1年未満で退職した場合も失業保険はもらえる?

入社してから1年未満で退職した方のなかには、「失業保険がもらえないのでは?」と心配になる方もいるのではないでしょうか。
ここでは、在職期間が1年未満だと失業保険をもらえない理由と、1年未満でも給付金を受給できる条件や制度について解説します。
原則として1年未満で退職すると失業保険はもらえない
1年未満で退職すると、原則として失業保険はもらえません。そもそも失業保険とは、雇用保険の基本手当のことを指し、雇用保険に加入していた人の離職後の就職活動を支援する制度です。そのため、受給には雇用保険の加入期間が定められています。
失業保険をもらうためには、原則として雇用保険の被保険者期間が離職日以前の2年間に通算12か月間必要です。つまり、会社を1年未満で辞めた人は失業保険はもらえないことになります。
1年未満で退職しても受給できるケースがある
原則、1年未満で退職すると失業保険はもらえませんが、退職理由や雇用保険の加入期間などの条件によっては受給が可能です。詳しい条件は後述しますが、会社都合や正当な理由のある退職は、失業までの準備期間が短いことを理由に、失業保険の受給条件が緩和されます。
また、自己都合による退職でも、過去の職歴と失業保険の受給歴によっては、1年未満で退職しても受給できるケースがあります。
短期雇用特例被保険者は特例一時金がもらえる可能性がある
失業保険とは異なりますが、雇用保険の被保険者区分が「短期雇用特例被保険者」に該当する場合は、条件を満たすと特例一時金がもらえる可能性があります。
短期雇用特例被保険者には、季節的または短期雇用を常として働く人が区分されます。具体的には、以下の条件に該当するケースです。
- 4か月以内の契約期間で雇用される人
- 1週間の所定労働時間が30時間未満の人
短期雇用特例被保険者のうち、労働の意思と能力があり、離職前1年間のうちに被保険者期間が通算6か月以上ある場合に特例一時金が支給されます。この被保険者期間は「通算」のため、途中で加入期間が途切れていても合計6か月以上あれば受給対象です。
被保険者期間は、賃金支払いのあった日数が1か月のうち11日以上、または時間数が80時間以上ある月を1か月として計算します。
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高年齢被保険者は高年齢求職者給付金の支給対象になることがある
雇用保険の高年齢被保険者に区分される人は、1年未満で退職した場合に高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。
高年齢被保険者とは、65歳以上の被保険者のうち短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者に該当しない人のことです。一定の条件を満たしたうえで、原則として離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば、期間に応じて以下の所定給付日数分の金額を受け取れます。
| 被保険者期間 | 給付金額 |
| 1年未満 | 30日分 |
| 1以上 | 50日分 |
1年未満で退職しても失業保険をもらえるケース
1年未満で退職した場合でも、条件によっては失業保険を受け取れるケースがあります。
例えば、会社都合で解雇された「特定受給資格者」や、正当な理由のある自己都合退職に当たる「特定理由離職者」、就職が困難と認められる「就職困難者」です。
また、過去の雇用保険加入期間を通算して条件を満たす場合や、失業保険を受給後に再就職して短期間で辞めた場合も対象となる可能性があります。ここでは、1年未満で退職しても失業保険をもらえるケースをそれぞれ解説します。
特定受給資格者である
離職理由のうち「特定受給資格者」に該当する人は、雇用保険の加入期間に関する条件が「離職前1年間で通算6か月以上」に緩和されます。そのため、1年未満で退職している場合でも、条件を満たしている可能性があります。
特定受給資格者は、倒産等または解雇等で離職した人が対象です。倒産等には、以下の離職理由が該当します。
- 破産・民事再生・会社再生といった各倒産手続の申し立て
- 大量雇用変動の場合の届出、および届出により3分の1を超える
- 労働者の退職
- 事業所の廃止
- 事業所の移転による通勤困難
また、解雇等とは以下の理由による離職です。ただし、重責解雇で離職した人は特定受給資格者には該当しません。
- 解雇
- 賃金の未払い
- 予告のない賃金低下
- 規定を超える時間外労働時間
- 退職勧奨
- 上司や同僚からの故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせ
特定理由離職者として認められる
特定理由離職者と認定された場合も、条件である雇用保険の加入期間が「離職前1年間に通算6か月」に緩和されます。特定理由離職者に当たるのは、大きく分けて以下の2つの条件に該当する人です。
- 有期雇用の労働期間が満了し、希望したのに更新がなかった人
- 正当な理由のある自己都合退職者
「正当な理由のある自己都合による退職」には、主に以下の理由が含まれます。
- 労働者本人の心身の障害や体力・視力・聴力の低下
- 妊娠・出産・育児
- 家族の介護や扶養
- 家族や交通機関、雇用主の都合による通勤困難
- 人員整理による希望退職者の募集への応募
就職困難者に該当する
就職困難者に該当する場合も、特定受給資格者や特定理由離職者と同様に、雇用保険の加入期間が離職前1年間に通算6か月以上で失業保険を受給できます。就職困難者とは、主に以下に該当する人です。
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 刑法等の規定により保護観察が与えられた人
- 社会的事情により就職が著しく阻害されている人
雇用保険の通算加入期間で条件を満たしている
1年未満で自己都合退職した場合でも、雇用保険の加入期間を満たしている場合があります。失業保険の条件である加入期間は「通算」のため、必ずしも加入が連続している必要はないためです。
例えば、今回の離職前2年間で8か月勤めた会社を退職後、失業保険を受け取らずに今の会社で5か月間働いて退職した場合は雇用保険に通算13か月加入していたことになり、加入期間の条件を満たします。
同様に、離職前の2年間に5か月勤めてから退職、さらに別の会社で5か月勤めて退職、今回の会社は4か月で辞めた場合、加入期間は通算14か月となり、2度転職していても失業保険を受け取れます。ただし、今回の離職までに失業保険を受け取っていないことが条件です。
失業保険の受給後に再就職してすぐ辞めた
以前勤めていた会社を退職後、失業保険を受給中に再就職したものの受給期間中に退職した場合は、残りの給付金をもらえることがあります。2回目の退職で、失業保険の受給条件を満たす場合は新たな受給資格を取得できますが、満たさない場合は以前の受給資格が継続されるためです。
ただし、受給期間を過ぎると以前の受給資格は消滅するため、期限ギリギリの場合はできるだけ早く手続きする必要があります。
離職理由による失業保険の受給内容の違い
1年未満で退職した場合でも失業保険を受け取れる可能性はありますが、離職理由によって受給額や受給開始のタイミングが異なります。
受け取れると思っていた金額やタイミングで受給できず、慌ててしまわないためにも、離職理由ごとの受給内容の違いを解説します。
失業保険の所定給付日数
特定受給資格者・特定理由離職者・就職困難者と一般の離職者は、以下の表のように失業保険をもらえる日数が異なります。
・特定受給資格者及び一部の特定理由離職者
| 離職時の年齢 | 雇用保険の被保険者期間 | ||||
| 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
| 30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
| 35歳以上45歳未満 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
| 45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
| 60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
・一般の離職者
| 雇用保険の被保険者期間 | 所定給付日数 |
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
・就職困難者
| 離職時の年齢 | 雇用保険の被保険者期間 | |
| 1年未満 | 1年以上 | |
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
ただし、特定理由離職者のうち、「正当な理由があり離職した人」の所定給付日数は一般の離職者と同じです。
給付制限
離職理由により、失業保険の受給が開始する時期も異なります。
どのような離職理由であっても、失業保険の受給手続き後に7日間の待期期間が設けられています。特定受給資格者や特定理由離職者は、この期間が過ぎると受給開始となります。
一方、一般の離職者は待期期間のあとに原則1か月の給付制限がかかることに注意が必要です。離職理由や過去の失業保険の受給状況別に、給付制限の有無と期間を以下の表にまとめました。
| 離職理由・過去の受給状況 | 給付制限期間 |
| 特定受給資格者 | なし |
| 特定理由離職者 | なし |
| 一般の離職者 | 1か月 |
| 離職日以前の5年以内に2回以上自己都合退職で失業保険の受給決定を受けた人 | 3か月 |
| 懲戒解雇された人 | 3か月 |
離職理由の判断は誰がする?
失業保険の受給内容が変わる「離職理由」は、離職票で確認できます。
離職票とは、離職したことを証明する公的な書類です。失業保険を受給するために必要な書類でもあり、会社が発行手続きを行います。
ここでは、離職理由の判断は誰がして、どのように決定されるのかを解説します。
離職票に記載される離職理由は会社が決める
離職票は労働者が会社に発行依頼をした後、退職日の翌日から10日以内に雇用保険被保険者離職証明書をハローワークに提出することで発行される書類です。
離職証明書には労働者の離職理由を書く欄があり、会社が記入して提出します。通常、労働者は離職票が発行されるまで、離職票に書かれる離職理由を知ることはできません。
一般的には、労働者が会社に申し出た退職理由が離職票の「離職理由」として発行されます。
最終的な判断はハローワークがする
離職票の離職理由は、あくまで会社側が発行時に申請した内容になるため、実際には労働者の意見と食い違うケースも珍しくありません。
そのため、失業保険の受給資格が決定される前に、労働者が離職理由に納得しているかを確認する必要があります。離職理由に問題がなければ、離職票に書かれた理由で受給の申請手続きを進めていく流れです。
一方、実際の離職理由と異なる場合は、労働者が申し出ることで会社と労働者の言い分や事実が詳しく調査され、ハローワークが最終的に判断します。
離職票の離職理由が事実と異なる場合の対処法

1年未満で退職した場合でも、特定受給資格者や特定理由離職者に該当する場合は、失業保険の受給対象になるケースがあります。
例えば、パワハラなどのハラスメントを受けて退職せざるを得なかった場合や、事務所の移転で通勤できなくなった場合など、離職せざるを得ない理由があるケースです。
離職票に書かれた離職理由が事実とは異なる場合、必要書類を揃えてハローワークに異議申し立てをすることで、変更してもらえる可能性があります。ここでは、離職票の離職理由が実際とは異なる場合の対処法を解説します。
離職理由を証明できる書類を準備する
離職理由に不満があっても、労働者の主観的な意見だけでは覆せません。実際の離職理由を客観的に証明できる書類が必要です。
具体的には、以下のような証明書類が求められます。以下の表で、各離職理由で求められる主な書類をまとめました。
| 離職理由 | 提出書類の例 |
| 解雇 | 解雇予告通知書、退職証明書、就業規則 |
| 労働契約期間の満了 | 労働契約書、契約更新の通知書 |
| 事業所の移転による通勤困難 | 事務所移転の通知書、通勤経路の時刻表 |
| 遠隔地への転勤 | 労働契約書、転勤辞令 |
| 家族の介護 | 医師の診断書、退職届の写し |
参考:厚生労働省|離職票-2の離職理由欄等の記載方法について
提出書類は状況によって必要な証拠が異なるため、事前にハローワークに問い合わせて確認しておくと安心です。
ハローワークに異議申し立てをする
離職理由を証明できる書類を持参し、ハローワークの窓口で異議申し立ての手続きを行うことで、訂正が可能か審査してもらえます。
証明書類のほかに離職票や雇用保険被保険者証、個人番号確認書類、本人確認書類なども必要なため、忘れないように持参しましょう。
異議申し立てをする際は、離職票-2の「離職理由に異議」の「有り」を丸で囲み、「具体的事情記載欄」に実際の離職理由を記入して提出します。
ハローワークが事実確認を行う
提出した証拠書類をもとに、会社と労働者の双方に事実確認の調査が行われます。必要に応じて、ハローワークの担当者から事情を聞かれたり、追加の提出書類を求められたりすることがあるため、柔軟に対応しましょう。
調査期間は明らかにされておらず、通知が来るまで待つことになります。お互いの意見が食い違っていたり、書類の不備があったりすると長期に及ぶ可能性があります。
離職理由が決定される
会社と労働者、双方の意見や証明書類をもとに、ハローワークが離職理由を決定します。離職理由の決定後、結果が労働者に通知され、内容に不服がなければ失業保険の受給手続きへと移ります。
決定に不服がある場合は審査請求を行う
ハローワークの決定に不服がある場合は、結果を知ってから3か月以内であれば、都道府県労働局の雇用保険審査官に審査請求(不服の申し立て)ができます。都道府県労働局に対して直接請求する方法のほかに、ハローワークを通して手続きすることも可能です。
審査請求が棄却された場合や3か月を過ぎても決定されない場合は、労働保険審査会に再審査請求の申し出、もしくは地方裁判所に原処分の取消訴訟を起こす選択肢もあります。ただし、訴訟になると個人だけでは対応が難しくなるため、専門家に相談する必要が出てくるでしょう。
まとめ
1年未満で退職したい場合は、原則として失業保険は受け取れません。ただし、離職理由が会社都合や特定理由離職に該当する場合、雇用保険の通算加入期間や特例制度の対象など、条件によっては受給対象になります。
また、離職票の理由が事実と異なる場合でも、証拠書類をもとに異議申し立てを行えば見直される可能性があります。
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