2024.11.13

社会保険について

社会保険給付金を最大28か月もらう方法とは?失業保険とは違う?条件や流れ、申請サポートも紹介

社会保険給付金を最大28か月もらう方法とは?笑顔の男性

仕事を持つ人にとって、失業や病気によって収入がなくなってしまうのは不安です。お金のめどが立たないと頭が真っ白になり、これからの生活を考える余裕もなくなってしまいます。このような状況に備える制度が社会保険給付金です。

社会保険給付金は、人によっては最大で28か月も受け取ることができます。本記事では、社会保険給付金とはなにかを説明し、28か月受け取る条件と手順、注意点などを解説します。

社会保険給付金の申請方法については以下記事もご確認ください。
参考:社会保険給付金とは?申請方法や申請場所、必要書類などを解説

この記事の監修者

杉山 雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

YouTubeの他、NHK、千葉テレビ、日本テレビ、東海テレビ、FM西東京、フジテレビ、共同通信社、時事通信社、朝日新聞、朝日テレビ、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、CBCテレビ、名古屋テレビ、中日新聞その他数多くのネット記事、週刊誌多数のメディアに取材されたり、AbemaTV、NHKスペシャル、クローズアップ現代、バイキングモア、おはよう日本、など有名番組に出演してます!

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社会保険給付金とは

社会保険給付金とは?考える男性

社会保険給付金とは、失業手当や傷病手当金など、労働者の生活を支援するための給付金制度の総称です。働く人や家族を守るセーフティーネットの役割を果たしています。

社会保険給付金を活用すれば、最長で28か月にわたって給付を受けられる可能性があります。ただし、自分から申請しなければ給付金をもらうことはできません。

社会保険給付金を28か月受け取る仕組み

社会保険給付金を28か月受け取る仕組み

社会保険給付金を活用し、最長28か月間給付を受け続けるには、複数の給付金を組み合わせる必要があります。一般的には、失業保険と傷病手当金を併用するのが効果的な方法です。

失業保険と傷病手当金がどのような制度なのか説明します。

失業保険を受給する

失業保険は、失業した人が生活の安定を図りながら、再就職活動を行うことができるように支給される給付金制度です。

給付日数は年齢、被保険者期間、離職理由などによって異なり、90日〜360日です。例えば、被保険者期間が10年未満の人が自己都合で退職した場合、給付日数は90日となります。

給付額は離職前6か月間の総支給をもとに算出され、おおよそ50〜80%程度となります。ただし、年齢ごとに上限額が設定されています。例えば、30歳以上45歳未満の人の場合、1日あたりの給付額の上限は7,845円です。

傷病手当金を受給する

傷病手当金は、病気や怪我で働けなくなった場合に、被保険者の生活を保障するために支給される給付金です。

受給するには、健康保険の被保険者であることが条件です。連続して3日間仕事を休んだ場合、4日目から給付が開始されます。支給期間は最長で1年6か月です。

給付額は、休業開始前の標準報酬月額を基に算出され、おおよそ3分の2程度となります。ただし、休業期間中に給与の支払いがある場合は、その分、給付額が減額されます。

社会保険給付金を28か月受け取れるケースは珍しいのか?

社会保険給付金を組み合わせると「最大28か月ほど受け取れるケースがある」と言われますが、これは特別な裏技というわけではありません。
体調不良で長期間働けない期間が続いたり、失業保険と傷病手当金の流れが自然に重なった結果、気づけば28か月近くになる…という人も実際にいます。

ただし、誰もが自動的に28か月受け取れるわけではなく、健康状態や退職のタイミングによって受給期間は変わります。
ここでは「特別なことをしなくても、どういったケースで28か月に近づきやすいのか」を、できるだけシンプルに整理します。

制度上での最長受給期間と言われるが、条件が厳しいわけではない

「28か月」と言われるのは、

  1. 傷病手当金(最長1年6か月)
  2. 失業保険(90〜最大330日)

この2つを 順番に使った場合の合計期間 の目安です。

どちらも一般的に利用されている制度で、特別な条件が必要というわけではありません。
“28か月必ずもらいにいく”というよりも、体調や状況に合わせて制度を使っていく中で、そのくらいの期間になっていく、というケースもあります。

厚生労働省の健康保険制度の概要でも、傷病手当金が「1年6か月」と明記されています。

参考:厚生労働省|令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます

28か月に近づきやすい代表的なパターン

難しく考える必要はなく、次のような流れのとき、結果的に期間が長くなることがあります。

  • メンタル不調や体調悪化で働けない状態がしばらく続いた
  • 傷病手当金を受けながら療養していた
  • 回復してから失業保険の受給を始めた

 

特に珍しいケースではなく、自然な流れでこの形になる人は一定数います。

 一方で、28か月より短くなるケースもある

もちろん、状況によっては28か月より短くなることもあります。

たとえば

  • 体調が早く回復した
  • 退職日の扱いで手続きが変わった
  • 雇用保険の受給日数が短い

といった理由で、期間が短くなるケースも普通にあります。

「28か月でなければ失敗」というわけではまったくないので、必要以上に不安に感じる必要はありません。

社会保険給付金を28か月受け取るための条件

社会保険給付金を28か月受け取るための条件を調べる男性

社会保険給付金を活用し、最長28か月間給付を受け続けるには、失業保険と傷病手当金の受給要件をすべて満たす必要があります。

給付金を28か月間受け取るための要件を見ていきましょう。

失業保険の受給要件

失業保険の受給には、次の要件を満たす必要があります。

  • 原則として、離職日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
  • 再就職の意思と能力があること
  • 積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態であること

参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当について

会社が倒産したり、解雇されたりした場合など、特定の条件を満たす場合は、被保険者期間が通算して6か月以上あれば受給できる場合があります。

傷病手当金の受給要件

傷病手当金を受給するためには、下の要件を満たさなければなりません。

  • 業務外の病気やケガの療養による休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業期間中に給与の支払いがないこと

参考:全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

失業保険と傷病手当金を同時にもらえない理由

失業保険と傷病手当金は、どちらも働けない期間を補う制度ですが、性質がまったく異なるため「同時受給」は制度上認められていません。

法律上の根拠

失業保険(雇用保険法)では、受給期間中に「就職しようとする意思」と「働く能力があること」が必要とされています。

一方で、傷病手当金は 働くことができない(労務不能)状態であること が給付の前提です。
つまり、一方は「働ける前提」、もう一方は「働けない状態前提」であるため、同時には成立しません。

切り替えのタイミングに注意が必要

同時にはもらえませんが、 “順番を切り替えて使う”ことは可能 です。

例としては以下のような流れです。

退職前〜退職後に傷病手当金を受給

体調が回復したタイミングで傷病手当金を終了

その後、失業保険の受給資格を再度確認して申請

ただし、失業保険は原則は「受給期間(申請できる期限)が1年」と決まっているため、傷病手当金を長期利用している場合は、受給期間延長申請(傷病などによる延長)が必要になります。
延長申請については厚生労働省の「雇用保険受給手続きのしおり」に記載されています。

参考;ハローワークインターネットサービス|雇用保険受給手続きのしおり

よくあるミスと注意点

  • 傷病手当金の受給中に、誤ってハローワークへ求職申込みをしてしまう
  • 医師の診断書が「労務不能」でなくなったにもかかわらず申請を続けてしまう
  • 失業保険延長手続きを忘れて、受給できるはずの期間を失う

 

このあたりはミスが多いため、事前に流れを整理しておくことが大切です。

社会保険給付金が28か月受け取れるかチェックしよう

ここでは、実際に28か月に近い期間を受給できるかどうかの“大まかな判断材料”をまとめました。
すべて当てはまる必要はありませんが、複数該当するほど28か月に近づきやすくなります。

失業保険側のチェック

  • 雇用保険の加入期間が1年以上ある
  • 退職理由が会社都合またはやむを得ない理由での離職
  • 職後すぐに働ける状態ではないため「受給期間延長」の対象になり得る

傷病手当金側のチェック

  • 医師から労務不能と判断されている
  • 退職前に傷病手当金の「待期期間(3日間)」が成立している
  • 退職日当日に出勤していない(資格喪失日との整合性が取れる)
  • 継続して治療が必要な状態である

参考:全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき
(傷病手当金)

28か月が難しいケースの特徴

逆に、以下に該当する場合は総受給期間が短くなる可能性が高いです。

  • 傷病手当金が1年6か月も継続するほど症状が重くない
  • 雇用保険の加入期間が短く、失業保険の日数が短い
  • 医師から「働ける」と判断されるタイミングが早い
  • 退職日当日に出勤してしまい、傷病手当金が退職後に使えない

社会保険給付金を28か月受け取る流れ

社会保険給付金を28か月受け取る流れを確認する男性

社会保険給付金を活用し、最長28か月間給付を受け続けるには、失業保険と傷病手当金の手続きを適切に行う必要があります。

失業保険と傷病手当金、それぞれの申請の流れを説明します。

失業保険を申請する流れ

失業保険は、次の4ステップで申請を進めます。

1.失業保険給付に必要な書類を準備する
2.ハローワークで失業保険の申請をする
3.失業保険の受給説明会に参加する
4.失業認定日にハローワークに行く

離職の日から1年以内に申請する必要があります。申請期限内に手続きを完了させるようにしましょう。

傷病手当金を申請する流れ

傷病手当金は、以下の4つの手順を経て申請します。

1.健康保険の切り替え選択と年金の免除申請をする
2.会社から傷病手当金の申請用紙を受け取る
3.申請用紙を記載し、保険組合に提出する
4.ハローワークで失業保険の受給期間延長を申請する

傷病手当金の申請と同時に、ハローワークで失業保険の受給期間延長手続きを行うようにしましょう。失業保険と傷病手当金を同時に受給することはできません。延長手続きを行わないと、失業保険の受給資格を失う可能性があります。

受給期間を少しでも延ばすための実務ポイント

制度そのものは誰に対しても公平ですが、実際の受給期間は「退職のタイミング」や「医師の診断内容」「申請の順序」で大きく変わります。
ここでは、28か月に近づけたい場合に知っておくと役立つ実務的なポイントをまとめます。

医師に相談するときに伝えておきたいこと

労務不能かどうかは医師の判断ですが、診断には日々の状態や仕事内容も重要になります。

たとえば、次のような点を伝えておくと診断がより正確になります。

  • 仕事中に支障が出ている具体的な場面
  • 休んでいる期間の状況
  • 通勤や勤務時間が負担になっているか

 

診断書を書いてもらう際のコミュニケーションは非常に重要です。

退職日の調整で損をしないために

退職日が変わると、健康保険の資格喪失日も変わり、傷病手当金を退職後に受け取れるかどうかに影響します。

特に多いのは「退職日当日に出勤してしまい、待期が成立しなくなる」という問題です。

有給か公休か欠勤かなど、休み方の種類は問わない保険組合が多いです。最終日会社まで足を運ばなければいけないことがあっても、出勤扱いにはされないように絶対に注意しましょう。

参考:全国健康保険協会|傷病手当金

ハローワークでの手続きの注意点

傷病手当金を長く受け取り、その後に失業保険を申請する場合は以下に注意が必要です。

  • 受給期間延長申請は「所定期間内」に行う
  • 診断書の提出は期限に余裕を持つ
  • 働ける状態になってから求職申込みを行う

 

延長申請を忘れると、失業保険を受け取れなくなる可能性があるため注意が必要です。

社会保険給付金を28か月受け取る際の注意点

社会保険給付金を28か月受け取る際の注意点を確認する女性

社会保険給付金を活用し、最長28か月間給付を受け続けるためには、以下の点に注意する必要があります。

  • 退職日を迎える前に連続して3日以上の休みを取る
  • 病院で労務不能の診断を受けてから、3日以上の連続したお休みを取る
  • 退職日当日は出社しない
  • 毎月1度は病院に通う
  • 定期的に求職活動する

 

それぞれの注意点を詳しく説明します。

退職日を迎える前に連続して3日以上の休みを取る

社会保険給付金を受給するには、退職する前に連続3日以上の休みを取る必要があります。

3日間の連続した休みは、土日祝日、有給休暇、あるいは年末年始やゴールデンウィークなどの連休を利用しても構いません。ただし、共済組合の場合は、公休を除いた3日間の休暇が必要です。

病院で労務不能の診断を受けてから、3日以上の連続したお休みを取る

3連休に入る前日までに病院で初診を受けてください。診断書の取得は必須ではありませんが、会社から提出を求められた場合は指示に従ったほうがよいでしょう。

この際、病気や怪我の原因が「職場のストレス」と記載されないように注意してください。「原因不明」や「不詳」などと記載してもらうほうがよいでしょう。職場のストレスが原因と判断されると、労災保険の対象となり、傷病手当金を受給できなくなる可能性があります。

受診した病院で労務不能と診断されなかった場合は、ほかの医療機関を受診することも検討しましょう。

退職日当日は出社しない

医師から労務不能の診断を受けたら、退職日当日は出社しないようにしましょう。退職日当日に出勤してしまうと、傷病手当金の受給要件を満たさなくなる可能性があります。

退職前に3連休を取得した場合は、退職日を4日目以降にすることが重要です。業務の引き継ぎや備品の返却などは、事前に済ませておきましょう。

毎月1度は病院に通う

傷病手当金の受給が開始されたら、毎月1回は医療機関を受診しましょう。積極的に治療に取り組んでいると認められない場合、受給資格を失う可能性があります。

傷病手当金は、毎月、申請する必要があります。申請の際には、被保険者と医師が記入した申請書を健康保険組合に提出します。

定期的に求職活動する

失業保険の受給期間中は、4週間に1度の認定日に、求職活動の実績をハローワークに報告する必要があります。

職業相談、セミナー受講、転職フェアへの参加など、さまざまな求職活動があります。積極的に求職活動を行い、その実績を報告しましょう。

制度を悪用した受給は違法なのか?誤解されやすいポイント

SNSなどでは「28か月もらえる裏ワザ」のような言い方をされることがありますが、制度を正しく理解せずに受給すると、不正受給に該当する可能性があります。

「28か月受給」は裏技ではなく制度上の正当な仕組み

傷病手当金も失業保険も、それぞれ法律に基づく正当な制度です。
医師の診断、退職前後の条件、受給要件をきちんと満たしていれば、制度として認められた範囲で受給できます。

不正受給とみなされるケース

具体的には以下のようなものです。

  • 労務不能でないのに医師へ虚偽申告をして申請した
  • 傷病手当金の受給中に無断で就労していた
  • 就職しているのに失業保険を継続して受給した

 

不正受給が発覚すると、返還だけでなく加算金が求められるケースもあります。

SNSの誤情報に注意

「この通りにすれば28か月もらえる」といった情報は、実際の健康状態や働き方に当てはまらないことが多いです。
制度の仕組みは複雑なため、公式情報を必ず確認しながら進めることが大切です。

自力で社会保険給付金を申請するのは難しい理由

自力で社会保険給付金を申請するすることに難しさを感じる女性

社会保険給付金の申請は、一見簡単そうに見えますが、実際には手続きが複雑で、難しいと感じる人が多いようです。自力で申請するのが難しい理由は以下のとおりです。

  • かなりの手間がかかる
  • 必要書類が人によって異なる
  • 不備があると何度も修正が必要になる

 

それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

かなりの手間がかかる

社会保険給付金の申請は、予想以上に手間がかかります。給付金の種類や個々の状況によって必要な書類や条件が異なるため、インターネットの情報だけで手続きを進めるのは危険です。

申請から受給までのすべてを自分で行おうとすると、膨大な時間と労力を費やすことになりかねません。

必要書類が人によって異なる

給付金の種類や個々の状況によって、必要な書類は異なります。場合によっては、以前の職場に書類を取りに行く必要も生じます。

必要な書類をすべて揃えるのは、想像以上に大変です。必要な情報が得られるWebサイトは限られており、自分と全く同じ状況の情報を見つけるのは難しいでしょう。

不備があると何度も修正が必要になる

書類に不備があると、申請が受理されず、何度も修正を繰り返す必要が出てきます。

窓口で不備の修正方法について丁寧に教えてもらえるとは限らないため、自分で申請書類を作成すると、情報収集や修正に多くの時間と労力を費やし、申請自体を諦めてしまうケースも少なくありません。

給付金の申請をスムーズに進めるためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

まとめ

社会保険給付金は最長で28か月にわたって受給できる可能性があり、失業や病気、怪我などで収入が途絶えてしまった人を支えるセーフティーネットとしての役割を担っています。しかし、自力で給付金を申請するのは容易ではなく、手続きの煩雑さから、申請を諦めてしまう人も少なくありません。

社会保険給付金サポートサービスを利用すれば、専門家が申請手続きをサポートしてくれるため、スムーズに給付金を受給できる可能性が高まります。WEB説明会とLINE相談はどちらも無料ですので、お気軽にご相談ください。

社会保険給付金サポートのお問い合わせはこちら▼

この記事の監修者

杉山 雅浩

スピネル法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。
池袋中心に企業顧問と詐欺被害事件に多く携わっています。
NHKやフジテレビなど多くのメディアに出演しており、
詐欺被害回復などに力を入れている個人に寄り添った弁護士です。

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