2019.05.08

障害年金について

障害年金を知ろう

ストレスの多い現代の職場環境、休職・退職に追い込まれる人も決して少なくはありません。そのような状況になったとき、障害年金というセーフティネットがあります。その内容、障害者手帳との違いについて解説します。

「退職」と障害年金との関係

実は「退職」と労働災害(以下、労災)、そして労災に起因する様々な障害は、密接な関係があります。

 

たとえばブラック企業に勤務していて、早朝から深夜まで激務が続き、心身に不調をきたして家族や友人など周囲の人たちからも明らかに心配されている方がいるとします。退職すべき状況なのでしょうが、上司や社長からの心身を病むような言葉で精神的に参ってしまって退職の決断ができない状況だったり、経済的な理由で激務でも離職できなかったり、と様々な事情があると思います。

厚生労働省の平成29(2017)年「労働安全衛生調査」(実態調査)によると、以下のような記述が見られます。

「メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所」の割合は56.6%と、平成28年調査より1.8%減少しています。また、ストレスチェックを実施した事業所の割合は、64.3%と、平成28年調査より2.0%増加しています。「現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスになっていると感じる事柄がある労働者」の割合は59.5%と、平成28年調査より3.8%増加しています。

 

つまり、働く多くの労働者がストレスを感じつつも、職場環境は決して改善には向かっていないのが現状です。

さらに少し古いデータですが、2015年の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査結果では「うつ病などメンタルヘルスの不調を感じている人の13.3%が会社を退職している」ことが明らかになっています。この調査ではメンタルヘルスが不調と感じている人の42.3%は「業務内容や業務量への配慮」を、34.9%は「職場の同僚や上司との人間関係を考慮した配置」を望んでいることも示されています。このようにメンタルヘルスと休職・退職、そしてそれらをサポートする支援制度の関係は密接であり、大変重要なのです。

障害年金とは

それでは障害年金とは具体的にどのようなサポートを行う仕組みなのでしょうか。

障害年金とは、障害や病気によって生活に支障が出た場合に受け取ることができる年金です。これには職務による労災、つまりケガや身体障害、激務などに起因するうつ病などが対象になります。年金というと高齢者対象というイメージがありますが、障害年金は若い世代の方にも支給され、条件に酔っては働きながら受け取ることができます。

障害年金には以下のような2種類があります。これは一般的に自営業の方は国民年金、また、サラリーマンなど給与所得者の方は厚生年金に加入していると思いますが、加入していた年金によって適用される障害年金が異なることによります。

障害基礎年金

障害基礎年金とは、障害や病気により、医師または歯科医師の診療を初めて受けた日(初診日)に、国民年金に加入していた方が受給できる障害年金です。国民年金機構のWebサイトには次のように書いてあります。

国民年金に加入している間、または20歳前(年金制度に加入していない期間)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)に、初診日(障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)のある病気やケガで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるときは障害基礎年金が支給されます。

※障害基礎年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。

  1. 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
  2. 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

障害厚生年金

障害厚生年金とは、障害や病気について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、厚生年金に加入していた方が受給できる障害年金です。障害基礎年金に上乗せするものとして給付されます。こちらについに国民年金機構のサイトには以下のように書いてあります。

厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガで障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

また、障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。

なお、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。

※障害厚生年金・障害手当金を受けるためには、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていることが必要です。

 

このように障害年金は、さまざまな傷病により日常生活に支障がある方に向けての支援制度ですが、成人してから納付を始める公的年金です(他に老齢年金・遺族年金などがあります)。

なお、上の引用部分の最終行にあるように、これらの年金の原資は、私たち国民が納めている年金保険料によって賄われているため、指定された要件を満たすように保険料を納付していなければ給付されません。

障害者手帳とは

なお、これらと似ている名称のものとして「障害手帳」というものがあります。

「障害手帳」ってなんとなく聞いたことがあるかもしれません。でも、身近に持っている人や受給している人がいないと、まったくイメージできないかもしれません。また、今まで解説した「障害年金」とは名前こそ似ていますが、まったく別物の制度なのです。

「障害手帳」は総称で、「身体障害者手帳」「精神障害者保険福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。障害者手帳は、傷病によって日常生活に支障がある方が交付され、手帳を提示で交通機関の運賃や各種施設の入場料が割引になるなど、各種サービスが受けられます。

 

このように休職・退職と障害年金は、密接に関係があることをお分かりいただけたでしょうか。もし、激務で心身の不調を感じてらっしゃるようでしたら、ぜひ、専門家に一度、相談されてみてはいかがでしょうか。

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