2024.01.19

退職について

退職してからする手続きは?

これまで勤めていた会社を辞める際には、色々な事務手続きが発生します。会社がやってくれる部分もあれば、どうしても自分でやらなければいけない手続きもあります。会社によっては退職時にそうした手続きをリストにまとめて渡してくれる親切なケースもありますが、ほとんどの会社では退職後の手続きについて教えてはくれません。しかも手続きには期限がある場合もあります。いざ退職した時のために、自分がするべき手続きをしっかり覚えておきましょう。

退職日当日までに済ませておくこと

退職が決まったら色々と忙しくなるでしょう。やらなければいけないことが山積みです。特に気を付けておきたい3点を紹介します。

業務の引き継ぎ(社内)

自分の仕事の引き継ぎについては、細かく業務の進め方や手順について書き記しておきましょう。自分のやり方や効率の良いポイントを書いておくと親切です。細かすぎて困るということはありません。自分の代わりに入った新入社員がその仕事を引き継ぐことになる可能性もあります。誰が見ても分かるようなマニュアル作りをしておきましょう。もし手が空いている同僚がいたら目を通してもらい、「この業務についてもう少し詳しく書いてほしい」という要望があれば対応します。退職日直前はバタバタしてしまうこともあるので、余裕を持ったスケジュールで進めていくのがおすすめです。

取引先への挨拶(社外)

社外の人と連絡を取り合う業務をしていた場合は、自分が仕事で関わっていた人に挨拶を忘れないでください。その際、会社によっては「部署異動」など、退職の事実を明かさないよう指示がある場合があります。その場合は会社の意向に従い、どのような内容で取引先に挨拶すべきか事前に上司と相談しておきましょう。また、もし退職することを取引先に伝える場合、「職場の人間関係が嫌になって…」とか、「残業代が出なくて…」といったネガティブな退職理由を取引先の人に伝えるのはNGです。会社の信頼を損なってしまう可能性があるためです。退職する会社の信用なんてどうでもいいと思うかもしれませんが、そんなことで会社から責め立てられてしまったら話は別ですよね。「家庭の事情」などとすると角が立たないので、伝えやすい理由の一つです。

備品返却

意外とトラブルが多いのが、備品の返却です。代表的なものでいえば健康保険証の他、社員証やカードキー、社用PCやスマートフォン、制服などのことです。会社によっては返却期限などがある場合もあります。最後まで仕事で使うものは最終日の返却になるでしょう。その時にトラブルがないよう、あらかじめ付属品などを確認しておいてください。例えば制服につける名札がなかったり、PCについていた説明書をなくしてしまっていたり…あらかじめ分かっていれば上司に相談しておくことができます。最終日に欠品のことを伝えた場合は、「家にあるかもしれないから探してまた連絡して」と言われてしまう場合もあります。最終日以降に連絡を取らなくて済むよう、事前に返却物を確認して揃えておきましょう。

必要書類の発行依頼

また、退職に関する必要書類、主に「離職票」の発行に関しても会社の認識と行き違いがあったというケースが多く見られます。離職票とは、退職後に転職先が決まっていない場合、雇用保険の失業給付金を受け取るために必要な書類です。何も言わなくても発行して送ってくれる会社もありますが、「退職者が自己申告しない場合は発行しない」という会社も少なくありません。特に離職票は退職後に郵送で送られてくることが一般的です。そのため、なかなか届かず、届くか分からずに気を揉むことになってしまうこともあります。退職日までに、「離職票は送ってもらえるか、発行依頼が必要か」という点を、あらかじめ人事または総務に確認しておくのがいいでしょう。

「転職先が決まっているかどうか」で違うので注意!

会社を退職した後、次の転職先がすでに決まっている場合と、転職先が決まっていない場合では必要な手続きが異なります。そのため、自分とは状況が異なる人に聞いてもあまり意味がないので注意してください。ここでは①雇用保険、②健康保険、③年金、④税金に関して、それぞれの場合について解説しています。

なお、雇用保険は企業に雇用されていれば誰でも無条件で対象となるものではありません。次の要件を満たしている必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

正社員以外の契約社員やパート、アルバイト、登録型派遣労働者でも、この条件を満たしている場合は雇用保険の対象になっているはずです。なお、この要件を満たしていても「65歳に達した日以後に新たに雇用される者」や「4ヵ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者」などが対象から除外されます。もし、自分が雇用保険の対象かどうか不明な場合、雇用契約書を確認するか、会社に直接尋ねてみると良いでしょう。もしすでに退職代行サービスを利用して退職していて、会社に直接聞きにくい場合は退職代行サービスを通して確認することができます。

また、これらの手続きに際し、会社に年金手帳を預けていた場合は返却が必要になります。さらに、会社より源泉徴収票(退職日から1ヶ月以内)、雇用保険被保険者証(退職日以降早急に)、健康保険資格喪失証明書(退職日から7~10日前後)、退職証明書(同)、離職票(同)を送付してもらう必要が出てくる場合があります。

ちなみに年金手帳を紛失した場合や、会社が返送してこない場合は、年金事務所の相談窓口で再発行してもらうことが可能です。この場合は、原則として退職者本人が窓口に行く必要があり、運転免許証やパスポートなど本人であることの身分証明が可能なものを持参して、再作成を依頼します。社会保険労務士等への代理依頼も可能とされているので、詳しくは年金事務所にて確認してみてくださいね。

「転職先が決まっている」人の手続きや必要書類

これは退職後、次の転職先の会社への入社が決まっている場合です。転職先が決まっている場合は、退職した会社のことと同時に転職先の会社での手続きに備えて必要書対を揃えておかなければいけません。あらかじめ必要書類をチェックしておいて、漏れのないようにしましょう。

雇用保険に関する手続き

退職者は、会社から退職日当日以降、速やかに雇用保険被保険者証を受け取る必要があります。受け取った雇用保険被保険者証は、転職先の会社の人事・総務担当者に入社後すぐに提出することとなるので、なくさないようにしましょう。退職日当日に手渡しで受け取る場合や、後日郵送で他の書類と一緒に送られてくるケースなどがあります。万一紛失などによって雇用保険被保険者証を用意できない場合は、ハローワークで再発行の手続きができます。

健康保険に関する手続き

退職者は、会社に対して、退職日以降速やかに社会保険の健康保険証を返還する必要があります。退職代行サービスを使用した場合、簡易書留などで相手が受け取った証明が残るように退職日の翌日に返送します。会社によっては返送方法などに指定がある場合があるので、会社の指示に沿って返送することとなります。なお、退職日の翌日から健康保険証は失効し、その健康保険証を使用すると後から医療費総額の7〜9割の請求が届くので注意してください。払い戻しの手間が発生するため、退職日の翌日以降は会社から発行された保険証を利用しないのがベターです。

年金に関する手続き

転職先の会社で厚生年金に加入するために、年金手帳は入社後すぐに提出する必要があります。入社時に必要なものとして説明がある場合が多いですが、すぐに出せるよう手元に用意しておくと良いでしょう。もしもなくしてしまった場合は、最低限「基礎年金番号」だけは伝えられるようにメモしておいてください。基礎年金番号は国民年金保険料の納付書の他、ねんきんネットや年金事務所などでも確認することができます。転職先の会社で年金手帳の提出が必要になるのは、厚生年金の加入をするために基礎年金番号を確認する必要があるからです。会社によっては年金手帳そのものがなければダメだという場合もありますが、基礎年金番号かマイナンバーが分かればOKという場合もあります。もし年金手帳をなくしてしまった場合は転職先の会社にそのことを伝え、基礎年金番号だけでも良いかどうか確認しておきましょう。

税金に関する手続き

会社から源泉徴収票を受け取り、転職先の会社に年末調整の前までに提出します。さらに住民税(個人住民税)の支払い確認を行う必要があります。住民税の納付方法は2種類あります。1つ目は会社の事業主が従業員(納税義務者)の毎月の給与から住民税を天引きし納付するものが「特別徴収」です。2つ目は、納税者が金融機関やコンビニ経由で直接、市区町村に納付する「一般徴収」です。給与所得者は特別徴収での住民税納付が一般的ですが、退職した時期によっては一般徴収での納付を選ぶことが可能です。

1〜5月に退職した場合は特別徴収により、会社が退職月の給与からまとめて天引きして納付します。これに対して6〜12月に退職した人は、退職後の住民税は特別徴収か一般徴収のいずれかを選ぶことになります。この際、給与以外の収入がなく、退職から1ヶ月以内に転職先に入社するケースであれば、転職先の会社で特別徴収を継続してもらうよう依頼することも可能です。

転職先が決まっている場合は転職先での手続きが基本

ここまで転職先が決まっている場合の手続きについて紹介しました。こうして見ると、転職先が決まっている場合は、原則として「転職先の会社での手続き」がメインとなることが分かります。必要書類を揃えればいいだけなので、比較的簡単です。必要書類をなくさないようにだけ気を付けてください。なくしてしまえば入社手続きで躓いてしまい、入社して早々におっちょこちょいというイメージがついてしまいかねません。なるべくスムーズに入社手続きを終えるためにも、あらかじめ必要書類を手元に揃えておきましょう。

「転職先が決まっていない」人の手続きと必要書類

ここからは、退職後もしばらく失業状態が続く場合について説明します。失業状態がどのくらい続くかは分からないので、まだ転職先が決まっていないという場合です。

雇用保険に関する手続き

転職先が決まっていない退職者は、会社から雇用保険被保険者証とともに離職票を受け取る必要があります。離職票はハローワークで求職申し込みと雇用保険の受給を受けるために必要な書類だからです。具体的な手続きについては「ハローワークで出来るのはどんなこと?」を参考にしてくださいね。また、必ずハローワークインターネットサービス(にて最新の情報を確認するようにしてください。制度の条件が変更された場合や、法改正があった場合等もあるので、直接ハローワークのホームページを確認するのが一番確実です。

健康保険に関する手続き

社会保険の健康保険証の失効の条件や返還方法について基本的な内容は『「転職先が決まっている」人の手続きと必要書類』で解説したものと同様です。転職先が決まっていない場合は、国民健康保険に切り替えるか、健康保険任意継続のいずれかを選びます。もしくは、家族の社会保険の扶養に入るという方法もあります。

国民健康保険に加入するには、退職日の翌日から14日以内に、居住地管轄の市区町村役所・役場の窓口に、会社から発行される健康保険資格喪失証明書、退職証明書、離職票のいずれかを持参して手続きをします。なお、退職日から14日を過ぎても国民健康保険への加入はできますが、加入手続きが済むまでの医療費は全額自己負担となりますので、できるだけ14日以内に手続きを済ませましょう。

健康保険任意継続は、失業状態で現在の会社で加入している健康保険に退職後も引き続き加入したい場合、最長で2年間加入し続けることが可能な制度です。詳しくは全国健康保険協会(協会けんぽ)のWebサイトで確認してください。参考として全国健康保険協会のWebサイトを紹介していますが、自身が加入している健康保険組合のWebサイトを見るのが一番です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/

 

また、条件を満たせば家族の社会保険の扶養に入ることも可能です。こちらも健康保険組合のWebサイトを確認するか、直接健康保険組合に問い合わせると確認できますよ。ただし、雇用保険の失業給付金を受給し始めると原則として扶養から外れてしまいます。扶養の条件などをしっかり確認した上で検討してください。

国民健康保険と社会保険の任意継続、どちらが良い?

退職してから転職先が決まっていない人で、家族の扶養に入らない場合、必ず直面するのがこの疑問です。結論から言うと、「必ずどちらの方が良い」という答えはありません。保険料の金額によって選ぶことがほとんどですが、保険料は個人により異なるからです。

年金に関する手続き

転職先が決まっていない場合、国民年金に加入する必要があります。今までの厚生年金から切り替え、国民年金第1号被保険者として加入する手続きです。原則として退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で加入の手続きをしなければなりません。この際、退職日が月末でない場合は、退職月の分から保険料を納付することになります。

税金の手続き

源泉徴収票の入手、および退職月給与からの住民税の納付については『「転職先が決まっている」人の手続きと必要書類』と同様です。なお、所得税の確定申告についてですが、雇用保険の給付は所得とされないので、確定申告は不要です。ただし、「年度途中の退職者で、再就職をせず、年末調整を行っていない」、あるいは「失業期間を経て再就職した方で、失業期間中の社会保険料などを年末調整に含めていない」等の場合は、確定申告を行うことで納め過ぎた税金が還付されることがありますので、確定申告を行った方が良いことがあります。

確定申告を行う際に必要なものは源泉徴収票、市町村から送付される納入通知書、申告書等です。手続きを行う期間は2月16日~3月15日、還付の場合は1月以降に行います。全国の税務署や市町村の税務課などで確定申告を行うことが可能です。

退職したことで変わる手続き

退職すると様々な手続きが必要になります。会社に所属していたことで行う必要がなかったものや、これまで会社が代わりに行っていてくれた手続きもあります。その中の一つが「年末調整」です。

年末調整とは?

年末調整は支払った税金を計算し、正しい金額を算出して、その年の給与から差し引いた源泉徴収税額との差額を精算する手続きのことです。年末調整を行うことで、税金を多く払いすぎていた場合は還付されます。会社員として働いている時は、毎年10月~12月頃に年末調整に必要な申告書が配られ、記入して会社の人事や総務などの担当部署に提出することとなります。生命保険などに加入している場合は、保険会社から届く書類をもとに申告書に記入し、支払い状況を証明する保険会社からの書類を添付して提出する必要があります。その年の途中から入社した場合でも、12月まで勤務している場合は年末調整の対象です。ただし、申告書の提出をしていない場合は年末調整の対象に入りません。その場合は自分で確定申告を行う必要があります。

確定申告って?

会社で年末調整を行わない場合には、自分で確定申告を行う必要があります。確定申告とは、個人の1年間の収入から、その所得と所得税を計算し、支払うべき税金の金額を申告する手続きのことです。フリーランスなど、会社に所属しない状態で収入を得ている場合、確定申告が必要となります。会社員で年末調整を行った場合は、原則として確定申告を行う必要はありません。ただし医療費控除等を受けたい場合は、年末調整をしていても確定申告を行うケースもあります。

確定申告は2月16日~3月15日の間に、税務署や役所の税務課で行うのが本来の流れです。ただ、今はインターネットで手続きを完結させることもできます。詳しくは国税庁のホームページにて確認してみてください。

まとめ

このように、退職した後は様々な手続きが必要になります。さらに退職時に転職先が決まっているか、決まっていないかで手続きは大きく異なります。よく確認して、確実に手続きをするようにしましょう。もし手元にない書類があったら、早めに対処してください。わからないことがあったら一人で悩まず、退職代行サービスや役所の窓口などに気軽に質問をして一人で抱え込まないようにするのが最大のコツです。

 

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