2022.01.07

障害年金について

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障害手当金とは

障害年金に該当しない場合でも「障害手当金」という一時金を受給が可能です。今回は、障害手当金について解説します。

障害手当金とは?

障害手当という制度があることをご存じですか?

障害手当金とは、障害厚生年金の制度の1つで、障害厚生年金の障害等級(3級)よりも軽い障害状態の場合に一時的に支給される給付金です。

日本年金機構の定義によると「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする、としています。なお、障害手当金について要件として傷病の次の状態が該当します。

【障害手当金の判定参考基準】

障害等級  番号 障害の状態

3級に満たない障害

1 一眼の視力が0.02以下に減じたもの
2 脊柱の機能に障害を残すもの
3 一上肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの
4 一下肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの
5 一下肢が5センチメートル以上短縮したもの
6 一上肢に偽関節※ を残すもの
7 一下肢に偽関節※ を残すもの
8 一上肢のおや指を指節間関節で欠き、かつ、ひとさし指以外の1指を近位指節間関節以上で欠くもの
9 一上肢のおや指及びひとさし指の用を廃したもの
10 おや指又はひとさし指を併せ一上肢の3指以上の用を廃したもの
11 一下肢の5趾を中足趾節関節以上で欠くもの
12 精神又は神経系統に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

※偽間接骨折部で骨が正しく融合されず、異常な可動性など重篤な後遺症が残った状態

参考:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(平成29年)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

いわば、障害厚生年金3級に達しない程度の障害に対し、年金ではなく一時金として支給されるものです(支給要件の表を参照)。

その額は、年度毎に見直されますが、報酬比例の年金額(3級障害厚生年金)の2年分で、2019年度の最低保障額は1,170,200円(3級障害厚生年金の最低補償額の2年分)となっています。

この障害手当金の支給金額の計算式は、以下の通りになります。

障害手当金(一時金)=(報酬比例の年金額×2)

この計算式の結果で支給金額が冒頭で説明した最低補償額である1,170,200円に満たない場合は、1,170,200円が支給されます(2019年度)。

なお、「報酬比例の年金額」について、計算方法がとても複雑なため、詳細については日本年金機構へ問い合わせることをおすすめします。

<支給要件>

①初診日に厚生年金に加入している場合にのみ支給対象

会社員または経営者で、給与から保険料を天引きされていた人などが該当します。自営業者やフリーランスなど、国民年金のみ支払っていた人は対象外です。

また、障害厚生年金(報酬比例の年金)は、勤続年数など条件によって金額が変わります。

これは支給対象者の平均標準報酬額(厚生年金保険料の計算の元となる額)や厚生年金保険に加入していた期間など、算定基準の元となる数字が各人によって異なるためです。
例えば、給与の金額が高く、勤続年数が長い人ほど年金支給額が多くなります。

②初診日から5年を経過するまでの間に、傷病が治った(治療の効果が期待できなくなった)こと

障害年金は傷病が治癒していない状態でも支給されますが、障害手当金は傷病が治癒していることが支給の前提となります。

③傷病が治癒した日において、障害等級3級より軽い障害状態にあること

傷病が治癒した日とは、症状が固定されて治療の効果が期待できなくなった日を指します。

④保険料納付要件を満たしていること

初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

障害手当金と障害年金の関係

障害手当金」と「障害年金」の相違点を見ていきましょう。

障害手当金」は、障害厚生年金(共済年金)の障害等級3級よりも軽い障害状態の場合に一時金として支給されるお金です(表参照)。つまり、障害年金の一部になりますので、同一原因の傷病で一時金と各等級の年金の同時受給はありません。なお、傷病の悪化などの理由で障害等級が上位の等級に変更される場合もあります。

【障害年金と障害手当金】

  初診日に加入していた年金
障害等級 国民年金  厚生年金  共済年金 
1級 1級 障害基礎 1級 障害基礎 1級 障害厚生 1級 障害基礎 1級 障害共済
2級 2級 障害基礎 2級 障害基礎 2級 障害厚生 2級 障害基礎 2級 障害共済
3級 なし なし 3級 障害厚生 なし 3級 障害共済
1~3級に該当しない障害 なし なし 障害手当金
(一時金)
なし 障害手当金
(一時金)

「障害手当金」と「傷病手当金」の関係

次に「障害手当金」と「傷病手当金」の関係を解説します。

おさらいですが、傷病手当金は病気やケガで会社を休業した際に、その期間の生活の所得を保障することを目的として設けられた制度です。

被保険者が病気やケガのために労務不能な状態になったときに、支給開始日から 最長1 年 6 ケ月間を限度とした制度です。この傷病手当金の受給金額は概算で日当の 3 分の 2 の金額を受け取ることができます。

本題に入りますが、両方同時に受け取ることは可能でしょうか。
結論から言うと次のようになります。

① 障害厚生年金は傷病手当金との調整がある
② 障害厚生年金+障害基礎年金は傷病手当金との調整がある
③ 障害基礎年金のみ受給の場合、傷病手当金との調整はない

①に関しては、同一傷病で障害厚生年金を受給している場合は、傷病手当金と重複して受給することはできないというルールが適用されることによります。この場合は、障害厚生年金の支給が優先されて、傷病手当金がその期間支給停止になります。

②の調整に関しては以下のようになります。
同一の支給事由で障害基礎年金+障害厚生年金(障害手当金)が支給される場合の合計額を 360 で割った金額が、傷病手当金の日額に満たないときは、その差額が支給されます。
なお、同一傷病による受給でない場合は、調整されずに両方受け取ることができます。

▼参考:傷病手当金を申請される皆様へ ~障害厚生年金/障害手当金との調整について~(協会けんぽ)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/ehime/public/kyuhu/syobyoteatetonenkin.pdf

 

③については、障害手当金は障害厚生年金(共済年金)の一部となります。そのため傷病の初診日が国民年金の加入月で、現在、障害基礎年金を受給している場合は、原因となる傷病が同一のものであっても障害手当金と傷病手当金の間では支給調整が行われることなく、障害手当金と傷病手当金の両方が支給されます。ただし、障害手当金(一時金)を受給した場合は、障害手当金の支給額が傷病手当金の支給額を超えるまで、傷病手当金は支給停止になります。

まとめ

障害手当金(一時金)について知っておくべきポイントについて解説しました。

なお、障害手当金と傷病手当金のダブル受給をした際に注意が必要なこととして、数年前に遡って障害年金(一時金)を障害認定日請求(遡及請求)した場合には、過去に受給した傷病手当金と重複する期間が必ず発生しますので、その重複した期間に受給した傷病手当金は返還しなければなりません。

重複受給は日本年金機構と各共済組合とのデータ上の突き合わせによって判明する仕組みです。少なくない金額について必ず返還の請求が行われるますので、該当する場合は忘れないようにしないとなりません。注意してください。

退職コンシェルジュでは「障害年金の窓口」という障害年金の申請代行サポートを行なっております。複雑で難しいとされる障害年金や障害手当金の申請をプロの社労士が代行いたします。相談は無料ですので、障害年金や障害手当金について知りたい方や申請を考えている方はぜひご連絡してみましょう。

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