退職金がない会社は本当に「やばい」のか
「退職金がない会社」と聞くと、待遇が悪いのではないか、将来が不安ではないかと感じる人も多いでしょう。
とくに転職活動中の場合、求人票に「退職金制度なし」と記載されているだけで、候補から外してしまうケースもあります。
しかし、結論から言えば、退職金がないという理由だけで、その会社をやばいと断定することはできません。
重要なのは、退職金制度の有無ではなく、その会社がどのような考え方で待遇や制度を設計しているかです。
「やばい」と検索されやすい背景
退職金がない会社が不安視されやすい最大の理由は、老後資金への懸念です。
退職金は、公的年金だけでは不足しがちな老後の生活費を補う役割を担ってきました。
そのため、退職金制度が存在しない場合、
・老後資金が足りなくなるのではないか
・会社は長く働くことを前提としていないのではないか
といった不安につながりやすくなります。
退職金がないこと自体は問題とは限らない
一方で、近年は転職が一般的になり、必ずしも一つの会社に長く勤めることを前提としない働き方が広がっています。
こうした変化に合わせて、退職金制度を設けず、その分を在職中の給与や賞与に反映する企業も増えています。
また、企業型確定拠出年金など、退職金とは異なる形で老後資金形成を支援する制度を導入している会社もあります。
このような場合、退職金がないからといって、直ちに問題があるとは言えません。
大切なのは、「退職金があるかどうか」ではなく、
その会社で働いた場合に、将来的な生活設計が成り立つかどうかという視点で判断することです。
そもそも退職金制度とは何か
退職金がない会社を正しく判断するためには、
まず退職金制度そのものについて理解しておく必要があります。
退職金は法律で義務付けられていない
退職金制度は、法律で義務付けられているものではありません。
労働基準法などの労働関連法令においても、企業に対して退職金の支給を義務付ける規定は設けられていません。
そのため、退職金制度を導入するかどうか、どのような条件で支給するかは、各企業が任意で決めることができます。
退職金がないこと自体は、制度上も特別なことではないのが実情です。
退職金制度の主な種類
退職金制度には、退職時に一括で支給される退職一時金制度や、年金形式で支給される企業年金制度があります。
近年では、企業が掛金を拠出し、従業員自身が運用を行う企業型確定拠出年金を導入する会社も増えています。
これは従来の退職金制度とは仕組みが異なりますが、老後資金形成を目的とした制度の一つです。
退職金がない会社はどれくらいあるのか
「退職金がない会社は珍しいのではないか」と感じる人も多いかもしれませんが、
実際のところ、退職金制度がない会社は決して少数派ではありません。
この点を確認するうえで参考になるのが、厚生労働省が定期的に実施している
**「就労条件総合調査」**です。
この調査では、企業の賃金制度や退職金制度の有無について、全国規模で実態がまとめられています。
参考:厚生労働省「就労条件総合調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html
退職金制度がある会社・ない会社の割合
最新の就労条件総合調査によると、
退職金制度がある企業は全体の約7割前後となっています。
裏を返せば、
およそ3割の企業は退職金制度を設けていないということになります。
この数字から分かるのは、
「退職金がない会社=かなり特殊」という認識は、必ずしも正しくないという点です。
一定数の企業が、退職金制度を持たない形で運営しているのが実態です。
企業規模によって大きく異なる実態
退職金制度の有無は、企業規模によって大きな差があります。
一般的に、
・従業員数1,000人以上の大企業
・歴史が長く、長期雇用を前提としてきた企業
では、退職金制度を導入している割合が非常に高くなっています。
一方で、
・中小企業
・従業員数が少ない事業所
になるほど、退職金制度がないケースが増える傾向があります。
これは、経営体力や制度運用の負担といった事情が影響していると考えられます。
中小企業で退職金制度がない理由
中小企業で退職金制度がない理由としては、次のような点が挙げられます。
長期間にわたる退職金積立の負担が大きい
将来の支給額が経営リスクになりやすい
制度設計や管理にコストがかかる
そのため、退職金制度を設けない代わりに、
毎月の給与や賞与に反映する設計を選ぶ企業も少なくありません。
業種による違いもある
退職金制度の有無は、業種によっても傾向が異なります。
製造業やインフラ関連、金融業など、
比較的歴史が長く、長期雇用を前提としてきた業種では、
退職金制度が整っている企業が多い傾向があります。
一方で、
・IT業界
・ベンチャー企業
・サービス業の一部
では、退職金制度を設けず、その分を給与水準や成果報酬に反映するケースも珍しくありません。
このように、退職金がない会社かどうかを判断する際には、
その業界では一般的なのかどうかという視点も重要になります。
データから分かるポイント
厚生労働省の統計データから分かるのは、次の点です。
・退職金がない会社は一定数存在する
・特に中小企業では珍しいものではない
・業界や企業規模によって前提条件が異なる
つまり、
「退職金がない」という事実だけで、その会社をやばいと判断するのは早計だと言えます。
退職金がない会社が「やばい」と言われる理由
退職金がない会社は一定数存在し、制度としても珍しいものではありません。
それにもかかわらず、「やばい」「不安」といったネガティブな印象を持たれやすいのには、いくつか共通した理由があります。
ここでは、実際に注意すべきポイントを整理します。
老後資金が自己責任になりやすい
退職金がない会社で働く場合、老後資金の多くを自分で準備する必要があります。
公的年金だけでは生活費が不足する可能性があるとされている中で、
退職金は老後資金の重要な補完要素として機能してきました。
そのため、退職金制度がない場合、
・将来いくら必要なのか
・どのように準備すべきか
を、早い段階から自分で考えなければなりません。
この点が不安材料となり、「やばい会社なのでは」と感じられやすくなります。
会社が長期雇用を想定していないように見える
退職金制度は、「長く働くこと」を前提とした制度でもあります。
そのため、退職金がない会社に対して、
・早期離職を前提としているのではないか
・従業員を長期的に育てるつもりがないのではないか
といった印象を持つ人も少なくありません。
とくに、退職金がない理由について会社側の説明がない場合、
制度の背景が分からず、不信感につながりやすくなります。
給与や福利厚生とのバランスが悪いケースがある
退職金がないこと自体が問題なのではなく、
退職金がないのに、他の条件も弱いケースが問題になります。
たとえば、
・月給や賞与が業界水準より低い
・昇給制度が不明確
・福利厚生が最低限しかない
といった状況が重なると、
「将来的に見て損をする働き方になるのではないか」という不安が強くなります。
このような場合、退職金がないことは、
会社全体の待遇設計の弱さを象徴する要素として捉えられがちです。
転職市場で不利になると感じる人が多い
転職活動においては、複数の求人を比較することが一般的です。
その際、退職金制度の有無は、分かりやすい比較項目の一つになります。
とくに、
・同じような年収
・同じような仕事内容
の求人が並んだ場合、
退職金制度がない会社は条件面で見劣りすると感じられることがあります。
このような比較のされ方も、「退職金がない会社=やばい」という印象を強める要因の一つです。
「退職金がない理由」が説明されていない
退職金がない会社の中でも、特に注意が必要なのが、
制度がない理由を会社が説明できないケースです。
・なぜ退職金制度を設けていないのか
・その代わりに何を重視しているのか
こうした点について明確な説明がない場合、
制度設計そのものに対する不安が大きくなります。
一方で、理由や代替策が明確に説明されている会社であれば、
退職金がなくても納得感を持ちやすくなります。
ここまでの整理
退職金がない会社が「やばい」と言われやすいのは、
・老後資金への不安
・長期雇用への疑問
・待遇全体のバランスの問題
・説明不足による不信感
といった要素が重なりやすいためです。
ただし、これらはあくまで傾向であり、
すべての退職金がない会社に当てはまるわけではありません。
退職金がなくても問題ない会社の特徴
退職金がない会社がすべて「やばい」わけではありません。
実際には、制度設計や考え方次第で、退職金がなくても合理的に成り立っている会社も多く存在します。
ここでは、「退職金がなくても問題ない」と判断しやすい会社の特徴を整理します。
給与水準が高めに設計されている
退職金がない会社の中には、
退職時にまとめて支払う代わりに、在職中の給与や賞与に還元する設計を採用しているケースがあります。
このような場合、
・基本給が業界水準より高い
・賞与が安定して支給されている
・昇給の仕組みが明確
といった特徴が見られます。
退職金を前提としない分、
毎月の収入が多く、個人で資産形成しやすい点はメリットと考えることもできます。
企業型確定拠出年金などの代替制度がある
退職金制度がなくても、
企業型確定拠出年金などの制度を導入している会社であれば、
老後資金形成という目的は一定程度カバーされます。
企業型確定拠出年金は、
・企業が掛金を拠出する
・従業員が自ら運用する
という仕組みで、従来の退職金制度とは考え方が異なりますが、
正式な企業年金制度の一つです。
退職金がない場合でも、
こうした制度が整っていれば、評価は大きく変わります。
制度の考え方を会社が説明できている
退職金がない会社で、安心感につながりやすいポイントの一つが、
「なぜ退職金制度を設けていないのか」を明確に説明できるかどうかです。
たとえば、
・給与に反映している
・成果報酬を重視している
・転職を前提としたキャリア形成を想定している
といった説明ができる会社であれば、
制度設計について一定の考えを持っていると判断できます。
説明があることで、
退職金がないこと自体への不安も軽減されやすくなります。
短期〜中期のキャリア形成を前提としている
すべての人が、一つの会社に長く勤め続けることを前提にしているわけではありません。
とくに20代・30代では、
・スキルや経験を重視したい
・市場価値を高めたい
・将来的な転職を視野に入れている
という人も多くいます。
このような場合、
退職金制度の有無よりも、
在職中にどのような経験が積めるか、どれだけ成長できるかのほうが重要になるケースもあります。
福利厚生や働き方が柔軟
退職金がなくても、
・リモートワークが可能
・柔軟な勤務時間制度がある
・研修や資格取得支援が充実している
といった環境が整っていれば、
働きやすさという面で評価されることもあります。
退職金だけを見るのではなく、
福利厚生や働き方も含めて総合的に判断することが重要です。
ここまでの整理
退職金がなくても問題ない会社には、
・給与や賞与で補っている
・代替制度が用意されている
・制度の考え方が明確
・キャリア形成のメリットがある
といった共通点があります。
退職金がない会社で働く前に確認すべきポイント
退職金がない会社を検討する場合、
「退職金がない」という一点だけで判断するのではなく、
事前に確認すべきポイントを整理しておくことが重要です。
ここでは、転職や就職の場面で見落としやすい点を中心に解説します。
求人票の「退職金なし」はどこまで信用できるか
求人票には「退職金制度なし」と簡潔に記載されていることがあります。
しかし、この表記だけでは、制度の全体像までは分かりません。
実際には、
・退職金制度はないが、給与に反映している
・企業型確定拠出年金など別制度がある
・一定年数以上で別の仕組みが適用される
といったケースでも、「退職金なし」と表記されていることがあります。
そのため、求人票の文言だけで判断せず、
制度の背景や代替策を確認する姿勢が欠かせません。
就業規則・賃金規程で必ず確認する
より正確に判断するためには、
就業規則や賃金規程の内容を確認することが重要です。
特にチェックしたいのは、
・退職金に関する記載があるか
・企業年金や確定拠出年金について触れられているか
・将来的な制度見直しの可能性があるか
書面に記載がない場合、
現時点では制度が存在しないと判断できます。
給与・賞与とのバランスを見る
退職金がない会社を評価する際には、
生涯賃金の視点を持つことが重要です。
たとえば、
・基本給が低く、昇給がほとんどない
・賞与が不安定、または支給実績が少ない
といった場合、
退職金がないことと相まって、長期的に不利になる可能性があります。
一方で、
退職金がなくても、給与や賞与が高めに設計されていれば、
総収入では同等、もしくはそれ以上になるケースもあります。
老後資金をどう補うか考えておく
退職金がない会社で働く場合、
老後資金の一部を自分で準備する必要があるのは事実です。
その際には、
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・NISA
といった制度を活用することで、
退職金がない分を補うことが可能です。
会社の制度とあわせて、
個人としてどのように備えるかも考えておくことが大切です。
面接時に確認しておきたい質問
面接の場では、
以下のような聞き方をすることで、会社の考え方が見えやすくなります。
・退職金制度を設けていない理由
・その分をどのように待遇に反映しているか
・将来的に制度を見直す予定があるか
これらに対して、
具体的な説明ができる会社であれば、
制度設計について一定の方針を持っていると判断できます。
ここまでの整理
退職金がない会社で働く前には、
・表面的な表記だけで判断しない
・書面や説明で制度を確認する
・給与や福利厚生を含めて総合的に見る
ケーススタディで見る「やばい会社/問題ない会社」
ここまで、退職金がない会社について制度や判断軸を整理してきました。
最後に、よくあるケースをもとに、「やばいと判断されやすい会社」と
「退職金がなくても問題ない会社」の違いを具体的に見ていきます。
やばいと判断されやすいケース
次のような条件が重なっている場合は、注意が必要です。
・退職金制度がない
・給与や賞与が業界水準より低い
・昇給の仕組みが不明確
・福利厚生が最低限しかない
・制度について会社から説明がない
このような会社では、退職金がないこと自体よりも、
長期的な待遇設計が弱い点が問題になります。
将来の収入見通しが立ちにくく、
結果として「やばい会社」という評価につながりやすくなります。
退職金がなくても問題ないケース
一方で、次のような特徴がある会社であれば、
退職金がなくても大きな問題にならないケースが多いと言えます。
・退職金がない代わりに給与水準が高い
・賞与や昇給の仕組みが明確
・企業型確定拠出年金などの代替制度がある
・制度の考え方を会社が説明できている
このような会社では、
退職金がないことは「制度の違い」に過ぎず、
必ずしもデメリットとは限りません。
退職金がある会社でも安心できないケース
逆に、退職金制度がある会社であっても、
必ずしも安心できるとは限りません。
たとえば、
・勤続年数の条件が厳しく、実質的に受け取れない
・自己都合退職の場合、大幅に減額される
・支給額が非常に少ない
といったケースでは、
「退職金がある」という表記だけで判断すると、
後からギャップを感じることになります。
「退職金ない会社 やばい」と感じたときの最終判断軸
「退職金ない会社 やばい」と感じたときは、
次の点を冷静に確認することが重要です。
・なぜ退職金制度がないのか
・その分が給与や別制度に反映されているか
・長期的な生活設計が成り立つか
これらに納得できるのであれば、
その会社は「やばい会社」ではなく、
制度設計の考え方が異なる会社と捉えることができます。
まとめ|退職金がない会社をどう捉えるべきか
退職金がないという理由だけで、
その会社を「やばい」と判断するのは適切ではありません。
重要なのは、
・退職金の有無
・給与・賞与・福利厚生
・将来のキャリアや生活設計
を含めて、総合的に判断することです。
退職金制度は、あくまで数ある判断材料の一つに過ぎません。
表面的な情報に振り回されず、
「その会社で働いた結果、自分の人生設計が成り立つか」という視点で考えることが、後悔しない選択につながります。
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