手当金の情報が、転職先の企業に直接伝わることはありません。
また、新しく加入する健康保険組合でも、過去の受給履歴を新しい会社に報告することはありません。
Q3. 試用期間中に再発してしまったら、即クビになる?
多くの人が最も恐れていることですが、「即解雇」になることは法律上、非常に困難です。
労働契約法により、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。体調を崩したからといって、すぐに解雇することは「解雇権の濫用」とみなされる可能性が高いです。
入社後、もし体調に違和感を覚えたら、早めに上司に相談しましょう。
無理をして隠し続け、重大なミスや長期欠勤につながる前に、適切な配慮(業務量の調整など)を求めることが、結果として長く働き続けるコツです。
Q4. 住民税の納付方法でバレることはある?
住民税を「特別徴収(給与天引き)」から「普通徴収(自分で納付)」に切り替えている場合、入社時に「なぜ普通徴収にしているの?」と聞かれることがあります。
もし聞かれた場合は「退職前後の手続きの関係で、一旦自分で納付するように切り替えました」と答えれば十分でしょう。その後、新しい会社で特別徴収に切り替えてもらえば、それ以上の追及を受けることはないはずです。
2026年最新版!活用すべき制度
転職活動において、一人で悩みを抱え込むのは禁物です。利用できる制度や公的な窓口を知っておくとよいでしょう。
1. 傷病手当金
傷病手当金は、条件を満たしていれば休職中だけでなく退職後も継続して受給が可能です。
業務外の病気や怪我で働けなくなったときに、強い味方になるでしょう。
2. 失業保険
退職後、傷病手当金の受給が終わるタイミングで失業保険に切り替えることも可能です。
求職活動を行いながら、手当を受け取ることができるため安心して仕事探しが行えます。
終わりに
休職中の転職活動は、決して後ろめたいことではありません。むしろ、自分の人生を大切にするための「勇気ある決断」です。
当社では、傷病手当金の申請に関するご相談を個別に受け付けています。
自分も給付金の対象となるかどうか、まずは無理に一人で判断せず、まずはお気軽にお問い合わせください。
▼社会保険給付金サポートへのお問い合わせはこちら
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