2022.12.02

給付金について

【用語】傷病手当、障害年金と障害者年金の違いは?

障害を負った際にでる給付金について「障害者年金」などと言われることがありますが、正式名称は「障害年金障害厚生年金)」と今回解説する「傷病手当金」が該当します。

今回は、その傷病手当金についてご紹介したいと思います。

なお、「障害者手帳」というものもありますが、これは傷病を持っている人が障害の程度の証明と、医療費や所得税の負担軽減等のサービスを受けるための手帳です。「障害年金(障害厚生年金)」「傷病手当金」の受給には障害者手帳の有無は関係ありませんのでご注意ください。

傷病手当金という仕組み

以前、当ブログの「障害年金を知ろう」で障害年金について解説しましたが、この他にも心身にダメージを受けた際にケアしてくれる仕組みがあります。それは「傷病手当金」という給付金で、健康保険法第99条で規定されています。

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。傷病手当金を支給する主体は、大企業の場合は自社の健康保険組合、中堅・中小企業やベンチャー企業などの場合は協会けんぽ、あるいは業界の健康保険組合、公務員や教職員の場合は共済組合になります。なお、国民健康保険、いわゆる国保の場合、国民健康保険法には支給する規定がありませんので、支給を受けることはできません。

具体的には、勤務先を業務外の病気や怪我で4日以上休んだ場合、事業主等から十分な報酬(給料)を受けられなくなった際、生活費補填のために健保や共済組合に対して傷病手当金を請求することができます。つまり、給料が一部だけ出る場合においては、給料と傷病手当金の両方がもらえるケースがあります。欠勤中の期間において給料が全額出ないとき、傷病手当金は減額なしで支給されます。その支給額は1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額です。

なお、請求に際して、医師から「仕事に就くことができない状態」すなわち「労務不能」であるという証明をもらわなくてはなりません。この証明や状況を総合的に判断し、支給するか否かを決定する仕組みになっています。

この傷病手当金の請求については、本人、あるいは社会保険労務士が代行して申請を行います。

傷病手当金と障害年金の違い

では、傷病手当金と障害年金(障害厚生年金含む)では何が違うのでしょうか。

まず、給付金の支給元が異なります。先に説明したように傷病手当金は健保組合や共済組合から支給されます。

しかし障害年金は、日本年金機構が厚生労働大臣から委託を受けて行っている、国民年金法、厚生年金保険法で規定されている年金給付に含まれます。要するに年金の支給方法の1つが障害年金ということになります。このように傷病手当金と障害年金は支給元が異なります。

さらに支給要件について傷病手当金と障害年金では異なります。これも先に解説しましたが、傷病手当金は「労務不能」が条件ですが、障害年金は「労務不能」が条件ではありません。障害年金における「障害の重さ」については障害認定基準で示されており、この基準内容に照らした上で保険料納付について問題がなければ、誰にでも支給されるのが障害年金なのです。この判断のもと、障害年金は働いていても支給されることがありますし、逆に働ける状況であれば支給されないこともあります。

このように支給要件についても、傷病手当金と障害年金では異なります。

傷病手当金の支給要件や注意点は?

それでは傷病手当金の支給要件はどうなっているのでしょうか。

傷病手当金には給与との調整が規定されているため、在籍時の勤務先の給与の証明が必要になります。そのために在職中は勤務先を通じて、手続きを行います。

ここで重要なのは傷病手当金の「労務不能」という条件について、在職中だけでなく、実は退職後の申請も可能になっています。健康保険の被保険者期間が1年以上あり、在職中から労務不能の状態が継続している場合は、退職後であっても申請手続き後、原則として1年6ヶ月の支給を受けることが可能になります。退職後は自分(あるいは委任された社会保険労務士)が手続きを行うことになります。傷病手当金は傷病が治癒していなくても、原則1年6ヶ月を経過すると支給終了となります。

それでは傷病手当金の支給額はどのくらいになるのでしょうか。これは標準報酬日額の3分の2、すなわち前年給与平均のおよそ3分の2と定められています。

なお、ここで説明した期間と支給額は法律で定められた最低支給額と期間であって、加入している健保組合・共済組合によっては「付加給付」として、独自に支給金額の追加や支給期間の延長などを実施している場合があります。さきほど支給期間について「原則1年6ヶ月を経過すると支給終了となります」と書いたのは、この「付加給付」がある場合は、1年6ヶ月以上の期間にわたり、支給されることがあるからです。また、標準報酬日額についても、独自に加算した金額での支給を行う場合もあります。

もし、自分の加入している(いた)健保・共済組合がこのような制度があるのかについて知りたい場合は、問い合わせてみるといいと思います。

なお、傷病手当金の受給を考えている場合、注意しなければならない点として、「退職日に業務に従事できないこと」という要件があることです。

実は傷病手当金における「業務」として見なされる範囲は広く、退職挨拶や私物の受け取り、保険証の返却などのため、勤務先に出向くと「出勤した事実がある」ことになり、「業務に従事できる」と判断される場合があるのです。

退職に際して傷病手当金の申請を考えている場合は、このような点についても気をつけておくことが重要です。傷病手当金の受給を考えている場合は、社会保険労務士をはじめとする専門家に質問をするのもポイントだと思います。

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