そもそも離職票はいつ届くのが普通?
まずは「今の状況が本当に異常なのか」を判断するために、標準的なスケジュールを確認しましょう。離職票が届かないと焦る前に、法律が定める期限と、実務上のタイムラグを正しく理解することが大切です。
法律上の期限は「退職の翌日から10日以内」
雇用保険法により、会社(事業主)には、従業員が退職した翌日から起算して10日以内に、管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者離職票」の発行を依頼する手続き(離職資格喪失届の提出)を行う義務があります。
事業主は、雇用保険被保険者が離職したときは、その日の翌日から起算して10日以内に、離職票を交付するための手続(離職証明書の提出)を行わなければなりません。
引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/000763185.pdfただし、ここで多くの人が誤解しやすいのが、「10日以内にあなたのポストに届く」という意味ではないという点です。
離職票が手元に届くまでの標準フローと目安日数
会社がハローワークへ書類を提出し、ハローワークが内容を確認して離職票を発行し、それが会社を経由してあなたの自宅へ郵送されるまでには、どうしてもタイムラグが発生します。
ステップ 具体的な処理内容 経過日数の目安 1. 退職当日 最後の給与計算期間が終了し、退職となります。 0日 2. 会社での事務作業 総務・経理担当者が「離職証明書」を作成し、ハローワークへ提出します。※電子申請の場合は短縮されます。 退職から3〜7日 3. ハローワークの処理 ハローワーク側で内容(賃金額や離職理由)を確認し、離職票を交付。会社へ返送します。 提出から2〜4日 4. 会社からの発送 会社に届いた書類を、担当者があなたの自宅へ郵送します。 会社到着から1〜2日 【合計】 あなたが離職票を実際に受け取るまでの期間 約10日〜14日 このように、郵送の往復(土日祝日を除く)を考慮すると、退職から2週間程度は「通常の範囲内」といえます。もし退職から3週間以上が経過しても音沙汰がない場合は、何らかの問題が起きている可能性があるので、別の対応をした方が良いでしょう。
離職票の種類(-1と-2)の役割
手元に届く離職票は、通常「1」と「2」の2枚セットになっています。
雇用保険被保険者離職票ー1: 失業保険の振込先口座などを記入する、いわば「受取用」の書類です。
雇用保険被保険者離職票ー2: 過去の賃金実績や「離職理由」が記載された、いわば「審査用」の書類です。
特に「離職票ー2」に記載される退職理由は、あなたが失業保険を「いつから」「何日間」もらえるかを左右する重要な情報となります。
会社が離職票を出さない(遅れる)主な理由5選
なぜ、法律で義務付けられているにもかかわらず、手続きが滞ってしまうのでしょうか。
会社側の視点から、よくある「裏事情」を解説します。① 単純な事務手続きの遅れ・放置
最も多いのが、悪意のない「業務の遅延」です。
特に専任の人事担当者がいない中小企業や個人商店の場合、社長や経理担当者が他の業務と兼務しており、離職票の作成が後回しにされているケースがあります。
また、複数の退職者が同時に出た時期などは、ハローワークへの提出がまとめられてしまい、数日のロスが発生することもあります。② 給与計算の確定待ち(勘違い)
離職票には退職直近の賃金額を記載する必要があるため、「最後の給料が確定してからでないと書類を作成できない」と誤解している担当者がいます。
実際には、未確定分を遡って修正したり、推定額で仮発行したりする運用も可能ですが、事務を簡略化したいがために給与締切日を待っているパターンです。③ 離職証明書に必要な資料の不足
離職票を発行するためには、会社がハローワークに対し、本人の出勤簿(タイムカード)や賃金台帳の写しを提出しなければなりません。
退職間際に未払いの残業代が発生していたり、勤怠の承認が下りていなかったりすると、「添付書類が揃わない」という理由で手続きがストップしてしまいます。④ 退職理由を巡る見解の相違
これが最も深刻なケースです。
会社側: 「自己都合退職として処理し、助成金への影響を避けたい」
本人: 「会社都合(解雇や退職勧奨)として失業保険を早くもらいたい」
このように意見が食い違っていると、会社側が「本人が納得しない理由で出すと後でハローワークから突っ込まれる」と危惧し、あえて発行を遅らせて交渉を図ろうとすることがあります。
⑤ 雇用保険の未加入(法律違反)
極めて悪質なケースですが、そもそも会社があなたを雇用保険に加入させていなかったパターンです。
毎月の給与明細から雇用保険料が天引きされていたとしても、会社がハローワークで加入手続きを怠っていた場合、ハローワークにはあなたのデータが存在しないため、離職票は物理的に発行できません。これを発覚させないために、発行を渋るブラック企業も存在します。離職票が出ないまま放置するとどうなる?
「そのうち届くだろう」と静観していると、あなたの生活に直結する大きなダメージを受けることになります。
離職票の遅れは、単なる「紙一枚の遅れ」ではないのです。失業保険(基本手当)の振込が大幅に遅れる
失業保険は、あなたがハローワークへ行き「求職の申し込み」をした日から数え始めます。
つまり、離職票が届かない限り、一円も受給に向けたカウントダウンが始まりません。
自己都合退職の場合、申し込みから最初の振込までには通常2ヶ月〜3ヶ月の待機・給付制限期間があります。離職票が1ヶ月遅れれば、当然、現金が手元に届くのも1ヶ月先送りになります。国民健康保険の保険料が安くならない
会社を辞めて国民健康保険に切り替える際、倒産や解雇などの理由で辞めた方は「特定受給資格者」として保険料が最大7割軽減される制度があります。この軽減申請には、離職票の提示が必須条件となります。
離職票がないと、高い保険料を全額支払わなければならず、失業中の家計を激しく圧迫します。国民年金の免除申請が通らない
収入が減少した際の年金保険料の免除・猶予申請(特例免除)においても、離職票は有力な証明書類となります。これがないと、免除申請の手続き自体が受理されない、あるいは保留されることになります。
再就職手当の受給資格を失う可能性がある
もし離職票が届く前に次の仕事が決まった場合、「失業保険の手続きをしていない」という状態になります。
この場合、せっかく早期に就職しても、本来もらえるはずの「再就職手当(まとまった祝い金)」を受け取ることができません。【段階別】離職票を出してもらうための具体的対処法
離職票が届かない不安を解消するための、対応方法を順を追って解説します。感情的にならず、あくまで「事務的な確認」から始めることを推奨します。
① 会社(担当部署)へ電話・メールで催促する
まずは「忘れられている」ことを想定し、優しく、かつ明確に期限を伝えて問い合わせます。
【ポイント】
「ハローワークに失業保険の手続きに行く予定があるのですが、いつ頃届く予定でしょうか?」と伝えてください。「ハローワーク」という単語を出すだけで、会社側は「放置すると上から連絡が来る」と察し、対応が早まる傾向にあります。② ハローワークへ「督促」を依頼する
会社へ連絡しても「今やってます」「もうすぐ送ります」と濁されて1週間以上変化がない場合は、すぐに自分の住所地を管轄するハローワークへ相談してください。
ハローワークは、あなたに代わって会社へ電話を入れ、「なぜ出さないのか」を確認し、速やかに発行するよう「行政指導」を行ってくれます。③ 離職票なしで「仮手続き」を行う
「会社がどうしても出さない」「倒産して連絡がつかない」という緊急事態でも、ハローワークで「仮手続き」を行うことができます。
退職日の翌日から12日経過していれば、離職票がなくても「失業保険の受給申し込み」を受理してもらえる制度です。仮手続きに必要な「証拠書類」の例
離職票がない代わりに、あなたがその会社で働いていて、確かに退職したことを証明する書類が必要です。
- 雇用保険被保険者証(入社時に渡される細長い紙)
- 給与明細書(直近数ヶ月分)
- 退職証明書、または解雇通知書
- 退職届の控え(メールの送信履歴でも可)
- 健康保険資格喪失証明書 など
よくある「困った!」へ事例別の解決策
ここでは、より具体的なトラブルケースに基づいたQ&A形式の解説を行います。
ケースA:会社が倒産・社長が夜逃げしてしまった
解決策:ハローワークの「職権」による発行を依頼しましょう。
事業主が書類を作成できない場合、ハローワークが直接調査を行い、賃金台帳や銀行口座への振込履歴を元に離職票を代行発行できます。厚生労働省のガイドラインでも、労働者の不利益を避けるための柔軟な対応が示されています。ケースB:離職理由を「自己都合」に書き換えられた
解決策:署名欄の「異議あり」にチェックを入れ、証拠を提示してください。
届いた離職票に納得がいかない場合、無理にハンコを押す必要はありません。「異議あり」として受理してもらい、ハローワークの職員に相談しましょう。
残業時間の記録やパワハラの相談メモなどがあれば、ハローワークが「正当な理由のある離職(会社都合と同等の扱い)」と認定し直してくれる可能性があります。ケースC:体調不良で退職したため、すぐに働けない
解決策:「傷病手当金」との兼ね合いを確認し、「受給期間延長」を行いましょう。
病気やケガですぐに働けない場合、失業保険はもらえません。
(失業保険は働く意欲と能力がある人が対象だからです)
この場合、まずは健康保険から「傷病手当金」を受給し、失業保険については「受給期間延長申請」を行い、元気になってから受給できるよう手続きをストップさせておくのが賢い選択です。働きたいけどケガや病気で今すぐに働けない…
「生活のために働かなきゃいけないけど、ケガや病気で再就職が難しい」
「本当はしばらく休んで療養に専念したい…」など、心身の不調で休養が必要な状態であっても、制度の存在や判断基準を知らないまま、自己判断で無理を続けてしまう方は少なくありません。
医師の判断や就労状況によっては、休職中に傷病手当金の対象となるケースもあります。「自分の場合は対象になるのか」「今の状態で申請できる可能性があるのか」など、
傷病手当金の申請について個別に確認することもできます。「もう少し頑張れば何とかなる…」
と思いこんだまま、無理を続ける前に一度状況を整理してみることも選択肢の一つです。離職票トラブルを最速で解決するためのチェックリスト
離職票は、あなたのこれまでの労働に対する当然の権利であり、再出発のための貴重なチケットです。
会社側の都合で、あなたの将来が妨げられることがあってはなりません。最後に、今すぐ確認すべきポイントをまとめました。
まとめ
離職票はあなたの「権利」です。
会社が離職票を出さない理由は、単なる事務ミスから意図的な遅延まで様々ですが、どのような理由であれ、あなたが不利益を被る筋合いはありません。離職票が届かないことで、失業保険の給付が遅れたり、健康保険料の支払いに困ったりすることは、あなたの再出発に大きなブレーキをかけてしまいます。
もし会社とのやり取りに限界を感じたら、迷わずハローワークや行政の窓口を頼ってみてはいかがでしょうか。「社会保険給付金サポート」では、退職後に受け取れる各種給付金の案内、申請サポートを行っております。退職後の生活に金銭的な不安がある場合は、何も知らずにそのまま退職するより、まずは一度相談してみることをおすすめします。
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