失業保険は基本的に確定申告不要

会社を退職後、失業保険(失業手当、失業給付金)をもらっていた時期があっても基本的に確定申告は不要です。
失業保険は所得とはみなされず、課税対象にはなりません。なぜなら、失業保険から税金をとってしまうと、手取り金額が減って生活が困難になる可能性があるためです。
保障のための給付金という理由から、失業保険を確定申告で申告する必要はありません。ただし、確定申告したほうがよいケースもあるため注意が必要です。
そもそも失業保険とは
失業保険(基本手当)は、再就職までの生活費を保障するための給付です。受給額や期間は、離職理由や被保険者期間によって異なります。
受給条件と給付制限の短縮
失業保険を受け取るためには、次の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険に加入し、保険料を支払っている
- 退職前の2年間に12カ月以上雇用保険の被保険者期間がある(特定受給資格者の場合は退職前1年間に6カ月以上の被保険者期間がある)
- 就労の意志と能力があり求職活動を行っている
また、2025年4月の雇用保険制度改正により、給付制限期間が2か月から1か月に短縮になりました。
以前よりも早く受給開始できるようになったため、早期の再就職活動が可能です。
出展:雇用保険法等の改正について(令和7年度に向けた改正内容)|厚生労働省
失業保険の受給金額
失業保険の受給金額は失業前の給与額と離職者の年齢によって変動し、「給付日数 × 基本手当日額」で決まります。一般的に、受給額は離職前の給与総支給額の50%〜80%(60歳〜64歳については45%〜80%)程度です。
具体的な受給金額の計算手順は、以下のとおりです。
計算手順:
1. 賃金日額の計算方法:退職前6カ月の賃金合計 ÷ 180
2. 基本手当日額の計算方法:賃金日額 × 給付率
3. 基本手当総額の計算方法:基本手当日額 × 給付日数
「基本手当日額」とは1日当たりの支給額で、離職前の賃金を基に算出されます。ボーナスなどの賞与を除く退職前6カ月間の賃金を180日で割った「賃金日額」に、50〜80%の給付率を掛けた金額です。
給付率は離職時の年齢や退職前の賃金によって変動し、一般的には賃金が低いほど給付率が高くなります。基本手当日額には上限があり、上記の計算で上限金額を超える場合は上限額が基本手当日額となります。また、下限を下回る場合は最低額の2,411円が基本手当日額です(2025年8月1日時点)。
| 離職者の年齢 | 上限額 |
| 30歳未満 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 |
※正確な金額は、ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証」で確認してください。
受給期間の目安
失業保険の受給期間は、離職者の年齢と雇用保険の被保険者期間によって異なります。また、離職の理由によっても異なります。
- 会社都合(特定受給資格者等)の場合:年齢と加入期間に応じて90日〜330日の手厚い期間が設定されます。
- 自己都合の場合:加入期間に応じて90日〜150日となります。
※詳細な所定給付日数の確認はこちら
出典:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
確定申告をしたほうがよいケース
冒頭で解説したとおり失業保険は課税対象外のため、基本的に確定申告は不要です。
しかし、一部のケースでは確定申告することで還付金が戻ってくるケースもあります。そのため、ここでは失業保険をもらったときに確定申告したほうがよいケースを紹介します。
年内に再就職しなかった場合
年の途中で退職し、その年に再就職しなかった場合は確定申告したほうがよいケースがあります。なぜなら、年末調整で戻ってくるはずだった還付金がもらえない可能性があるためです。
雇用主が行う年末調整では、給与から源泉徴収として天引きされた所得税額と実際に支給された1年間の給与支給額から計算した所得税額の差額を算出して、還付あるいは追加徴収を行います。つまり、年の途中に退職して年内に再就職しない場合は年末調整が受けられず、還付金があっても受け取れません。
年内に再就職しない場合に確定申告すると、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性がありますが、申告書類を作成する手間もかかります。還付額や手間を考慮し、必要に応じて確定申告するとよいでしょう。
また、失業中に支払った社会保険料がある場合、確定申告で社会保険料控除を受けられるため、還付金額が増えるケースがあります。確定申告する場合は、社会保険料の申告も忘れないようにしましょう。
失業中に収入があった場合
失業保険の給付制限中や受給中も、週20時間未満のパートやアルバイトが認められています。給与から源泉徴収され、年末調整を受けた場合は原則として確定申告は不要ですが、年内に再就職しなかった場合や年末調整されていない収入があった場合は確定申告が必要です。
また、不動産所得や配当所得等による収入が年間20万円を超える人など、失業中に収入がある場合は確定申告が必要になります。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
退職時に退職金を受け取った場合、通常は退職金の支給時に源泉徴収されるため確定申告は不要です。ただし、退職金の支払いを受ける時までに会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、個人で確定申告する必要があります。
「退職所得の受給に関する申告書」とは、退職金を受け取る人が勤務先に提出することで源泉徴収してもらうための書類です。この書類を提出しなかった場合は、自動的に退職金の20.42%が源泉徴収されます。
本来支払うべき税金より多く支払ってしまっている可能性があるため、還付を受けるためにも退職金を受け取った翌年に確定申告したほうがよいケースです。
税金の控除を受けたい場合
確定申告は税金の過不足を調整するだけでなく、各種控除を申告して税負担を軽減できるメリットがあります。
たとえば、一定金額以上の医療費を支払った場合、確定申告すると還付金を受け取れるケースがあります。ただし、年末調整では申告できませんので、控除を受けたい場合は個人での確定申告が必要です。
確定申告が必要な控除の一例は、以下のとおりです。
- 医療費控除
- 雑損控除
- 寄付金控除
通常は住宅ローン控除を受ける際、入居2年目以降から年末調整で控除できますが、失業中に年末調整を受けられない場合は確定申告が必要です。
再就職先に失業中の社会保険料を伝え忘れた場合
退職後、再就職するまでに自分で社会保険料を納めた場合、再就職先での年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書」を提出すると会社側で手続きしてくれます。
「給与所得者の保険料控除申告書」は、会社を通して支払っていない社会保険料を把握し、精算するための書類です。個人で支払った社会保険料は会社が把握していないため、年末調整で書類を提出し忘れた場合は、自分で確定申告する必要があります。
個人事業主になり一定の条件に当てはまった場合
退職後に個人事業主となった場合は勤務先で年末調整を受けられないため、個人で確定申告する必要があります。
ただし、1年間の事業所得合計が48万円以下の場合は基礎控除により所得が課税されないので、確定申告は不要です。事業所得とは、個人事業主として営む事業から得られた所得で、収入金額から必要経費を差し引いた金額を指します。
たとえば、個人事業主として50万円の収入があった場合でも、必要経費が5万円であれば事業所得は45万円となり確定申告は必要ありません。一方、収入が50万円で必要経費が1万円だった場合、事業所得は49万円となり確定申告が必要です。
確定申告(還付申告)の手順と期限
失業保険の受給者が確定申告を行う主な目的は、会社員時代に払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」です。ここでは、迷わず手続きを進めるための手順を簡潔にまとめました。
還付申告なら5年以内いつでもOK
通常の確定申告期限は2月16日から3月15日までですが、税金が戻ってくる「還付申告」であれば、翌年の1月1日から5年以内であればいつでも提出可能です。あえて混雑する2月〜3月を避けて手続きを行うこともできます。
スマホとマイナンバーカードで完結!3ステップ
税務署へ行かなくても、自宅からスマホで手続きを完結させるのが最も効率的です。
1.必要書類の準備
退職時に会社から受け取った「源泉徴収票」と、マイナンバーカードを手元に用意します。これだけで、多くの面倒な書類準備が不要になります。
2.「確定申告書等作成コーナー」へアクセス
国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスし、画面の案内に沿って金額を入力します。このサイトを使えば、複雑な計算を自動で行ってくれるため、ミスがありません。
3.e-Tax(電子申告)で送信
マイナンバーカードがあれば、そのままスマホから電子申告が可能です。郵送の手間や切手代もかからず、還付金も比較的早く口座へ振り込まれます。
※還付時期の目安は、電子申告(e-Tax)であれば2〜3週間程度です。書類に不備がないよう、送信前によく確認しましょう。
失業保険は非課税でも「住民税」の納付書が届く理由と対策
失業保険そのものには税金がかかりませんが、退職後に役所から住民税の納付書(請求書)が届いて驚く方は非常に多いです。これには住民税特有の「後払いルール」が関係しています。
なぜ収入がないのに住民税を払う必要があるのか
住民税は、「前年1月〜12月の所得」に対して計算され、翌年の6月から支払いが始まる仕組みです。
つまり、現在受け取っている失業保険に対する税金ではなく、「会社員として働いていた去年の給与」に対する税金を、退職後に自分の手で支払っているに過ぎないのです。
普通徴収への切り替えと支払いの負担
会社員時代は給与から天引き(特別徴収)されていましたが、退職後は「普通徴収」という方法で、自分で納付書を持って金融機関やコンビニで支払う必要があります。
この支払いは年4回に分けて行われるため、1回あたりの請求額が数万円単位と高額になりがちです。
対策:支払いが困難な場合は、督促状が届く前に必ず役所の「納税課」へ相談してください。状況によっては、分割納付や支払猶予が認められる場合があります。
失業保険の受給までの3ステップ
失業保険を受け取るためには、ハローワークでの申請と定期的な認定手続きが必要です。複雑なルールは多いですが、まずは以下の「3つの基本」だけ押さえておきましょう。
1. ハローワークで求職の申し込みを行う
離職後に会社から受け取る「雇用保険被保険者離職票」などの必要書類を揃えて、管轄のハローワークへ行き、求職の申し込みを行います。
主な必要書類:
- 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
- 本人確認書類(マイナンバーカード等)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 写真(たて3.0cm×よこ2.4cm)2枚
※マイナンバーカードを提示すれば、写真や一部の書類を省略できる場合があります。
2. 「雇用保険説明会」へ参加する
求職申し込み後、初回の手続きから7日間の「待機期間」を経て、説明会の日程が指定されます。この説明会への参加は受給の必須条件です。説明会当日が「1回目の求職活動実績」として認められるため、まずはここへの参加を確実に予定に入れましょう。
3. 定期的な「失業認定」を受ける
受給開始後は、原則として4週間に1度、指定された「失業認定日」にハローワークへ赴きます。
認定日までに2回以上の求職活動実績を作り、ハローワークへ報告することで失業が認定され、手当が指定口座に振り込まれます。
※詳細な手続きや最新の必要書類についてはこちら
手続きの内容は地域や個人の状況により異なる場合があります。詳細はハローワーク公式サイトをご確認ください。
失業保険を受給しながら扶養に入る条件
配偶者の扶養家族になっている場合や失業に伴い扶養に入りたい場合、失業保険の受給要件を満たしていれば受給できます。
ただし、失業保険を受給しながら扶養に入れないケースもあるため注意が必要です。ここでは、失業保険を受給しながら扶養に入る条件を紹介します。
税法上の条件は年収103万円以下
所得税法上、被扶養者の年収が103万円以下の場合は所得税が発生せず、かつ扶養している配偶者が配偶者控除を受けられます。給与所得控除額が最低55万円、基礎控除が最大48万円であるためです。
ただし、年収が103万円を超えていても一定の条件を満たせば、年収200万円までは配偶者特別控除を受けられます。
退職前の給与は、会社が発行する源泉徴収票で確認できます。源泉徴収票は退職後1カ月以内に会社が交付する義務があるため、発行が遅れている場合は勤務していた会社に問い合わせましょう。
社会保険上の条件は年収130万円未満
退職後は任意継続しない限り、加入していた健康保険から国民健康保険へ切り替える必要があります。しかし、扶養家族になれば配偶者の健康保険に加入できる場合もあり、その基準は今後の年収が130万円未満になる予定であることです。
配偶者の健康保険に扶養で入るには、失業保険を含めた収入で判断されます。収入が失業保険のみの場合、基本手当日額が3,611円以下であれば年収が130万円以下となり、扶養の対象となります。
基本手当日額の計算方法は、以下のとおりです。
賃金日額 = 退職する6カ月間の給与(賞与除く) ÷ 180日
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45~80%)
ただし、扶養に入れる条件は配偶者が加入する健康保険組合によって異なるため、詳細は配偶者の勤める会社に確認しましょう。
失業保険を受給しながら扶養に入るメリット
扶養に入るためには、配偶者が勤める会社に確認が必要だったり、被扶養者届などの書類を会社に提出したりと手間がかかります。
しかし、失業保険を受給しながら扶養に入るメリットもあるため、どのようなメリットがあるかを把握して扶養に入るかどうかを検討しましょう。
配偶者控除を受けられる
扶養に入ると配偶者控除の対象となるため、世帯全体の税負担が軽くなります。配偶者控除は年収103万円以下が条件で、納税者の合計所得金額が900万円以下の場合は38万円の控除が受けられます。
年収が103万円を超えてしまった場合でも、配偶者特別控除が受けられるケースもあります。たとえば、納税者の年間合計所得が900万円以下で、扶養される配偶者の年間合計所得が103万円超133万円以下の場合、配偶者特別控除の金額は3万円です。
被扶養者の保険や年金の負担が減らせる
退職後は国民健康保険や国民年金に加入する必要がありますが、扶養家族として配偶者の社会保険に加入すると、社会保険料の負担がなくなります。
国民年金の保険料は2024年度で月額16,980円、国民健康保険料は自治体や前年度の収入によって異なりますが、東京新宿区の目安では総所得200万円で月額2万円程度です。次の就職先を探す間は失業保険で生活費をまかなわなくてはならないため、社会保険料の負担を減らせることは大きなメリットです。
失業保険を受給しながら扶養に入る際の注意点

失業保険を受給しながら扶養に入ると、配偶者控除を受けられたり社会保険料の負担を減らせたりするメリットがあります。
一方で、失業保険を受給しながら扶養に入る際に注意しなければならないポイントもあるため、ここで解説します。
社会保険上では収入扱いとなる
失業保険給付金は収入とみなされないため、確定申告や年末調整で申告する必要はなく、扶養に入って配偶者控除を受けられる「年収103万円以下」の条件にも含まれません。
しかし、社会保険上では失業保険も収入とみなされるため、扶養家族として配偶者の健康保険に加入できる「年収130万円未満」の条件に受給額が含まれます。
扶養に入りたい場合は、失業保険の基本手当日額を確認したうえで、配偶者が加入する健康保険組合に加入できるか確認しましょう。
不正受給にはペナルティがある
申請時に条件を満たして社会保険上の扶養に入っていても、年収130万円以上になると扶養認定が取り消されてしまいます。ただし、収入の増加が一時的であれば、即時取り消しとはならないケースもあるようです。
しかし虚偽申請と判断されると、扶養認定の取り消しだけでなく、過去にさかのぼって支払われた保険給付金を返還する必要があります。
「言わなければバレないのでは?」と思うかもしれませんが、扶養手続きはマイナンバーを通して行われるため、不正受給の発覚リスクは高いとされています。条件を超えてしまうとわかったら、速やかに扶養を抜ける手続きをしましょう。
失業保険を受給しながら「扶養」に入るための「日額」の壁
家族の扶養に入りたい場合、「税金上の扶養」と「健康保険上の扶養」で判断基準が大きく異なります。特に健康保険の扶養条件は非常に厳しいため、注意が必要です。
税制上の扶養(配偶者控除など)
所得税の計算上、失業保険は「非課税所得」として扱われるため、受給額に関わらず「所得ゼロ」とみなされます。他の収入がなければ、扶養に入り続けることが可能です。
健康保険上の扶養(社会保険の壁)
健康保険の扶養に入るためには、「今後の見込み年収が130万円未満」である必要がありますが、失業保険の受給額もこの「収入」に含まれます。
- 判断の基準:基本手当日額 3,612円 以上
(計算式:130万円 ÷ 360日 ≒ 3,611.1円)
令和7年度の最新基準においても、多くの受給者がこの「日額の壁」を超えるため、受給期間中は家族の健康保険の扶養から外れ、「国民健康保険」への加入や「任意継続」の手続きが必要になるケースがほとんどです。
扶養手続きの注意点
- 保険組合ごとにルールが異なる:健康保険組合によっては、失業保険の受給開始と同時に扶養から外れるよう求めてくる場合があります。
- 受給終了後の再加入:受給期間が終われば、再び家族の扶養に戻れるケースが一般的です。
- まずは相談:受給資格が決まったら、速やかに家族が加入している健康保険組合へ「失業保険を日額〇〇円受給するが、手続きはどうすべきか」を確認しましょう。
まとめ
失業保険は再就職までの期間、安定した生活を保障するための給付です。そのため非課税となり、失業保険に対して所得税や住民税などの税金を納める必要はありません。課税対象ではないため、収入が失業保険のみの場合は確定申告も不要です。
家族の扶養に入りながら失業保険を受給することも可能で、失業中の社会保険料の負担を軽減できます。しかし、失業保険を受け取るためには必要書類を揃えて申請し、ハローワークで指定された手続きを進めなくてはなりません。
退職コンシェルジュの「社会保険給付金サポート」では、複雑な申請を専任スタッフがサポートします。サービス申込の前に無料WEB説明会や個別相談を受けられるので、「思っていたサービスと違った」と申込後に後悔する心配はありません。
失業保険の手続きで困ったことがあれば、退職コンシェルジュまでお気軽にご相談ください。
社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼
転職&給付金の相談はこちら▼
給付金がいくらもらえるか
知りたい方
給付金サポートを
ご検討中の方
評判・口コミ
給付金がもらえる
転職支援を活用する方
その他退職について
ご不安がある方
もらえる給付金ラボ
退職コンシェルジュについて 


