2025.12.01
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傷病手当金の支給日はいつになる?振込が遅れる原因と早く受給するコツ

傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだときに支給される大切な給付金です。
しかし、「いつ支給されるの?」「支給日を過ぎても振り込まれないのはなぜ?」といった疑問を持つ人も少なくありません。日は、支給日は健康保険組合や申請のタイミングによって異なり、金融機関の営業日によっても入金日が前後することがあります。
本記事では、傷病手当金の支給日がいつになるのか、支給までの流れや遅れる原因、振り込みを早めるためのポイントをわかりやすく解説します。
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傷病手当金の支給日はいつ?
傷病手当金の支給日は、会社で加入している健康保険組合によって異なりますが、おおむね申請後1か月前後です。
例えば、協会けんぽの場合は、スムーズに手続きが進めば土日祝日・年末年始を除く10営業日後とされています。健康保険組合によっては、支給日が「毎月◯日」と決まっているケースもあるため、詳細は公式サイトを確認しましょう。
ただし、実際に銀行口座に支給額が振り込まれる日は、手続きのタイミングと金融機関の営業時間によって異なることがあるため注意が必要です。ここでは、振り込み手続きのタイミングごとに、いつごろ傷病手当金が振り込まれるかを解説します。
振り込み手続きが金融機関の営業時間内の場合
支給の手続きが金融機関の営業時間内に行われたときは、支給日の当日中に銀行口座に振り込まれる可能性が高いと考えられます。営業時間は金融機関ごとに異なるため、自分が指定した振込先の情報を確認しておくとよいでしょう。
振り込み手続きが夕方以降にされた場合
支給の手続きが夕方以降の場合は、実際に口座に振り込まれるのは翌日以降になることがあります。振込手続きの時間帯により、金融機関ごとに入金のタイミングが異なることに留意しましょう。
土日祝日を跨ぐ場合
支給の手続きが金曜日や祝日の前日などになった場合は、支給日と実際に振り込まれる日が異なるケースがあることを理解しておきましょう。
例えば、土日が休みの金融機関では、健康保険組合が金曜日に支給の手続きを終えていたとしても、実際に口座に入金されるのは月曜日の営業時間内になる可能性があります。
そのため、土日祝日を跨ぐと、支給日から振込が完了する日まで2〜3日かかることがあるかもしれません。支給日を過ぎてもすぐに入金されない場合は、まずは休日を挟んでいないか確認しましょう。
傷病手当金の申請から支給日までの基本的な流れ
手続きの準備や申請のタイミングによって、傷病手当金の支給日がいつになるかが決まります。そのため、以下の申請手順を正しく理解しておくことが大切です。
- 3日間の待期期間を完成させる
- 休業4日目以降に医師に申請書を書いてもらう
- 労働者の記入欄を埋める
- 会社に事業主欄を記入してもらう
- 加入している健康保険組合に申請書を提出する
- 支給日と支給額が決定される
- 指定した銀行口座に支給額が振り込まれる
ここでは、傷病手当金の申請から支給までの流れを確認しましょう。
3日間の待期期間を完成させる
傷病手当金を受給するためには、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったことが一つの条件です。
支給条件にある「連続する3日間の休業期間」は、待期期間と呼ばれます。待期期間は必ず連続している必要がある、通算3日間ではないことに注意しましょう。
一般的に、待期期間には有給休暇など給与の支払いがある休業日や土日祝日といった公休日も含まれます。ただし、共済組合など公休日は待期期間に含まない健康保険組合もあります。
例えば、業務外の傷病で土日の2日間休業して月曜日に出勤した場合は、待期期間は成立していないことになるため、数え方に注意が必要です。
休業4日目以降に医師に申請書を書いてもらう
待期期間の成立後、4日目の休業日から傷病手当金が支給されます。
申請には、加入している健康保険組合の「傷病手当金支給申請書」が必要です。申請書は本人・医師・会社の三者が記入する欄があり、まずは医師に療養のため休業が必要であることを書いてもらう必要があります。
傷病手当金は1日ごとに支給される給付金であり、休業4日目から1日分ずつ申請して受け取ることは理論上可能ですが、申請のたびに申請書を作成しないといけなくなります。
そのため、ある程度の期間分をまとめて申請するのが一般的です。健康保険組合によっては、申請のタイミングを月末に指定し、1か月分ずつ支給するルールを定めていたり、推奨したりしている場合もあります。
労働者の記入欄を埋める
医師に申請書の該当欄を書いてもらったら、次に本人欄に必要事項を記入しましょう。
健康保険の被保険者番号が必要になるので、あらかじめ保険証などを準備しておくとスムーズに記入できます。被保険者番号がわからない場合は、マイナンバーカードの写しを添付することで代用可能です。
会社に事業主欄を記入してもらう
申請書の作成の最後に、申請書の事業主欄を会社に記入してもらいます。
会社を通じて傷病手当金の申請をする場合は、渡した申請書が手元に戻ってくることはなく、そのまま健康保険組合に提出されます。
加入している健康保険組合に申請書を提出する
会社から申請書を返却された場合は、自分で加入している健康保険組合に提出することも可能です。提出方法は健康保険組合にもよりますが、一般的には窓口で直接手渡すか郵送する方法があります。
傷病手当金の申請期限は、支給対象となる日の翌日を起算日として2年以内です。例えば、2025年11月15日の支給分は、2027年11月15日が期限となります。
申請が遅くなると、退職や転院などで当時と状況が変わっている可能性もあり、書類の準備に時間がかかってしまうことがあります。「1か月ごと」「休業期間が終わったとき」など、キリのいいタイミングで速やかに手続きするとよいでしょう。
支給日と支給額が決定される
申請書の提出後、健康保険組合で審査が行われます。審査の結果、支給が決定されると傷病手当金の支給決定通知書が届きます。
通知書には、支給日(振込予定日)や支給額、支給期間、日数などが書かれているのが一般的です。通常は記載された支給日に給付金が振り込まれますが、前述のように土日祝日などを挟むと支給日当日には振り込まれないこともあります。
指定した銀行口座に支給額が振り込まれる
支給決定後、申請書に記入した銀行口座に支給額が振り込まれます。
傷病手当金は非課税のため、所得税や住民税が引かれることはありません。年末調整や確定申告も不要で、支給額を全額受け取れることが特徴です。
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傷病手当金の支給日が遅くなる原因
傷病手当金の支給日が遅くなる原因には、主に以下があります。
- 支給条件を満たしていない
- 申請書類に不備がある
- 申請する期間が長い
- 支給額の調整対象である
それぞれの原因を詳しくみていきましょう。
支給条件を満たしていない
待期期間が成立していない場合など、そもそも支給条件を満たしていないと傷病手当金は支給されません。傷病手当金の支給条件は、以下の4つです。
- 業務外の事由による病気やケガで療養が必要になり休業していること
- 仕事に就けないと判断されること
- 連続する3日間を含み、4日以上働けなかったこと
- 休業期間中に給与の支払いがないこと
ただし、休業期間中に給与や手当の支払いがあっても、その日額が傷病手当金の日額より少ない場合は差額が支給されるケースもあります。
申請書類に不備がある
提出した申請書や添付書類に不備があると、書類の差し戻しが発生して審査に時間がかかることがあります。支給決定となっても即日振り込まれるわけではないため、差し戻しに時間がかかることで、実際に入金を確認できるまでの期間が長くなってしまいます。
申請書は労働者本人が記入する以外にも、医師や会社が書く欄があるため、各者がミスなく書類を作成することが給付金をスムーズに受け取るポイントです。
申請する期間が長い
傷病手当金は1日ごとに申請できる給付金のため、一部の健康保険組合を除いて、申請期限内であれば申請するタイミングは自由です。
しかし、2か月ごと3か月ごとなど、長い期間をまとめてもらおうとすると、その分支給日は遅くなります。その間は給付金をもらえないため、申請のタイミングに注意しましょう。
支給額の調整対象である
傷病手当金は、条件を満たすと他の給付金と併用できるケースがあります。ただし、支給額が調整されるため、傷病手当金の分は満額もらえないこともあることに注意が必要です。
支給額が調整される給付金のうち、特に「障害手当金」を同時に受給する場合は、支給日が遅れる可能性があります。
障害手当金とは、障害厚生年金3級よりやや低い程度の軽い障害を持つ人に支給される一時金です。傷病手当金としてもらえる合計額が、障害手当金の受給額を超えるまで、傷病手当金は支給されない仕組みです。
例えば、障害手当金として130万円を受け取った場合、傷病手当金の合計額が130万円に達する日までは受け取れません。その後、合計額が130万円を超えると、傷病手当金の支給が始まります。
傷病手当金の支給日を早める4つのコツ
傷病手当金は、申請から支給までに一定の時間がかかるため、手続きの進め方によっては支給日の決定や振り込みが遅れることがあります。
しかし、いくつかの工夫により、支給日を早めることが可能です。事前準備や会社との密なコミュニケーション、申請のタイミングなど、コツを知っていれば支給までの期間を短縮できるため、計画的に進めることが大切です。
ここでは、申請をスムーズに進め、できるだけ早く受給するための4つのポイントを紹介します。
事前に準備できる書類はあらかじめ用意しておく
傷病手当金をスムーズに受け取るためには、必要書類を事前に準備しておくことが重要です。一般的に申請書は会社から受け取るため、一度に複数枚もらっておくと、2回目以降の申請時にもう一度もらう必要がなく手間と時間を省けます。
また、傷病手当金以外の給付金を受け取っている場合や健康保険組合のルールによっては、添付書類が必要になることもあります。自分のケースはどのような書類が必要か、事前に調べて準備しておくと支給日までの時間のロスを減らし、スムーズに受給できるように準備しましょう。
会社とこまめに連絡を取り合う
在職中は会社を通じて書類のやり取りや申請を行うため、会社の担当者とこまめに連絡を取ることが大切です。お互いにコミュニケーションを取っておけば、必要書類の種類や手続きの進め方など、疑問点や不明点を聞きやすい環境が生まれます。
休業が必要になり、傷病手当金の受給を検討している場合は、担当者とコンタクトを取れるようあらかじめ手段を確保しておくと手続きがスムーズです。
速やかに医師欄を記入してもらう
傷病手当金は、実際に傷病で労務不能だった日に対して、後から申請して給付金を受け取る仕組みです。休む予定の日についての給付金は、前もって申請することができません。
そのため、すぐに書類を提出して申請できるようにあらかじめ準備しておくと、支給日まで時間を無駄にせず過ごせます。医師に書類を書いてもらうためには医療機関の受診が必要なため、申請する期間の直後に受診するなど、スケジュールを決めておくとよいでしょう。
申請する期間を短くする
傷病手当金を申請するタイミングは、健康保険組合で決められていない限り自由です。1か月ごとに申請したり、1年分をまとめて申請したりと、個人の都合で決められます。
ただし、申請する期間が長くなるほど支給日が遅くなるため、すぐに受け取りたい場合は1か月分ずつ申請するのがおすすめです。給与と同じように1か月ごとに受け取れば、収入の入らない空白の期間がなくなり、給与の支払いを受けているときと同じような感覚で生活できます。
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傷病手当金を受け取る3つのメリット

傷病手当金は、病気やケガで仕事を休まなければならないときに、生活を支えてくれる制度です。経済的な不安を和らげるだけでなく、安心して療養に取り組めるように整えられています。
実は状況によって、在職中だけでなく、退職後も支給を受けられるケースもあります。ここでは、傷病手当金を受け取ることで得られる主なメリットを3つの観点から見ていきましょう。
療養に専念できる
傷病手当金を受け取ることで、生活が安定しやすくなり、傷病の療養に専念できることが最大のメリットです。
急な病気やケガで仕事を休まなくてはいけない場合、有給休暇を利用することは可能ですが、日数には限度があるため、長期間におよぶ休業では対応できません。有給休暇を消化した後は、給与の支払いが止まってしまい、収入に不安を抱えながら療養することになります。
傷病手当金は給与より受け取れる金額が少なくなるものの、税金がかからない非課税の収入として生活を支えてくれる助けになるでしょう。
他の給付金の対象外でも受け取れる可能性がある
傷病の種類や程度によっては、障害厚生年金や障害手当金の対象外となり、働けないにもかかわらず給付金を受け取れない状況になってしまうことがあります。
傷病手当金は、医師が労務不能と判断して健康保険組合が認めれば、傷病の種類や程度は影響しません。具体例として、うつ病や適応障害、パニック障害、新型コロナウイルスやインフルエンザによる長期療養が必要なケースなども適用されます。
そのため、障害厚生年金や障害手当金などの対象外となった人でも、条件を満たせば傷病手当金を受け取れる可能性があります。
条件を満たせば退職後も受給できる
在職中に傷病手当金を受け取っていた場合は、条件を満たせば退職後も受給を続けられます。退職後も、継続して受給できる条件は以下のとおりです。
- 健康保険の資格喪失日の前日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
- 資格喪失時に傷病手当金を受ける条件を満たし、退職日に出勤していないこと
上記を満たす場合は、退職後に別の健康保険に加入していても、前の会社で加入していた健康保険組合からの傷病手当金を継続して受給できます。
まとめ
傷病手当金の支給日は、申請内容や手続きの進行状況、金融機関の営業日により前後することがあります。スムーズに受け取るには、書類の不備をなくし、会社や医師との連携を密に取ることが大切です。
しかし、病気やケガで体調がすぐれない中、制度や条件について調べたり手続きしたりすることに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、専門家が申請をサポートしてくれる「社会保険給付金サポート」の利用がおすすめです。社会保険給付金サポートでは、専任スタッフが傷病手当金の手続きを丁寧にサポートするため、煩雑な申請や書類の準備を一人で進める必要はありません。相談やサポートはオンラインで行うため、自宅で療養しながら手続きを進められます。まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
杉山 雅浩
スピネル法律事務所 弁護士
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